国会質問

質問日:2017年 4月 12日  第193通常国会  国際経済・外交調査会

各国議員の対話重要

 「アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方」のうち、「外交能力及び戦略を向上させるための取組の課題」に関して参考人質疑が行われました。

 地球温暖化対策について各国議員との積極的な対話が重要だと強調しました。

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今日は、三人の参考人の先生、大変お忙しい中、大変貴重なお話ありがとうございます。
 まず、川口参考人に質問させていただきたいというふうに思っています。
 私もまだ国会に来てさほど日がたっていないわけですが、幸いにして、COP22という会議がモロッコのマラケシュで先日開かれました。私、今環境委員会の方にも所属をしておりまして、その会合にも行かせていただいた際に、やはりCO2の排出国といいますか、歴史的に排出してきたいわゆる先進国の側と、これから経済成長の関係でCO2の排出が見込まれるいわゆる途上国の側と、やはり政府と政府の立場としてはぶつかるものもあろうかと。しかし一方で、その会場で、やはりNGOだとか市民団体の皆さんだとか、また議会人の会合も、その場でもIPUの会議なんかもありましたけれども、そういう会合に対して各国非常に積極的に参加しているという様子も見てまいりました。
 先ほど、川口参考人も中長期的な課題でというお話もありまして、私も、この環境問題、CO2の問題というのは一つのテーマになろうかなというふうに思っておりましたし、資料も事前に読ませていただきましたが、環境省でお仕事もされてきたということもあり、京都議定書の話も出てまいりましたので、現段階で、具体的にこのCO2の問題、温暖化の問題なんかを見て、国際的なやり取り、議会が国際外交の中で果たしていくその役割について考えているところがあればお聞かせいただきたいというふうに思っております。
○参考人(川口順子君) COPについては、私は、そのとき政府で交渉をしたという部分、場面と、それから何年か後、議員としてある場に参加をしてほかの国から来た議員といろいろなやり取りをしたというのと、両方経験をいたしております。
 それで、他の国の議員の人たちとCOPの場で話をして思いましたことは、日本のやっている政策で水平展開できる、その国にその後展開できることというのがたくさんあって、それで、その議員の人たちは必ずしもそれを知らないということがよく分かりました。もちろん、そのときの日本の考え方についても、必ずしも情報が全部に行き渡っているわけではありませんので、話をして、お互いに立場についてよく分かったという関係になったということもあります。
 政策について、これはもちろん政府も一生懸命やっていると思いますけれども、多々ますます弁ずというか、政府のやることだけではやっぱり染み渡らない。それで、議員は各国において立法をする立場にあります。したがって、その人たちが法令で何ができるかということについての知識を十分に持っているということは非常に重要なことですし、それから、より基本的なところに戻って、温暖化について、この問題の重要性を共に認識をし、共にどういう手段でやっていけるかということの話合いをするということは、結果につながりやすい非常に意味のあるテーマだと私は思っています。
 もちろん、政府でやっていますとなかなか、議員の方もいろいろな御意見の方がいらっしゃいますので、必ずしも、こういう方向で交渉を進めたいと思っているときに、お願いだからそういうこと言わないでよねということが起こったことなきにしもあらずでありますけれども、それはそれで広く理解が涵養される、日本国内にもいろいろな立場があるわけですからという意味で意味があるというふうに思いました。取り上げていただくいいテーマだと思います。
 ありがとうございます。
○武田良介君 ありがとうございます。
 私も、行かせていただいて本当に難しい問題だなということを思いましたが、しかし、やっぱり国際社会、市民も含めて、CO2の問題、温暖化の問題は、これはもう正面から立ち向かわなければならない問題として誰もが受け止めているので当然議題になるわけですので、私もこれから引き続き深めていきたいなというふうに感じているところであります。
 それから、サーラ参考人に次にお伺いをしたいというふうに思います。
 フリードリヒ・エーベルト財団、非常に私も興味深く聞かせていただきました。端的に聞かせていただきたいと思うのは、先ほど来の話を聞いていても、やはりそれぞれの市民レベルでの民主主義的な取組、財団が取り組んでこられた取組、非常に重要なものがあると思うんですが、先ほどの資料にも、右傾化の流れについての研究、検討というのが出てまいりました。
 私も、ヘイトスピーチということが言われるようになってこれは注目して見ているわけですが、この間の財団の活動をどう評価しているかということにも関わるかもしれませんけれども、今のヘイトスピーチをどう見ているのか、ちょっとその辺についてお聞かせいただければというふうに思います。
○参考人(サーラ・スヴェン君) ありがとうございました。
 御承知のとおり、ドイツではここ一、二年間、非常に難民の数が増えておりまして、それに対して、やっぱりドイツでこれは難民を入れ過ぎなのではないかという声も上がっておりました。それによって、一時的、かなり地域的にも限定的なんですけれども、ある意味では右傾化というか排外主義的な動きはドイツには広がったと思いますけれども、これは、やっぱり全ての政治財団が非常に大きな問題として受け止めて、これは即時に対応して、例えば講演会、シンポジウムとかを開催して移民政策と移民の社会への統合を議論したり、そして、それ以外にも、なぜ移民がドイツに来るかというのはやっぱり理由がありまして、その背景、中東問題について市民に啓発する、そのような活動は国内にはたくさんやりました。やっぱりそれが一定の効果があったと思われます。
 最近の世論調査を見てみると、一年前には、新しくできた政党がありますが、少し右派的な政党で、その政党が一年前にはかなり人気がありまして、最近の世論調査で見てみると、今年国会の選挙がありますが、ドイツでは、そこに、ぎりぎり国会に入れるか入れないかというところまで下がってきました。全体的には、そこが少し不人気が落ち着いたという背景もありますが、政治財団がこのような啓発活動、そして政治財団以外のほかの組織もこのような活動をやっている成果でもあると思われています。
○武田良介君 ありがとうございました。
 最後に菅原参考人にお聞きしたいというふうに思いますが、この民主化の運動をずっと進めてこられて、NEDのお話でありますが、今、アメリカでトランプ政権が誕生する、一方で、バーニー・サンダース、サンダース現象と言われるような流れもあるという中で、このNEDの活動をどのように評価されているかといいますか、今どういう到達にあるといいますか、アメリカの民主主義の発展にどういう役割を果たしてきているのかという点、現状どういう認識かという点を最後にお聞かせいただければと思います。
○参考人(菅原秀君) ありがとうございます。
 民主主義というのは、言論の自由を保障するという意味で、暴力による政府の転換であるとかそういうことでない限り自由に話していいわけですよね。それに基づいて行われているわけであって、私自身の意見も含めて、私は、NEDのイデオローグであるダイアモンド教授ですね、スタンフォード大学の、あるいはフランシス・フクヤマ、あるいはトーマス・キャロザーズ、カーネギー平和研究所ですか、こういった先生方と同じ意見でして、彼ら、以前から言っているのは、既にトランプ政権ができたときに、非常に彼は短気な人なので時にはアメリカが全体混乱に陥れるかもしれない、そのときは我々の力でもって、民主主義の原理に基づいてどんどん修正していかなければならないということをはっきりおっしゃっています。私もそう思います。ちょっと短気な方じゃないかなと思いますが、それが道を誤った場合、私たちは声を大にして、あなた間違っているよ、駄目だよと、そんなことやったら地球に対して非常に悪い影響を与えるということをちゃんと言うべきだと思います。
 アメリカには底力があります。私たちも力を持っています。その力をもって、一部の政治家がちょっと誤りを犯した場合、私たちの力で直していくということ、これが民主主義じゃないかなと思います。
○武田良介君 ありがとうございました。私もそのように思いますし、これからも私もNEDの活動も注目していきたいと思います。
 ありがとうございました。

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