国会質問

質問日:2018年 2月 21日  第196通常国会  国際経済・外交調査会

日印原子力協定に懸念 参院調査会で参考人

参院国際経済・外交調査会での、日ASEAN、日ロ関係等についての参考人質疑で武田議員が質問。
岐阜女子大学南アジア研究センター客員教授の福永正明氏は、1月にインドが長距離ミサイル実験を成功させ、中国が射程距離に入ったことに触れ、これをあまりメディアが報じないというのは特別扱いを受けている。中国を牽制するためインドを重要視した国際社会が後押ししたと指摘。
武田議員は「日本とインドがこれから関係を築くか、今重要な局面」とし、日印原子力協定などについて質問。福永氏は、インドがNPT、核拡散防止条約に入らないままこういう条約を認めた、締結したということは非常に残念。日本は最低限こういう条件をクリアしなければ駄目だ、NPTなりCTBTなりに入る、全面的な査察を受けるということに結びつけてほしかったと述べました。

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2018年2月21日 国際経済・外交に関する調査会参考人質疑 武田良介議員の質問

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 三人の先生方、今日は本当にありがとうございました。
 まず、福永参考人にお伺いをしたいと思います。
 インドの関係を中心にお話をいただきました。今、日本とインドの関係ということで、私も最初に浮かべますのは、日印の原子力協定の問題だとか、それからインフラ輸出の関係もあります。こういった点、日本がインドをどう見ていくのか、日本がインドとどうこれから関係を築いていくのかということを考えたときに、これも一つの今重要な局面だと思うんですが、先生はこういった原子力協定だとかインフラ輸出についてどうお考えになっているのかという点をまずお伺いしたいというふうに思います。
○参考人(福永正明君) 日印原子力協定については昨年七月に発効したわけですけれども、やはり私自身思いますのは、インドがNPT、核拡散防止条約に入らないまま日本がこういう条約を認めた、あるいは締結したということについては、非常に残念に思っております。
 インドが広島、長崎の原爆のことをずうっと気にしながら活動し、しかしながらその中で独自性ということで過去二回核実験を行った。そういうときに、やはり日本はもう一つ押して、我々と協力するためには最低限こういう条件をクリアしてくれないと駄目だよということを言っていただきたかったなということが、それはNPTなりCTBTなりに入る、そして全面的な査察を受けるということに結び付いてほしかったというふうに思っております。
 あるいは、新幹線のプロジェクトが今動き始めていますけれども、それもやはりインドの人々にとってプラスになるような援助、あるいは借款、あるいはプロジェクトというものを突き詰めていただければと思っております。
○武田良介君 ありがとうございます。
 そういった点で見ると、経済的なつながりというものが日本とインドの関係で非常に前面に出ているといいますか強いものがあるかなと。もちろん、否定するものではないんですけれども、それ以外も含めて大事になってくる、今のお話とちょっと重なるところがあるかもしれませんが、大事になってくるところが何かあるとお考えかどうか、ちょっとお考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(福永正明君) インドといいましても非常に広くて、御承知のように、一枚の紙幣に十七言語書いてございます。様々な国際会議、あるいはインドの国会でも全員がレシーバーを付けて通訳入りで話をする、NGOであるとか市民団体の人たちもほとんど英語以外ではもうコミュニケーションができないというような状況。その広大さと様々な文化が複合されております。
 ですから、我々は、やはり日本は丁寧にインドの人たちと話し合いながら様々な問題を、といいましても、インドの人が話し出すと二時間ぐらいぼうっと話すというのはよく言われることですけれども、やはり我々も言いたいことをしっかりと言いながら答えていく。そういう、何といいますか、面と向かってしっかり話をできる体制というものを日本側もつくっていければというふうに思っております。
○武田良介君 面と向かって話ができる、非常に大事なお話いただいたなというふうに思います。
 熊岡参考人にもお伺いしたいと思います。
 先ほどお話ありましたカンボジアの現状、私も非常に憂いておりますけれども、先ほどもお話の中で、日本への期待、その関係を、状況を改善していく上で日本への期待という話がありました。それはやはり政治のレベルということももちろんあろうかと思いますし、NGOへの期待ということもあろうかというふうに思いますが、現地ではなぜそういった期待が生まれているのか、また政府やNGOに対して違う期待があるのかどうか、これからの方策を知る上でお考えをお聞かせいただければというふうに思います。
○参考人(熊岡路矢君) カンボジア国内で、場合によってはタイにカンボジアのNGOが集まって会議することもあって、そこに呼ばれていろんなお話聞きました。もちろん、複数の団体なので複数の意見があるんですけれども、やっぱりこれまでの認識、先ほど申し上げたように、やっぱり八〇年代から九〇年代のカンボジア、インドシナが平和になるところをすごく日本が尽力してくれたということが一種の信頼の流れとして今も続いているというのは一点です。
 それから、意見が分かれるところかもしれませんけれども、すごく強力で強烈な言い方を面と向かってやるというスタイルではない方が有効なのではないかということをカンボジアのNGOも言っていました。つまり、日本の政府の言うことだったら聞く可能性がある、あるいは強いのではないかということを言っている人もいました。
 ということで、この大きく二つですね、これまでの歴史的経緯の中で日本が果たした役割、それから、日本の一つの、これは批判されることもありますけれども、行ってきた相手側のことを考えながら対話していく力といいますか、そこに期待するという意見が多かったと思います。
○武田良介君 ありがとうございます。
 そのカンボジアの状況を改善していくと。今日のお話の中にも国際協力大綱の普遍的価値の共有、平和で安全な社会の実現というところも書いていただいておりますが、先ほども日本がどうしていくべきかというお話ありましたけれども、広くASEANという目で見たときに、ASEANの諸国が今このカンボジアの状況をどう捉えていて、その改善のために何か努力をしようとしているのかどうか、そういった現状についてちょっとお伺いしたいと思います。
○参考人(熊岡路矢君) ASEANの人権議員連盟などは、何らかの形でカンボジア政府あるいは国際社会にこのままでは良くないということを訴えているということがあります。
 あとは、これは表向きではないですけれども、タイ政府などは、今軍事政権なんですけれども、今年十一月に予定していた総選挙を、カンボジアの情勢を見ながら、つまり、カンボジアがどこまで今の野党を潰すようなやり方の中で総選挙まで行くのかどうかを見ながら、もう事実上延期を決めているようです。つまり、カンボジアの状況をほっておくと悪い状況が外にも広がるということがあります。
 それから、国名言ってもいいんですけれども、一党支配の国、二か国あるんですけれども、ここでは、特にベトナムでは結構一人ずつが強いので、現与党の幹部の人でも複数政党制の可能性について言い出したりする人もいるんですけれども、カンボジアの状況はこのままで続いて認められてしまうなら、ASEANとか国際社会で一党支配も別に非難されるようなことではないんじゃないかという、これもネガティブな影響が出る可能性があると思います。
 ということで、ちょっとお答えがずれてしまったかもしれませんけれども、一応ASEANの中の人権議員連盟は動いているということはお伝えしたいと思います。
○武田良介君 現状そうやって動いていると。やっぱり、この改善に向けてどういう展望があるのかということだと思うんですけど、それは許されないということはもちろん訴えるにして、展望という点ではどうでしょうか。
○参考人(熊岡路矢君) 今年の七月二十九日の総選挙という意味では、結構時間が余りないという中で、日本では多分、二国間会議、日本とカンボジアの会議を四月以降か何かに予定していたのを早めて三月にするとかしていますし、各国、EUとかアメリカとか北欧なども何らか働きかけを考えていると思います。それから、ASEANでは先ほど申し上げたような議員連盟などが働きかけたり、NGOですけど、ANFRELというアジア全体の選挙監視を行う母体が間もなく二月、三月にカンボジアに入るということで、何らか可能であればカンボジア政府との話合いもあり得るかなと思います。ただ、全体としては、個人の印象ですけど、非常にこのまま一気に行ってしまうのかなという感じが一点。
 それから、長期的には、この機会をいただいたので、中国の対外援助について調べる機会をいただいて調べたところ、中国自身もやっぱり、大きな国ということもありますけれども、援助や外交に関して、表向き言い出さないかもしれませんけれども悩みがあるということで、中国の援助、このままでいいのか。それから、特に中国の観点でいうと、日本のODA援助から学ぶ点が多いという評価をしている、どっちかというと学者、研究者かもしれませんけど発言もあって、これは長期の話になりますけれども、日本政府が、ASEANを挟んで、あるいはASEANという枠を外しても、もちろん環境問題もそうなんですけれども、外交、援助の分野で何らか話し合って、お互いに影響を与え合うという道といいますか可能性は十分あるというふうに思っています。
○武田良介君 時間ですので終わりたいと思います。ありがとうございました。

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関連資料

→赤旗記事「日印原子力協定 参考人から懸念/武田参院議員に」