国会質問

質問日:2018年 6月 14日  第196通常国会  環境委員会

マイクロプラスチック対策、年次目標、発生抑制を

成立した法律は、初めてマイクロプラスチックを明記した対策法であり当然賛成。レジ袋を2030年までに100%再生利用可能なものにするという欧州での年次目標も検討すべきこと、発生抑制をすすめるべき点など、今後さらに強化するよう委員会で求めました。

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海洋プラゴミに新対策

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今日は、提案者の皆さんにも、参議院環境委員会、お越しいただきましてありがとうございます。
 本法案は、これまでの海岸漂着物に加えて漂流ごみ等の規定を追加をし、国や地方公共団体による円滑な処理の推進を図ること、また近年問題になっているマイクロプラスチックの対策を盛り込んだものであり、大切な法改正だというふうに思っております。
 マイクロプラスチック対策に絞って質問をいたします。それは、今、国際社会でこの問題が大問題になっているからであります。
 国連環境計画は、六月の五日に、プラスチックごみの廃棄量は年々増加傾向にあって、二〇一五年には三億トンに及んだとする報告書も発表しました。世界では、ペットボトルやレジ袋などの使い捨て製品は四七%を占めて、深海でも発見されるなど汚染が深刻になっているということも指摘をされているとともに、各国にプラスチック製品の禁止や課金の強化などの対策も要請をしているということであります。
 マイクロプラスチックには大きく二種類あると。一次マイクロプラスチックと言われるものは工業用の研磨材なんかに使われるものだとか洗顔料や化粧品なんかに使われるようなもの、二次のマイクロプラスチックというのはレジ袋などが海で細かくされていくものというようなものだというふうに認識しておりますが、問題はこうしたマイクロプラスチックをいかに使用を抑制して海に流さないかということだと思いますけれども、プラスチックごみを出さないことが必要と。
 これまで、その点でどんな対策をされてこられたのか、提案者の方にお伺いをしたいと思います。
○衆議院議員(江田康幸君) お答えさせていただきます。
 我が国における海岸漂着物等の多くがプラスチックごみでありまして、マイクロプラスチック対策の観点からも、先生おっしゃるとおり、プラスチックごみの排出を抑えるということは大変重要であると認識をしております。
 プラスチックごみにつきましては、これまでも、循環型社会形成推進基本法、また廃棄物処理法、そして容器包装リサイクル法などによりまして対策が取られてきたと承知をしております。また、現行のこの海岸漂着物処理対策推進法におきましても、第二十三条において、ごみ等を捨てる行為の防止について規定をしておりまして、一定の対策は講じられていると思います。しかしながら、現在も各地の海岸には国内外から多くのごみが漂着しておりまして、いわゆるポイ捨て対策も含めて一層の対策が必要であると考えております。
 そこで、今回の改正におきましては、海岸漂着物等の発生を抑制するためには、3R、すなわちリデュース、リユース、リサイクルのこの推進による循環型社会の形成を進めることが一層重要であることから、基本理念においてその旨を明記することといたしました。また、マイクロプラスチック対策として、マイクロプラスチックの発生を抑制するための基本理念を定め、事業者の責務を明らかにするとともに、政府に速やかな検討を求めることとしたところでございます。
○武田良介君 関連法で一定のことをやってきたということなんですが、これ、お伺いしたら、直接の対策法はこれまでなかったわけですよね、マイクロプラスチックについては。ということですし、聞きますと、各関係業界のところで自主的な取組が行われているということもお聞きをしました。化粧品の業界では、二〇一六年の三月、洗い流しスクラブ製品におけるマイクロプラスチックビーズの使用中止に向け、速やかに対応を図られたいという文書が出されたということも承知をしておりますけれども、自主的な取組に今委ねられて、直接の対策法がこれまでなかったということでありました。3Rということもありましたけれども、プラスチックそのものを出さないということが大事なのではないかなというふうに思っております。
 今回の法改正では、新たにマイクロプラスチック対策についてこれ新設をされたと今お話がありました。マイクロプラスチックの使用の抑制、排出の抑制などの努力義務というふうになっていまして、やはりここも努力義務。
 提案者の方にお伺いをしたいと思いますけれども、附則の二のところでは、マイクロプラスチックの抑制のための施策の在り方について速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものというふうにありますけれども、これ、必要なものだと思いますが、速やかにというのはいつまでなのか、提案者の見解を求めたいと思います。
○衆議院議員(北川知克君) ただいま武田委員の方から、この法案附則二についての御質問がありました。
 先ほど武田委員の方からもお話がありましたように、このマイクロプラスチック問題は国際的な大きな問題にもなっております。また、昨今、国内における報道でも取り上げられ、国民の皆さん方も関心のあるところでありますが、その対策を講ずることは、我々も喫緊の課題と認識をいたしております。
 そこで、附則の検討規定においては、政府に対して速やかに検討を加えることを求めることとしたところであり、しかし、その一方で、適切な対策を講じていくためには最新の科学的知見や国際的動向を勘案する必要があります。そのためには、具体的にいつ頃かということを我々の立場で軽々に述べるということは適当ではないと考えておりますが、しかし、来年六月の下旬には日本でG20が議長国として開催をされます。こういう時期が一つの線かなという思いはいたしておりますが、いずれにしても、今後、我が国がリーダーシップをその場で発揮ができるように、政府に対しては、法文上速やかにという規定をした趣旨を踏まえた、今後より一層の取組を今後とも求めていきたいと考えております。
○武田良介君 G20というのを一つめどにしながら、明示はできないけれどもというお話でありました。
 大臣にもちょっとお伺いしたいんですが、先ほども少しありました、欧州では製造から規制を掛けていく流れというのがあると思います。EUは、EU域内で流通する全てのプラスチック製包装材は二〇三〇年までに再生利用可能なものにしていくということを目標にしている。今、大体一人当たり年間二百枚使っているものを、二〇二五年には四十枚にする、三〇年には全て再生利用可能なものにと、こういう年次目標を持って規制を強化するということも実際に世界では始まっているということでありました。
 大臣、六月の八日の記者会見の文章を私も見せていただきましたら、「まずは発生抑制が大事でありまして、そのために、マイクロプラスチックになる前の海洋ごみの回収・処理、その原因となるプラスチックごみ等の発生抑制、リユース、リサイクルや、適正処理の推進などにより、海洋に流出するごみを減らすための取組を進めております。」というふうにもおっしゃっておられますけれども。
 これは、プラスチックをごみにしない、海に流さないということに主眼があるのであって、そもそも、ごみになるようなプラスチックを出さないということに主眼が置かれているのとはまた少し違うのかな、年次目標を持った欧州から見るとまだ踏み込んだものになっていないのかなというふうに思いますけれども、こういった年次目標を持って踏み込んでいくということが必要というふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(中川雅治君) この廃プラスチック類の排出抑制や再資源化に関する数値目標につきましては、今月中に閣議決定を予定しております第四次循環型社会形成推進基本計画案におきまして、廃プラスチックに特化した廃棄物等の発生量、循環利用率、最終処分量について今後の推移をモニターしていくこととしております。そしてさらに、この第四次循環基本計画案においてはプラスチック資源循環戦略を策定することが盛り込まれておりまして、その戦略におきまして、使い捨て容器包装等のリデュース等、環境負荷の低減に資するプラスチック使用の削減、使用済プラスチックの徹底的かつ効率的、効果的な回収、再生利用について検討していく中で、関係者としっかりと調整をして数値目標を織り込むことができるように議論を進めてまいりたいと考えております。
○武田良介君 最後に端的に一問だけ。
 今お話があった、基本計画をこれから立てていく、プラスチック戦略立てていく。どういう戦略を立てるのかということが大事だというふうに思いまして、先ほどの発生抑制の話ですけれども、欧州ではそういったところまで視野に入れた、デザインや生産からスタートした取組というのが始まっておりますけれども、国際的な課題になっていると冒頭提案者からもお話ありました。それだけに、日本がこれから作っていく戦略の中で、そういった発生抑制、その生産のところから対応していく、そういう対策を検討していく必要があるというふうに思いますけれども、大臣、その点、どうでしょうか。
○国務大臣(中川雅治君) このプラスチック資源循環戦略の策定に向けた議論の中では、生産段階からのプラスチックの発生抑制策についても当然検討してまいりたいと考えております。
○武田良介君 終わります。

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