国会質問

質問日:2019年 4月 24日  第198通常国会  災害対策特別委員会

決壊は堤防低かったから 西日本豪雨真備町水害で指摘

武田良介参院議員は、昨年7月の西日本豪雨で決壊した岡山県倉敷市真備町の小田川と高馬川の合流点について、「他の箇所より堤防が低く、そこから越流し決壊した」と指摘し、河川整備の遅れを認め、真剣に反省するよう国に求めました。

 

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西日本豪雨 小田川決壊 「低い堤防」が原因

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 まず、治水対策について伺います。
 七月豪雨で大規模な被害が発生をいたしました岡山県倉敷市の真備でございますけれども、最大浸水五・八メートル、住宅の二階まで水没するなど、五十一名もの方々が亡くなられた大災害となってしまいました。このうち、六十五歳以上の高齢者の方が四十五人、溺死など自宅で亡くなられた方が四十四人にも及ぶ災害となってしまいました。
 この被害をもたらしてしまった堤防の決壊ということがありましたけれども、国管理河川の小田川、それから県管理河川の末政川、高馬川、真谷川でも決壊が発生をいたしました。その理由をこの小田川堤防調査委員会ではどのように指摘をされているのか、御説明いただけますでしょうか。

○政府参考人(林俊行君) お答えをいたします。
 平成三十年七月豪雨におきましては、委員御指摘のとおり、岡山県倉敷市真備町に位置する高梁川水系小田川及びその支川の末政川等におきまして八か所で堤防決壊が発生をいたしております。
 この原因究明等を目的として設置をされました高梁川水系小田川堤防調査委員会におきましては、決壊原因につきましては、前後区間に比較し相対的に堤防高が低い箇所から越水が発生し、越流水が集中することにより、時間の経過とともに堤防のり尻部の洗掘等が発生したこと等であると推定されております。

○武田良介君 資料を付けさせていただきましたが、資料の一枚目は今お話があった八か所の決壊場所が分かるものになっておりまして、浸水したエリアも分かりますし、どういった治水対策が行われようとしているのかというものですので付けさせていただきました。
 今答弁があった二枚目のところ、中身としてはこういう部分を指しているのかなというふうに思いますけれども、堤防の前後区間と比較し相対的に低い箇所から越水が発生した、越水して堤防が言わば削られて、そこから破堤をしたということだというふうに思います。このことをまず確認をしておきたいというふうに思うんです。
 ずっと聞いていきますと、住民からは、その破堤した小田川の左岸三・四キロの部分、資料にも付いておりますけれども、この辺りは前後区間に比べてやっぱり低かったんじゃないかと、そこから越流し決壊したのではないかという声が繰り返し上がっておりました。私も、これまで説明何度もこの約十か月間聞いてまいりましたが、なかなか認められることがなかったわけですが、資料の三枚目を付けました。
 小田川の左岸について見たいと思うんですが、この資料の三枚目は、小田川の河道水位の痕跡調査というふうになっております。幾つか点がプロットされておりますが、赤丸のところを見ていただきますと、赤丸のところが現況堤防高、左岸と。だから、小田川の災害が発生した当時の実際の堤防の高さがこの赤丸で打たれているということになっております。
 この赤丸のところを見ますと、三・四キロのところ、上にも高馬川というふうにありまして、ここで越水、決壊というふうになっているわけですが、二百メートル間隔ですので、その前のところを見ますと、三・二キロのところは大体十六・二メートルから十六・三メートル程度でしょうか。二百メートル更に後方といいますか、三・六メートルの地点を見ますと、十六・六メートルか十六・七メートルくらいあるかということなんですが、この小田川と高馬川の合流点から越水し決壊をした、ここが実際に低かったということでよろしいでしょうか、確認をさせていただきたいと思います。

○政府参考人(林俊行君) お答えをいたします。
 高梁川水系小田川堤防調査委員会におきましては、降雨が長時間続いたことにより河川水位が上昇し、高馬川と小田川の合流点付近において、まず小田川より堤防高の低い高馬川で越水をしたと推定をされております。その後、小田川におきましても、前後の堤防と比較して相対的に低い高馬川合流点付近の堤防から越水をしたと推定されております。

○武田良介君 前後に比べて低いところから越水し、そこが決壊をした。それは、この三・四キロの、まさに今回決壊した部分が実際低かったということで、今の答弁はそういうことでよろしいですよね。

○政府参考人(林俊行君) お答えをいたします。
 繰り返しになりますが、委員御指摘のとおり、前後の堤防と比較して相対的に低い高馬川合流点付近の堤防から越水をしたと推定されております。

○武田良介君 これはなかなか、私も何度か聞いてきたんですけど、はっきりとお認めにならなかった話ですけれども、初めてこれ認めていただく答弁をされたかなというふうに思います。以前にも私、岡山県や広島県の皆さんと一緒に申入れをさせていただいた、交渉させていただいた際にもなかなかはっきりお認めいただけなかったんですが、この間も事前のレクチャーを繰り返す中で、資料の三番目に付けさせていただきましたこの資料も出していただき、今の答弁をしていただいたということだと思います。
 もう一度資料の三を見ていただいて、この赤の点だとかいろいろ落とされておりますけれども、実線が二つあります。下の線は、緑の方は計画高水位でありまして、上の線が計画堤防高。この三・四キロのところを見ますと、この計画堤防高よりも赤の丸は上にありますから、つまり、河川整備計画どおり堤防の高さは造られていたけれども、現実問題としては、計画より上だったけれども相対的に低かったからそこから越流し決壊したと、そういうことでよろしいですか。これも確認です。

○政府参考人(林俊行君) 御指摘のとおり、高馬川との合流点におけます小田川の堤防高につきましては、計画堤防高以上でございました。

○武田良介君 計画堤防高以上だったということなんですが、計画どおりに堤防を造ってきたということなんですけど、じゃ、なぜあふれたんでしょうか。

○政府参考人(林俊行君) 高梁川水系小田川の河川整備につきましては、平成二十六年度から小田川の水位を下げるための対策といたしまして高梁川との合流点を下流側へ付け替える事業に着手をしておりました。しかし、その整備途上で記録的な豪雨による災害に見舞われ、被害が発生をいたしたものでございます。
 この記録的な豪雨という点でございますけれども、降水量で見ますと、高梁川水系の新見市新見地点、さらには倉敷市倉敷地点におきましても、四十八時間の累加雨量が観測史上一位となります三百九十二・五ミリ及び二百六十・〇ミリを記録いたしております。また、流量で見ましても、高梁川の酒津地点におきましては、戦後最大洪水であります昭和四十七年洪水を上回る毎秒約八千九百トン、小田川の矢掛地点におきましても、昭和四十七年洪水に迫る毎秒約千三百トンが発生したものと推定されております。
 この小田川の堤防が計画高以上であったにもかかわらず越水をした原因につきましては、このような記録的な豪雨によりまして小田川の流量そのものが増大をしたこと、これに加えて、合流をいたします高梁川の水位が高くなっておりまして、バックウオーター現象が発生をして小田川の洪水が流れにくくなったこと、こういったことが原因であると認識をしております。

○武田良介君 記録的豪雨とバックウオーターということをおっしゃったんですが、その河川の維持管理、例えば樹木の伐採だとか、そういったことが影響しているという認識はないですか。

○政府参考人(林俊行君) この小田川の河川整備計画におきましては、合流点の下流部への付け替えと同時に樹木の伐採等を行うことにしておりましたが、その整備の手順といたしまして、水位を下げる効果のより高い合流点の下流部への付け替えを優先して実施をすることといたしておりまして、先ほどもこういう答弁させていただきましたように、着手をしていたわけですけれども、実際の整備の途上におきまして豪雨による災害に見舞われたと、こういうことでございます。

○武田良介君 我が党の仁比聡平参議院議員も繰り返し質問させていただいておりますけれども、河川整備計画の流下能力を維持するために樹木の伐採など行われておると思うんですね。その計画で、平成二十七年からの五年間で二十五ヘクタール、樹木を伐採する計画を持っていた、平成の二十九年までに十五ヘクタールの樹木を伐採してきた、概略的な流下能力評価を行い、管理目標を満足してきたとこれまでも答弁されているんじゃないですか。それは間違いないですね。

○政府参考人(林俊行君) 委員御指摘のとおり、この小田川につきましては、これは国が管理する河川共通でございますけれども、おおむね五か年の具体的な河川維持管理の内容を定めた維持管理計画に基づきまして、樹木伐採等の維持管理に取り組むこととしておりまして、この中で、河川の流下能力につきましても管理目標を設定をいたしまして、定量的に測量等により確認を行いながら、これを維持するように必要な樹木伐採等を実施をしてきたところでございます。
 高梁川の維持管理計画におきましては、小田川について、当面の管理目標として平成二十二年の河川整備計画策定時の流下能力を維持すると、こういうこととされておりまして、これを踏まえて、平成二十七年度から五か年で約二十五ヘクタールの樹木を伐採をする計画を立てまして、平成二十九年度までに約十五ヘクタールの樹木を伐採をしておりました。さらには、平成三十年三月時点におきまして、概略的な流下能力評価を行って管理目標を満足していたことを確認をしております。

○武田良介君 堤防の高さは計画どおりだった、流下能力という意味でも管理目標を満足していたということなんですけど、流下能力が管理目標を満足していたというのであれば、これまた何で越流し、決壊したのかということになると思うんですけど、その点いかがですか。

○政府参考人(林俊行君) 繰り返しの答弁になって申し訳ございません。
 今回の小田川の氾濫につきましては、記録的な豪雨ということがございましてこの小田川の流量が増大をした、このことに加えまして、合流する高梁川の水位が高くなっていて、バックウオーター現象によりまして小田川の洪水が流下しにくくなったということが原因であると認識をしております。

○武田良介君 なかなか御答弁いただけないんですが、流下能力を十分に確保することができていなかった、その河道を十分に確保することができていなかったということを正面から認めて、真剣に反省していくことが大切なんじゃないかというふうに思うんです。堤防の高さは計画的だった、流下能力についても管理目標を満たしていた、そういう説明をされればされるほど、住民の皆さんは、国が掲げている計画って何なんだろうかと、目標というのは何なんだろうかということにやっぱりなると思うんですね。
 河道掘削について言えば、これまでも河川敷がジャングルのようになっているから樹木伐採してほしいと、そういう要望があったけれども、小田川の堤防が決壊した辺りもそのジャングルの状態になったまま災害が発生してしまったと。それを被災住民の方は見ておられるわけであります。
 結局、国交省は計画に基づいてやってきたということなんだけれども、こういう実態見れば、住民そっちのけにして公共事業をやってきた結果がこれなんじゃないかと。今度こそ住民を主人公にした治水対策が行われるように転換すべきだというふうに考えておりますけれども、今日は国交副大臣にも来ていただいておりますが、その点いかがでしょうか。

○副大臣(大塚高司君) お答えをさせていただきます。
 被災された住民の方々の不安を少しでも解消するためには、再度災害防止にしっかりと取り組むことが重要だというふうに考えております。そのために、再度災害防止に向けまして、倉敷市そして岡山県、国の三者によりまして、ハード対策とソフト対策が一体となった真備緊急治水対策プロジェクトを策定したところでございます。
 ハード対策といたしましては、水位低下の効率が高い小田川合流点付け替え事業を、当初計画をしておりました二〇二八年度から前倒しをいたしまして、二〇二三年度完成を目標に集中して実施をしております。また、小田川の掘削、堤防の強化、また末政川、高馬川、真谷川の堤防のかさ上げ、堤防の強化なども併せて実施することとしております。これらにつきましては、随時効果を発現をしておるところでございます。
 また、ソフト対策といたしましても、昨年八月から、地域住民の皆さん方が水位の状況をリアルタイムで確認をできるよう、洪水時に観測に特化した緊急管理型の水位計を小田川とその支川に約九か所設置をいたしまして、関係機関への情報提供もしっかりと開始をしており、今後も様々なソフト対策を実施していくということにしておるところでございます。
 これらを踏まえまして、住民の皆さん方に安心していただくためにも、これらのハード、ソフト一体となった対策につきまして、倉敷市や岡山県と一緒に丁寧に説明してまいりたいと存じております。

○武田良介君 付け替えの工事だとか河川整備、それは当然必要だと思います。住民が主人公の治水対策を重ねて求めておきたいというふうに思います。
 時間の許す限り何点か。
 安心して戻り、暮らせるようにしていくという意味で、この真備に関わり、まず仮設住宅の入居期限について、原則二年ではなくて柔軟に対応することが求められているというふうに思います。今の話でも付け替えに五年ということもありました。そういう状況も考えれば柔軟な対応が求められると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(山本順三君) 平成十九年の被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案に対して、本施行後四年を目途にして支援金等々の、ちょっと待ってくださいよ、失礼しました。平成三十年七月豪雨災害により、いまだ岡山県、広島県、愛媛県には一万六百人の方々が仮設住宅での生活を余儀なくされているということでございまして、この方々が一刻も早く生活の再建が図れるように政府一丸となって全力を挙げて取り組む所存でございます。
 応急仮設住宅の供与期間は原則二年とされております。しかしながら、平成三十年七月豪雨災害は、その災害が極めて甚大であったことから、特定非常災害ということに指定された災害であり、政令改正により供与期間の延長ができることになっております。内閣府といたしましては、被災自治体の要望を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

○武田良介君 災害公営住宅についても、建設の仕方については各自治体で様々な取組方があるかなというふうに思います。比較的大規模なものを造るということもあれば、地域分散型のコミュニティーに配慮したものも造ることができるかと思います。戸建てにする、小規模だということになれば、その後の払下げということも含めて柔軟な対応できると思うんですけれども、そういうふうにしても国の財政措置は変わるということはないかどうか。

○政府参考人(眞鍋純君) 災害公営住宅についてのお尋ねがございました。お答え申し上げます。
 公営住宅法第八条などの規定に基づき、地方公共団体が事業主体となって国の補助を受けて整備する災害公営住宅につきましては、今委員からお尋ねがございましたように、団地内で整備する住宅の戸数について上限や下限を設けているものではございません。実際、東日本大震災や熊本地震などの被災者向けに整備されております災害公営住宅についても、岩手県久慈市久喜地区では三戸、宮城県石巻市荻浜地区では二戸、福島県南相馬市万ケ迫地区では二戸、熊本県美里町永富地区及び堅志田地区ではそれぞれ五戸というような、小規模な災害公営住宅団地も整備されておられますので、地方公共団体の判断によって国の補助を受けてそうした小規模な災害公営住宅団地を建てることは可能でございます。

○武田良介君 被災者の医療費減免については、六月末まで国の全額支援による減免措置が延長されていると思うんですけれども、これも柔軟に対応していくということでよろしいでしょうか。

○委員長(山本博司君) 渡辺審議官、簡潔にお願いをします。

○政府参考人(渡辺由美子君) 御指摘のございました特例措置につきましては、今先生おっしゃられましたように、特例的に保険者に対して減免に要した費用全額を交付するという措置になってございます。
 この六月末までの期間でございますけれども、その後の支援の在り方につきましては、また期限の近くになりましたら被災の状況などを調査した上で、また過去の災害時における対応などとも比較をしながら対応方針を決めていきたいというふうに思っております。

○武田良介君 時間が来ましたので終わりたいと思います。ありがとうございました。

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関連資料

しんぶん赤旗記事「西日本豪雨 小田川決壊 「低い堤防」が原因/参院災害特委 武田氏追及」

参考資料

災害対策委員会真備資料20190424