国会質問

質問日:2019年 6月 11日  第198通常国会  環境委員会

動物愛護法 不適切飼養の防止、8週齢規制の早期実現を

動物愛護法改正案が、参議院環境委員会で可決しました。私も議員連盟で関わってきた法案であり、まず委員会での可決をよろこびたいと思います。

8週齢、ブリーダーやペットショップなどでの適正飼養の遵守基準、動物愛護管理センターの位置付けなどなど…が内容です。
議員立法ですから、政府に対してではなく、発議者の議員に質問。
遵守基準を数値も含めた明確なものにすることや、多頭飼育崩壊についても飼い主への福祉的支援も必要と、質問しました。
さらに、長野県の動物愛護センターのふれあい訪問活動や、ボランティアの育成などを紹介し、今後の実践に生かしていただきたいと求めました。

いよいよ、明日の本会議、法改正も大詰めです。

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 私自身もこの犬猫の殺処分ゼロの議連に加わらせていただき、PTにも加わらせていただき、一緒に今回の法改正に向けて力を合わせて仕事をさせていただきました。
 今回のこの条文をまとめていく作業、本当に各議員の先生の皆さん、御努力いただきましたし、関係者の皆さんにも心から敬意を表したいというふうに思います。
 前回の法改正は七年前だったということでありますけれども、この七年間で動物愛護に関わる大きな変化がやはりあったんだろうというふうに思います。例えば、今社会的にも大きな問題になっております、動物を虐待する動画をインターネットにアップするということは大きく波紋を広げましたし、それから多頭飼育崩壊という問題も取り上げられるようになりました。また、今お話もありましたように、ペットショップだとかブリーダーのところでの不適正飼養なども取り上げられてきた中であります。こうした問題が指摘される中での法改正、待たれていた法改正だろうというふうに思います。
 今回の法改正のポイントの一つに、第一種動物取扱業者に対する規制の強化ということがあるというふうに思います。
 この法案にあります一種業者が遵守しなければならない基準、これは動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮して環境省令で定めるものというふうにされておりますけれども、この基準はどんな事項で定められるのか、またその数値を明示して定められることになるのかどうか、御説明いただけますでしょうか。

○衆議院議員(小宮山泰子君) 武田委員におきましても、本当に積極的に御協力いただき、また御参加いただいたことに心から敬意を表させていただきます。
 さて、今回の法改正においては、新二十一条二項において、第一種動物取扱業者が遵守すべき基準には、飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに管理に関する事項、動物の飼養又は保管に従事する従業員の員数に関する事項、動物の飼養又は保管の環境の管理に関する事項、動物の疾病等に係る措置に関する事項、動物の展示又は輸送の方法に関する事項、動物の繁殖の方法に関する事項、その他の動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項を定めることとしております。また、二十一条三項において、犬猫等販売業者に係る基準は、できる限り具体的なものでなければならないとしております。
 提出者としては、科学的な根拠等を踏まえて、具体的な数値を定めることができるものについては数値が定められることを想定しております。

○武田良介君 この第一種業者の遵守基準について、八週齢の観点からもう一点お伺いをしたいというふうに思います。
 先ほどもありましたように、この八週齢の激変緩和措置が廃止されるということは私も大歓迎をしたいというふうに思っております。
 その上で、生後八週を迎えるまでの飼育環境が非常に大事だという指摘もあります。今御答弁いただきましたこの遵守基準が、生後八週までの飼育環境を適正なものとすることになるのかどうか、御説明いただけますでしょうか。

○衆議院議員(生方幸夫君) 八週齢を迎えるまでの飼育環境の適正化が望ましいのは委員御指摘のとおりでございます。
 今回の法改正における新二十一条二項において、基準を定める場合には、動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮することとしております。八週齢を迎えるまでの動物についても、これらの事項を考慮して、適切な基準が環境省令で定められるものと承知をいたしております。
○武田良介君 先ほどもありましたけれども、施設基準を明確にしていくという問題と、それから八週齢規制を行うこと、これ大変重要なわけですけれども、実際には二年後からということでありました。
 これはすぐにでも実施していく必要があるのではないだろうかというふうに私、考えておりますけれども、この点はいかがでしょうか。

○衆議院議員(生方幸夫君) 施設基準については、専門的知見に基づく検討を要することから一定の時間を要するものと認識をしており、施行を二年を超えない範囲内としたものでございます。
 また、いわゆる八週齢規制に関する激変緩和措置の廃止については、犬猫等販売業者に対する影響が少なからずある可能性も否定できないというふうに考えました。
 これらのことから、確実に八週齢規制を導入できるように、施行を二年を超えない範囲内としたものでございます。

○武田良介君 ありがとうございました。
 今回の法改正のもう一つのポイントに、先ほど少しお話がありました、動物愛護センターではなくてこれを動物愛護管理センターというふうに改めて設置をしていく、また動物愛護管理担当職員の設置ということもあるというふうに思います。
 私も一つ御紹介したいと思うんですけれども、私、議連の副会長でもあります井上哲士参議院議員とともに、長野県の小諸市にある動物愛護センター、これは通称ハローアニマルというふうに呼ばれておりますけれども、ここに行ってまいりました。ここは、動物について学び、触れ合いを通じて命の大切さや相手を思いやる気持ちを育み、人にも動物にも優しい社会をつくることを目指しているということで、処分施設を併設しない、動物愛護に特化した施設というふうになっております。こういう多面的な取組をされているわけです、ここでは。
 例えば、小学生などにハローアニマルに来ていただいての動物ふれあい教室というものをやっていたり、また逆に訪問をしていく動物ふれあい出前教室というのもやられているそうです。この訪問先というのも、社会福祉施設だとか病院だとか、こういったところも含めて、このふれあい訪問活動は土日を通じて年間約百日やられているということでありました。
 今回の法案で動物愛護管理センターの設置が位置付けられるわけですけれども、こういう長野県のふれあい訪問活動に取り組むハローアニマルの経験は大いに参考にできるのではないだろうかというふうに考えておりますけれども、この点いかがでしょうか。

○衆議院議員(生方幸夫君) 私も資料で知っているだけでまだ行ったことがないので、是非次の機会に行ってみたいというふうに思っております。環境省においても長野県にヒアリングしているということでございますので、その実態については承知をしているんじゃないかというふうに考えております。
 今回の動物愛護法の改正の中で、私も特に取り組んできたのが、動物愛護センターを変えていこうじゃないかというのが元々ございました。動物愛護センターという名前でありながらその中に殺処分施設を併設しているというのはもういかにもおかしいということで、衆議院の討議におきましても、殺処分はきちんと国際的基準に合った形でしか殺処分はできないというふうに議論をし、その具体的なことはどういうことかといえば、二酸化炭素による殺処分、動物が苦しんで死ぬというようなことは決してあってはならないことだということで、それは今後認めないということになっているというふうに我々も解釈をいたしております。
 しかし、すぐに殺処分の設備を全部壊してしまってほかのものに変えるというには、もちろん予算等の措置も必要でありますのですぐにはできないとは思いますが、少なくとも殺処分に関しては、そういう動物に対して苦痛を与えるような形での殺処分は今度の改正によって今後はないものというふうに考えております。
 そして、本来の動物愛護センターという名前にふさわしいような施設に変えていかなければいけないというのは、例えば欧米諸国のそういう施設を見れば、今、長野県で取り組んでいるような取組がなされており、やっぱり子供たちや地域の人たちが訪れて命の大切さというのをそこで学ぶという施設になっている。日本の動物愛護センターは、そこで働いている方たちは本当に動物を愛している方たちが多い中でもつらいことをやらなければいけないという現実がありましたので、本当の意味で動物愛護センターに変えていくように我々も努力をしていきたいし、衆議院でも議論になったんですけど、環境省の動物愛護に関する予算が非常に少ない、これをもっと本当に、一桁の億単位では少な過ぎるので、尾辻先生もおっしゃっておりましたが、百倍ぐらいまでこれを拡大せないかぬというふうに我々考えておりますので、参議院の先生方の御協力も是非ともよろしくお願い申し上げます。

○武田良介君 私たちが視察に行ったときにも、ハローアニマルにいろんな部屋がありますけど、近所の小学生も来て自由に、何というんですか、居場所を提供するということも含めて職員の方がやっていらっしゃいました。非常に愛護センター、ハローアニマルの敷居を下げるといいますか、触れ合い交流を大切にしている施設だということを感じたところです。
 このハローアニマルに行かせていただいて私もう一つ学ばせていただいたのは、ハローアニマルサポーターというのを育成するということを努力されておられました。つまりボランティアなんですけれども、その年約百日あるというふれあい訪問活動などで行く際に、職員だけではやはり人が足りない、こういうボランティア、サポーターの方と一緒に訪問されるというお話でありました。このハローアニマルの体制は、お聞きをしましたら、獣医の方が六名いらして、事務の方が四名、このサポーターの方は、二〇一六年の数字ですけれども約百名の方が登録されているということでありました。
 今回の法改正でも、三十八条のところで、都道府県知事は、動物愛護推進員を委嘱することができるという条文があると思うんですけれども、推進員、そのボランティアを広げていくというときに、こういう長野の取組というのもまた横展開をするといいますか、広げていただくことも大事ではないかなというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○衆議院議員(生方幸夫君) 委員も御承知のとおり、動物愛護に関してはもう本当に様々な動物愛護団体がいろんな面で活動をされております。ボランティアの活動というのが動物愛護には欠かせないものというふうに承知をいたしております。
 それらの団体が相互に連携し合いながら、また行政とも連携し合いながら、動物がいかに安心して生きていけるか、我々の伴侶として一緒に活動していけるのかということをやっておりますので、行政面からもそれをきちんと担保できるような形で、行政の方からも愛護団体の方をサポートできるような体制になれば一番いいんではないかというふうに考えております。

○武田良介君 時間が来ていますので、最後に、多頭飼育崩壊に関わって一問聞かせていただきたいと思うんですが、今回の法改正では、二十五条ですか、周辺の生活環境が損なわれている事態に対する措置ということも規定されておりますし、三十七条のところで、適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合の不妊の手術その他の措置をするように努めなければならないというような規定があるというふうに思います。
 私はさらに、その飼い主に対する人間の福祉の観点からの支援ということも大切になるのではないかということを考えております。例えば、保健師の方とか精神保健福祉士の方、あるいは消防だとか環境汚染の問題の専門家の方だとか、こういった方と連携した形での支援、自治体の動物以外の部署も協働した支援が大切ではないかというふうに思っております。
 今回の法改正で、多頭飼育崩壊に陥ってしまうようなそういう飼い主に対する支援、動物愛護の部署だけではない広く連携した支援というのは今回の法改正で拡充されるものなのでしょうか。

○衆議院議員(小宮山泰子君) 御指摘のとおり、飼い主が犬や猫を増やし過ぎて世話ができなくなるいわゆる多頭飼育崩壊が全国各地で問題となっております。この問題は、地域から孤立した単身高齢者など関わるケースが多いということも明らかになってきております。
 対応に当たっては、社会福祉分野との連携は重要でありますし、今回の法改正では、動物の愛護及び管理に関する業務を担当する地方公共団体の部局と福祉に関する業務を担当する地方公共団体の部局による連携の強化について、国が情報の提供、技術的な助言等に努めるとしております。政府においては、情報の提供、技術的な助言等に努め、動物愛護担当者や福祉部局の連携が強化されるように心掛けることを望んでおります。

○武田良介君 先日の日経新聞にも、ペット多頭飼育崩壊を防げということで記事が掲載されておりました。ここでは例えば長野市の取組ということで紹介もありまして、長野市では、その多頭飼育している高齢者の自宅を訪問する際に、動物愛護の担当者のほかに、ケアマネジャーだとか、その福祉職の方が実際に同行されているということでありました。生活を立て直すためにどうすべきかという視点から説得するのが福祉職の方の役目であるということでありました。動物と福祉の部署の情報共有、早期対応を心掛けているということで紹介がされておりました。
 こういう取組がまた引き続き大事になってくるというふうに思いますし、今回の法改正が動物愛護に更に資するように、不適正飼養や多頭飼育の問題を含めて資するようになることを願いまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

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