再エネ転換へ直ちに
武田議員 脱石炭・脱原発迫る
参院予算委
日本共産党の武田良介議員は7日の参院予算委員会で、「日本経済の健全で持続可能な成長のためにも、再エネ・省エネの抜本的普及が必要だ」と強調し、脱石炭・脱原発にかじを切るよう求めました。(論戦ハイライト)
武田氏は、岸田文雄首相が昨年末のCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)で民間団体から「化石賞」を受賞したのは「演説で石炭について触れなかったからだ」と指摘。主要7カ国(G7)のうち日本を除く各国が2035年までに電力部門のCO2排出実質ゼロを掲げている一方、日本は2050年に向けて水素やアンモニア、CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)などを活用するとしていることについて、「石炭火力発電の延命策にほかならない。なぜ日本はこのような延命策をとるのか」と追及しました。
岸田首相は「アンモニアや水素を活用していく考えに立っている」と答弁。武田氏は「アンモニアを使っていたらCO2削減効果は4%しかないという試算もある。CCUSも実証段階だ。直ちに削減するなら今ある技術で再エネ・省エネに真剣に取り組むことが必要だ」と強調しました。
論戦ハイライト
参院予算委 武田議員の追及
武田 なぜ日本は石炭火発延命策か
首相 化石燃料から脱却目指す技術
武田 削減の効果は4%程度
日本共産党の武田良介議員は7日の参院予算委員会で、気候変動対策について、大量のCO2を排出する石炭火力発電の延命は経団連の要求だと批判した上で、脱石炭・脱原発の決断で再エネ・省エネの抜本的普及を行うよう迫りました。
武田氏は、先月28日にIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の第2作業部会が発表した報告書で、気候変動はすでに広範囲の悪影響と損失を引き起こし、このままでは温暖化の進行が不可逆的になると警告していることを指摘。COP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)で岸田文雄首相が民間団体から「化石賞」を受賞した理由について、「岸田首相が演説で石炭火力の廃止に触れなかったからだ」と批判しました。
その上で武田氏は、石炭火力の廃止期限について、仏、英、伊、独、加、米国では、期限を区切って実質ゼロを目指す一方、岸田首相は「水素、アンモニアやCCUS等(二酸化炭素回収・利用・貯蔵)を活用して、石炭火力を脱炭素型の火力に置き換える」などと石炭火力を延命しようとしていると批判しました。
武田 世界の先進国は石炭火力の「段階的廃止」を言っているのになぜ日本は延命策をとるのか。
首相 アンモニア、水素を活用したゼロエミッション火力は、最後は純粋に化石燃料からの脱却を目指す技術だ。
武田 30年にやっと20%混燃できるかどうかという状況だ。アンモニア生成時に化石燃料を元にしたら、(CO2)削減効果は4%程度だという試算もある。アンモニアに頼ったら駄目だ。
武田氏は、再エネや省エネなど今すぐできる技術はたくさんあると指摘した上で、日本経団連が「日本国内で高度な石炭利用技術を培うとともに、世界に展開していく」などとしていることをあげ、延命策は経団連の要求だと批判。石炭火力発電の輸出先のインドネシアでは、気候危機に反すると抗議行動が行われているとして、次のようにただしました。
武田 JICA(国際協力機構)が融資を行い、開発は東京電力のグループ会社が受注している。公的支援を中止すべきだ。
林芳正外相 現時点では、インドネシア側から本体工事に関わる支援の要請はない。引き続き協議する。
武田 もうやめなければならない。相手国のためにもならない。
武田氏は、脱炭素・脱原発を決断し、再エネ・省エネの抜本的普及でこそ経済成長ができると強調。火力発電偏重が是正されない場合、製造時にCO2排出量が多い日本生産の自動車が輸出できなくなり、約100万人の雇用が失われ、マイナス26兆円の経済影響になるとの推計がある一方、30年までにエネルギー需要の約40%を削減する省エネと、電力の44%を再エネでまかなう政策転換で、年間254万人の雇用創出と202兆円の投資、GDP(国内総生産)を205兆円押し上げるという試算を紹介。日本経済の健全で持続的発展のためにも、脱石炭と再エネ・省エネの抜本的普及を決断するよう求めました。