武田良介参院議員は、中部横断自動車道について、「住民の理解や納得抜きに強引に進めることは許されない」と追及しました。(スタッフ)
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議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
中部横断自動車道についてお伺いをいたします。
中部横断自動車道は、中央自動車道の山梨県長坂インターチェンジから長野県八千穂高原インターチェンジまでをつなぐ約三十四キロの高速道路というふうにされております。資料の一に概略位置の図を付けておきました。
この事業は、従来の公共事業の進め方とは異なる計画段階評価、これを実施する事業であります。計画段階評価は、その目的に公共事業の実施過程の透明性の一層の向上を図るというふうに明記をされております。しかし、この事業をめぐっては、沿線住民の方あるいは別荘所有者の方などから、町の分断や環境破壊、農業破壊に対する不安、国の進め方に対する疑問や不信の声が今沸き起こっております。
初めに、大臣に確認をさせていただきたいと思いますけれども、この事業を進めるに当たっては、地方自治体だけではなくて住民の理解が得られることが前提だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 高速道路を始め、社会資本の整備につきましては、用地の提供をいただくことですとか、整備に当たって周辺地域への影響を与えることなどから、地元の理解を得ることが重要でございます。
このため、この中部横断自動車道につきましても、地域住民の皆様とのコミュニケーションとして、平成二十二年の計画段階評価の着手以降、環境影響評価の手続に着手するまでに、アンケートの実施に加え、地元説明会を七十回以上開催し、延べ約四千三百人の皆様に対して計画の概要等を説明してまいったところでございます。
○武田良介君 住民がこの事業への不安や疑問、不信、こういうものを抱いてしまっている最大の原因は、国が説明責任を果たさずに強引に事業を進めようとしていることにあるというふうに思います。
資料の二を御覧いただきたいと思うんですが、これは山梨県の沿線住民の皆さんでつくっております中部横断自動車道八ケ岳南麓新ルート沿線住民の会が二〇一八年十二月十一日に国交省に回答を求めた質問事項の文書なんですね。これ四ページ、二十一項目にわたって詳細に質問をされております。
例えば一番ですけれども、山梨、長野を縦断する建設計画の進め方の実態と問題点として、(一)山梨側、計画段階評価の問題点、一、山梨側ルート案を発表する際、このルート案は、それまで示された三キロ幅のルート帯の案から一キロ幅のルート案に絞り込んだ、二つのルート案を示して絞り込んだそのことを指しておりますけれども、国交省は須玉インターチェンジ分岐案、双葉インターチェンジ分岐案を検討していたことが開示請求で明らかとなった、この案に関し、いつ策定し、どういう取扱いを行ったのか、どうして新ルート案との比較検討対象のルート案として発表しなかったのかということを質問されております。
資料の三番を見ていただきますと、これがその国交省の回答の文書なんですね。これ見ていただければ分かるように、一、計画段階評価等についてとして、一、山梨県側、中部横断自動車道長坂―八千穂間については、二〇一〇年十二月に計画段階評価に着手し、全区間で新たに道路を整備する案を含め四つの対策案を設定し、有識者等から成る関東地方小委員会で審議いただきながら検討を進めてきたところですと。
こうあるわけですが、今私が読み上げた質問に対して、これがどこが回答になっているのか全く分からないと。これでは沿線住民の皆さんが反発するのは当然だと思うんですね。大体これ、沿線住民の皆さんは二十一項目で質問を出している。しかし、これは二十一項目に全くなっておりません。
なぜ項目ごとに回答しないんでしょうか。池田局長、いかがですか。
○政府参考人(池田豊人君) 御指摘の二十一項目の質問事項に関しましては、今お示しありました資料二にもありますように、平成三十年の十二月十一日に東京で行われたヒアリングにおきまして、本省の担当職員が出席しまして、その二十一項目、項目ごとに回答をいたしました。その後、文書での回答を求められましたけれども、国交省としては、その質問内容について十分に御理解いただける回答をするためにお会いして説明した方がよいと考えておりまして、関東地方整備局からも再面談の申入れを行っているところでございます。
また、先ほど御指摘ありました資料三ですけれども、二十一項目、質問全般に関わる国交省のスタンスとして、平成三十一年の二月五日に文書にて回答を行ったところでございます。
○武田良介君 二十一項目に対応する形で回答しない、その理由には全然なっていないと思いますよ。今の答弁ではならないというふうに思いますし、そもそも沿線住民の皆さんは、対面で説明してくれと。もちろん、会う日程の調整というのももちろんありました。しかし、この話は、二十一項目について文書で回答してほしいと言っているわけでありますから、今の答弁では絶対に許されないというふうに思うんです。やっぱり住民の皆さんの疑問に答えていない。
具体的にお聞きしますけど、じゃ、この質問項目の中に、いつ策定したのかと、二つの、一キロルート帯をね。いつ策定したのかと書いてありますけど、この資料三で示したここに分かるんですか、この中で、いつ策定したのか。池田局長、いかがですか。
○政府参考人(池田豊人君) 先ほどお答えしたとおり、平成三十年十二月十一日の時点で、項目ごとに本省の職員より一つ一つ回答をしたところでございます。
○武田良介君 回答をしたとあなたたちは思っていても、住民の会の皆さんは回答をもらっていないと思っているんだから。まず二十一項目の回答を出して、それで会ったらいいじゃないですか。何でそれができないのか、私、全く理解できません。
委員長、二十一項目の回答文書、是非出していただきたいと、お取り計らいをお願いしたいと思います。
○委員長(田名部匡代君) 後刻理事会で協議いたします。
○武田良介君 重要な決定に関して、事業が妥当だったかどうか検証するための文書が残されていないんじゃないかと、こういう疑念が沿線住民の皆さんから噴出をしております。三キロ帯から一キロ帯に絞られていくのは、山梨側でいいますと二〇一二年、長野県側は昨年なんですけれども、この絞られた決定過程、決定された一キロルート帯が最適とする根拠について、これ何も示されていないわけなんです。
資料の四番見ていただきますと、これは国土交通省の行政文書管理規則でありますけれども、この文書の文書主義の原則ということで、九条のところに、「職員は、文書管理者の指示に従い、法第四条の規定に基づき、法第一条の目的の達成に資するため、国土交通省における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに国土交通省の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない。」というふうに書いてあります。
三キロから一キロに絞ったというこの事案、これ、九条に当たる事案だということでよろしいですね、池田局長。
○政府参考人(池田豊人君) 今、資料四で御指摘になられました国土交通省行政管理文書規則にのっとって、事務に関する文書の作成及び管理をしているところでございます。
公共事業の実施に関する事項についてはこれに該当するというふうに考えており、これに乗って適切に文書管理を行っているというふうに認識をしております。
○武田良介君 これにのっとって対応しなければならないものだと、だから、これに該当するということですよね。確認をしたいというふうに思います。
そうであれば、文書規則第九条に該当するのであれば、この一キロルート帯の決定過程及び決定されたそのルート帯が最適であるということを根拠として示している文書、それを作成しているのかどうか、池田局長。
○政府参考人(池田豊人君) この一キロのルート帯が最適とするに至るまでの過程において、有識者委員会やワーキンググループ等様々な局面がございました。その際に審議をした資料及びその議事録等については作成し、ホームページにも公表して適切に対応していると考えております。
○武田良介君 あたかもホームページに全部ありますというような話ですが、沿線住民の会の皆さんが求めているのは違うんです。
今も小委員会の話とか少し出てきましたけれども、第六回の小委員会というのがありました。そのときに、三キロ帯から南側に多少振ってでもルート取ることもあり得るんだという話があって、山梨側については、じゃ、ワーキンググループを開くことにしましょうということになりましたと。だから、第六回の小委員会が終わってその後ワーキンググループが始まりますが、ワーキンググループ第一回に早速二つのルート帯案が出てきているわけですね。
ですから、住民の会の皆さんが求めているのは、この二つの一キロ帯がいつどんな議論を経て作成されたのかと、そのことを出してほしいと言っているわけであります。作成したことは否定はされませんでした。
一方で、資料の五を見ていただきますと、これ、沿線住民の会の皆さんが情報公開法に基づいて、新ルート帯案、先ほどから議論しております一キロに絞り込んだそのことを指しておりますけれども、その決定に至る過程とその内容を記録した文書の開示を求めた。それに対して、国土交通省関東地方整備局の行政文書開示決定通知書なんですね、決定は不開示ということなんですが、その理由としては、赤線のところですけれども、「文書が存在しないことから」というふうになっている。文書が残っていないのか、必要な文書を残していないんですか。池田局長、いかがですか。
○政府参考人(池田豊人君) 先ほどお答えいたしましたように、ルート帯の決定の過程において局面となりました委員会やワーキンググループ、こういったところでの審議資料及び議事録については今も残っておりまして、ホームページにも公表しているところでございます。
○武田良介君 いや、そういうことじゃないんですよ。文書残っていないって書いてあるから残っていないんですかって聞いたんです。さっき私が議論で話詰めたときには、文書作成していると言いましたよね。今計画中のものです。まだできているものでもありません。文書なくなっているなんて到底思えません。あるんだかないんだか、どっちだか全然分からないわけです。残っているんだったら、この不開示ってどういうことなんでしょう。残っていないんだったらこれ不開示ということになりますが、あるんですよね。あるんだったら、これ、沿線住民の会の皆さんに回答できたんじゃないですか。回答できたんじゃないですか、池田局長。
○政府参考人(池田豊人君) 今御指摘ありました資料五のところでございますけれども、ここに書かれておりますものについての文書は存在しないということを、この非開示の通知文書でもお示ししているということでございます。
○武田良介君 いや、ちょっと理解できないです。これが別の文書になるんですか。
私、是非求めたいと思います。その第六回の小委員会から第一回目のワーキンググループというところに入るわけですが、そのときにどういう過程を経て二つの一キロ帯案を出したのか、当委員会に是非資料を提出求めたいと思います。
委員長、お取り計らいお願いします。
○委員長(田名部匡代君) 後刻理事会で協議いたします。
○武田良介君 もう時間がなくてちょっとやり切れないんですけれども、指摘しておきます。
六月二十六日、関東地方整備局が沿線住民の会に対して、二十一項目の質問の、説明を、先ほど答弁にもちらっとありました、説明を七月中に行いたいということで日程調整していた、六月二十六。しかし、二日後の二十八日、環境影響評価の方法書を山梨、長野両県の知事に送付をした。ですから、住民の会の皆さんは、日程調整をしているさなかに環境影響評価の方法書を送付するという、その対応に不信を持たれているわけであります。
是非、方法書の送付、意思決定をした日付、会議名、どのような議論がなされたのか資料を出していただきたいと、これも求めておきたいというふうに思います。
最後に大臣にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、最初に確認しましたけれども、事業の賛否にかかわらず、住民の理解が大前提だというふうに思います。住民の疑問、不安に誠実に答え切って、国民に対する不信を払拭することに全力を尽くすべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) おっしゃるとおりだと思います。
くどいようですけれども、先ほど答弁しましたように、この中部横断自動車道につきましては、国土交通省で定める実施要綱等に基づきまして、まず計画段階評価を実施しておりまして、これまでに、先ほど言ったように、二回のアンケートの実施ですとか七十回以上の地元説明会を開催するなど地元の住民の皆様にコミュニケーションを図りつつ、また、有識者等から成る第三者委員会でも計十回にわたり議論しながら丁寧に進めてまいりました。
こうしたことを受けて、この計画段階評価が完了したことを受けまして、本年五月に山梨県及び長野県では都市計画決定の手続と併せて環境影響評価の手続を進めることとして、国土交通省に対して協力依頼があったわけでございます。
このため、今、国土交通省といたしましては、両県と協力して環境影響評価の方法書に関する手続を進めているところでございまして、私どもは、この件につきましては一定のプロセスをしっかり踏んでいるというふうに認識をしております。
○武田良介君 この中部横断自動車道は、長野県側では開通を求める住民が多数という、そういう意見が多数だということもかつてはありましたけれども、例えば、先日、十一月十日投開票で行われました南牧村の村長選、そこは沿線なんですけれども、信濃毎日新聞という地元紙が行った出口調査見ますと、国が示した一キロ幅のルート帯を変更して開通を求める人が二六%、延伸についてそもそも反対という方も二一%、その見直し、反対という意見が半数近くを占めるというふうになっておりまして、早期延伸開通を望む人は三六%にとどまっておりました。
また、昨年十一月一日にその南牧村で行われた住民説明会ですけれども、レタスを始めとして高原野菜の産地ですけれども、その畑が壊されるんじゃないかということで、農家の方が不安の声あるいは環境破壊を心配する声も多数出されておりました。
住民の理解と納得抜きに強引に進めることは許されないということを指摘をして、質問を終わりたいと思います。
関連資料
しんぶん赤旗記事「住民抜き推進するな/武田氏 中部横断道事業に」