活動日誌

農林業の調査、海外派遣でドイツ・オランダへ

党大会が始まるなか、私は参議院の重要事項調査ということで、現在、ドイツのフランクフルトに。ちょうど党大会と同じ期間で、ドイツ、オランダの農林業の視察。

12日は、ほぼ移動のみ。
13日は、ヘッセン州の林業視察です。

●大規模製材所ファイファー社は、オーストリアの家族経営からはじまり、いまも株式会社ではありません。
「持続可能性を何よりも重視している」との説明が繰り返しなされ、丸太から製材を取り出すほか切れ端材、おがくず、カンナくずなども、ペレットやブロックに固めて使う、エネルギー源にするなどしています。
作業はラインで流れ、最後の検品以外はすべて機械が行っていました。

日本への輸出もしているそうですが、全体から見ると少量。「日本は求められる品質が高い」とのこと。

ドイツでは、2016年から嵐による倒木や病害虫による被害が続き、伐採計画にない木材供給がなされ、供給過多になったとのこと。
それを逆手にとって、安い値段で、あまり品質の求められない中国に輸出したのだそうです。
ただし、あと1年、2年もすれば病害虫も落ち着き、また価格が戻ってくるのではないかと。

日本との違いは当然あります。
山からの切り出しコストが高いことが日本の悩みですが、ドイツは急峻な山があまりありません。

製材業とパートナー関係にある林業関係者は、人手不足もあると指摘されていますが、「ドイツにおける自動車産業従事者よりも、林業・製材業の従事者の方が多い」のだそうで、これから気候変動も踏まえ、魅力的な職業になりうる、とコメントあり。

●続いて、午後はヘッセン・フォレスト。これは、ヘッセン州の森林局部門の公的事業体で、州有林を中心に、委託を受けた市町村林、私有林の管理をしているところ。ドイツの専門の教育を受けた森林官からお話を聞く。

ファイファー社で聞いたお話と当然、矛盾はなく対になっていた。
印象的だったのは、もともとドイツの森林は、広葉樹:針葉樹=9:1だったものが、
現在では、広葉樹:針葉樹=1:9と逆転しているということ。
1つは中世の時代に暖房用に切りすぎたこと、2つに戦後の賠償として大量の木材が切り出されたこと、出そう。いずれもその後の植樹は、早く育つ針葉樹中心になったため、逆転しているというのです。

ドイツの方は環境意識が高く、森を散歩する習慣もあるため、「自然的な森に戻してほしい」と願っている。一方、木材を使った家具や再生可能エネルギーを、という相反する要求もあり、森林官は市民への働きかけを大事な仕事としている、と。

公的事業体ですから、原木を出荷し、ファイファー社のような大規模化してきた製材業者に売ります。その利益がでなれれば、林業の支え手を養えないということから、
「森林の持続可能性と、需要と供給のバランスをとることが、森林官の難しい仕事である」。

よく聞くと、10年単位で「森林現状調査」を行って、木の種類ごとに本数や高さ、幼い木はどれだけあるかなどを把握し、6ヶ月~12ヶ月のスパンで伐採計画をもち、それ以上は、製材業者から求められても切り出さないのだそうです。その計画に基づいて契約すれば、林業社もどれだけ収入があるのか見通せるというのです。
私有林についても、所有者のコンサルのような立場でアドバイスし、ほぼ同様の仕事をされるそうです。なるほど、公的事業体、ヘッセン・フォレスト。

14日は、ワインの製造現場、さらにヘッセン州政府の「環境・気候変動・農業・消費者保護省」の事務次官との懇談も。

党大会の成功を祈る。