14日、ドイツ視察2日目。
●ライン川沿いのライン、ヘッセン地方のワイナリーdd視察。
欧州ではワインの過剰生産から価格が下がっていたかつて、生産調整に対する助成金が出されていましたが、欧州以外のワインが国際的に売り出されるなか、フランスはもちろんドイツでも、ブドウ産地や農園での格付けを進め、売り出しを始めているとのこと。
視察では、1604年創業、13代目になるというーさんから説明を受ける。
南向き斜面、ライン川からの反射による日光、土壌の特徴などで、リースリングという品種をとりわけ大切にされているワイナリー。
日本の東京、名古屋にも卸しているとのこと。
●ヘッセン州の環境・気候変動・農業・消費者保護省のコンツ事務次官はじめ、農林業の責任者の方と懇談。
ここでは面白い話を聞けた。
【まず農業】というか、この省の総合的政策だったかもしれない。
ヘッセン州は、小さい農家が多く、他の州に先駆けて環境配慮の農家を支援する政策をとってきた。州の予算の40%は、林業、その他を含む農業予算として計上されているという。
多くを占めるのは欧州政策であるCAP の枠組みに基づく助成金(確か、2億2000万ユーロ)。さらに、約1億ユーロのよさんで、地方の道路整備や教育、観光などさまざまな支援を行う予算があるという。これが農業予算のなか。
助成のメニューには、家畜に対する動物愛護施設の建設にかかる助成金、
テクノロジーを生かした除草剤を適したときに最低限の量で済ませる技術を農家が実行できるようにするコンサルプログラム、
生産者からのアイデア持ち込みで始まる、研究者、行政一体となったイノベーションプログラム等を例示。
「プログラムは、ボトムアップでなければならない」
「農家に対してだけでなく、地域に対しても支援できるよう、道路建設や教育の充実でも、地域をどうしたいかという目標に対して行えるプログラムをすすめる」
面白かったのは、
農業予算の中で、地域振興、格差是正などのとりくみをするため、経済や教育など、州の各部局との連携、および助成金の効果的活用の監督省庁は、この「環境・気候変動・農業・消費者保護省」におかれるようになったということ。
「これまでの法律、制度は都市部を念頭において作られることが多かった。しかし、それら法律、制度は地方にどのような影響を与えているのかを検証しなければならない」との言葉も印象的。
【続いて、林業】
かつて、ドイツの森林が失われたが、貴族の所有していた森が、市民の手に森が移ったことから、約200年前に森林に関する基本法が成立。いまもその土台は変わっていないという。
現在、手をつけてはならない森として、自然環境の優れたところ、都市部のまわりの森、フランクフルト空港のまわりの森を指定している他、土地所有者がもつ責任を法律で定めている。
ヘッセン州における所有者は、州が約42%、自治体が約35%、私有林が約25%位だったか。100ha以上保有している所有者は、10年単位の経営計画をたてなければならないという。
州ならば、約1200人もの森林官がいて、一本一本の樹にまわる現状調査をしているから、間伐して木材を出荷する計画をたてられるだろうが、市民の所有者で100ha以上もっていたら。かなり大変ではないかと質問すると、森林官のアドバイスがある上、「確かに、法律でかなり大きな責任を与えているが、この分の支援もしている。丸太を出すための整備や、土壌改良などもある」「実際には、市民の森でも、年間1haあたり2ユーロ~3ユーロしかかかっていない」とのこと。
「森林浴をする市民が環境負荷を与える行動をとることもある。しかし、それに対して、取り締まりのための法律を作るのではなく、教育することを重視している。子供の時からの教育で取り締まり法は無用となる。」
「年に1回、サイクリング団体やスポーツサークル、環境団体などを集めたラウンドテーブルを開催して、それぞれの課題、要望をだしあい、対話を途切れないようにしている」