活動日誌

オランダの農業、酪農を視察

 1月15日、視察地はオランダ。1日目

オランダは農産物の輸出世界2位とのことで視察が組まれているようだが、輸出して稼げばよいという発想ばかりではなさそうだ。その辺りをよく学ばないといけない。

●農業・自然・食品品質省のフット事務次官との懇談。

現地視察をした上で懇談したい思いはあったが、今日から開かれるドイツでの農業会合のために初日の日程となった。

輸出について、「政府は支援策はとっていない。しかし、企業・研究者・政府はgolden triangleをつくり、ワーヘニンゲン大学での研究も進めてきた。」

「持続可能性が大切だ。農業は、大地が我々に与えうる範囲内で行われるべきだ」
「そこで我々は、安く作り高く売る、という発想から転換しなければならない。つまり、我々は、閉じた輪の中で循環しなければならない」

さらに、強調されたのは、地方の居住環境性の確保。「地方が自ら開発プランを設計し、政府に対して投資を要請することができる。これにより、地方におうじたプランを中央政府は認知し支援できる」。ここはドイツのヘッセン州と大変、似た認識だ。

欧州の共通農業政策について、
「所得維持、価格維持によって農業者の所得水準の確保に成功しているし、生産の近代化に成功した」「さらに、農村振興によって、自然配慮型の農業、青年就農、地域の高齢化に役割を果たしている」。

オランダでは、酪農が盛んだが昨年、家畜由来の温室効果ガス削減策を打ち出すにあたり、全国でトラクターデモが発生。「彼らは、農業生産に関わる条件、生産価格の見通しがつくことを要求している」「就農に対しては、将来への展望が持てることが重要だ」
そのために、「生産者と政府だけでなく、流通も含めたすべての関係者が集まって話し合うことが大切だ」ということ、また「農業者にそれ以外の職についてもらうことも必要だ」と率直に検討の方向性を話された。

循環型の農業について、酪農から出る糞尿など廃棄物を分解し、肥料にし、作物にし、‥などの説明。次に向かった、フローティング・ファームで。

●フローティング・ファーム

国土の4分の1が海抜以下のオランダ。
運河もあり、車窓からの景色を見ても、草原と河の高さがほぼ同じ。
そうは言っても、まだ酪農を営める牧草地はありそうだが、気候変動による海面上昇や、それでも都市部の消費地に近いところで生産したいということで、海の上の酪農を始めたというところか。

始めて牛がここに入ったのは、昨年2019年5月13日というから、本当の評価はこれからかなと思う。

施設は完全に海に面しているわけではなく、内海というか、湾のなか。3階構造で、一番下は海面4m 温度が一定で、糞尿を集めて処理しているという。2階は自動で絞られた牛乳の処理。ここでミルクを生産。3階に牛たちがいる。ルンバのような自動糞尿掃除機が動いている。

隣には、太陽光パネルが海の上に設置され、農場にかかる電気を賄うため、今後小型の風力発電機もつけたいという。
さらに、野菜、鶏・卵の生産にも取り組んでいくという。

面白い取り組みだ。同時に、課題や必要となる研究、都市部近隣住民の合意、津波対策など、さらに検証は必要か。

●最後に、オランダの日本大使館へ。現地の建物だから趣きがあった。これも1つの経験。

フット事務次官からいただいたオランダ農業政策のパンフレット日本語版をいただいたので、これは学ぼう。