国会質問

質問日:2016年 10月 25日  第192臨時国会  

COP22パリ協定批准について追及 外交防衛委員会

 パリ協定で環境大臣に質問。経済界からの要請を受け、米中が批准するまで様子見だったと、事実経過や経済界の発言を示し追及。

 長野での温暖化による松枯れの影響や、リンゴの栽培適地減少予想をあげ、CO2の削減目標引き上げと、温暖化対策の法定計画を要求しました。

 

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議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 パリ協定の問題についてお伺いしていきたいと思いますが、日本のパリ協定の批准が遅れたことについて、先日の参議院本会議での我が党の倉林明子参議院議員の代表質問に対して山本環境大臣は、世界の流れを理解せず承認案の提出が大幅に遅れた政府の責任は極めて重大という質問をされております。そこで、山本環境大臣がこのパリ協定の批准についてどのようにお考えか、順次お聞きしていきたいというふうに思います。
 今年の九月の三日にアメリカと中国がパリ協定を批准しました。山本環境大臣は、その前日、アメリカと中国の批准が決定的になった下での記者会見の中で、記者からなぜ年内合意を急ぐのかという質問を受けて、私自身のこの問題に対するトラウマというのが、京都議定書がアメリカの政権が替わった途端に離脱をしていったというのが私自身のトラウマになっておりますので、アメリカと中国が先んじて批准しようとしていることも事の重大さを認識しますというふうに述べておられます。
 これを聞きますと、つまりアメリカと中国がパリ協定を確実に批准することになる、それまでは日本は批准するか否か様子を見よう、山本環境大臣がそういう姿勢だったのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) まず、本会議での私の答弁、ちょっと不正確であろうかというふうに思っておりますので、お調べを願いたいというふうに思っております。
 その上で、今回の今御質問の件でございますけれども、本年九月の米中の締結やパリ協定早期発効促進ハイレベルイベントを受けまして、当初の見通しを上回る形で国際社会の早期発効に向けた機運が高まりまして発効に至ったことは事実であります。それは事実でございます。
 政府としては、パリ協定を重視する観点から、パリ協定の署名が開放された当日である四月二十二日に即座に署名を行いました。また、パリ協定の国内実施の担保に係る政府部内での検討を迅速に進める等、環境省としましても、外務省を始めとする関係省庁と連携して可能な限りの締結を目指し作業、調整を行ってまいりました。
 一日も早く締結ができるよう、全力を尽くしてまいりたいと思います。
○武田良介君 アメリカと中国がパリ協定を確実に批准するまでは日本は批准するか否か様子を見よう、こういう姿勢は経済界との関係でもはっきりしていると私は思います。
 例えば、パリ協定は昨年の十二月十二日に採択されていますが、その翌日の十三日、日本経団連の榊原定征会長がコメントを発表して、次のように述べています。今後、米国や中国を始めとした主要排出国が確実に批准するとともに、公平性、実効性を高めていく観点から、各国の約束についての進捗状況を国際的にレビューしていく体制を整備することが求められるというふうに言われておりますが、山本環境大臣、パリ協定の合意に対するこうした日本経団連の意向は承知しているでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 経団連から、四月の八日に、地球温暖化対策計画案に対するパブリックコメントにおいて、パリ協定の締結に当たっては各国の動向を見極めるべきとの意見をいただいているということは承知をいたしております。
 政府としては、パリ協定を昨年十二月の採択時から一貫して重視をいたしておりまして、パリ協定の締結に向け可能な限り迅速に準備作業を行ってきたところでございます。
○武田良介君 経団連の榊原会長のコメントにある、米国や中国が確実に批准することと。これは、京都議定書の際には、アメリカは合意したものの実際には批准をせずに日本などに削減目標が課せられた、不公平だったという思いが反映していると言わざるを得ないというふうに思います。
 日本の六%削減目標を達成するために、日本政府はCDMクレジット、これ一・六%分を一千六百億円掛けて購入をし、民間では四・六%、二百四十億円を充てています。日本だけが負担を課せられないようにとか損をしないようにというのが財界の要請だということはもう明確だというふうに思います。
 しかも、こうした経団連の意向を環境省に伝えるように、日本経団連と環境省の意見交換の場というのも持たれております。四月の六日、経団連会館で会合を開催されています。先ほどのコメントを発表した上で会合が開かれておりますので、環境省も様子見に陥っていたということではないかというふうに思うんです。
 この会談の場では、COP21で丸川前環境大臣が発効要件に締約国の排出量が全体の五五%以上を占めることを入れさせたということも強調されています。日本経団連の環境安全委員会のワーキンググループの座長さんの村上さんも、京都議定書の教訓を踏まえると、パリ協定の実効性を担保する上で、アメリカ、中国を始めとする主要排出国がパリ協定に確実に批准することが不可欠だということも言われております。こうした姿勢を日本の経済界が取り、そして環境省との懇談までやっていると。
 山本環境大臣もずっと環境分野で精力的に取り組まれてきたということでありますので、こうした経団連の意向を知らないはずはないというふうに思います。環境大臣がそういう見方もあってパリ協定の批准が遅れたのではないかと、政府の責任は明確になったんじゃないかというふうに思いますが、政府の責任をお認めになるでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 私のずっと一貫してこの問題に取り組んでくるときの姿勢は、経団連であろうがNGOであろうが、幅広い人の意見を聞くということが全てでございました。したがいまして、物事を決定するときに、いまだにそうでございますけれども、特定の団体の意向を酌んで物事を決めるという姿勢は私どもは取っておりません。
○武田良介君 いずれにしても、私は、政府の責任を明確にするということがあってこそ、これからパリ協定を批准するに当たってもより野心的な目標を持つことができるし、積極的に国際社会に貢献していくことができるというふうに思います。
 締約国会議に関して若干お聞きしたいと思いますが、パリ協定では、第一回締約国会合で採択する規定として、二国間クレジットを含む市場メカニズムに関する事項など重要な点も採択されることになっておりますが、これはオブザーバー参加できるけれども正式には参加できないということでありました。
 この国際的なルール作りを行うこと、今後のパリ協定を各国が実行していく上で私は大変重要だというふうに思いますし、日本が積極的に気候変動に対するイニシアチブを発揮していくことが必要だと思います。今回のパリ協定は、全ての参加国が自主的な削減目標を持つという画期的なものであるということと同時に、先進国や途上国が立場が違うけれども共通する責任を持っている、それぞれの国がその責任を果たそうという枠組みであるだけに、日本のような先進国がアメリカや中国の立場を気にするのではなくて、積極的に役割を果たすべきだというふうに思います。
 先ほどもありましたが、締約国は今回は必ずしも多くないと、第一回会合では。今回だけで全てが決まるわけではないというような話もありましたが、しかし、こういうことは、逆に言えば、どうせ今回は決まらないという姿勢に日本が立っているという見方もされてしまう。パリ協定を実効性あるものにしようという交渉の中で日本が足を引っ張ることになるのではないかというふうに考えますが、山本環境大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) そのようなことはないと思っております。いずれにしましても、日本が、先ほどほかの委員の方にお答えしたように、これまでのこの地球環境問題に対する国際舞台での各種の貢献度はそれぞれの国が評価をしてくれていると私は信じておりますので、そのようなことには相ならぬと思っております。
○武田良介君 繰り返しになりますが、私は、本当に野心的な目標を持ってパリ協定の批准、それからこのCOPの会議に臨んでいくことが本当に重要だというふうに思っています。
 日本は世界第五位のCO2の排出国であります。先ほどもありましたが、削減目標は二〇一三年比で二六%というふうになっておりますが、COP21の決定、この立場に立っても、二〇二〇年の報告の際には更に野心的な目標に引き上げるという決意を持ってCOP22に臨んでいくことが必要だというふうに考えておりますが、目標を引き上げたら国際社会に貢献できると、山本環境大臣はこの認識、共有していただけるでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 私は、二〇三〇年のいわゆる二六%削減そのものも非常に、何といいますか、高いハードルだと思っておりますけれども、できないことはないと思っておりますので、その進捗状況を見ながら更なる高みを目指して目標を設定していくことは大いに日本としては頑張っていきたいと思っています。
○武田良介君 進捗状況を見ながらということでありましたが、やっぱりこれ、世界の要請だというふうに思いますので、積極的に目標を引き上げていく方向で取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 私、この温室効果ガスの排出量の削減というのは、日本の現実に照らして本当に待ったなしの課題になっているというふうに思っています。
 私のふるさとであります長野県では、二〇一二年三月の二十六日に県が長野県地球温暖化対策戦略検討会提言書というものを出しておりまして、今日も資料をお配りさせていただいておりますが、例えば松枯れが深刻な問題になっています。松枯れは、マツノザイセンチュウやマツノマダラカミキリといった虫が気温上昇によって活動域を広げているのではないか、こういう問題が指摘されています。気温が上昇することによって、資料の地図にもありますように、黄色の危険域の部分がどんどん広がっています。現在でも長野県では山がどんどん茶色になっていくとか、ふるさとの山が枯れていくということで、地元の皆さん大変心配をされています。
 それから、資料の二も御覧いただければと思いますが、これはリンゴの影響であります。気温がプラス・マイナス・ゼロ度の現状から気温が二・四度上昇した場合、それから四・六度上昇した場合のリンゴの生産適地を示しています。二〇八一年から二一〇〇年を見ていただくと、もし四・六度気温が上昇したらこれだけ赤い地域が広がるというふうになっていますが、これは長野県でいえば比較的標高の低い地域、山岳地帯ではない地域ほぼ全域であります。事実上、長野県内どこでもリンゴの生産はできないということになってしまいます。
 こういう気候変動による影響に対して、昨年十一月二十七日に適応計画が閣議決定をされております。この適応計画については、既に先進各国は法制化をしています。我が国においても早急に法定計画に定めていく必要があるのではないか。対策の具体化とともに、予算措置や実行のための体制も含めて実効ある温暖化対策を法定計画に定めるべきではありませんか。
○国務大臣(山本公一君) 御指摘の昨年十一月に気候変動の影響への適応計画を閣議決定をいたしました。まずは政府として適応計画に基づく取組を推進していくことが重要であろうかと思っております。
 適応策の法制化については、適応計画の実施状況や課題を把握しながら引き続き検討をしてまいりたいと思います。
○武田良介君 是非、法定計画持っていくように求めておきたいというふうに思います。
 パリ協定の批准が遅れた日本政府の姿勢を認識するとともに、今後更に積極的な役割を果たしていくことを心から願いまして、質問を終わりたいと思います。

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