7日の参院拉致問題特別委員会で、北朝鮮による核・ミサイル問題を取り上げ、「北朝鮮の核・ミサイル開発の放棄を求めた一連の国連決議や6カ国協議共同声明、日朝平壌宣言に反する」と述べ、国連決議の厳格な履行を、中国を含む関係国に働きかけるよう求めた。
政府は、10月27日に国連第1委員会で採択された核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議に反対しました。こうした日本政府の態度を批判し、「核兵器禁止・廃絶の方向に日本も進んでいくことが、北朝鮮に核兵器の放棄を迫る上で強い立場に立つ」と強調。「北朝鮮に核・ミサイルを放棄させるうえでも、日本政府が核兵器禁止条約の交渉開始の先頭に立つべきだ」と求めた。
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
北朝鮮は、今年の九月九日に五度目となる核実験を行いました。北朝鮮の核、ミサイルは、世界の平和と安定にとって重大な脅威であって、北朝鮮の核やミサイル開発の放棄を求めた一連の国連決議や六か国協議の共同声明、それから日朝平壌宣言にも反するもので、断じて許すことはできないものであります。
国連安全保障理事会は、十一月の三十日に、北朝鮮が九月に行ったこの核実験を国連安保理決議違反と認定をし、国連決議二二七〇を更に強化する制裁決議二三二一を全会一致で採択いたしました。
まず最初に、この国連決議について安倍政権はどのように評価をされているのか、岸田外務大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、十一月三十日の国連決議二三二一号ですが、まず、これ全会一致で採択されたこと、これを評価いたします。
そして、この内容ですが、今年三月の決議二二七〇号を強化したものですが、特筆すべきこととして、先ほど来議論の中にも出ておりますように、北朝鮮の収入源である石炭輸出について上限を設定したこと、そして北朝鮮の人権・人道問題に関する言及を強めたということ、この点は特筆すべきことであると認識をしております。
○武田良介君 北朝鮮の核やミサイルの問題を解決していくために国際社会が一致した対応が求められているということは言うまでもないというふうに思いますし、今回の国連決議が大変意義あるものだというふうに私も考えております。
今回の国連決議、これで六回目。今も御答弁ありましたが、前回から比べても、石炭や人権の問題、それから禁輸の品目を追加するだとか、もう様々なものもあります。そして、こうしてつくられた制裁を行っていく目的ということも改めて大事になっているというふうに思いますが、やはり北朝鮮に核やミサイルを放棄させるためにこれが必要なんだということだと思います。そして、国際社会の一致した対応が必要だと。
今回のこの制裁を通じて北朝鮮を六か国協議の対話のテーブルに着かせることがやはり大切だというふうに思いますが、そのためにも今回の国連決議に対する各国の態度、日本や北朝鮮はあれですが、それ以外の四か国、韓国、中国、ロシア、アメリカ、こういった国々の国連決議の実施に向けた態度、これはどういうふうになっているのか、お答えいただければと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、今回の安保理決議二三二一号ですが、日米韓を始めとする五十か国が共同提案国となっており、そして中ロを含む安保理において全会一致で採択されたということであります。
そして、各国の対応ですが、日米韓は、この決議二三二一号を始めとする一連の安保理決議を着実に履行することに加えて、関係国に対して決議の全面的かつ厳格な履行を三か国で働きかけていく、こういった点で一致をしています。また、中国ですが、安保理決議二三二一号を真剣に履行していく姿勢、こうしたものを明らかにしています。ロシアについては、地域及び国際社会のパートナーとして協力していく、こういった旨言及をしています。
こういったそれぞれの態度、姿勢を表明、明らかにしているわけですが、いずれにしましても、今後とも、決議の実効性を確保するためにはこういった国々との連携を密にしていかなければならないと考えております。
○武田良介君 確かに各国様々な立場はあったにしても、今御答弁ありましたとおり、国連決議の厳格な実施ということがやはり大事だと思いますし、それがあってこそ六か国協議の対話のテーブルに北朝鮮を着かせることができるというふうに思います。国連の潘基文事務総長も、各国の制裁の実施能力を強める国際的な協力が必要だというふうに述べて、国際社会の結束した行動を呼びかけているということも非常に重要だというふうに思っております。
そこで、中国について一つお聞きしたいと思いますが、そうした国連決議を実効性あるものにするためにやはり中国も含めた対応がどうしても必要だというふうに思っておりますが、改めて岸田外務大臣にお伺いしたいと思いますが、中国を含めた国際社会、複雑さはあるとは思いますけれども、安倍政権としてはこの中国を含めた国際社会にどう働きかけていくのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、北朝鮮に対して圧力を強化していく上で、中国、安保理の常任理事国であり、六者会合議長国であり、北朝鮮との貿易額の九割を占めるこうした中国の存在、これは大変重要であると認識をしております。今日までも、総理、外相を始め様々なレベルで中国に働きかけを行ってきたわけですが、決議が採択されました。是非、中国を含めて関係各国がしっかりとこの決議を履行するべく努力をしていかなければなりません。
その際に、我が国としましては、中国を始めとする関係国に働きかける、これは当然でありますが、あわせて、安保理の北朝鮮制裁委員会あるいは専門家パネル、この制裁委員会は安保理の理事国全員で構成されます。そして、専門家パネルにも、八人のうち日本人を一人送り込んでいます。こうした組織をしっかりと活用しながら、中国にも建設的な対応を促していくよう努力をしていかなければならないと思います。
○武田良介君 中国も当然、北朝鮮の核開発やミサイルの問題に対しては許されないというふうに考えているというふうに思いますので、日本政府としても働きかけを強めることを求めたいというふうに思います。
アメリカに関わってお聞きしたいと思います。
先ほどもありましたが、アメリカは次期大統領にトランプ氏が決まりました。政権が替わるタイミングですので、こういう下で国際社会が国連決議を実効性あるものにするために、アメリカ政府の国連決議への対応が今焦点になってくるのではないかと。
そこで、岸田外務大臣に、アメリカ政府に対して日本政府からも国連決議を実効性あるものにするための積極的な働きかけ、これが必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、北朝鮮の核・ミサイル問題に関しまして、日米両国、これは共通の懸念を有してきました。そして、九月九日の北朝鮮の核実験実施以降も、両国は新たな安保理決議の採択に向けて緊密に連携しながらこの両国で安保理の議論をリードしてきた、こうした取組も続けてきたと考えています。
決議を採択した今、この決議の着実な履行に向けて、日米で連携しながら関係国へ働きかけを続けていきたいということについてもこれは一致をしています。是非、こういった形で日米で緊密な連携を続けていきたいと考えます。
○武田良介君 最後に一点お伺いしたいと思うんですが、日本は核兵器禁止の国際交渉開始を求める決議、これには反対をいたしました。これ自身は大変残念なわけでありますが、この核兵器禁止の国際交渉開始、これを求める決議というのは、被爆国日本の市民の皆さんの運動はもちろん、国際的な市民の運動があって採択されたものだと。この決議が求めるように、やはり核兵器禁止、廃絶の方向へ日本も進んでいくということが、北朝鮮の問題の解決を考えた際にも、北朝鮮に核開発の口実を失わせて北朝鮮に核兵器の放棄を迫る上で日本は強い立場に立つことになるのではないかというふうに思います。
ここで岸田外務大臣にお伺いしたいと思いますが、日本政府が、世界の核兵器禁止の交渉を開始、このために力を尽くす、その先頭に立っていく、そういう必要性があると私は考えますが、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の核軍縮、そして不拡散に対する立場、これは一貫しております。核兵器の非人道性に対する正確な認識と、そして厳しい安全保障に関する冷静な認識、この二つの認識の下に、核兵器国と非核兵器国の協力を促しながら現実的、実践的な取組を積み重ねていく、こうした方針でありますが、この方針において考えた場合に、御指摘の核兵器禁止条約に関する決議は、この厳しい安全保障に関する冷静な認識について問題があるのではないか、あるいは核兵器国と非核兵器国が協力するという点で問題があるのではないか、こういった点から我が国としまして御指摘のように反対をしたわけであります。
こうした我が国の態度は、他の国々のこの決議に対する対応、この決議に対して北朝鮮は賛成をいたしました。そして、ドイツやオーストラリアを始めとする我が国とともにこの核軍縮に取り組んできた中道国は全て反対をいたしました。そして、核兵器国は一国たりともこの決議に賛成はいたしませんでした。こうした他の国のこの決議に対する対応を見ましても、我が国の先ほど申し上げました判断の妥当性は御理解いただけるのではないかと思います。
ただ、決議は委員会において採択されましたし、これから国連総会において決議が採択されますと、来年三月には核兵器禁止条約の交渉がスタートすることになると承知をしています。この議論が始まったならば、我が国としまして、唯一の戦争被爆国として、先ほど申し上げました基本的な立場に立って、核兵器国と非核兵器国の協力をしっかりと促していく立場から堂々と議論に参加するべきであると私は考えます。
○武田良介君 時間なので終わりますが、六か国協議のテーブルに北朝鮮を着かせることがやっぱり大事だというふうに思いますし、その際に決して軍事対軍事の悪循環に陥らないということが重要だというふうに思います。
核兵器廃絶の交渉をスタートさせることを、そういう立場に立つことを求めて、質問を終わりたいと思います。