2016年度第3次補正予算の反対討論。日本共産党を代表して反対討論にたち、税収不足による多額の赤字国債の発行などアベノミクスの破綻による貧困層の拡大を指摘。後年度を含む軍事費の特別扱いは許されないと指摘しました。
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議事録
○武田良介君 私は、日本共産党を代表して、二〇一六年度第三次補正予算に反対の討論を行います。
まず初めに、昨年末、新潟県糸魚川市での大規模火災で被災された皆さん、今年一月の全国の大雪によって被災された皆さんに心からのお見舞いを申し上げます。
私も、新潟県糸魚川市や長野県の現地に伺い、要望も聞いてきました。
今回の第三次補正予算のうち、北海道や東北地方の台風災害、また熊本地震の災害対策予算は緊急かつ必要な支出です。糸魚川市の今回の火災を強風によって燃え広がった自然現象と捉えて、火災に対して初めて被災者生活再建支援法を適用したことは、被災された皆さんを励ますものとなっています。
被災地は糸魚川駅前の中心地であり、商店街、繁華街です。復興には、被災者の住宅再建とともに、なりわいの再建、商工・飲食業などの再建が欠かせません。これに必要な支援をやり切るよう求めます。また、大雪による各地の生活被害、農業被害について、被害実態を迅速かつ丁寧につかみ、柔軟な対応を行うことを強く求めます。
以上のことを指摘の上、補正予算に反対する理由を述べます。
第二次安倍政権の発足から四年、アベノミクスは何をもたらしたでしょうか。
世界で一番企業が活躍しやすい国を目指すという掛け声の下、日銀の異次元の金融緩和による円安誘導や大企業向け減税が行われたことによって、大企業は三年連続で史上最高益を更新し、政府挙げての株価引上げ政策で富裕層には巨額の富がもたらされました。
しかし、労働者の実質賃金は四年の間に年額で十九万円も減り、家計消費は実質十六か月連続で対前年比マイナスとなっています。安倍総理は、この間の代表質問で、相対的貧困率について、全国消費実態調査では集計開始以来初めて低下していますと述べ、あたかも貧困層が豊かになったかのように答弁しました。しかし、これは、中間層の可処分所得が落ち込んだことで貧困線が下がり、以前は貧困層に計算された方が今度は貧困層ではないと計算されてしまったためです。貧困が低所得層だけではなく中間層にまで広がってきているのが実態です。
アベノミクスの破綻による景気悪化のため、本年度の税収も当初見積りを大幅に下回る見通しとなり、結局、一兆七千五百十二億円もの赤字国債と一千十四億円の建設国債を発行して財政不足を補う事態になっています。年度途中の税収見積り減額と赤字国債の追加発行という事態は、実に七年ぶりです。
その下で、軍事費が特別扱いされていることは重大です。
第三次補正予算で、防衛省予算一千七百六十九億円が計上されました。赤字国債を発行しなければならない事態にもかかわらず、なぜ軍事費を特別扱いするのでしょうか。
安倍政権は、安保法制成立後の戦争をする国づくりを目指すため、巨額の後年度負担を含む軍事費を増やしています。巨額な軍事費は、将来の財政を圧迫し、国民生活に必要な施策ができなくなる危険性を増大させており、我が党は強く反対するものです。
しかも、一千七百六十九億円のうち一千百十二億円、実に六割以上が、後年度負担分として二〇一七年度概算要求に盛り込まれ、来年度本予算で歳出化が予定されていたものの前倒しです。その中身は、P1対潜哨戒機二十機で三百六十二億円、F35A戦闘機八機で六十八億円、F15近代化改修八機で十八億円などとなっています。第三次補正予算を含める二〇一六年度防衛省予算は五兆二千五百三十七億円に達し、新規後年度負担は二兆五千九百八十六億円となります。戦争をする国づくりのための大軍拡の道は絶対に容認できません。
さらに、財政法では、補正予算が認められるのは、義務的経費の不足のほか、予算編成後生じた事由に基づいた緊要なケースに限られています。既に発注済みの武器の後年度負担分を繰り上げて払うことに何ら緊急性はないことを指摘しておきます。
安倍首相は、施政方針演説で、日米同盟は不変の原則だとし、トランプ新大統領と同盟のきずなを更に強化すると表明しました。本会議の代表質問で、トランプ大統領が日本にこれまで以上に防衛上の負担を求めてきたときの対応を問われた首相は、我が国としても防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていくと答弁しました。これは大変重大です。日米同盟第一を続けるなら、アメリカの要求のままに軍事費は膨張し、アメリカが展開する軍事活動に付き従うことになりかねません。
補正予算などの審議を通じ、安倍内閣が進める政治路線の重大な問題が次々と明らかになっています。
長時間労働を助長する残業代ゼロ法案も撤回しようとしないなど、安倍政権の進めようとする働き方改革は、喫緊の課題である長時間労働の是正、過労死の根絶に応えるものではないことが明らかとなりました。
共謀罪についても、名称や要件をどう言い換えようとも、合意そのものを処罰するという本質的危険性は何ら変わらないことが明らかです。
天下り問題が重大な問題として問われています。
文科省は、大学運営交付金や私学助成、さらに科研費などの競争的資金を配分する権限を持っています。そうした権限を背景にして、組織的天下りあっせんを行っていた重大な疑惑の徹底解明が必要です。
第一次安倍政権の二〇〇七年、天下りを根絶するといって国家公務員法を改定しましたが、離職後二年間は仕事と密接な営利企業に再就職してはならないとする条文を削除するなど、天下りを原則禁止から原則自由化へ大改悪を行いました。その下で今回の事件が起きており、その責任は極めて重大です。構造的問題にまでメスを入れた徹底解明とともに、天下りを厳しく規制する法改正が必要です。
以上、指摘した上で、安倍政権の暴走を食い止め、新しい政治への転換のために、多くの市民、野党と力を合わせ、全力を挙げる決意を申し上げ、反対討論を終わります。