国会質問

質問日:2017年 2月 15日  第193通常国会  国際経済・外交調査会

日本の態度 トランプ政権追随なのでは

質問の映像へのリンク

調査会参考人質疑動画

議事録

○武田良介君 今日は、三人の参考人の先生方、本当にありがとうございます。
 今日は外交体制の問題だとか発信力の強化ということでお話をいただきまして、私、とりわけ発信力の問題でお聞きをしたいというふうに思っております。
 発信力というときに、国際社会の中で日本が存在感を持ってイニシアチブを取って発言していけるかどうかということは非常に大事ではないかなというふうに思っていますが、私、今関心を持っているのは、先日、日米の首脳会談も行われましたが、今アメリカのトランプ政権が入国制限をするということで大きな話題になっておりますし、先日、国連の、先ほどお話にもあったグテレスさんという事務総長の方が、ホロコースト犠牲者をしのぶ国際記念日というところの演説で、トランプさんということは直接は言わなかったわけですが、私たちは今日、ポピュリズムにより引き起こされた反ユダヤ主義、人種主義、排外主義、反イスラム憎悪、その他の不寛容を目撃している、私は世界のマイノリティー、難民や移民が直面している差別に大きな懸念を抱いているというふうに述べたという報道も聞きまして、私も注目してみたんですが、今のアメリカのトランプ政権というのが、これまでのアメリカ政権にもなかったような特異性といいますか、異常な性質を持っているのではないかというふうに世界も見ているというふうに思っています。
 私が関心を持ってお聞きしたいと思っているのは、この間の首脳会談なんかもそうですが、日本がそういったトランプ政権にはっきりと物を言うことができないだとか、あるいは付き従うという表現をすることもありますが、ということになったときに、国際社会からどう見られるのか。アメリカに対する見方だとか日米同盟に対する見方ということはいろいろな見方や立場があったにして、国際社会から批判されるような入国制限を行っているトランプ政権に追随していくような形になると国際社会から見られたら、それで発信力が高まっていくのかどうか。国際社会の中で独自の立場を発信できなくなる、存在感を失うということにならないかどうかということを、参考人の三人の先生、それぞれ大使や国連のお仕事をされてこられたということで、三人の先生にそれぞれお聞きできればというふうに思っております。
○会長(鴻池祥肇君) それでは、まず川端先生、河東先生、藤崎先生、この順でお願いをいたします。
○参考人(川端清隆君) 国連というのは、やっぱり人権、難民問題も含めてその擁護者であると、紛争地の人たちの最後の防波堤であると言われています。だから、その旗を下ろすことはできない。そういう面で、この点が信念があったからこそ、あのグテレスの批判ということであろうかと思います。ただ、その一方で、国際政治、日米関係の中で日本が何をどう言うかと、ワシントンで。ちょっと性格が違うところもあるのかなと。
 それと、日本自身の問題ですよね。はたと足下を見てみれば、シリア難民二十七人しか入れていないと。そこが苦しいところですよね。しかも、グテレスの前任者は緒方貞子先生です。どうもうまくつながらない、そんな思いがいたします。
○参考人(河東哲夫君) トランプ大統領のいろんな政策が、特に西欧諸国であるとか、それからユダヤ人社会の間であるとかイスラム諸国の一部で懸念を呼んでいることはいろいろ報道で承知しております。ただ、この前のトランプ大統領の大統領令というものはアメリカの裁判所によって否定されたんで、これからまだどうなるか分からないところであると思います。
 それから、安倍総理の訪米については、日本にとって必要なことをおやりになられたんで、あれはあれで非常に良かったし、必要なことであったと思います。それによっておっしゃられた問題について何か波紋が起きるんであれば、それはまた別途対応を必要とすることになると思いますけれども、まだ何をどういうふうにやっていいかは分からない段階だろうと思います。
○会長(鴻池祥肇君) 藤崎参考人、お願いします。
○参考人(藤崎一郎君) まず第一点でございますが、今、武田委員の言われた、日本がアメリカに七か国の入国についてはっきり言わない、総理がこれについては内政問題であると言われたことについての御指摘だと思いますが、基本的には今、川端参考人も申されたように、ドイツの場合には二〇一五年で百万人以上のシリア難民を受け入れておりますので、いろいろ自分の国と比較して言い得る立場にあるし、言わざるを得ないと。日本の場合には、基本的に難民をこれまで、日本国民の選択として、ベトナム難民なんかの場合には限定的に受け入れましたが、基本そんなに受け入れてこなかったという背景の下に実は考えざるを得ない点があるだろうと。内政問題もございますけれども、同時に置かれている立場が違うという点はございます。
 第二点といたしまして、実は、私ども、やはり人種差別ということについては非常に難しい歴史がございます。先ほど、ウィルソン大統領、国際連盟をつくりましたけれども、結局アメリカは入らなかったんですが、彼が、ベルサイユ会議のときから、基本的には人種差別反対を唱えました日本の代表に対して反対をしてきた。つまり、我々はずっとそういう問題を抱えながら第二次大戦に進んでいった歴史がございます。カリフォルニアの排日とか、そういうことを考えますと、日本をそういうときに支援してくれた人に対する感謝というものを忘れてはいけないだろうと。
 したがって、例えば、これはアメリカ人内部の話ですけど、日系移民が収容所に入れられたときに反対した人、これはコロラドのラルフ・カーという知事なんかがございますけど、こういう人のことをもっと覚えていなきゃいけない。我々は、杉原千畝のことはユダヤ人にずっと感謝されて覚えておりますし映画もできておりますけど、日本人をいろいろ支援してくれた人のことをもう少し覚えていることによって、ほかの国の人が日本をまた助けようということになるんじゃないだろうかと。
 ほかの国のことも大事でございますが、日本自身のイメージからいってもそういう点は、今、武田委員の言われたこととちょっと私の申し上げていることは違うようでございますけれども、通ずるところがあるんではないかなと思ってちょっと申し上げさせていただきます。
 以上でございます。
○武田良介君 終わります。

すべて表示

関連資料

赤旗記事