国会質問

質問日:2017年 3月 9日  第193通常国会  環境委員会

大型太陽光の規制必要 国立公園の保全を要求

 

  国立公園などでのメガソーラー建設について質問。

 太陽光発電は再生可能エネルギーの普及として重要ですが、メガソーラー建設では自然保護や防災などの問題が各地で起こっています。

各自治体が独自に規制を設けるなど対応をしていますが国では環境アセスの対象にもなっていません。

 東京ドーム40個分の建設予定地で、大規模な伐採、造成が計画されている長野県諏訪市四賀地域の計画を紹介。

敷地内には「特定植物群落」にある湿地が5カ所あり、アセスの対象となっている風力発電施設建設の場合、環境省から「原則、対象事業区域から除外すること」とされる場所であることを指摘。「隣接する国定公園と一体で保全すべき」と迫りました。

 山本公一環境大臣は「懸念はしている」としながら「太陽光発電は一般的に環境影響の状況が著しいと考えていない。現時点でアセスの対象とすることは考えていない。」と答弁。武田議員は「一般的な太陽光発電ではない、メガソーラーで問題が集中している。現実を直視すべき」と迫りました。

 

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今日は、太陽光発電、とりわけメガソーラーの建設についてお伺いしたいというふうに思っております。
 もうすぐ三月十一日でありまして、東日本大震災、それから福島第一原発事故から六年を迎えます。あの震災からの復興は全国の共通の願いだというふうに思います。
 そうした中で、原発事故が発生し、あの事故を契機に原発から再生可能エネルギーへのチェンジを進める流れが生まれているというふうに思います。日本共産党は、再生可能エネルギーの本格的普及へ大きく進んでいくことを呼びかけておりまして、二〇三〇年までに電力の四割を再生可能エネルギーで賄うという目標を持って取り組むことも提案をしているところであります。
 一方で、近年急激に太陽光パネルの設置が進む中で、新たな問題も起こっております。メガソーラーの設置に対してそれぞれその地域の皆さんから反対の声が上がっているケースがあると思いますが、どんな声が上がっているのか、簡潔に御紹介いただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事高橋克法君着席〕
○政府参考人(奥主喜美君) お答えいたします。
 太陽光発電施設の設置工事に伴う影響については、森林の伐採に伴う動植物、生態系への影響などが指摘されていると承知しております。また、設置されて供用された段階におきまして、太陽光パネルの存在による景観などへの影響が指摘されていると承知しております。
○武田良介君 非常にたくさんの問題があると思うんです。そうした中で、再生可能エネルギーを生み出す太陽光発電、これで自然が破壊されているという、こういう問題があると思うんですね。
 そこで、まず確認したいと思うんですが、太陽光発電は環境アセスの対象になっているのかどうか、確認したいと思います。
○政府参考人(奥主喜美君) お答えいたします。
 太陽光発電事業につきましては、現時点では環境影響評価法の対象とはなっておりません。
○武田良介君 アセスの対象ではないと。しかし、実際に見ると、先ほども紹介していただきましたとおり、大変な事態が進んでおります。
 私、地元、長野県でありますが、長野県でも大変多くのメガソーラーの建設計画があります。例えば、諏訪市の四賀地域のメガソーラー計画というのがあります。これは何と百八十九ヘクタールもの土地を使って建設される、東京ドームでいうと約四十個分になるものだそうです。しかも、この百八十九ヘクタール中百八ヘクタールの面積は森林を切り開いて行うものだと。しかも、表土を削って、これダンプ五万台にもなるということですが、発生した残土を計画地内の沢に埋めていくという計画になっていると。八十九メガワットの出力、ソーラーパネルは約三十一万枚以上並べるということだそうです。これで環境影響がないわけはないのではないかというふうに思うんですね。
 この諏訪市四賀地域のメガソーラーの建設地域、私も行ってきました。
 これ確認したいと思うんですが、ここは重要な湿地帯で、国が指定した特定植物群落にもなっているかと思いますが、間違いないでしょうか。
○政府参考人(亀澤玲治君) お答えいたします。
 平成十年度に実施されました第五回の自然環境保全基礎調査におきまして、諏訪高原リゾート開発地内湿原という名称の湿原が特定植物群落として選定をされておりまして、御指摘のメガソーラー計画地内に位置しております。
 当該湿原は、ヌマガヤ、クシノハ、ミズゴケ群落などの長野県内で希少な植物群落が確認され、学術的価値の高いこと等から選定されたものでございます。
○武田良介君 非常に貴重な自然があるということを私も強調したいというふうに思います。
   〔理事高橋克法君退席、委員長着席〕
 資料の一番目にこの地図も付けておりますが、赤で囲ったところが予定地、それから赤い印で示されているところが特定植物群落であります。
 この特定植物群落ですが、調べてみると、風力発電だとか地熱発電施設を建設する際の環境アセス、こういうアセスの際には配慮すべきものとして特別指摘もされ、環境大臣意見でも述べられているというふうに思いますが、これらの事案ではこの特定植物群落をどのように扱っているのか、御紹介いただきたいと思います。
○政府参考人(奥主喜美君) お答えいたします。
 環境影響評価法の対象である風力発電事業等につきましては、その事業の実施区域に特定植物群落が存在するなど、当該事業によって重要な自然環境への影響が懸念される場合には、事業特性や地域特性を踏まえつつ、その改変の回避等を環境大臣意見の中で求めております。
○武田良介君 私が見たところ、例えば北海道稚内市の風力発電事業の配慮書に対する環境大臣意見、これを見ると、以下の区域については原則として対象事業実施区域から除外することというふうにして、その一番目の項目にこの特定植物群落が出てくるというものもあります。北海道の宗谷丘陵の風力発電事業とか、いろんなアセスでこういった意見が示されているというふうに思います。資料にも付けましたが、この予定地にはそういった原則除外すべき特定植物群落が五か所あるということになります。
 さらに、その予定地のすぐ北側、もう少し山の上の方に八ケ岳中信高原国定公園が広がっています。ちょっとこの資料一にはそれを示す線描いていないんですが、事前に環境省にはここが国定公園であるということは確認をさせていただきました。この中にも、池のくるみ湿原という大きな特定植物群落があります。計画地や計画地の中の特定植物群落、ここは国定公園ではないけれども、北側にある大きな特定植物群落、ここは国定公園にもなって保全されているということです。この八ケ岳中信国定公園の環境を守っていく、それから池のくるみの湿原を守る、特定植物群落を守る、こういうためにも、今回のメガソーラーの計画がどうなのかということが今環境省に問われていると思うんですね。
 この八ケ岳中信国定公園、これを環境省はどう評価しているかということですが、環境省はこの国定公園の公園計画の一部変更というのを行っていると思います。その中で理由を挙げておりますが、この理由の部分について、読み上げて紹介いただきたいと思います。
○政府参考人(亀澤玲治君) 八ケ岳中信高原国定公園は、平成二十二年十二月に施設の追加などのために公園計画の一部変更を行っておりますが、その変更理由としては以下のとおりでございます。
 「八ヶ岳中信高原国定公園は、長野県のほぼ中央に位置し、多様な火山地形を有する八ヶ岳連峰とその北西に広がる霧ヶ峰、高ボッチ、美ヶ原などの中信高原にわたる地域で、優れた自然景観を有する国定公園である。八ヶ岳連峰に生育する高山植物、霧ヶ峰高原の湿原植物群落、美ヶ原高原の乾性高原植物など、地域に特有の植生も見られ、多くの利用者が訪れる公園である。 昭和三十九年の指定以降、昭和四十年代から五十年代にかけて利用施設計画の追加が頻繁に行われてきたが、近年、自家用車の普及等による利用形態の変化が見られ、また、中信高原の一部では地域固有の動植物の生息・生育場所である自然環境が社会情勢の変化に伴い失われている。そのため、本公園における適正な保護と利用の促進を図るために公園計画の一部を変更する。」。
 以上でございます。
○武田良介君 読み上げていただいた文書は資料の二番にも付けてありますが、八ケ岳の中信自然公園について自然環境が失われているという認識を環境省自身が持っているということだと思うんです。今回のメガソーラーの計画、先ほども言いましたが、大量に木も切ります、それから表土も削る。当然、地下水の流れが変わって湿原の植生が変わってしまうということも考えられると思うんです。
 先ほども言ったとおりですが、計画地の中に特定植物群落もある。今読んでいただいたとおり、自然環境が失われつつあるというこの国定公園もすぐそばに広がっているわけで、本来であれば、この国定公園を下の特定植物群落を含むところまで広げて、この地域を一体的に保存してしかるべきだというふうに思いますが、環境大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 国定公園を含む自然公園の指定や拡張に当たっては、自然環境が優れていることのみならず、自然公園として保護及び利用することについて地域社会の理解が得られているということが重要であろうと思います。
 また、国定公園区域の指定や拡張には、自然公園法の規定により、都道府県から環境大臣への申出が必要となります。
○武田良介君 それは私ももちろん知っているわけですが、この国定公園のその場にメガソーラーを造るということに対しての、環境を守らなきゃいけないというこの思いをやはりはっきり示していただくことは非常に重要だと思うんです。
 国定公園は長野県が管理する、それはもちろん私も承知しているわけですが、実は長野県は環境アセス条例を既に持っております。このアセスの対象として、明示的に太陽光発電も含んでおります。実は、今回の諏訪市の四賀の計画というのは、長野県の環境アセス条例で初めて太陽光がこのアセスの対象になったという事例です。このアセスの方法書作成に当たって、長野県知事の意見、それから諏訪市長、隣の茅野市長の意見も出されております。諏訪市長の指摘の中には、先ほどの特定植物群落ということの指摘も出てきております。
 今、国は、最初に確認しましたが、環境アセスの対象に太陽光を含んでいないわけでありますが、長野県は先んじて環境アセスの対象にしている。長野県のアセス条例になっているわけで、国も環境アセスの対象に太陽光を含めれば、当然、今回のようなケースもアセスの対象になってくるものだというふうに思います。しかも、諏訪市でも指摘されているような当然除外されるべき特定植物群落、これも含まれているということです。
 大臣にもう一度お伺いしたいと思うんですが、アセスの対象にさえなれば原則除外されるようなところが今回の計画地ではないかというふうに思うんです。環境アセスの対象にこの太陽光も含むべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 環境影響評価法は、規模が大きく、環境影響の程度が著しいおそれがある事業を対象といたしております。太陽光発電は、一般的に土地の形状の大規模な変更を伴わず、供用時における大気汚染物質の排出や騒音の発生が考えにくいことなどから、現時点では環境影響評価法の対象とすることは考えておりません。
 しかしながら、環境省としては、太陽光発電において生じる環境影響を引き続き注視し、必要に応じ対応を検討してまいります。
○武田良介君 影響は決して小さくないと思います。さっきも言いましたけど、もう東京ドーム四十個分のようなところ、木を大量に切ります、で、沢を埋めると。決して影響小さくないと思います。一般的な太陽光ではなくて、やっぱりメガソーラー、ここで今とりわけ問題が集中しておりますので、この現実を本当に見ていただきたいというふうに思います。
 長野県のアセスによる県知事意見、それから市長の意見見ると、様々な懸念が出ています。大規模な災害を誘発するのではないかという懸念もたくさん出ておりますし、それから、計画地は諏訪市ですが、ここから隣の茅野市の生活用水、農業用水が賄われているということもありまして、この茅野市の水源がどうなっていくのか、水資源がどうなっていくのかということも今大変切実な課題になっています。
 それから、住民の皆さんからも私お話聞いてきました。ここは水が非常にきれいでして、湧き水もたくさん出ています。私も行ったときに、わざわざその水をくみに来ている方もいらっしゃいました。それから、農業用水、それもあります。
 それから、災害もたくさん起こっているんですね。戦後、昭和二十年に開墾した際にその地域に水害が起こったという記録があり、昭和四十年頃、それから四十年代の終わりにもゴルフ場の開発があって、そのときに土石流の災害に見舞われた。昭和五十八年になると台風十号というのが来て、このときに川が氾濫したとか、ずっと記録を付けられている方もいらっしゃいまして、災害が続いているこういう地域でメガソーラーの建設だということで、大変これ心配されておりました。平成に入ってやっと、横川川という川がありますが、安心して横川川と付き合えるようになったと思っていたら今度はメガソーラーの建設だということで、大変心配をされておりました。今日は環境委員会ですので、災害だとかこういった点は強く指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、長野県の上田市の真田町というところに計画されている太陽光発電です。これは出力が八百九十九キロワットですので、正確には、一般に一メガワット以上ということでいえばメガソーラーとは呼ばないかもしれませんが、約〇・九メガということでメガソーラーに準ずる規模かというふうに思います。
 まず確認させていただきたいと思いますが、ここは上信越高原国立公園だというふうに思うんですが、その第二種特別地域だというふうに思いますが、間違いないでしょうか。
○政府参考人(亀澤玲治君) 今お話がありましたのは、上田市真田町長地区における太陽光発電の計画地と承知をしておりますが、上信越高原国立公園の第二種特別地域に指定されているところでございます。
○武田良介君 ここは国立公園、いわゆる自然公園であるわけですが、この中に太陽光パネルを設置するということなんです。
 環境省は、二〇一五年五月に、「自然公園法施行規則の一部を改正する省令について」というものの中で、太陽光発電の許可基準というのを示していると思います。読み上げ、紹介していただきたいと思います。
○政府参考人(亀澤玲治君) 国立・国定公園特別地域内の太陽光発電施設の許可基準につきましては自然公園法施行規則で定めておりまして、その主な内容は次のとおりでございます。
 特別保護地区、第一種特別地域内において行われるものでないこと、また、植生の復元が困難な地域等内において行われるものでないこと、土地の形状を変更する規模が最小限であると認められること、主要な展望地から展望する場合の著しい妨げにならないこと、支障木の伐採が僅少であることなどでございます。
○武田良介君 今読み上げていただいた文書も資料の三番に付けております。ここは非常に大事な点だというふうに私も思っております。
 私もこちらも現地に行かせていただきましたが、この許可基準に照らしてどうなのかということがあると思うんです。あの植生の復元が困難な地域、それから野生動植物の生息域、また生育地として重要な地域ということがありましたが、ここはアサギマダラという珍しいチョウも飛んでくるということをおっしゃられていました。このチョウは、台湾だとか南西諸島の方から日本の高原の方に、夏は涼しいところに飛んでくるという、こういう飛んでくるチョウでありまして、七月頃から十月頃まで見ることができたというふうに話される方もいらっしゃいまして、非常に貴重な移動地になっているというふうに思うんです。
 それから、勾配が三〇%を超えないということなんかもここに書いてありますが、もちろんあそこも傾斜地でありましたし、それから、あそこは非常に標高が高くて、約千四百五十メートルという標高の高い地域でもあります。現地の方に伺うと、山家神社奥社への参道でもある、それから別荘地でもある、手付かずの自然を守ってきた先人たちの歴史と文化を無視するものだと、こういう声も現地でたくさん聞いてまいりました。
 環境省にお聞きしたいと思いますが、上田市真田町のこの建設予定地、こうした自然環境を踏まえ、そして先ほどの資料にあるような環境省の許可基準に照らしたら、当然保全するべき地域だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(亀澤玲治君) お答えいたします。
 上田市の建設予定地につきましては、上信越高原国立公園特別地域内ではありますが、一方で、予定地内にはテニスコート等既存施設の跡地も含まれていると聞いております。
 現時点では、事業者から具体的な計画が提出されておりませんので、許可基準に適合するかどうかにつきましては、今後、その提出があれば、現地事務所を通じて確認してまいりたいと考えております。
○武田良介君 私も現地へ行きましたので、ホテルがある、テニスコートがあるというのはもちろん知っております。ただ、計画では、地元住民の皆さんへの説明会では、そのテニスコートやその周りだけではなくて、周りの木もまたやっぱり切り開くということも説明をされておりますので、これは国立公園の中ですから、ならぬものはならぬということをはっきり言うべき問題であると思うんですね。
 それから、一つ指摘をしておきたいと思うんです。
 先ほど読み上げていただいた自然公園での太陽光発電の許可基準というものですが、これは確かに一見規制を掛けているように思えるわけですが、例えば環境ビジネスオンラインというものを見ましたら、これが出された後の二〇一五年五月二十日付けで、特別地域における太陽光発電施設の許可基準について、国立公園、国定公園での太陽光発電、六月から許可基準を満たせば設置可能にという見出しで報道もされておりました。ですから、基準をクリアしさえすれば、国立公園の中でも国定公園の中であっても太陽光発電を設置できるという喜びの声を上げているということになります。現在の許可基準では、国立公園や国定公園を守っていくという、そういう役割は果たせないのではないかということを、これは指摘をしておきたいというふうに思っております。
 それから、この上田の国立公園内の太陽光発電施設の設置について、別の角度からもう一つお聞きをしておきたいと思うんです。
 固定価格買取り制度、FIT法との関係にもなりますが、FIT法は太陽光発電を大きく進める役割を果たしてきたというふうに私も思います。再生可能エネルギーを全量固定価格で買い取るということで、これまでの姿勢を大きく変えるようなものになったというふうに思います。
 一方で、こうした制度を悪用するような形で外資だとかブローカーが入り込んでくるということもあります。伺いましたら、この上田市の太陽光発電の計画についても、先ほどホテルという話がありましたが、元々あずまや高原ホテルというホテルがありましたが、この土地をシンガポールの投資家がオーナーを務める会社が買って、太陽光パネルの設置業者はまた当然別にいて、さらにこの土地を転売、売却していくという、こういう計画になっているということを聞いてまいりました。
 大きく言えば、本当に、土地の購入、太陽光パネルの設置、その上転売ということで、乱開発につながりかねないような形での投資が国立公園の第二種特別地域の中であっても行われているという、やっぱりこういう問題だと思うんです。
 環境大臣にお伺いしたいと思うんですが、これは他の省庁との連携も必要だと思います。再生可能エネルギーの普及を進めながらも環境を守っていく、やっぱりそういう役割を持っている大臣として、自然を破壊するような事業者、乱開発をするような事業者に対して規制強化に取り組んでいく、他の省庁と連携を取って進めていく、こういうことが本当に必要になっているというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 御指摘のとおり、太陽光発電施設の設置による環境影響などについては、関係省庁と連携した対応が重要であろうかと思っております。このため、農林水産省、経済産業省、国土交通省との間で情報交換や意見交換等の場を持ちまして、実態や問題点の把握、関係省庁の取組の共有等の対応に努めてまいりたいと思っております。
 環境省としては、自然環境と地元にも配慮した持続可能な再生可能エネルギーの導入拡大を推進するため、今後とも関係省庁と連携し、適切な対応に努めてまいります。先生御指摘のとおり、私もかねがね懸念をいたしておりました。
○武田良介君 共有するということは非常にもちろん大事だと思いますが、再生可能エネルギーの普及のためだけの共有ではなくて、自然環境を守っていくという上でも連携を本当に強めなければならないというふうに思うんです。
 長野県の上田市、ここは、環境アセス条例ではありませんが、太陽光発電施設の適正導入ガイドラインというものの策定に今入っています。今パブリックコメントを取っていて、来年度から実施予定というふうになると、今そういう段階だというふうに聞いておりますが、資料の四番目にも付けました。
 このガイドラインは、聞きますと、上田市として、太陽光発電施設の設置、その立地についての考え方を表明することが重要だということでこのガイドラインを今進めているというふうに聞いております。防災、景観、環境等の観点から立地が好ましくない、立地を避けるべきエリア、これをレッドエリアとして、また立地に慎重な検討が必要なエリア、これをイエローエリアとして具体的に示しているというのが特徴だと思うんです。事業者が事業用地の選定の際に、その計画地で適地であるかどうか計画段階で判断することができるものとしたいということでした。この資料にもありますが、レッドリストを見ると、国立公園の第二種地域ももちろんありますが、普通地域まで含まれているような、そういうガイドラインであります。
 条例ではなくてガイドラインにしたというのは、ガイドラインであれば現在問題になっているような、今私が紹介したもの以外にも複数この上田市で計画がありますが、こういうものに対しても素早く自治体としても対応ができるからだということでありました。今日紹介した計画も含めて複数の計画がありますので、このガイドラインの策定ということを強調しておきたいと思います。
 それからもう一つ、長野県議会が、昨年十二月の二日、県議会の全会一致で太陽光発電施設建設に係る法整備等を求める意見書というのを採択しています。資料の五番目に付けてあります。
 ここでは、再生可能エネルギーの重要性を指摘した上で、中ほどですが、「一方、建設に当たっては、防災面、景観面の懸念や事業計画に対する情報不足等から、全国各地で地域住民と事業者とのトラブルが多数発生しているところである。」、ちょっと飛ばしますが、「地方自治体の個々の取組では強制力に乏しいため、国全体で設置を規制する制度の確立が求められている。」と、国での制度確立の必要性を指摘をされております。
 環境大臣にお伺いしたいと思います。国全体での規制を掛けてほしいと、その制度の確立が求められていると思います。環境や防災を無視した乱開発に対する規制を検討すべきときに来ているというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) まず、長野県議会から提出されました太陽光発電に係る法整備等を求める意見書は内容を承知をいたしております。その上で、今お尋ねがございました件につきましてお答えをいたしたいと思います。
 太陽光発電というのは、一般的に環境影響の程度が著しい状況とは考えていないため、現時点では環境影響評価法の対象とはしておりません。一方、地域の状況によっては環境影響について懸念されるケースも見受けられ、これらについては全国一律の対応ではなく、自治体による地域の状況に応じた対応が効果的であると考えております。
 環境省としては、自治体における対応を支援するため、太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集を作成、周知するなどの取組を行っているところでございます。引き続き、自治体と連携しながら、自然環境と地元にも配慮した持続可能な再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでまいります。
○武田良介君 メガソーラーの建設計画で今回どういう事態が現地に起こっているのかということを、私、一生懸命丁寧に説明したつもりであります。山を切り開いて沢を埋めて、特定植物群落までどうなるのかという話もしました。地域住民の皆さんの強い声も自治体からの声もお伝えをしました。一般的にどうだという、影響が小さいという話ではなくて、メガソーラーの建設によって今実際にそういう現実が起こっているということを本当に直視すべきだというふうに思います。
 今日紹介し切れませんでしたが、本当に全国各地でたくさん問題になっています。ちょっと時間の限り紹介したいと思います。
 栃木県の鹿沼市と日光市をまたぐ前日光県立自然公園内にもこのメガソーラーの建設があるということです。昨年の十月に計画が明らかになって、住民の皆さんも、建設の差止めを求める署名を短期間に八千七百九十六人分集められております。鹿沼市も、ここは市の総合計画で自然保全ゾーンに指定されていることから、建設に不適だというふうに既に指摘をしているものだそうです。鹿沼市、足利市、栃木市、佐野市、四市長の連名で県知事に対して、県立自然公園条例における規制の見直し、それから県統一ガイドラインの策定を求める意見書というものも上げています。こうした数々の事例を見ても、今、国が本当に規制に対して踏み出すべきときだというふうに思います。
 私は、環境アセスの対象に太陽光発電、とりわけこのメガソーラーの発電、これを加えることということも今日求めましたし、それから国立公園、国定公園内への太陽光発電施設の建設の規制、それから乱開発につながるような、そういう事業者に対する規制の強化ということも求めさせていただきました。今、自治体の努力にも学んで、国も再生可能エネルギーの普及の中でも自然環境を守るために役割を果たされるということを心からお願いをして、質問を終わりたいというふうに思います。

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