災害対策特別委員会で、糸魚川大火で被害に関わって、住民の声に応えた復興街づくり計画の作成や、既存の制度にとらわれず、実態に即した生業(なりわい)支援を求めました。
また、長野の防災ヘリ事故について、山岳県長野に見合った安全対策、パイロットの養成、ヘリの配置を求めました。
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
私からも、冒頭、栃木県の那須町で雪崩が発生し、高校生ら八人が亡くなるという痛ましい事故が発生をいたしました、それから福島県の安達太良山、ここでも雪崩に巻き込まれるという事故が発生をしているというふうにお聞きをしております、亡くなられた方々、また御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。
私からは、まず、先ほどもありましたが、新潟県の糸魚川市の大規模火災からの復興、町づくりの課題についてお聞きをしたいというふうに思っております。
発生から三か月以上が経過をしています。今、糸魚川市では、三月中に瓦れきの撤去を全て終えて、四月からは土地の境界線を確認する作業に入っていくことにしているということであります。そうした中、糸魚川市は、被災された百四十七件の被災者の方から今後の意向調査を行って、今年の八月までに、糸魚川市駅北復興まちづくり計画検討委員会というところにおいて復興まちづくり計画を取りまとめたいと、こういう見通しだというふうにお聞きをいたしました。
糸魚川市の今回の火災では、住宅とともに事業所が大変多く被害に遭われております。住宅兼店舗が被害に遭っているということです。こうした被害状況から、生活の再建とともになりわいの再建が非常に重要になっているというふうにも思います。そのためにも、住民の皆さんの声を聞いて、それを復興、町づくりに生かしていくということが非常に大事だというふうに思いますし、住民参加で取り組んでこそ、この糸魚川の地域の本当の復興になっていくだろうということを考えております。
そこで、まず大臣にお伺いしたいと思うんですが、私も新潟県の地元紙であります新潟日報を見ましたら、糸魚川市の市民の皆さんが、復興へ向けた議論を活性化させようということで住民の皆さんによる連続学習会というのに取り組んでいるという、こういう話がありました。大臣、こういったこの市民の皆さんの取組、御存じでしょうか。
○国務大臣(松本純君) この災害の復旧復興に当たりましては、被災者の方々が一日も早く安心して生活できるよう、住民の皆様の声をしっかりとくみ上げて、夢や希望を持って今後のより良い町づくりを実現していただくことが必要でございまして、この糸魚川市の大規模火災に際しましては、発災後間もなくですが、昨年の十二月二十八日に松本洋平副大臣を団長とする政府調査団を派遣をしまして、被災地の状況をつぶさに確認するとともに、被災された方々や被災事業者の声を直接伺ってきたところでございます。
また、糸魚川市におきましては、本格的な復興、再建について住民意向調査が実施され、この調査も踏まえて復興まちづくり計画を策定することと承知をしているところでございまして、国といたしましても、町づくりに精通した国等の職員を市に派遣するとともに、糸魚川復興まちづくり推進協議会を立ち上げて、国、県、市が一体となって復興に取り組んでいるところでございまして、今後とも、一日も早い新たな町づくりに向けて、糸魚川市の復興をきめ細かく支援するとともに、被災された方々の声を十分にくみ取った上で、今後の災害の復旧復興に適切に生かしてまいりたいと考えているところでございます。
○武田良介君 先ほど紹介しました新潟日報を読みますと、その連続学習会第一回というのが三月十六日に開かれておりまして、ここでは、参加された住民の方から、住民の意見を復興計画に反映させるにはどうしたらいいだろうかという質問が出て、このときに講師に来られていた、阪神・淡路大震災の町づくりに関わった一級建築士の方が来られていたということですが、この方がお答えをなさっていて、復興計画ができれば、どう推進するかを決める委員会ができるだろう、そこに住民代表を入れるよう運動していくことも大切だという趣旨でお話もされておりました。
それから、これもインターネットに出ていましたので読みましたが、糸魚川市の先ほどちょっと紹介しました復興まちづくり計画検討委員会第一回の議事録というのが出ておりまして、私も見ましたが、ここに参加をされている個店の魅力アップ女性の会、個店、個人の商店魅力アップ女性の会の代表の方が、女性の会としてアンケートを行い要望書として提出したいと考えている、提出してもよいだろうかということで、確認をするような発言もありました。それから、今、市の方が一定その復興まちづくり計画の方向性を示されておりますけれども、方針は市の考え方であり、外部からの声も重要だということもこの方は併せて述べておられました。
非常に大事なことだというふうに思うんですが、本当に大事なことは、やっぱり市民の皆さんの、住民の皆さんの声をしっかりと町づくりに生かしていくということだと思いますので、こうした住民の皆さんの声に応えていただきたいというふうに思っております。
もう少し具体的にお聞きしたいと思うんですが、糸魚川市が行った先ほど大臣のお話にもありました意向調査、これを見ますと、全体で六割もの方が再建したいというふうに答えておられると、しかし再建するにも不安があるということでまとめられておりました。例えば、再建費用については、火災保険だけでは不十分だとか、それから銀行の融資を受けることが困難だとかいう話もありました。再建時期については、復興まちづくり計画の早期提示をしてほしいという声、それから土地については、間口が狭い敷地、小規模宅地のため再建が困難だとか、境界の確定の問題、それから借地で地主の意向により再建の方向性が変わるとか、またコミュニティーも、皆さん戻ってくるかどうか不安だということも出されているようであります。
なりわいの再建ということについて見ますと、私も地元の地方議員の方の協力を得て幾つか声をお聞きしましたが、今、貸し店舗の設置ということでも支援が行われていると。新潟県と糸魚川市が、今回の大規模火災を受けて、仮設店舗設置等支援事業というものを行っているということでありました。仮設店舗設置に関する経費について、二〇一七年度末までには月八万円を上限に八割、二〇一八年度は月五万円を上限に五割を補助するというものだそうであります。
私もお聞きした方の中には、この制度も活用して空き店舗を活用した仮設店舗で営業を始めておられる方もいらっしゃいました。ある方は、いち早く町に明かりをともすことが本当に大事なんだと、そういう思いで再建したということもおっしゃられておりました。
ちょっと確認したいと思うんですが、こうしたなりわいの再建、中小企業の皆さんを支援する上で今活用できる制度、どんな制度があるのか、御紹介いただきたいというふうに思います。
○政府参考人(吉野恭司君) お答えをしたいと思います。
今般の火災で被災された中小企業の皆様に対しましては発災直後に相談窓口などを設置しておりますけれども、ここでの相談を受けつつでございますけれども、政府系金融機関、日本政策金融公庫でございますが、による災害復旧貸付け、それから、信用保証協会による通常とは別枠で一〇〇%保証を行うセーフティーネット保証四号適用、こうしたところをしておりますので、具体的なニーズがございましたら使っていただける融資の枠組みないしは保証の枠組みというふうに考えております。
それから、それとは別途でございますけれども、既にある借入金の返済条件の緩和でございますとか、それから火災共済に加入されている方々に対して手続面での特別な配慮をするとか、そうしたところをこういうところまでに取り組んできているところでございます。
以上でございます。
○武田良介君 どうしても融資に関わるところの支援というのが中心になっていくのかなということも感じているんですが、町並みの整備だとかいろんなことを市はこれからも考えておられるようでありますが、今ある制度を大いに活用していくことが非常に重要だというふうに思いますし、一方で、糸魚川の実態に合わせた支援ということも重要だというふうに思っております。
これも市の資料で出ておりましたけれども、この被災地に係る行政区の人口、糸魚川市の中でもとりわけ人口減少が元々進んでいた地域だったというふうにありました。平成十七年度から二十七年度の十年間で百六十九人人口が減少、減少率が一八・一%、市全体の平均が七・四%なので、非常に大きな減少率。高齢化という点でも、高齢化率が四八・八%、市全体の平均が三七・一%ということで、非常に人口減少、高齢化が進んでいた下で復興を進めるという糸魚川の今の実態があると思うんです。後継ぎがいない、そういう高齢者は新たな投資はしにくいとか、やっぱりこういう声も上がっているというふうにお聞きをしておりますので、ここに合わせた支援が必要だろうというふうに思うんです。
私がお話聞けた方なんかは、先ほど賃借料の支援の、県や市が持っているというお話をしましたが、実際に掛かる費用というのはやはり当然それだけではありません。住宅を失うと同時に店舗も同時に失った、併せて仕事に必要な機器なんかも失ったと、倉庫を失ったという方もいらっしゃいます。私がお伺いした方は、そうした機器を新たに整備するのに千二百万円ほど掛かるということをおっしゃっている方もいらっしゃいました。
本当に、住宅とともになりわいが壊されてしまった。今回のようなこういった糸魚川の地域の復興ということを考えれば、こうした機器の支援なんかも含めて直接支援をしていくことが必要になってくるんじゃないかなということを考えますが、これは松本大臣、いかがでしょうか。
○政府参考人(加藤久喜君) 災害の場合の支援ということでございますが、やはり人命第一ということでやっておりまして、その中で、経済的な部分についての支援ということについては、政府の中の支援というのはやっぱり限界があろうかと思いますけれども、しっかり寄り添いながら対策を自治体等連携して考えていくべきものであるというふうに考えております。
○武田良介君 聞きましたら、新聞報道にもありましたけど、義援金なんかも集まっていて、そういった支援をしたいという話もありましたが、被災者生活再建支援法が今回糸魚川の大規模火災でも適用された。これは私も非常に評価をしておりますけれども、それにたとえ義援金を加えたとしても、それだけではなかなか本当に再建していく上で十分な支援になっていかないのではないかということも感じておりますし、そもそも被災者生活再建支援法、義援金だけでは本当に生活再建、支援することができないということで作られてきた、そういう経過から考えれば、新たな支援に踏み出していくということも必要だというふうに思いますので、そのことを求めておきたいというふうに思います。
それから次に、長野県の防災ヘリの墜落事故が起きまして、この問題でお聞きしたいというふうに思います。
まず、亡くなられた九名の方の御冥福をお祈りしたいというふうに思いますし、御遺族の皆さんに心からのお悔やみを申し上げたいというふうに思っております。
今回の事故は、山岳県長野にとって大変重大な問題だというふうに思っています。大きく二つの課題に直面しているというふうに思っておりまして、一つは、長野県に一機しかなかった防災ヘリが失われたということで、当面どうやって対応するのかという問題と、それからもう一つは、今後新しい防災ヘリや隊員をどう確保するのかという問題に直面しているというふうに思います。
まず、当面どうするかという問題ですが、長野県は当面、県警のヘリ二機とドクターヘリ一機、これを大いに活用するとともに隣県に対して応援を要請していくと。ただ、ここにもやっぱり課題があると。今回墜落して失われた「アルプス」という機種は山火事が起こったときに散水ができるという機能を持っていたということですが、県警の二機のヘリはその作業ができない。ドクターヘリも当然できないわけでありますので、そうなると、いざ山火事、大規模な山火事なんということになりますと、近県から支援を求めざるを得ないと。
今、ちょうど二月から五月、この季節が下草の火災だとか林野火災が非常に多いという時期だというふうに聞いておりまして、二〇一五年の三月三十一日は、長野県の岡谷市というところで、墓地周辺から出た火が強風にあおられて山林が延焼して、「アルプス」や自衛隊のヘリも出動したけれども、それでも鎮火に二日掛かった、燃えた面積は大体四十五ヘクタールにもなるという、そういうものもあったというふうに聞いております。
実際、本当に大丈夫かということなんですが、長野県は現在、新潟県、山梨県、群馬県、岐阜県、富山県、静岡県、この六県と応援協定を結んでいると。新たに愛知県、埼玉県とも協定を締結したいということで協議されているということでありますが、こうした隣県でも同時に火災が起こるということは当然あり得るわけですね。長野の応援に行きたいけど、我が県の火災もあるということも当然起こり得るというふうに思うんです。
長野県知事が先日総務省の方に要請もされているということをお聞きしておりますが、非常に重大な問題だというふうに長野県も捉えていると思うんです。こうした当面の課題に対して国としてどう対応するお考えか、お聞かせいただければと思います。
○政府参考人(杉本達治君) お答えをいたします。
長野県の今回の消防防災ヘリの墜落事故に伴います対応につきましては、今先生の方から御指摘いただきましたとおり、基本的には長野県警に残っておりますヘリ二機とドクターヘリ二機を活用しつつ隣県の応援協定に基づく協力ということを仰いでいくということでございます。
特に、今御指摘のございました林野火災への対応についてでございますが、これにつきましても、県警ヘリ、ドクターヘリは対応できませんけれども、通常のとおり、まずは隣県の応援を仰ぐ、その上で、こうした林野火災につきましては、元々、消防組織法に基づきまして広域航空消防応援という枠組みがございまして、これは隣県の事前の応援協定がなくても、それ以外の地域からも消防庁長官の要請に基づきまして各県の消防防災ヘリが来てミッションを行うというふうに制度がございますので、こういったシステムを消防庁といたしましても柔軟に活用しながら対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○武田良介君 長野県庁で開催された災害・救急医療体制検討協議会というものもあったそうでありまして、やっぱり防災ヘリの役割というのは火事だけでは当然ありませんで、その協議会での議論をお聞きすると、医療関係者の方からは、患者さんを別の病院に移送するときに、大きな機器を付けているときはドクターヘリでは対応できないので防災ヘリを使っていたとか、やっぱりいろんな事情があるということもお聞きをしております。これだけあれば大丈夫だと、こういう枠組みがあるから大丈夫だというふうにたかをくくるわけではなくて、更に充実を図っていただきたいというふうに思っております。
それから、もう一つ私が心配しているのは、長野県の山岳県という特徴であります。標高三千メートルを超える山がたくさんあって、乱気流があったりだとか、急峻な山に近づいて救助活動せざるを得ない、やっぱりそういう状況もある下で、近県の防災ヘリがいざ救助というふうになったときに本当に安全に救助活動ができるのかどうか、その点、どう考えておられるでしょうか。
〔委員長退席、理事平木大作君着席〕
○政府参考人(杉本達治君) お答え申し上げます。
山岳の救助につきましては、御指摘のとおり、非常にホバリング、ホイストを行う場合でも、大変操縦が難しい状況になるということでございます。これらにつきましては、まず第一に県警のヘリの出動を仰ぐということで承っているところでございます。その上で他県の消防防災ヘリの応援要請をするということでございますが、その他県から応援を受ける場合におきましても、まずは山岳救助に十分な経験を有しているとか、又は近隣での活動もしている、例えば北アルプスであれば富山県とか、南アルプスであれば山梨県とか、こういった経験が十分に豊富にある県の航空隊に対応してもらうということを長野県としてお考えであるというふうに伺っているところでございます。
消防庁といたしましても、長野県の防災航空体制の当面の代替措置が安全第一に行われるように、地元の意向も伺いつつ、必要な助言、支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○武田良介君 是非よろしくお願いしたいと思います。
時間が来たので、今後どういうふうに体制を構築するかということを十分聞けませんけれども、そういう山岳県長野での防災ヘリ、また航空隊の訓練等、特別な事情があるというふうに思いますので、そういう点を大いに踏まえたパイロットの養成や防災ヘリの配備等々、よろしくお願いしたいということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。