国会質問

質問日:2017年 4月 6日  第193通常国会  環境委員会

原子炉規制法等の一部を改正する法律案 反対討論

原子炉規制法等の一部を改正する法律案について、原子力発電所等の検査を事業者任せにし、事故防止のための国の責任を放棄するものなどとして、反対討論を行いました。

 

 

 

議事録

○武田良介君 私は、日本共産党を代表して、原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、本法案にある原子炉等規制法の改定が、原子力発電所等の検査を事業者任せにし、事故防止のための国の責任を放棄するものだからであります。
 改定は、施設の安全確保に対する事業者の一義的責任を明確化するという理由で、事業者自らが検査を行うよう義務付け、国は事業者が行った検査をチェックし、その結果に基づいて総合的な評定を行うというものです。
 福島第一原発事故の根底にあるものは、重大事故に至れば炉心溶融が起こることを知っていながら、その対策を事業者任せにしてきたことです。国会事故調査委員会報告書も、規制当局が事業者のとりことなり、規制の先送りや事業者の自主対応を許し、国が自らの責任を回避してきたことが事故の背景にあると指摘をしました。審議の中でも、東京電力は柏崎刈羽原発の免震重要棟が基準地震動に耐えられないという解析結果を隠していた問題を明らかにしました。
 原発の再稼働にひた走る電力事業者に検査の一義的責任を持たせることは許されません。事業者任せの検査の見直しは、福島原発事故の教訓をないがしろにし、過去の検査制度の改定の経緯にも逆行するもので、認められません。
 第二は、放射性廃棄物の埋設処分規制が不十分だからです。
 今回の改定では、低レベル放射性廃棄物の浅地中処分、トレンチ処分とピット処分についての見直しは全くなく、公衆への被曝防止や環境汚染防止の対策として問題があります。浅地中処分に対して、遮断型構造による施設建設など強化を図る規制を加えない改正は不十分です。
 第三に、放射性物質であるRIの防護は当然必要です。
 しかし、本改定では、物質防護に加え、二〇〇五年に原子炉等の核物質防護の強化で原子炉等規制法に導入された国家公安委員会との関係が持ち込まれています。これは、犯罪捜査でもない警察官の質問に返事をしなかっただけで罰則を設けるなど、警察による人権侵害、大学、研究機関の自治への介入が懸念されます。研究活動の自主、民主、公開の原則にも反するものであり、認めることはできません。また、内部脅威に対応するとして原子炉等で始められている信頼性確認制度などの導入に道を開くもので、容認できません。
 最後に、本法案は、原子炉等規制法、放射線障害防止法、放射線基準法の三法を束ねた法案であり、本来、立法機関である国会で法案ごとの審査を要するものであり、このような法案の提出の在り方を改めるべきことを申し添えて、反対の討論といたします。

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