各会派からの意見表明があり、日本共産党の武田良介議員が発言。これまで調査会をふまえ、北朝鮮情勢をめぐって緊張が高まり、外交交渉による解決が求められる中、日本は、憲法9条を持つ国として、憲法の立場での外交が求められ、そうしてこそ、核兵器を持たない国として、国際社会の信頼を得て、世界の永続的平和の寄与できると発言。各国の連携と、日中韓の共同の歴史研究、NGO、議員の役割の重要性についても発言しました。
議事録
■「外交能力及び戦略を向上させるための取組の課題」について■
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
今回のテーマであります「外交能力及び戦略を向上させるための取組の課題」について意見を述べさせていただきます。
まず、国際社会の現状について述べます。
米国がシリアへのミサイル攻撃を行い、北朝鮮問題についてはトランプ大統領が全ての選択肢がテーブルの上にあると述べ、北朝鮮情勢をめぐって緊張が一気に高まる状況にありました。一方で、四月二十八日に国連安保理で開かれた北朝鮮の核兵器開発問題を協議する閣僚級会合では、国連のグテレス事務総長が、国際社会は緊張関係を管理し、緩和する取組を強めなければならないと各国に自制を求めました。北朝鮮問題の外交交渉による解決を求める発言も各国で相次ぐ状況です。
こうした情勢を念頭に、以下、二点に絞って意見を述べます。
第一に、日本は、世界に先駆けた憲法九条を持つ国として、日本国憲法の立場での外交が求められていると考えます。
参考人からは、日本の憲法の平等や正義、人権が国際的に理解された日本の普遍的な価値で、これを全面的に打ち出すことが日本にしかできない外交であるという意見や、また、海外でのNGOの活動について、日本ならではの支援というブランドがある、日本には多様な価値観を体現できる国であることが求められているという意見も寄せられたとおりです。
第二に、こうした外交を進める上で、各国が自国主義を強める中、NGO、議員の役割が重要だということです。
NGOについて、参考人からは、ドイツに一部で広がった排外主義を啓蒙活動で落ち着かせた取組だとか、米国で政治家の誤りに積極的に声を上げていく活動などが紹介されました。
議員の外交については、参考人から、政府だけでは国の政策がしみ渡らない、議員間の話合いは結果につながりやすく、広く理解が涵養されるという意見も寄せられました。
政府による外交はもちろん、市民やNGO、国会議員の外交、国際交流も含めた取組がその国の多様な理解につながると考えます。こうしたことを踏まえ、日本政府自身がNGO、議員とも連携をして、国際問題での武力によらない解決、非核化、対話促進など積極的な役割を果たすことが今、日本の外交に求められていると考えます。
以上です。
■「信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題」について■
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
「信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題」について、三点意見を述べます。
第一に、日本政府として、先ほども述べましたように、憲法九条を持ち核兵器を持たない国として、日本国憲法の立場に立った外交こそ、国際社会での信頼を得ることができるし北東アジア始め世界の永続的平和に寄与することができるというふうに考えます。
今、国連で核兵器廃止の議論が始まっています。被爆者の皆さんや国際社会が求めてきたのが核兵器の廃絶です。これは、北朝鮮の核開発を許さない上でも大変重要な国際社会の動きだというふうに考えています。
この核兵器の廃絶、北朝鮮の非核化に対して日本政府がどのような役割を果たすかについて、参考人からも、日本は核を持っていない国ですので、その発信するメッセージとして核を持っている国が発するメッセージとまた違うメッセージになるし、また具体的にも日朝平壌宣言の実現という観点から積極的な役割を果たしていくことができるという意見が寄せられておりました。これは国際社会の流れとも一致した大変重要な方向性だと考えます。
第二に、そのためにも各国間の連携を強めていくことが非常に大事だということです。
参考人からは、北朝鮮で壊滅的なことが起きないようにしなければいけない、力と力の対決ではいい結果を生まないという意見も寄せられました。もし朝鮮半島で武力衝突が発生するという事態になれば、日本も含めて関係各国が巻き込まれていくことになってしまいます。そうした事態を回避するための粘り強い交渉の努力と各国の連携を強めることが必要と考えます。
第三に、日中韓の連携を強める上で、私は日本の侵略戦争の歴史に正面から向き合うことが必要だと考えています。そのためにも、歴史的事実に基づく共同の歴史研究と、それに基づく歴史認識は重要だと考えます。
参考人からも、専門家による共同研究はやるべきだという意見、それから、戦後史に関わる部分での共同研究には難しさがあるが、実際、近代史については相当日本の研究者と中国の研究者が交流をやっている、最初はクローズドでやらなければしようがないと考えているということも率直に話されました。
既に始まっている専門家による共同研究は、市民やNGOなども含めた外交、それによるそれぞれの国への多様な理解にも通じるものとして、私は大変注目をしていきたいというふうに思っております。
こうした相互対話を通じて互いの認識を深めながら、今直面しています北朝鮮問題の解決のためにも、外交、対話による努力、非核化に向けた努力を強めることが大切だというふうに考えております。
以上です。