国会質問

質問日:2017年 4月 26日  第193通常国会  国際経済・外交調査会

日本外交の在り方 「日韓、日朝関係」参考人質疑

 「アジア太平洋における平和の実現、地域協力及び日本外交の在り方」のうち、「信頼醸成と永続的平和の実現に向けた取組と課題」に関し、「日韓、日朝関係」について参考人質疑を行いました。

 

 

 

 

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今日は、三人の参考人の先生、大変お忙しい中、ありがとうございます。
 最初に、小針参考人にお伺いをしたいというふうに思っておりますが、先ほど藤田先生の方からもありましたが、カール・ビンソンが海上自衛隊と共同訓練をするということで日本海に入るのではないかという報道もあるわけですが、非常に威嚇的な行動というふうに取られかねないような、そういう状況があるかなというふうに思っておりますし、私も、威嚇的ということになりますと憲法にも触れてくるような、そういうものになってしまうのではないかということも懸念しているわけでありますが、小針参考人が日韓の互いの眺め合いということもお話しいただきました。そういう関係から、今回の事態が日韓関係にどういう影響を与えるというふうにお考えか、まずその点をお伺いしたいというふうに思っています。
○参考人(小針進君) 今のこのお話のあった問題なんですけれども、韓国の中でもメディアで二つ、ちょっと分かれていまして、一つは、韓国の大統領選挙が近いので、それをちょっと、例えば左派的な大統領の誕生を阻止するために緊張をあおっているんじゃないかとか、いや、そうではない、米韓同盟あるいは日米同盟考えたら当然の動きなんだという、ちょっと二つの見方があります。
 そのときに、日韓関係の影響というのはなかなか直接的には何か議論になるようなことはないのですが、ただ、韓国の中で、米韓関係維持するにはやっぱり日韓関係も連動するんだ、重要なんだという議論は起きていますので、その部分では影響するんでしょう。
 それから、あともう一つは、今のその日本人の退避の問題なんかで、日本の飛行機、自衛隊の飛行機なんかが入ることに関しての抵抗するようなやっぱり議論というのもありますし、ただ、どちらかというと、米韓同盟重視派というのはそういう飛行機は当然なんだという議論もあるし、その辺、非常に韓国の中でも日本を見る目がそれぞれ立場によって違うという、そういう現象があるということだけ紹介させていただきます。
○武田良介君 ありがとうございました。
 次に、平岩参考人にお伺いしたいと思うんですが、この調査会のテーマでもあります信頼醸成だとか永続的平和ということで、私自身そういうことを考えるときに、北朝鮮の核兵器の廃絶、北朝鮮に限らず世界中の核兵器廃絶ということはやっぱり永続的平和ということを考えても非常に重要ではないかなということは考えておりまして、報道等でもずっとありましたけれども、先日、国連の会議で、核兵器の禁止に向けた交渉開始ということで会議も始まっております。日本政府は出なかったということはあるわけでありますが、しかし、世界中はそういう方向に大きく動いてきたということがあると思うんです。
 そういう中で、これから日本としてどういう役割を果たしていくのか、北朝鮮の核兵器廃絶を進めていく上でどういう役割を果たし得るのか、その点、お聞きしたいと思います。
○参考人(平岩俊司君) 非常に難しい問題だと思うんですけれども、核の枠組みというかレジームというのは、そもそも論として非常に不平等なことを前提に成立しているレジームでありまして、ある瞬間に核を持った国は持っていてもいいけれども、それ以外の国は持たない。その例外事項というのは幾つか出てきて、例えばブラジルだとかインドであるとかパキスタンであるとかというような国が持ってしまっているという、あとイスラエルですかね、そういうような状況が生まれるわけで、北朝鮮からすれば、アメリカやフランスやイギリスや中国、ロシアと一緒じゃないとしても、インドやパキスタンが持っているのになぜ我々が駄目なんだという、そういう理屈になるんだろうと思いますね。
 そういう意味では、やはり日本は核を持っていない国ですので、そういう立場からこのレジームを維持し、当然、核を持っている国も減らしていくというその努力をするという、努力目標ですけれども、核を持っていない立場でのこのレジームを維持し、なおかつその例外事例を許さないというような働きかけ、それはその発信するメッセージとして核を持っている国が発するメッセージとまた違うメッセージにもなるでしょうし、それから、具体的にも、北朝鮮との交渉でいえば、もちろん北朝鮮自身が核の問題に関して日本と余り交渉しようとしませんけれども、これは粘り強く北朝鮮に、日朝関係の改善の前提というのは、御案内のとおり、小泉総理が北朝鮮を訪問されたときの日朝平壌宣言というのが基本になっているわけですから、日朝平壌宣言の実現という観点から積極的な役割を果たしていくということができるんだろうというふうに思っております。
○武田良介君 今の関わりでお聞きしますと、やはり日本は、核保有国ではない、そして唯一の被爆国というやはり特別の位置にあろうかというふうに思うんです。その国連の会議は今度七月にまた開かれるということでありますので、この七月に向けて、本当に当面する数か月の間ですけれども、非常に日本の立場が重要になろうかと。日朝平壌宣言という話もありましたし、六か国協議という枠組みの中で対話による解決を目指していく、それが今の北朝鮮の緊張状態を解決していく上でも、日本がそこに積極的に関与して解決していく上でも重要かというふうに思いますが、この数か月間、とりわけどういうことが大事になるか、御意見を伺えればと思います。
○参考人(平岩俊司君) やはり、アメリカの今行っているような圧力路線というのがどういうような形で着地していくのかということと、それから中国がどういう形でアメリカと北朝鮮の緊張関係を折り合いを付けていくのか、恐らくそこが要注目であって、今の場合、残念ながら日本が単独で何かやれるということではありませんので、これはやはり日米関係の枠組みの中で、まあ韓国が次の大統領選挙で新しい政権ができれば韓国も含めてということですけれども、やはり、今の段階でいうと、日米関係の枠組みの中で、アメリカの北朝鮮に対する経験不足、これを補填し、なおかつアメリカを通して日本の国益なり立場というものが北朝鮮の核問題に反映されていくような、そういう関わり方をするということが重要なんだろうと思っております。
○武田良介君 最後に李参考人にお伺いしたいと思うんですが、今そういったことで非常に朝鮮半島をめぐって緊迫しているということで、お話にもありましたが、拉致問題なんですけれども、こういった緊張関係が高まり対話をしていくという枠組みがうまく活用できないということになってくると拉致問題の解決が難しくなってしまうのではないかというふうに考えますが、その点の御所見を伺いたいと思います。
○参考人(李英和君) おっしゃるように、今回の核危機の高まりで私が一番心が痛んだのは、拉致問題の解決が近づくんじゃなくて遠のいてしまったということの一点に尽きるというふうに思います。
 北朝鮮が今回、四月に北朝鮮の国会に当たる全国人民代表会議で外交委員会なるものを新たにつくって、外交交渉に積極的に乗り出すつもりじゃないかという解釈がありますけれども、私はそうは思っていません。今回の外交委員会の新たな設置が日本との交渉、拉致問題の解決につながるという可能性、私は極めて低い、むしろ、あの外交委員会をつくって外交をやるというポーズの真の意味は、先ほど申し上げましたけれども、堂々たる核保有国になったんだから核保有国としての外交をこれからやりますよと、拉致だの制裁だの核だの四の五の言わずに、国交正常化をして賠償金を支払えというような姿勢で臨んでくるというその宣言ではないかというふうに私自身は解釈をしています。難しい。
○武田良介君 ありがとうございました。
 時間ですので終わります。

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