土壌汚染対策法の改定は、汚染された土壌を臨海部の工場などで掘削・盛り土する際の届け出について、「工事毎に、事前に」から「年1回程度、事後に」へ変更するものです。
武田議員は「産業界の要求に従って規制強化の流れを転換するものであり、国民の健康の保護に反する」と批判。また、基準値を超える汚染物質を含む土壌が野ざらしにされるなど不適正処理の事例が頻出し、対策を求める世論が高まったことから規制が強化された法の経緯に逆行すると指摘しました。
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議事録
■参考人質疑■
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
土壌汚染対策法の改正案について質問いたします。
土壌汚染対策法は、先日の参考人質疑にもありましたが、築地市場の豊洲移転問題にも関わって、非常に国民が注視している問題だというふうに思います。今回の法改定も十分に審議する必要があるだろうというふうに考えております。
二〇〇二年に法律が作られて、二〇〇九年に法改正がされたと。二〇〇九年の法改正の際には、自然由来による汚染土壌も本法の対象とされた点、それから、汚染土壌の搬出時に汚染処理業者への処理の委託義務が課された点、さらに、これまで廃止時だけだった調査を見直して形質変更時にも調査を課すといった改正があったというふうに思います。
まず最初にお聞きしたいのは、どうしてこういった改正がなされたのかということであります。この二〇〇九年の改正の背景について、まず説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
前回、二〇〇九年の土壌汚染対策法の改正の背景ということでございますけれども、まず、土壌汚染対策法の施行から六年がその時点で経過をいたしておりまして、その間、法に基づく土壌汚染の調査、対策とは別に、自主的に土壌汚染の調査、対策が広く実施されるようになってきたということがございました。一方で、残土置場や造成地等において、土壌汚染地から搬出された汚染土壌が不適正に処理をされるという事例が見られたということも挙げられます。
こういう状況に鑑みまして、土壌汚染の状況の把握のための制度の拡充、講ずべき措置の内容を明確化するための規制対象区域の分類、汚染土壌の適正処理の確保に関する規定の新設等の法改正が行われたものでございます。
○武田良介君 汚染土壌の不適正処理の事例があったということでありましたが、これ具体的にどういうものがあったのか、御紹介をお願いします。
○政府参考人(高橋康夫君) 前回の改正の背景となりました汚染土壌に関する不適正処理事例でございますけれども、例えば、東京都内の残土置場の残土から環境基準を超える六価クロムが検出をされ、それが一年以上放置されていたという事例が平成十八年七月に起こってございます。また、千葉県内の残土の一時堆積場所に持ち込まれた土砂の一部について、環境基準を超えるヒ素が検出されたという事例が、これは平成十八年十月でございますけれども、起こってございます。こういう事例が挙げられます。
このため、前回の法改正においては、規制対象区域内の土壌の搬出の規制や、搬出土壌に関する管理票の交付義務、搬出土壌の処理業についての許可制度等が導入されてございます。
○武田良介君 六価クロムやヒ素が出てくると、そういう事例があったからこそ二〇〇九年の法改正がなされたんだというふうに思います。
この二〇〇九年の法改正というのは、先ほども若干言いましたが、三条調査、有害物質を使用する特定施設の廃止時の調査、いわゆる三条調査など、これは、事業所の廃止時のみという、ちょっと幾つか不十分さは残しているなというふうには思いつつ、全体として見れば、各地で汚染実態が国民に広く認識される中で規制強化の内容を持っていたというふうに私は思いますし、不十分ながら土壌汚染の実態をつかむ方向で環境行政も動いていたのではないかと、それが実際の流れだったというふうに考えておりますが、環境大臣はこの二〇〇九年の改正についてどのような認識をお持ちか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(山本公一君) 前回改正では、土壌汚染の状況の把握のための制度の拡充、講ずべき措置内容を明確化するための区域の分類、汚染土壌の適正処理のための仕組みの創設など手当てがされたところでございます。
過剰な土壌汚染対策を防止するための区域の分類を設けたことなど、リスクに応じた規制の合理化も含まれておりますが、前回改正は総じて規制の強化であったと思います。
○武田良介君 総じて規制の強化であったということです。
しかし、今回の法改正は規制緩和の内容が盛り込まれております。午前中の質疑にもありましたが、例えば形質変更時要届出区域の汚染土壌でも、自然由来又は埋立由来の汚染土壌であれば形質変更時の事後届出を認めるということ、それから汚染土壌の搬出時の処理業者への委託義務について、同程度の汚染であれば汚染土壌の処理を業者に委託しなくてもよいという、こういう規制緩和が含まれております。
問題は、こうした不適正な土壌汚染処理に対して規制強化を進めてきた環境行政のこの流れを変えていいのかと、こういうことだというふうに思います。
具体的に、今回の法改定の中身について議論していきたいというふうに思います。
まず、改めて、今回の規制緩和に係る要求はどういうところから出てきたのかという問題です。中環審の土壌制度小委員会の議事録を見ますと、日本経団連、石油連盟、それから千葉県経済協議会、こういった方々が規制緩和を求めておられます。
議事録読みますと、石油連盟の方は、コンビナートのように石油からナフサを作って石油化学工場に渡して、そこからまた石油化学工場で樹脂等の材料になるようなものを作って繊維だとかそういうところに渡してと、こういう一連の企業群でプロセスが構成されているようなところにおきましては、一企業が土壌汚染等の対応で時間を取っているとサプライチェーン上に支障が出てくるというようなことがございますと、コンビナートの状況を述べられております。
サプライチェーンのために土壌汚染対策に時間を掛けられないということをおっしゃっていると思うんですが、結局、今回の土壌汚染に対するこの規制緩和、これ産業界が求めていると、こういう理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
産業界等からの規制改革の要望というのがあったわけでございまして、これを受けまして、平成二十七年に閣議決定がされました規制改革実施計画におきまして、臨海部の工業専用地域の土地の形質変更及び自然由来物質に係る規制の在り方について、人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とする観点から検討し結論を得るということが定められております。また、中央環境審議会における検討過程におきましても、産業界や自治体からは様々な要望がございました。
これらを受けまして、臨海部の工業専用地域の事後届出の特例及び自然由来等による汚染区域間の土壌の移動を可能とすることを含む今回の改正案に盛り込んだものでございます。
ただし、この特例の措置につきましては、これまでの審議でも答弁させていただいておりますけれども、汚染の拡散リスクが高まらないように、都道府県知事による確認等、様々な手続を義務付けているところでございます。
○武田良介君 こうした要求から今回の規制緩和が動き出しているわけであります。
具体的に、まず第十八条の改正、自然由来の汚染土壌から同一地質の自然由来の汚染土壌への移動、搬出、これを可能にする、また形質変更から形質変更へ可能にする、こういった十八条の改正についてであります。
法改正考える上でまず確認したいと思いますが、土対法に基づく調査には三つあろうかというふうに思っております。三条による有害物質使用特定施設の廃止時の調査、いわゆる三条調査、それから三千平米以上の土地の形質変更を伴う場合の調査、いわゆる四条調査、そして都道府県知事が人の健康に被害が及ぶ可能性ありと考えた場合に命じるいわゆる五条調査の三つがあろうかと思います。これらの調査が行われた結果、基準不適合となった土地が要措置区域又は形質変更時要届出区域に指定されることになろうかというふうに思います。
これらの調査は、指定調査機関が行って、そして十メートルメッシュで調査される、十メートル単位で指定がされていくということになります。資料の一に図としてはイメージ図が出ておりますが、そういった十メートルメッシュで区切って指定していくと。ですから、例えば三千平米以上の土地の形質変更を行う、そういう事業がある場合に、十メートルメッシュで形質変更時要届出区域が指定されて形質変更時要届出区域同士の移動が可能になると。
この臨海部のコンビナートでありますが、どこが自然由来の汚染土壌なのか、また埋立由来の汚染土壌なのか、また操業によって汚染された土壌なのかと。また、それらが複雑に混ざり合っているというのが今の現状、実態ではないかというふうに思いますが、現状に対する認識、いかがでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) 現状の土壌、特に今の御指摘ですと、形質変更時要届出区域等におきましては、当然、人為由来の汚染もあれば、自然由来、埋立材由来の汚染もあるということで、そういうものが両者あるということかと思っております。
○武田良介君 実態としてやっぱり入り交じっていると思うんですね。小委員会の議事録を見ても、石油連盟の方自身が、自然由来、埋立由来、操業由来の区別が難しいと石油連盟の方もおっしゃっておりますので、実際はそういうことになっていると、判断を付けるのは非常に難しいという状況があろうかと思うんです。
コンビナート内には、今話があったように、形質変更の区域もあれば、要措置区域もあれば、自然由来、操業由来、埋立由来、いろいろある。今回の法改正は、こうした移動を自然由来同士とか形質変更時要届出区域同士であれば可能とするということですが、実際はごちゃごちゃとして混然一体となっているわけですから、これ操業由来とかという区別なかなかできないと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) 今回の見直しにつきましては、まずは、臨海部の工業専用地域につきましては、そこで飲用井戸がないとか、水を飲んでいないというようなことでございますし、そういう周辺の状況を含めて、その土地の汚染状況がまず専ら埋立材由来あるいは自然由来であるというようなこと、それから、地下水や土地の利用状況について見ると、それは人の健康被害を生ずるおそれがない土地である、具体的には臨海部の工業専用地域の土地であると、こういうことでございまして、そういうところにおいて適用するというものでございます。
先ほど、いろいろ混在しているんではないかというような御指摘ございましたけれども、基本的な考え方として、そこに、対象とするかどうか検討をしている工業専用地域の土地において、そこで過去において明らかに工場の操業に由来する人為的な汚染があるというようなことが地歴調査等で確認できれば、当然そこは対象としないということでございまして、その辺の具体的な判断の基準についてはしっかりと、その現場の状況もよくお聞きして、合理的な判断基準を定めて運用を適切にできるように、そういう基準をしっかりと決めていきたいというふうに考えております。
○武田良介君 ちょっとすっきりしない説明だと思うんですね。明確に操業由来だと分かれば、それはもちろんそうですけれども、そうじゃない場合、結局どうなのか。それは合理的な何らかのものを作るということをおっしゃいましたけど、実際には混然一体となっているということもおっしゃいました。
そうしたらやっぱり判断付かないんじゃないかと思うんですが、今回の法改正でそういうこと可能になるんでしょうか。やっぱり分からないんじゃないかと思うんですが、もう一度御説明いただいていいですか。
○政府参考人(高橋康夫君) 混然一体という言葉で何を、どういう意味かというのは、ちょっと解釈によるかと思いますけれども、いずれにしましても、そういう様々な臨海部の工業専用地域もいろんな状況あると思いますけれども、そういう状況も踏まえて、その辺の判断が的確にできるように、何といいましょうか、不適切なリスクの拡散がないように、その辺はしっかりと判断ができるような基準を、現状の現場をよくお知りな方のお話もよく聞きながら、審議会でもきちんと議論をして基準を決めていきたいというふうに考えております。
○武田良介君 混然一体のその言葉が何を意味するかというか、実態としてやっぱり混然一体となっているわけでありまして、今の説明ではどうやって区別が可能なのか、非常に私は疑問に感じております。
なぜこれ繰り返し聞くかといいますと、やはり臨海部のコンビナートなどを中心にかなり高濃度に汚染されている可能性は高いんじゃないかというふうに思っております。
今回、千葉県のコンビナートの要望ということもありましたが、千葉のコンビナートも操業中のために実際には今調査されていないエリアがほとんどだという現状ですが、今後こうした土地も形質変更することになれば調査が行われ区域指定もされていくことになるかと思うんですが、現行法だと移動、搬出の際に汚染処理されるものを、今回の法改正ではそれを免除することになるわけですね。
先日の参考人質疑の中で、水谷参考人も意見陳述の中で、例えば豊洲では、ヒ素についてはその近辺の溶出量十倍以下であると一律に自然由来扱いされ、処理対象から外されたと、こういう指摘もありました。自然由来扱いにされてしまう、混然一体とした中でされてしまうと、こういうことが実際に起こっていると。実態は混ざって高濃度に汚染されていても一律に自然由来としてしまう、そういう危険性があるということをこれは指摘をしておきたいというふうに思います。
それから、搬出、移動に関わる規制について環境省にもう少しお伺いしたいと思いますが、資料の一をもう一度見ていただきたいと思うんですが、これは論点整理で出された資料です。
この資料を見ますと、指摘事項のところに、飛び地になって区域指定されている区画について土壌の移動の特例を設けてほしいとの指摘があるということで、その下のところに、汚染土壌の飛び地間で移動することはできず、オンサイトで措置をする場合に、自主申請、法十四条で一連の区域となるよう区域指定を受けなければならないというふうに書いています。
この下の図を見ますと、緑色の四角の部分、ここは、元は基準適合区画だが、法十四条を申請して区域指定を受けた単位区画というふうに書かれておりますので、つまり飛び地で区域指定がされている、そこを移動させるために自主調査をして間をつなげて、元は安全な土地でも区画指定をしたらつながるから汚染土壌も移動させることができるということを紹介している。この資料の意味していることはそういうことで間違いないでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
現行のこの法第十四条の自主申請制度でございますけれども、これにつきましては、土地所有者等は、自主的な調査の結果、土壌の汚染状態が基準に適合しないと思料するときには、都道府県知事に区域の指定を申請することができるということとなってございます。また、都道府県知事は、当該調査が公正に、かつ環境省令に定める方法により行われたものであるというふうに認められるときには当該土地を区域指定することができるということで、いわゆる自主調査に基づく区域指定という仕組みがございます。
したがいまして、この飛び地になっている区域間の土地について自主申請が行われ、その結果、都道府県によってその区域指定がされたという場合には、この区域内の移動については、事前の届出を行うことにより汚染土壌の移動が可能になるということでございます。
○武田良介君 可能になるということです。
それから次に、資料の二です。こういう資料もあるんですが、前回の法改正が行われた後、これは平成二十三年七月、環境省の土壌環境課が「土壌汚染対策法の自主申請活用の手引き」というものを出しております。今説明のあった自主申請、資料にはありませんが、位置付けというところに書かれているわけですね。法改正により、自主的に土壌汚染の調査をした結果を用いることで、形質変更時要届出区域等に自主的に申請することができるようになったというふうに言って、本手引は自主的な区域指定の申請のメリットと留意点を整理し、本制度を有効に活用していただくことを目的として策定しているというふうになっています。
中身を見ますと、資料に付いておりますが、例えばメリット六、「管理している土地の形質の変更の円滑化」ということで、その中身ですが、概要のところに、現在工場等が操業している土地において工場等を含め広い面積を形質変更時要届出区域に指定されることにより、将来工場のリニューアル時など掘削を伴う土地の形質の変更をするときでも、区域内で土壌を移動させるのであれば法第十六条の搬出の届出を行う必要はありませんというふうに書いています。
つまり、メリット六は、先ほどは通路のようにつなげるということでしたが、工場も含めて広く全て指定をしてしまえば、今後も、将来も安心して形質変更ができると、汚染土壌も手続なく運べる、だから自主調査で本基準を満たしているところでも広く指定をしましょうということを言っていると思うんですが、この資料はこういう読み方で間違いないでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
事業者がこの資料の二にございますような事業場の敷地全体について、自主的な調査の結果、土壌の汚染状態が基準に適合しないということで思料する場合に、全体についてこの指定の申請を行うことができるわけでございます。この結果として、都道府県により形質変更時要届出区域に指定された場合には、この区域内における土壌の移動については、もちろん移動の際には形質変更の届出が必要になりますけれども、そういうことを行うことによって実施することが可能になるということでございます。
○武田良介君 間違いないと確認したいと思います。
もう一つ、事前にお聞きもしましたが、飛び地になっており、間をつなげようと、今紹介したような例、こういうときの自主調査でつなげるという話、十四条に基づいてつなげるという話でしたが、これは実際のボーリング調査でサンプリングをするだけで、それは必ずしも必要ではなくて、その前に行う地歴調査だけを行った段階で都道府県知事に区域指定を申請し、許可を得れば指定することもできると、現在の土対法でそういうスキームになっているということもありました。この点確認したいと思いますが、よろしいでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
この土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査でございますけれども、調査対象地における有害物質の使用状況等の地歴調査、これを行った上で、汚染のおそれがあると認められる特定有害物質の種類について試料採取、測定を行うということになってございます。
ただし、この調査実施者は、これらの土壌汚染状況調査の全部又は一部の過程について省略をする代わりに、これはもう安全サイドでこの基準に適合しない汚染状態であるというふうにみなすということが可能になってございます。
したがいまして、この法第十四条の申請における自主的な調査におきまして地歴調査までを実施をいたしまして試料採取等を省略した場合であっても、都道府県知事が、当該調査が公正にまた省令で定める方法によって行われたと認められるときには、当該土地を区域を指定をして、当然区域指定をすればそこは管理をしなきゃいけないわけですけれども、そういうことをすることができるということになってございます。
○武田良介君 地歴調査だけでも指定ができるということだと思うんです。やっぱりそういうことだと思うんですね。現行法でも、形質変更時の届出区域と形質変更時の届出区域の間に通路のようにつなげるとか、その周りも含めて広く指定をする、しかもそれは地歴調査だけでも区域指定することができる、それさえすれば移動ができるという、現行法でもそうなっているということだと思うんですね。
ちょっと一つお聞きしたいんですが、今安全側に考えるという話もありましたが、安全だと元々言われている区域を危険だというふうに指定できる理由がいま一つ分からないところがありまして、なぜ三条、四条、五条の調査での十メートルメッシュで確認したときに、そのときに不適合のところは指定するわけですが、自主調査のときは何でそこを指定できるのか。これはどういうふうに考えるんでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) 調査の結果、汚染がないとされたという区画であっても、その後区域指定をすることによって、そうなりますと形質の変更の事前届出や外部に搬出する際に当然そこの区域にも規制が掛かるわけでございますけれども、そういう規制を掛けた上で、元々あったその汚染の確認のされた区域とも合わせて全体としてその汚染の除去等の措置を講じることにより効率的な対策が可能になるという場合もありますので、そういう形での、当初汚染がないとされた土地の区画についてもこういう形で法第十四条による区域指定をやるということを認めているということでございます。
○武田良介君 大きく考えたら安全側に考えて指定するということなのかなというふうに思うんですが、メリット六ということで資料に示したもので言われているのは、環境省による手引としてそうした区域を全部指定しようというふうに言っているのであって、やっぱり全部指定してしまえば区域の移動が自由にできると、こういうメリットがあるからそういうことを紹介しているんだと思うんです。
やっぱり私、問題だと思うのは、このメリット六として進めていることは土対法の精神に照らしてどうなのかということがやはりあると思うんです。この資料は今から六年前に作られたということになりますけれども、今から振り返ってみたら、現場では形質変更時要届出区域が飛び地で存在した、移動させることをしたいと思うが汚染処理しなければならないと、こういう不都合が生じたときに、それを解決する手段として、一つは、この資料でも示されているように、全て指定してしまいましょうとか、又は通路のようにつなげてしまいましょうと、こうやってそれを解決するというやり方があった。もう一つのやり方は、今回の法改正ということになるんじゃないか。形質変更時の届出区域同士であれば、要措置区域同士であれば移動を認めるという、今回の法律を変えてしまうと、この二つのやり方があった。当時からそういうことがあったというふうに見られてもこれは仕方がないんじゃないかというふうに思うんです。
そうなると、飛び地で不都合がある場合の規制緩和を先取りするような手引を環境省自身が進めていたということになるんじゃないかというふうに思うんですが、これはいかがでしょうか、局長。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
若干繰り返しになってしまいますけれども、地歴調査を行って試料採取等を省略した場合についても、基準に適合しない汚染状態にあるとみなして区域指定を行うことが可能ということでございます。十四条の自主申請によって区域指定を行うことによりまして、この試料採取を省略した区域についても当然これは規制が掛かりますので、形質変更の事前届出でございますとか、外部搬出に関する規制を掛ける、その上で、そういう規制を掛けた上で汚染土壌の移動や汚染の除去等の措置の効率的な実施を可能にしているということになります。
ということでございますので、確かに現状、この規制を、今回の法改正によってある意味二つのやり方が、選択肢が出るということになるかもしれませんけれども、これは土地の利用状況でございますとか汚染の状況、その土地を管理する方の考え方によって選択ができるということになるかもしれませんが、それはどちらにも一定の合理性があるんだろうというふうに思っております。
○武田良介君 二つのやり方があると。今回のは規制緩和なわけですから、それを先取りするような形でやっていたと、こういうことだと思うんですね。汚染処理業者を通さなくても搬出、移動できるという点でやっぱり同じ方向性を持っているということだと思うんです。
今回の法改正によって、将来、先ほどの資料にもありましたが、大規模なリニューアルが行えるようになると。今回の法改正は、産業界だとか千葉県の商工労働部、経済協議会、こういったところが求めたものですが、今後さらに、例えば豊洲のような臨海部の大規模なコンビナートがあるようなところ、ああいうところでも、たとえ高濃度に汚染されていても将来の大規模なリニューアルがしやすくなると。豊洲のことを考えても、最たる例だと思うんです。そういう法改正であることは間違いないというふうに思いますし、規制緩和を環境省自身が進めるような、そういう姿勢ではならないということを指摘しておきたいというふうに思います。
それから次ですが、今回の改正で、臨海部の形質変更時要届出区域の中で形質変更を行う際の規制緩和、事前届出を事後届出にするという十二条の改正があります。この問題は、単なる手続を緩和するということだけで済ませられる問題なのかどうかということが問題だと思っています。届出を受ける都道府県は、事前にどんな形質変更がされているか、これは確認できないことになるわけですね。実際に工事が終わった後に事業者が提出する書面などで確認するしかないというふうに思います。
先日の参考人質疑で、水谷参考人が官製土壌ロンダリングということで指摘をされました。具体的に二つのことをお話しされておりました。一つは、東京都が、東京ガスが汚染を除去したと二〇〇七年の専門家会議が始まるまではそう説明してきたが、深度方向の汚染のボリュームをコントロールした、つまり汚染が発見されないように小さく見せたという偽装があった。それからもう一つは、指定調査機関に指示をして、最初から汚染区画を外していた、汚染区画外しを行っていたという偽装。こういう二つが指摘されました。
今回の法改正は、形質変更を行う際の規制について、一年ごとの事後届けで構わないとするものですから、こうした法改正でこうした官製ロンダリングとも言われる状況を更に広げることになってしまうのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
今回のこの十二条の事後届出の特例でございますけれども、まずそういう特例の対象となり得る土地というものをかなり限定をしているということがございます。その土地の汚染状態が専ら埋立て材由来又は自然由来である土地であると。それから、地下水や土地の利用状況に応じて決まる人の健康被害が生ずるおそれがない土地、具体的には臨海部の工業専用地域の土地と、こういうことで非常に限定を掛けるということがまずございます。
その上で、今回のこの事後届出の特例を受けようとする者はあらかじめ都道府県知事の事前確認を受ける必要がございます。それは個々の工事ではございませんけれども、その工事全体の方針について、それと、どういう内容でどういう形でどういうやり方で例えば汚染の拡散を防止するのかと、こういうことについての方針について事前の確認を受ける必要がございます。その方針に基づいて形質変更を行う必要があります。
また、区域内の土地を外に搬出する場合には原則として処理施設における処理を義務付けるということでございますし、運搬の基準の遵守でございますとか、管理票による移動の管理を義務付けるということで、万が一にも特例を受けた土地から外部に汚染が拡散するということがないような、そういう必要な措置もきっちりと講じるということでございます。
さらに、万が一のことでございますけれども、必要があれば都道府県が報告徴収や立入検査を行うというようなことも規定もございますので、こういう二重三重の手続を備えることによって新たな環境リスクが生じないということを確保した上で、こういう特例を認めるという考え方に沿っているものでございます。
○武田良介君 ずっと話されましたが、まず前提という話でもありました自然由来、それから埋立て由来、そういう前提もあるという話から始まりましたが、そもそも、先ほども言いましたけど、混然一体としてごちゃごちゃして分からない、どうやって判断付けるのか、合理的な判断基準は今もないわけであります。ずっとお話ありましたが、現実には本当に大丈夫なのかという国民的な疑念がやっぱりあろうかと思うんです。
先ほどの話にもありましたが、都道府県が判断するという話もありましたが、例えば豊洲の問題でいえば、東京都は、地下に盛土はしました、安全ですという説明をしてきたけれども、実際は空洞だったわけです。東京都でこういうことが行われたということが分かって調べたら、地下水も汚染されていた。いろんな問題が明らかになりましたが、こうした豊洲の問題を見ていれば、都道府県に対して形質変更の計画を出させる、それから最後確認をするという話もありましたが、それをやると言われても、本当に大丈夫だろうかと国民の皆さんが疑問に思うというのは、これは当然のことだというふうに思うんです。
今の答弁では何ら水谷参考人が指摘した官製土壌ロンダリングという問題を回避することには決してならないだろうというふうに思っております。
そうした事業者の自主的な計画だとか年一回の事後の届出という話でありますが、そういう事業者が信頼足るものかどうかと、やっぱりこういうことも問われていると思うんですね。こういう中で、豊洲の問題を通じて今国民的にこの問題が突き付けられているんだというふうに思うわけです。
形質変更の届出の工事の後、一年ごとに届出をするという改正、今回の十二条の改正で本当にいいと考えているのか。この問題、やっぱり大問題だと思うんですが、環境大臣、この点でいかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) ただいま局長が答弁したように、今般の事後届出の特例には、汚染の拡散リスクが高まることがないよう必要な措置が講じられていると考えております。御指摘のような問題が生じないよう、法の適切な運用に努めてまいりたいと思っています。
○武田良介君 いや、今の答弁と同じでは、やっぱりこれはちょっと国民的疑念がどうしても払拭できないと思うわけです。
やっぱり、都道府県知事といっても、書面で確認するしかない、疑念持ったとしても、形質変更の後ですから、もう建物が建っているとか少なくとも基礎工事ができているとか、そういう状況の下で本当に大丈夫なのかということ、今の豊洲のような状況で確認することができるのかどうか。
事後届出にするということになれば、汚染処理を事業者任せにしてしまう、その責任を曖昧にしてしまうということであって、これは断じて許すことはできないということを指摘しておきたいというふうに思いますし、こういう責任を曖昧にして、第二、第三の豊洲問題を起こすようなことがあってはならないということを言っておきたいというふうに思います。
それから、そもそも調査そのものが信頼できるものか否かという問題もあると思うんです。
参考人質疑の際にも、水谷参考人から調査そのものの信頼性ということで指摘もありました。形質変更時の届出区域であれば十メートルメッシュで調査するというわけですが、その十平方に対して深さ一メートル、ここでコップ一杯分の調査で本当に分かるのかと、こういう指摘がありましたが、これに対して環境省はどういうふうにお答えになりますか。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
土壌汚染状況調査におきまして、十メートルメッシュに一か所の試料採取としているということについてでございますけれども、汚染は一定の広がりを持って存在するということが一般的でございまして、百平米に一地点の密度で調査を実施をすれば汚染が存在した場合にほぼ発見ができるということを踏まえたものでございます。また、この十メートルメッシュに一か所といっても、それは真ん中で必ずやるということではなくて、汚染のおそれが多いと認められる地点があればその地点で採取をするということとしてございます。
土壌汚染の調査に当たっては、汚染を的確かつ合理的に把握するということができるように調査方法を定めております。現在、十メートルメッシュでやってございますけれども、今後とも、より良い調査方法とするための技術的な検討については継続をしてまいりたいと考えてございます。
また、深さ方向の話もございましたけれども、ボーリングによって試料採取を行う揮発性有機化合物の場合、この深度方向の調査については、帯水層の底面が地表から十メートル以内に確認された場合には帯水層の底面も試料採取の対象とするということで、揮発性有機化合物が停滞しやすい地層等を考慮するということにしてございます。
またさらに、要措置区域における措置の実施に当たって、汚染範囲の把握を行う場合には深度十メートルに限らず調査を行うことといたしまして、また、必要に応じて地層の状態も考慮したより詳細な試料採取を行うような指導もしているところでございます。
○武田良介君 豊洲は、あの参考人質疑の際にも資料で提出されましたが、本当にあちこちで点々といろんな汚染物質が高濃度で発見されているわけです。東京ガスがあそこで石炭を蒸し焼きにしてガスを取ると、そのときにコールタールが地面にどんどんと垂れ流されていった、そういうことから広がった実態であります。もうこれは明らかになってきていることですが、発がん性物質であるベンゼンが一月の調査では七十九倍、三月のときには百倍ともいう量で検出されたわけであります。参考人質疑の際に佐藤参考人も全て取り除くことは不可能だとおっしゃっておりましたが、そういう汚染が豊洲では実際に広がっていると。
それだけ高濃度の汚染があっても実態を正確に把握することができない、そういう調査であっては決してならないというふうに思います。これだけの汚染があったことは明らかになったし完全に取り除けない、今後はそうした土地で形質変更する際に自主的な計画を事業者に出させて年一回の事後チェックと、これで本当にいいのかということが今回の法改正で問われているというふうに思います。
今回のこういった改正は、汚染土壌対策に対してフリーハンドを与える、事業者に対してフリーハンドを与えるものとなって容認できないということを言わなければならないし、豊洲の教訓に学べば今回のような規制緩和は絶対許されないというふうに思います。
ちょっと角度を変えてお聞きしたいと思うんですが、リニア中央新幹線の建設が進んでいます。これは、南アルプスを貫通する大量の残土処理をどうするのか、こういうことも問題になってきます。ここには様々な汚染物質が含まれているわけです。岐阜県だとか愛知県でも既に確認されています。
これ、まず一つ確認したいと思うんですが、土対法では、三千平米以上の開発に対しては土対法上の対象になるということですが、リニア中央新幹線によるトンネル掘削、これは対象になるのかどうか、簡潔にお願いします。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
リニア中央新幹線のトンネル工事に伴う発生土でございますけれども、区域指定されていない土地からトンネル工事によって土壌の搬出がされたという場合には、この搬出された土壌については土壌汚染対策法の対象にはなりません。
○武田良介君 ならないということなんですが、実際には、トンネルかなり長い区間掘るわけですから、大量に残土も出てまいります。
本来であれば、こういった汚染物質が出てくる、これを土対法の対象にもしてしっかり調査していくべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) ちょっと今答弁が舌足らずでございましたけれども、リニア中央新幹線のトンネル工事に伴う発生土につきましては、平成二十六年の環境影響評価法に基づく環境大臣意見と、それからそれを勘案した国土交通大臣意見におきまして、その汚染状態が土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合しないおそれがある土壌については、運搬及び処理に当たりまして土壌汚染対策法の規定に準じて適切に取り扱うということを事業者であるJR東海に求めてございまして、JR東海はこの大臣意見を踏まえて発生土に含まれる重金属等の調査を行い、汚染土壌が確認された場合には運搬及び処理に当たって土壌汚染対策法に準じて適切に取り扱うこととしているというふうに承知をしてございまして、責任ある事業主体として適切に対応していただきたいと考えているところでございます。
○武田良介君 アセスという話もありました。環境影響評価という話もありましたが、アセスだけでは実際には不十分だと思うんですね。実際に、大規模な開発、いろんなアセス、大臣意見も出ておりますが、これだけでは全く不十分というのが現在の実態だというふうに思います。この土対法の改正ということを考えても、自然由来であっても、人の健康に対しては埋立由来も操業由来でも関係ないと、自然由来の汚染土壌も土対法の対象にしようということで改正してきた、やっぱりこういう経過もあるわけですので、そうした点を踏まえればきちんと土対法でも見ていくべきだということを思います。
それから、二十七条の五の改正に関わって、今のお話に関わってお聞きしたいと思うんですが、二十七条の五、これは国及び地方公共団体が汚染土壌処理業者とみなされる規定でありますが、リニアの問題は今一つの例として出しましたけれども、大規模工事なんかで発生する自然由来の汚染物質を含んだ発生土、今後、これを公共事業として埋立事業ができるようになるということになると思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) 土壌汚染対策法に基づく要措置区域等から排出される汚染土壌につきましては、これまでは原則として許可を受けた処理が義務付けられておりますけれども、本改正案二十七条の五ですね、この特例、改正案が成立いたしますと、都道府県知事との協議が成立した場合、国や自治体等が行う水面埋立て等による汚染土壌処理が可能になるということでございます。
ただし、当該処理につきましては、その処理のための構造要件など詳細については、環境リスクが生ずることのないようにしっかりと検討して適切な基準、技術的な基準を定めてまいりたいというふうに考えております。
○武田良介君 そういう基準を設けても使うことができるということになるわけであります。
私、心配しておりますのは、要は今回の二十五条の改悪がどういう事態を招くかということが問われていると思うんです。各地で大型公共事業が行われて土壌汚染が発生しても、都道府県知事と国が協議をして合意をすれば今のような埋立処理ということができるわけですから、これからは、今回のような法改正がされれば、国と地方公共団体が処理できるという法的な裏付けを持ってどんどん大規模な開発を進めることができると、進めやすくなるということだというふうに思いますが、こういう理解で、環境大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) この法がいいかげんに活用されるということ自体が私はあり得ないとは思っておるわけでございまして、法がある以上、事業者はやっぱり縛られていくんだというふうに私は認識をいたしておりますから、本改正案において国と都道府県との協議が成立したときに処理業のそういうあれは私は起きてこないと思っております。
○武田良介君 あり得ないということは、そう思うのはあれですけれども、実際に法律が変わってそれを使おうと思えば使える状況になると、そういう法律作るということになれば、これはやっぱり規制緩和になるわけですから、環境省の姿勢としてあり得ないという判断だけではやっぱりこれはまずいのではなかろうかというふうに思うんです。
最後に大臣に一問だけお伺いしたいと思うんですが、今回の法改正、事後届出の問題にしても移動や搬出の際の汚染処理をしなくても済む問題にしても、事業者の責任、汚染者負担の原則、やっぱりこれを曖昧にするような、そういう規制緩和を含んでいる、ここが大きなポイントだろうというふうに思うんです。こういう汚染者負担の原則、これにのっとって汚染を適切に処理をして汚染を広げないということが土対法の目的でもある国民の健康を保護することにもなるし、大きく見れば自然環境を守っていくということにもなるというふうに考えます。
大臣、こういう法改正でいいんでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 先ほども申し上げましたとおり、事業者の方々にとりまして、やっぱり法に適応した処理をしていないと、この問題というのは、土壌というか土地というのは私有地だということを考えていきましたときに、その私有地の価値がどんどん下がっていくということに相なるわけでございますから、当然事業者であるならば、自分の資産というものの価値を高めるためにも法は守っていく必要があるんだろうと私は思っております。
○武田良介君 法律を守るって、それはもちろん当然のことなわけですが、産業界を含めて要望がずっと出されてきて、そして今回の規制緩和の内容盛り込まれているわけですから、そこはきっと大丈夫という話では、これは私はならないんだろうというふうに思っています。
そういった問題を指摘をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
■反対討論■
○武田良介君 私は、日本共産党を代表して、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
土対法は、国民の健康の保護を目的とし、二〇〇二年に成立しましたが、調査義務対象が限定的であるなど不十分さがありました。この反省に立ち、二〇〇九年の土対法改正で形質変更時の事前届出制や汚染土壌搬出時の処理業者への委託義務など規制を強化しました。本案は、こうした規制強化に反発をした経団連や鉄鋼、石油、化学などの産業界の要求に従って汚染土壌処理対策を中心に規制を緩和するものです。
以下、反対の理由を述べます。
第一に、本案は、現行では形質変更時に事前に届け出なければならないところを、自然由来等の汚染による土壌であれば年一回程度で事後に届け出ればよいとするものです。
沿岸部の企業の敷地内では、長年の事業活動により排出された操業由来の汚染物質やしゅんせつ土などの埋立材由来の汚染物質、そして自然由来の汚染物質が混然一体となっており、汚染が操業由来か自然由来かの判断は実態としては困難です。このような状況の下で形質変更時の事後届出制を認めれば、操業由来の汚染土壌の事業者処理責任を曖昧にし、事業者の身勝手な形質変更による利活用が可能になることは豊洲の例を見ても明らかです。
第二に、本案は、汚染土壌の搬出に係る汚染土壌処理業者への委託義務の例外として、敷地内の自然由来等汚染土壌間の移動や、一つの調査結果によって指定された同じ種の指定区域間での土壌の移動を挙げています。
土対法では、汚染土壌処理業者への汚染土壌の処理の委託義務が掛かっています。これは都道府県から許可された処理業者が汚染土壌の処理を責任を持って行うことで汚染土壌処理が適切に行われるよう担保する仕組みです。本案で例外を設けることは事業者による不適正処理を助長するおそれがあり、容認できません。こうした規制緩和は各自治体が行ってきた土壌汚染対策を弱めることにつながりかねません。
第三に、本案では、国等が行う汚染土壌の処理の特例を設け、汚染土壌を公共事業等に再利用することができるとしています。
道路や堤防などへの汚染土壌の再利用は、災害時における流出や雨水等による浸透の可能性があり、汚染の拡散につながります。本案は、土壌汚染対策強化に逆行し、国民の健康にも反しています。このような規制緩和で第二、第三の豊洲を生み出してはなりません。
以上の理由から本案に反対を表明し、討論を終わります。