国会質問

質問日:2018年 2月 14日  第196通常国会  国際経済・外交調査会

再生可能エネルギーへの転換を 北朝鮮問題で文韓国大統領「日本も積極定対話を」

環境問題・気候変動等への対応について参考人質疑が行われ質問。

国立環境研究所の江守正多氏は、調査会の中で、CO2排出ゼロには社会的大転換が必要。パリ協定の合意は人類が化石燃料文化を今世紀中に卒業しようという決意。今後エネルギー革命みたいなものが起こることを国民一人一人がどう考えるかが重要。石炭火力は減らし、今世紀中には再生可能エネルギーに置き換えることが必要になってくると述べました。

武田議員は「海水面上昇で沿岸部が水没し、アフリカではそこに住む貧困層が影響受ける」と、途上国の事例などについて質問。江守氏は、紛争等に発展するような食料、水、安全保障等の問題が特に途上国で起こっていると指摘される。国際的に深刻な問題が起こった時、日本にとっても人ごとではないということ含め議論するのが大事と述べました。

参考人質疑後、外務省が北朝鮮問題への主な対応について説明。武田良介は、外務省配布資料に基づき、9日韓国平昌で行われた日韓首脳会談について説明を求めました。鯰博行外務大臣官房参事官は、会談で文在寅大統領から安倍首相に「日本も積極的対話に乗り出してはどうか」という発言があったと説明。武田議員は「非常に重要なやり取りだ。国際社会の中で、日本に対して対話に乗り出すことを望む大きな流れに注目したい」と述べました。

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2018年2月14日 国際経済・外交に関する調査会参考人質疑 武田良介議員の質問

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今日は、三人の参考人の先生、本当にありがとうございました。
 まず、江守参考人にお伺いしたいと思うんですが、私、COP22の会議に参加をさせていただきまして、その際にも途上国の方がその会議で発言をされて非常に印象を持ったという経験があります。例えば、海水面が上昇することで沿岸部の農村なんかが水没するんじゃないかと。とりわけ、その御発言されていたアフリカの国では貧困層がそういった沿岸部に住むという傾向もあるので、先ほどの話じゃないですが、責任持たない者が影響を受けるということだとか、食料や水の供給の流れがまた変わってしまって、そういった食料や水を争う形での紛争、大小はあれですけれども紛争に発展しているという告発等々もありました。
 やっぱり、現地で当事者の方からお話を聞くというのは非常に私も印象を持ちまして、先ほどの話でも必ずしも全員がそういった気候変動に対する認識持たなくても変化進むことはあるというお話でしたけれども、多ければ多い方がいいということもありまして、参考人がIPCCの報告書の執筆にも関わってこられているということですので、そこら辺の途上国でのそういった具体的な事例といいますか、そういうのを幾つか御紹介いただければというふうに思っております。
○参考人(江守正多君) ありがとうございます。
 僕自身は、その途上国での事例、具体的に今ちょっと特にこれがということではないんですけれども、自分の認識として非常に強く思っておりますのは、おっしゃっていただいたように、紛争等に発展するような食料、水や安全保障の問題が特に途上国で起こっていること。よく指摘されますのは、シリアの内戦が始まったときに、記録的な干ばつによる深刻な食料不足というのがその引き金ないしは拡大要因の一つとしてあったということを考えますと、それが地球温暖化のせいで起こったとは言いませんけれども、地球温暖化が進んでそういう地域で干ばつが増えるであろうことは予測されていますので、やはりそういう意味を含めて我々はこの問題を考えるべきではないかと。
 つまり、日本で議論していると、つい日本の気候がどうなって、日本の農業がどうなって、災害がどうなるか、それももちろん大事なんですけれども、国際的にもっと深刻な問題が起こったときに、日本にとってもそれは何らかの意味で人ごとではないということを含めて議論するということが大事なんだろうというふうに思っております。
○武田良介君 ありがとうございました。
 もう一つ江守参考人にお伺いしたいんですが、先ほどの気候変動に対する日本のネガティブなイメージに関わるのかどうか、江守参考人が環境技術会誌というところで書かれている中身の中に、気候変動の懐疑論が、先ほども少しありましたけれども、国際社会に一定あると。米国においては三つの理由があるということがそこで言われておりまして、産業界の反対という点、それから新自由主義などの発想に基づいての反対、それからキリスト教原理主義の発想なんかに基づいて、神が創ったこの変動に対して手を入れられるのかというようなことがあると。
 これはアメリカにおいてということだったんですが、例えば日本ではその懐疑論というのはどういったものから出てきているのか。今の懐疑論の現状ということもありますけれども、先ほどの話に絡むのかどうかも分からないところもありますが、日本ではどうなのかということをちょっとお聞きしたいと思っております。
○参考人(江守正多君) ありがとうございます。
 懐疑論は、日本では二〇〇七年、八年ぐらいに非常にそういう本がたくさん売れたりした時代があったんですけれども、その後、地球温暖化問題自体が世の中の議論において非常にバックグラウンドに引っ込んだようなところが、余り関心が表に出てきていないようなところがあって、懐疑論自体も余り派手には聞こえなくなったところだなというふうに思っているところです。
 当時、非常に、その懐疑論的な本を書いていた方というのは、何か気候とは違う専門分野の学者の方であるとかそういう方が多かった印象で、その方のお考えもあるとは思いますけれども、やはり引用しているものなんかを見ますと、アメリカで申し上げたような三つぐらいの理由で出てきている組織的な懐疑論の影響を受けていると。つまり、インターネットで検索すると、アメリカではこういう議論がある、温暖化はうそであるということが分かったみたいなことというのはいろいろ出てくるわけで、それを無批判に引用して日本の世論にも影響を与えていた部分があったと思います。
 その後、実は日本において一つ特徴的だったのは、三・一一の東日本大震災以降、原発反対の人たちが非常にたくさん発言するようになってきて、その人たちが温暖化懐疑論を支持したような現象が見られたというふうに観察しています。それは、地球温暖化問題というのが原発推進の口実であると、そういうような見方で、原発に反対するんだったら温暖化というのは疑うと。原発御用学者と温暖化の科学の御用学者を同一視するような、あるいは国家権力に対して一般的に敵視するような、そういった流れの中で、かなり温暖化懐疑論に傾倒した人が出てきていたように見えます。
○武田良介君 そうすると、その批判というのは必ずしも科学的ではないというか、科学の分野ではあらかたもう決着が付いている話ということでいいんでしょうか。
○参考人(江守正多君) これはいろんな言い方ができると思いますけれども、もちろん気候科学者の立場から言えば、IPCCの報告書にまとめられている世界中の科学者が書いた論文を基にして出ている結論というのが非常に信頼性の高いものだと思っています。
 もちろん自然現象ですので一〇〇%理解したということはあり得ないので、まだ分からないことがあるじゃないかということは、もちろん原理的にゼロにはなりません。しかしながら、現在分かっている時点の知識で、先ほど少なくとも申し上げた二つのこと、二十世紀後半以降の世界平均気温の上昇の主な原因が人間活動であること、これからも人間活動によってほっておけば気温が上昇すること、これは僕個人としては疑いはないというふうに思っています。
○武田良介君 ありがとうございました。
 金子参考人にもお伺いしたいと思うんですが、国際海岸クリーンアップだとか、取組もずっと紹介されまして、非常に大切な取組だなということを思いながら聞かせていただきましたけれども、この間ニュースの報道なんかで、EUなんかが二〇三〇年までに段階的にゼロにしていくと、プラスチックの、何ですか、包装なんかを減らしていくというのが発表されました。報道で、イギリスのスーパー経営している会社なんかも段階的になくしていく、他のスーパーでも同様に取り組んでほしいというようなことを報道で見たんですけれども、その受け止めといいますか、そういうものが広がってきた要因といいますか、取り組んでこられたお立場からいかがでしょうか。
○参考人(金子博君) もちろん、一昨年、三重で会議を開いたときに、ヨーロッパの関係、NGOの方も招いてお話を聞いたことがありますけれども、やはりNGO、NPOが研究者たちの知見も使いながら問題を対処していかなければいけないという社会的な運動みたいなところもあったかと思いますし、ただ一方で、温暖化対策の話と絡んでくるんですけれども、もう脱石油の時代だろうということに切り替えて、石油資源を使うということではなくて、一旦外に出た石油資源を再活用するというふうに、循環経済の方が、もうシフトを変えていくというふうにかじが切られているという、そういった大きな流れも背景にあると思います。
 その上で、特に海ごみの主たるものがプラスチック製品なので、そこに結び付けた政策ということで展開され始めているというふうに考えています。
○武田良介君 ありがとうございました。
 時間が来てしまいまして、濱田参考人にもちょっとお伺いしたいことあったんですけれども、これで終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

(中略)

○武田良介君 今、政府の方から北朝鮮問題の主な対応についての説明ということでありました。いただいている資料の四ページのところですけれども、二月の九日、平昌で日韓の首脳会談が行われた資料がありました。文大統領が、南北対話が非核化をぼやかしたり、ちょっと時間の関係で全部は読まないですが、云々と、非常に重要な発言だと思っているんですが、この後、日本も積極的に対話に乗り出すことを望む旨発言があったというふうに記載がありますけれども、ここの部分をもう少し具体的にといいますか、前後どういったやり取りでこういう会話になったのか、もうちょっとお聞かせいただければというふうに思います。
○政府参考人(鯰博行君) 日韓首脳会談の御指摘の部分につきましては、まさにここに書いてあるようなコンテクストで文在寅大統領の方から、南北の対話について、今動いておりますけれども、これは非核化をぼやかしたりするものではないということ、非核化は最終的にはそこにつながっていかなきゃいけないということを言い、南北が動いているコンテクストで日本も積極的に対話に乗り出してはどうかと、別なところに米朝のことも書いてありますけれども、アメリカも対話してはどうかと、そういう発言があったということでございます。これは特段反応はなかったと思いますけれども、こういうようなコンテクストで発言されたものです。
○武田良介君 ありがとうございます。
 非常に重要なやり取りだろうなというふうに思っております。やはり北朝鮮の問題を解決していこうというときに、ミサイルを撃ち込ませない、核を使わせないという、やっぱりそのことを何より大事に考えれば、対話による解決ということがどうしても必要だろうというふうに思いますし、国際社会の中でアメリカや北朝鮮も含めて韓国もこうした発言がある、そして日本に対して対話に乗り出すことを望むということが大きな流れとして生まれてきているということに注目をしたいというふうに思っています。
 それから、糸数議員にお伺いしたいと思いますが、今日の報告の最後のところで、主にワシントンでの調査というところで、普天間基地を始めとする沖縄の米軍基地問題を解決することが不可欠であるということを訴えてきたけれども、更なる理解を深めていただく必要性を痛感しましたということでお述べをいただきました。
 私も、沖縄のこの間の実情、米軍のヘリが墜落するだとか不時着するだとかいうことがずっと繰り返されてきた中で、非常に、国内はもちろんですけれども、国際社会としても一定注目があったのではないかなというふうに思っておりましたし、たしか沖縄県の翁長知事もアメリカに行かれて沖縄の実情を伝えるということもやってこられたかというふうに思いますが、しかし、ここでは更に理解を深めていただく必要性を痛感したということでありましたが、なぜ痛感されたのかというか、その具体的なやり取りといいますか、どういったものがあったのか、もう少しお話しいただければというふうに思います。
○委員以外の議員(糸数慶子君) ありがとうございます。
 この報告書の中にもやり取り多少書かれておりますけれども、やはりまずユン国防次官補代理、やっぱりアメリカの……(発言する者あり)国務次官補代理ですが、アメリカの目線で見ていらっしゃるので、沖縄での事件や事故、承知はしているけれども、やはり戦略的にはこの沖縄に基地を置くという、まずそういう視点での対応でした。
 日本にいらっしゃるときに是非沖縄まで足を伸ばして見ていただきたいということを申し上げました。県民がどのような状態で今暮らしているか。先ほど委員からもありましたように、とりわけ最近での米軍の、例えばオスプレイあるいはまたCH53、墜落があったり、あるいはまた、昨日も集会がありましたけれども、緑ケ丘保育園という宜野湾市にある保育園にヘリの方からの落下物、普天間第二小学校へのヘリの窓が落下したという、それもその後起こっておりますけれども、しかし、それ以前に起こった事件や事故に対する状況を細かく話しましたけれども、ただ沖縄にはまだいらしたことがないということでして、一応これまでの県民の立場や事件、事故に対する流れは分かっていらっしゃると思いますが、やっぱり現実に現地に足を運んでみないと分からないと思うので、是非来ていただきたいということを申し上げました。
 それともう一つ、シンクタンクでお話を申し上げましたところ、こちらの立場をしっかり申し上げましたが、やはり立場の違う研究所なので、ある意味なかなか理解が得られなかったというのも現実に感じました。もっと足しげく通ってきちんと実情を訴えるべきだなということを強く感じた次第です。
 以上です。
○武田良介君 ありがとうございました。
 やはり、ただ沖縄の問題ということだけではなくて、やはり米軍の問題、日本の安全保障、安保条約だとか日米地位協定含めて、まさに国際的な課題だというふうに思いましたので、聞かせていただきました。ありがとうございました。

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関連資料

赤旗記事→「文氏「日本も積極的対話を」/日韓首脳会談で発言 外務省明らかに」

赤旗記事→「パリ協定の意義で江守参考人“化石燃料卒業の決意”/参院調査会で武田氏が質問」

参考資料

外務省配布資料(一部)