本日、参議院環境委員会で質疑。テーマは、東京電力が再稼働を狙う柏崎刈羽原発のフィルタベント装置の問題です。
これは、地震によって液状化現象が起こった場合、フィルタベント装置の基礎に損傷が生じ、機能しない恐れがあると、東電も規制委員会も知っていたにも関わらず、設置変更許可の後、工事計画をつくる段階になって、先月公表されたもの。新潟県の米山県知事も「聞いていない。きちんと情報をもらえないと信用できない」とコメントされていたものです。
手続きはちゃんと踏んでいるという旨の答弁が、東電からも、規制委員会からもされました。しかし、問題は「液状化するところでも対策とれば大丈夫、原発は動かせる」という発想にあると思いますし、それが東電の隠ぺい体質の根っこにあると思うのです。
手続きに謝りはないと言われても、住民・国民は納得できるものではありません。東電は「会見で明らかにしてきたが、住民の皆さんに十分伝わらなかった」と答弁しましたが、会見といっても資料につけただけ、それも特出しして書いたわけでもなく、表に追加したフィルタベントの項目があるだけ。もちろん、会見で口頭での説明もされていないものでした。
住民の側に非があるわけではありません。
環境大臣であり、原子力防災担当大臣である中川大臣に認識を求めましたが、判を押したように「コメントは差し控える」との答弁。これで、フィルタベントと整合性をもった避難ができるのか、原子力防災に責任を負えない姿勢ハッキリしたと思います。
引き続き、追及していきます。
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「破損の恐れ」東電の隠ぺい体質を追及 2018年3月22日 参院環境委員会 武田良介議員の質問
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
今国会初めての参議院の環境委員会の質疑ということになりました。この間、財務省が森友学園に関わる決裁文書の改ざんを行っていたということを認めました。今回の問題は、国会の国政調査権をじゅうりんする問題であり、議会制民主主義に関わる大変重大な問題だというふうに思います。
大臣、今回の問題の本質、どういったところにあるとお考えですか。
○国務大臣(中川雅治君) 財務省における決裁文書の書換え問題に関しては、環境大臣、原子力防災担当大臣としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的財産として主権者である国民が主体的に利用し得るものであり、行政機関としてその管理の適正を確保することが重要であるというふうに考えております。
○武田良介君 議会制民主主義を壊す、そして国会全体の問題だと思うんですね。国政調査権に関わる重大な問題、そういう認識をはっきりと述べていただくことが必要だというふうに思いますし、改ざんについては財務省や国交省も知っていた、広く関与が疑惑として言われている中でありますので、行政全体に毒が回っているのではないかというふうに国民から疑念の目を向けられても仕方がないというふうに思います。どのような経緯で改ざんされたのか明らかにしていかなければならないということを強調しておきたいというふうに思います。
東京電力柏崎刈羽原発の問題について伺いたいと思います。
柏崎刈羽原発の六号機、七号機の再稼働をめぐって、液状化現象が起きた場合にそのフィルターベントの基礎が損傷するおそれがあることについて以前から分かっていたことが、先月、今になって明らかにされたということで、新潟の皆さんはまたかという思いで非常に怒りの声が上がっております。決して許されるものではないというふうに思います。
まず、東京電力にお聞きしたいと思いますが、現在設置されている地上式のフィルターベント、六号機、七号機、工事の着工はいつのことでしょうか。
○参考人(小早川智明君) 御質問に御回答申し上げます。
地上式フィルターベント設備の工事着工日は、それぞれ、六号炉が二〇一三年六月二十八日、七号炉が二〇一三年一月十五日でございます。なお、両号機とも現在工事実施中でございまして、竣工日は未定となっております。
○武田良介君 二〇一三年にフィルターベントの設備造っているわけです。
東京電力はそれより以前に二つの大きな地震を経験しています。二〇〇七年の中越沖の地震とそれから二〇一一年東日本大震災です。東京電力がこの二回の大震災の教訓をどのように生かしてきたのかということを聞いていきたいと思うんです。
東京電力にお聞きします。あの二〇〇七年中越沖地震の際、どんな事態が発生したのか、簡潔に御説明ください。
○参考人(小早川智明君) 新潟県中越沖地震では、直接の地震の揺れにより使用済燃料プールから水があふれたこと、それから事務本館の機能喪失などが発生いたしました。
また、地盤に関係する点といたしましては、地盤の不等沈下に起因した三号変圧器の火災、屋外消火配管の損傷、海側での液状化等が発生しております。変圧器の火災につきましては、変圧器自体は岩盤にくい支持していたため大きな沈下はございませんでしたが、ケーブル部の基礎が沈下し段差が生じてショートし火災に至ったものでございます。沈下の要因は、地震の繰り返しによる体積圧縮や揺すり込み沈下が原因と考えられております。液状化に起因する噴砂につきましては、荒浜側では海側エリアなど建屋から離れた場所に多くが確認されており、大湊側で敷地山側の駐車場付近にも一部確認されております。建屋近傍はサブドレーンポンプで地下水位を低下させていることなどから液状化は起こっていないものと考えております。
○武田良介君 非常に大変な事態が広がったわけです。今おっしゃられたように、火災が発生したり、緊急時の対策の部屋にドアがゆがんで入れないとか、もうそういったことが言われております。
液状化の今回の中越沖地震の事故を受けて行った対策、事前に私も東電にも伺いましたけれども、今お話がありました三号機変圧器とタービン建屋をつないでいるところの配線で火災が発生する、よって下にくいを入れたとか、ケーブルの貫通部をふさいで汚染水が漏れないようにしただとか、基準地震動についてもこれ以上のものを想定したというようなことも聞きました。
技術的な対応を取られたということは私も聞いておりますが、それじゃ、技術的な対応以外どんな対応がされたのか、その中越沖の教訓をまとめた文書なり、東京電力として引き継いでいく教訓をまとめたようなもの、どんなものがあるのか、御説明ください。
○参考人(小早川智明君) 幾つか具体的に実施したことを申し上げますと、中越沖地震を受けて、少なくとも地震に対する備えといたしまして、免震重要棟や設備の強化、それから、専門対応を行う防災安全部の設立、これは福島第一原子力発電所の事故時の陣頭指揮を執ることにも役立ちました、など、速やかに対応を進めてまいりました。また、迅速かつ分かりやすい情報発信などに取り組んでまいりました。
○武田良介君 対応したという話なんですね。地震の経験があって、何でその地震が大きな被害が出たのかだとか、どんな反省をしたか、そういう教訓というものを示す文書というのは、私も何度も聞きましたけど、東電から一切出てこないんです。教訓をきちんとまとめたものがないということ自体、今回のフィルターベントの基礎が損傷する可能性があるということが今になって明らかにされる、その大きな根っこにあるんじゃないかというふうに思います。
もう少し具体的に聞きたいと思いますが、東京電力の示した資料、今日の資料の一番にも付けましたけれども、柏崎刈羽原発の七号機、六号機、五号機の付近で液状化がどのように発生したのか、噴砂や亀裂がどこに生じたのか、地図に落とした資料であります。七号機、六号機の周りでも液状化が発生していたということなんですね。液状化現象が発生し得る敷地で機能が損なわれるかもしれないフィルターベントを対策もなくなぜ設置したのか。東京電力、いかがですか。
○参考人(小早川智明君) まず、なぜフィルターベント設備を造っているのかにつきまして御説明申し上げたいと思いますが、当社は、福島第一原子力発電所での事故対応を受けまして、放射性物質を拡散させない措置が必要だと認識いたしましたことから、新規制基準の制定にかかわらず、放射性物質の拡散が最小限となる機能を付加したベント設備の設置検討に着手しておりました。
これまでのベント設備は、原子炉の格納容器の保護を目的として原子炉格納容器内に蓄積された圧力を下げる役割を持っておりますが、圧力を下げる段階で格納容器内の気体を外部放出することから、放射性物質が拡散してしまいます。このため、今回、拡散されてしまう放射性物質を閉じ込める機能を備えた、具体的にはセシウムを例にしますと千分の一程度に低減させることができるフィルター付きベント設備を設置することといたしております。
本設備を設置することによりまして、万一ベント操作を実施する事態に陥ったとしても、フィルターがない場合と比較して放射性物質の放出の影響を可能な限り低減させることができ、またセシウム等による大規模な土壌汚染と被害の長期化を防止することができるものでございます。
これらの設備、柏崎刈羽六号炉、七号炉につきまして、二〇一三年七月に施行されました新規制基準に対し、二〇一三年度に適合性申請を行っており、二〇一七年十二月に設置変更許可をいただいているところでございます。
今後、事業者の責任で、安全対策工事、先行着手しておりますが、後段規制であります工事計画認可プロセスにおいて設備の詳細設計を御審査いただくものと考えております。工事計画認可の段階でコメントを受けた場合には、責任を持って適切に対処してまいりたいと考えております。
○武田良介君 今問題になっているのは、液状化が過去にも発生したところに地盤改良がされないままフィルターベント造られた、これから地盤改良しますと言っているんですね。
じゃ、フィルターベント造ったときは、地盤改良をしなくても安全だと思っていたわけですか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
弊社は、二〇一七年一月二十四日の第四百三十三回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合におきまして、フィルターベント設備の設置地盤の液状化の可能性があることを説明させていただいております。二〇一七年十二月二十七日の設置変更許可により、液状化対策の方針が確定したため、液状化対策として地盤改良工事について検討を進めてまいりました。
本対策は、二〇一七年一月二十四日の審査会合で液状化の評価対象設備としてお示ししたため公知の事実であったと考えておりますが、地元の皆様にやや唐突な御説明をさせていただいたということで、これは先日、二月の八日の所長会見において、地上式フィルターベントは地元の皆様の関心が高いことを踏まえて公表させていただいたものでございます。
○武田良介君 今のは事実経過だと思うんですけど、地盤改良をしなくても安全だと思っていたのかということをお伺いをいたしました。
○参考人(小早川智明君) 一日も早い安全性向上に取り組む中で、自主的取組としてフィルターベントの工事を進めてまいったということでございます。専門家との協議の結果、液状化のリスクが否定できないことから、保守的に液状化対策を実施することが適当と判断したものでございます。
○武田良介君 事前に東電から繰り返し私も聞きましたけれども、ちょっと細かな話省きますが、そこのフィルターベントを設置した下の地盤のところ、どうなっているか。ちょっとサイクリックモビリティー、それが何かということは一旦置いておいてにして、サイクリックモビリティーと言われるところなので一〇〇%液状化はありませんと東電の方はおっしゃっていましたし、埋め戻し土、岩盤に当たるところを掘り起こして、そこを埋め戻したところは絶対に液状化しない、一〇〇%液状化しないんだということを東電の方は繰り返し説明されておりました。そうした見通しが甘かったから今になって地盤改良が必要だってことを言っているわけです。
規制委員会にもお伺いしたいと思うんです。
二〇一七年、先ほどありました一月二十四日の審査会合、地質学を専門とされている石渡委員が発言をされています。資料の二番にも付けました。中越沖地震のときの液状化とか、噴砂、亀裂などの分布のデータというのは初めて拝見するデータだ、必ずしも海側だけで噴砂が起きているわけじゃなくて結構山側でも発生している、これについてはしばらく検討させていただきたい、こういう発言があるんですね。このとき初めて知ったように驚いているわけです。
これ、規制委員会全体としても液状化だとか地盤沈下に関する審査というのは不十分だったんじゃないですか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
新規制基準において、今先生の御質問になっているフィルター付きベントも含めて、重大事故等対処施設は、基準地震動による地震力に対して必要な機能が失われるおそれがないことを要求をしております。したがいまして、液状化の影響により必要な機能が失われるおそれがある場合には、地盤改良などの対策が必要となります。
柏崎刈羽原子力発電所六、七号炉の設置変更許可に係る適合性審査におきましては、地盤の強度が足りなければ地盤改良等の追加対策を行う方針を確認をしており、対策の詳細、その妥当性につきましては、工事計画の審査で厳正な確認を行っていくこととなります。
したがいまして、また、そのフィルターベント設備も含めて液状化の可能性というものは工事計画認可の中で確認していくということが既に設置許可前の審査においても確認をしておりまして、新たに問題が明らかになったものではなく、設置変更許可の審査が不十分であったとの認識は持っておりません。
○武田良介君 工事計画で見ていくと。これから先の話なんですね。ただ、問題は今起こっているわけです。
私は、中越沖地震の最大の教訓というのは、この柏崎刈羽原発というのが非常に軟弱な地盤の上にある原発で、液状化するものだというふうに捉えていく必要があるということだと思うんです。現地に行っても豆腐の上の原発というふうに表現されるぐらい、地下水も非常に多いですし、軟弱な地盤にあると。
そう考えればもう再稼働はやめようというふうに判断するべきだと私は考えますが、少なくても、今回のように何の地盤改良もなくフィルターベントを設置して、しかも後から地盤改良が必要でしたというふうに言い出すということは、もう言語道断だというふうに思います。現実は地盤改良をしないままフィルターベントの設置ということで始まっているわけで、これでは中越沖地震の教訓を生かしているというふうには言えないというふうに指摘しておきたいと思います。
それから、もう一つ大きな地震は東日本大震災です。新規制基準は、東日本大震災の教訓を踏まえて、フィルターベントの設置しなければならないというふうにしたと。
まず、規制委員会にお伺いしたいと思いますが、新規制基準の制定、公布、それから施行、それぞれいつだったか、お答えください。
○政府特別補佐人(更田豊志君) 実用発電用原子炉の新規制基準は、平成二十五年六月二十八日に公布いたしまして、同年の七月八日に施行いたしました。
○武田良介君 冒頭にフィルターベント設備の着工日お聞きしましたけれども、資料の三に重ねておきました。
検討チームの検討が公開で始まったのが二〇一二年の十月二十五日、その後、七号機、六号機、フィルターベント工事着手されまして、六号機の着手というのはこの新規制基準の公布日、施行される十日前ですね。つまり、この新規制基準についてフィルターベントの設置が義務付けられることを知りながら、その施行直前に建設に着手していたということになると思うんですね。
東電にお聞きしたいと思うんですが、今設置されている七号機、六号機のフィルターベント、新規制基準に係る工事計画の認可を求めたか、あるいは届出を行ったか、いかがでしょうか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
柏崎刈羽六号炉、七号炉につきましては、二〇一三年七月に施行された新規制基準に対し、二〇一三年九月に適合性申請、これは原子炉設置変更許可申請を行っておりまして、二〇一七年十二月に設置変更許可をいただいているところでございます。
今後、事業者の責任で安全対策工事に先行着手しておりますが、後段規制であります工事計画認可プロセスにおいて設備の詳細設計を御審査いただくものと考えております。工事計画認可の段階でコメントを受けた場合には、責任を持って適切に対応してまいります。
○武田良介君 届出したのかどうかということをお伺いしたんですけど、いかがですか。
○参考人(小早川智明君) まだしておりません。
○武田良介君 していないんですね。
資料の四番にも付けましたけれども、新規制基準に係る主な経過規定についてということの二番目のところですが、今般の改正により新たに工事計画の認可又は届出の対象となった工事であって、改正法施行前に施設し、又は着手したものについては、許可又は届出を要しないこととするということによって、これ、対象外になっているわけです。
先ほどの時系列でも言いましたけれども、こういうふうな中身がある程度分かった上でこれやっていたということだと思うんですね。これでは新規制基準逃れというふうに言われても私は仕方ないというふうに思いますし、中越沖地震のときの教訓は生かさないで、東日本大震災の教訓は擦り抜けているということが実態だというふうに私は思います。
今回、改めて私問題だと思うのは、その認可が下りる前に工事が行われているということなんですね。これ、やっぱり国民一般からしたら理解できないというふうに思うんですが、東京電力、何でこれ先に工事されているんですか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
一日も早い安全性向上に取り組む中で、自主的取組としてフィルターベントの工事を進めてまいりました。事後になりますが、専門家との協議の結果、液状化のリスクが否定できないことから、液状化対策に対して実施するものでございます。
○武田良介君 つまり、原発は動いていようといまいと核燃料がそこにあるなど危険なものだと、危険なものがあれば安全に関わる装置はいち早く設置すると、そういうことかなというふうにお聞きしましたけれども、先行着手というお話お聞きしましたけれども、機能しないかもしれないけれども機能するかもしれないからフィルターベント付けたと。要は、現状そういうことだと思うんですね。私は、そんなばかな話ないと、そんないいかげんな話でいいのかというふうに思うんです。
これ、認可される前から工事する、やっぱり私はおかしいと思いますけど、規制委員会、どうですか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) 原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備に関する規則附則第三条において、新規制基準の施行により新たに工事計画の認可の対象となった工事であって、施行前に施設し、又は着手したものについては、前述の条文による工事計画の認可を要しないこととした上で、施行後も工事の継続を可能としております。
先行着手された工事が、その後、工事計画認可を受けるための施設の一つとして審査を受ける場合、基準をクリアするための施設として認可を受ける場合、それで認可を受けられなかった場合というのは、先行した工事が無駄になるだけのことであります。
○武田良介君 要は、工事計画をやるだとか稼働する前には、性能の検査ということもよくおっしゃられますけれども、その段階で厳しく審査するという話なんですね。ただ、建設し始めたときに地盤改良しなかったから今問題になっているということだと思うんです。規制委員会も、今おっしゃられたように、経過措置があるから、地盤改良がされたのかどうか確認、指導するということもこれまでやっていなかったわけですよね。私、そのこと自身が問題になっているというふうに思うんです。
先ほどの規制委員会の説明でいくと、今おっしゃられましたが、認可する前に工事するか否かということは、結局事業者に任せられているということになるわけですよね。事業者に任せられているということでよろしいですか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
先ほども申し上げましたように、原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係規則の整備等に関する規則に該当する工事については、工事計画の認可前に着手されていてもそれ自体は問題ないと考えております。
しかしながら、新規制によって新たに要求される設備等であって、新規制施行前に、この規制の施行前に工事に着手又は完成したものについては、新規制施行後、当該設備等に関する設置変更許可、工事計画変更認可、使用前検査などの手続によって、原子炉の運転前に新規制基準への適合性を厳正に確認してまいることになります。
○武田良介君 要は、事業者に任せられているわけですね。先ほどもおっしゃられましたけれども、先に造って無駄になるかもしれない、それでも造るんだったら自由だという話なんですね。結局事業者の判断ということになったら損得勘定に委ねられるわけです。規制が損得勘定に委ねられていく、それでいいということなんですか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) 工事計画認可もその一つでありますけれども、規制のプロセスは、たとえその試みが先行されているものであっても、事業者の計画をいたずらに追認するだけのものではありません。ですので、言ってみれば、事業者が先行して行う取組というのはオウンリスクで行うものだと。したがって、改める必要があるのであればチャラにしてもらいますし、その先行して彼らが行った工事というのが、繰り返しますけれども、無駄になるだけのことというふうに考えております。
○武田良介君 現実は、新規制基準作った後も基準に沿わないようなフィルターベントを現在まで許してきたということが現実だと思うんですね。今のような話でいけば、やっぱり新潟の皆さんを始め、国民的な疑念、怒りというのは私当然だというふうに思います。
東電からも先ほど説明聞いてきましたけど、対策はいっぱい出てくるんです。今後対策が取られれば大丈夫ということだと思うんですね、東電の説明は。結局、これ新たな安全神話じゃないかと思うんですが、東京電力、いかがですか。
○参考人(小早川智明君) 当社といたしましては、福島第一原子力発電所の事故の反省と教訓を踏まえて、昨日よりも今日、今日よりもあしたと、終わりなき安全性の向上に取り組むこととしております。
例えば、原子炉格納容器の保護に関しまして、先ほどから話題になっておりますフィルターベント設備で放射性物質の拡散防止を図ること、これにとどまらず、さらには、今回の審査対応におきまして、新冷却システム、これ代替循環冷却系という名前にしておりますけれども、新しい装置を導入することで、より多重で多様化した放射性物質の外部放出を行わなくて済む設備の検討も率先して実施してまいりました。
これからも安全性を絶えず問い続ける企業文化を確立し、地元との対話を重ね、立地地域を始めとする社会への信頼を得られる事業運営を進めてまいりますことを私が責任を持って進めてまいります。
○武田良介君 私は、東日本大震災の教訓というのは、絶対に安全神話に陥ってはならないということだと思うんですね。今回、規制委員会が東電の経営判断に事実上任せてフィルターベントを造らせてきたということ自身が規制委員会も東電も新たな安全神話に陥っているということを私は示していると思いますし、東日本大震災の教訓を十分生かしていないということだと思います。
新潟県の米山隆一県知事が、今回のフィルターベントの一連の問題について私も聞いていなかった、そういう情報はきちんと出してもらえないと東電を信用できないというふうにまでおっしゃられております。こうした知事の言葉、どのように受け止めておられますか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
フィルターベント設備の液状化対策につきましては、二〇一七年一月二十四日の審査会合において液状化の評価対象設備としてお示しさせていただいていたため、既に公知の事実であったと考えており、二〇一八年二月八日の発電所長の定例会見で簡単に御説明いたしましたが、結果として地元の皆様に十分伝わっていなかったことが判明し、これが課題だと受け止めております。
今後は、伝えるだけではなく、伝わることを意識し情報発信に努め、地域の皆様から御理解と御信頼を得られるように努めてまいりたいと考えております。
○武田良介君 今の話聞いたら、私、新潟の皆さんは本当に怒ったと思います。
伝えていたつもりといっても、発表したときには、資料に入っているだけで特に言葉では説明されていないですね。しかも、表のところに新たな項目で入れましたというだけの話でした。前後に行われている住民説明会でもそういった話はなかった。発表することが決まっていた段階でもなかった。本当に、新潟の皆さんの怒りというのは当然だと私は思うんです。
これまでも、データの捏造だとかメルトダウン隠しだとか基準地震動の問題、私も取り上げてきましたけれども、再発防止ということを言われても繰り返されてきたという思いを新潟の皆さんが持っている。今回の問題の本質というのは、やっぱり東電の隠蔽体質ということがあると思うんですね。
規制委員会に改めてお伺いしますけれども、フィルターベントの今回の問題、新潟の皆さんの怒り、本当に頂点に達していると思うんです。こういう東京電力に対して適格性ありとはやっぱり言えないのではないかと。適格性ありという判断を撤回する、そういうお考えはございませんか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
まず、フィルター付きベントに関しましては、現在停止している、また炉心の中に燃料が入っていない柏崎刈羽六、七号機の安全性にそのフィルター付きベント設備のあるなしが影響を与えるものではありません。
フィルター付きベントが重大事故等対策の一つとして新規制基準をクリアするためのものとして東京電力から申請され、その申請内容に含まれている場合は、今後とも原子力規制委員会は、工事計画認可等を通じて、その設備がきちんと機能することを見てまいります。決して、原子力規制委員会は柏崎刈羽六、七号機の安全性を東京電力任せにはしておりません。
また、東京電力の適格性に関しては設置許可段階での確認を行いましたが、今後も、保安規定等々の審査を通じて、その適格性については厳しく東京電力を監視してまいる考えでおります。
○武田良介君 中川大臣にもお伺いしておきたいと思います。
原子力防災担当大臣として今回の事態をどう見ているのか。フィルターベントということになれば、やはり避難計画との整合性ということも問題になってきます。原子力防災大臣として今のままでは責任を果たせないというふうに思いますけれども、東京電力に対してそんな姿勢は許されないということをはっきり言うべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中川雅治君) 私は環境大臣として環境省の外局として独立性の高い三条委員会である原子力規制委員会を所管しておりますが、本件に係る原子力発電所の審査につきましては原子力規制委員会が独立した立場で対応しておりまして、私からコメントすることは差し控えたいと思います。そしてまた、事業者を指導する立場にはございません。
原子力防災担当大臣としては、原子力発電所が存在し、そこに核燃料がある限り、稼働しているか否かにかかわらず、地域防災計画、避難計画を策定し、継続的に充実強化を図っていくべきものと考えております。
○武田良介君 時間なので終わりますけれども、今の答弁では、原子力防災担当大臣として責任を果たせない、国民の皆さんの命、暮らし、しっかり守るということは十分できないというふうに思いますし、これだけの問題が今明らかになってきたわけだから、私は、審査や工事も一旦ストップするぐらいのことをやるべきだというふうに思います。
野党共同で原発ゼロ法案というものも提出をいたしました。今動いている原発は全て止めて、これからの再稼働を認めないで、再生可能エネルギーの普及、そして原発ゼロの社会をつくるということが大きな中身ですけれども、これもしっかり審議して成立させるように頑張りたいという決意を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
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