国会質問

質問日:2018年 7月 10日  第196通常国会  厚生労働委員会

加熱式たばこ「国際的には規制」受動喫煙で参考人が発言

健康増進法改定案に対する参考人質疑で質問。加熱式たばこのについて、参考人から、毒劇物のニコチンを含んでいるため「多くの国は予防原則をとって疑わしきは罰している」として、国際的には紙巻きたばこ同様の規制があることが紹介されました。

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加熱式たばこも国際的には規制

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今日は、四人の参考人の方々、本当にお忙しい中ありがとうございました。
 まず、望月参考人にお伺いをしたいというふうに思います。
 今日のお話にもありましたけれども、国際的な水準から考えていくということは非常に重要だというふうに思いましたけれども、ちょっと質問の重複避ける関係もありまして、加熱式たばこについてちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。
 この加熱式たばこが日本で今広がっているわけでありまして、先日の質疑でも、この間言われているわけですが、確かに、加熱式たばこそのもののみを喫煙してどれだけ健康影響があるのかということでいえば、まだ研究の途上、全てが明らかになっているわけではないということはあろうかと思うんですが、しかし、その構造上、紙巻きでは出ないような発がん性物質が出るのではないかだとかいろんな懸念が指摘されているということもお聞きしておりまして、大きく二つお聞きしたいんですが、一つはその加熱式たばこというのをそもそもどう評価しているのかという点と、それからアメリカの方では、FDAと言いますよね、アメリカの食品医薬品局のところがこれオーケー出さなかったということがありますけれども、こういったところをどう御覧になっているのかという、大きく二点、まずお伺いしたいと思います。
○参考人(望月友美子君) 加熱式たばこという言い方が割と流布しているのでそれを踏襲しますけれども、私自身は新型たばこと申し上げています。
 それは、熱の量も今低温、蒸したばこと言う方が近いのかもしれないんですけれども、新しいたばこ製品が今世の中に出てきて、旧来のものとどう違うのかというところが議論になっていると思うんですけれども、そもそも、これらのたばこ製品というのは、ニコチンを脳に効率よく伝達するニコチンデリバリーデバイスあるいはシステムというふうに捉えるべきです。
 それを売っているたばこ産業も、ニコチンなしのこういったものはあり得ないというぐらいニコチンが不可欠。ニコチンは御存じのように依存性物質であり、そのものが毒劇物でありますので、それに非常に有害性があり、依存性のあるものが合法的に存在していることが一つの問題なんですけれども、御質問の、それが私から見た本質だと思います。
 それが非常に巧妙な形になっていて、いわゆる排出物のコントロールもマイクロチップで行われるようになっているんですけれども、それはやはりたばこの煙ではないけれども、何かは出ている、それを吸っているわけですけれども、それがどのぐらい出ているのかというのはまだ測定不可能なものもたくさんあります。ただし、たばこ産業の方も敵対するたばこ産業同士でいろいろ研究をしているんですけれども、未知のものも含めて実はたくさん出ているということは既に論文になっているぐらいなんですね。
 そうしたときに、未知なものに対して我々がどういうスタンスで臨むかというところで、国によって様々な、ポリシーが違います。日本は未知なものに対してそっとしておくというか、なんですけれども、多くの国では予防原則、やっぱり疑わしきものはまず罰してということ。それから、アメリカのFDAでは、御承知のようにレギュラトリーサイエンスという非常にごりごりした規制科学が進んでおりまして、規制のためにどういうエビデンスが必要なのかということを本当に巨額の公費を投じて研究しています。
 まず、予防原則かレギュラトリーサイエンスか、どちらのスタンスを取るかによってスピード感も違うんですけれども、日本の場合は残念ながらその原則がないというところでふらついているというのが私からの見方です。
○武田良介君 ありがとうございました。そういった点から、やっぱり国際水準から見ても日本が遅れていると、先ほど来の広告だとか様々な規制の点で遅れがあるということかなというふうに受け止めさせていただきました。
 長谷川参考人にもちょっとお伺いをしたいというふうに思っております。
 これまでいろんな案がある中で今回の法案が出てきておりますけれども、改めて率直に、そういった経過をどのように御覧になっているかということを率直にお伺いしたいというふうに思います。
○参考人(長谷川一男君) 法案に関しては、私は、やはり一言で言うと不十分というふうに考えています。そして、それが今までの経緯の中で、厳しめのものを作り、そしてまた今度は振り子のように逆の方に振れて、何というんでしょう、揺れているというところを強くやはり思っています。そして、今その決着として不十分なところに落ち着くということになってしまうのではないかというふうに思っています。それが偽らざる気持ちです。
 一番顕著なところで言うと、飲食店の百平米というこの数値のところがすごく揺れているところだと思うんですけれども、単純に例外と原則が逆転している、その状況は今もなおずっと続いているということが象徴していると、そんなふうに思っています。
○武田良介君 ありがとうございました。
 井戸参考人にもお伺いしたいと思うんですが、先ほどのお話の中で、例えば、ちょっと細かな話のようであれですけど、条例の見直しというところで、屋外の対策というのが一番最後に出てきておりました。これ見ますと、教育機関や官公庁などの周辺における禁煙エリアを検討すべきという、その後に特に入口付近を検討すべきなんという記述もありました。
 今回の法案でも一種、二種というのありましたけれども、屋外に設置をしていくことができると。ただ、煙がそういった教育機関だとか出入りする方に流れるのではないかという懸念を私も持っておるわけですけれども、ここでは今の見直しでどういった意見が出ているのか、また実際にそういった受動喫煙の懸念があるという実態といいますか声といいますか、そういった声が上がっているんでしょうか。
○参考人(井戸敏三君) 大変、どの場所に喫煙場所をつくるかということで、今御指摘ありましたように、入口の方に煙が漂ったりする可能性がある。それで、一番出入りをする、しかも学校などですと子供も出入りをするということも考えられますので、そのような意味では、禁煙エリアを設定するにしても、そのような影響を、間接的な影響をしっかりと見定めてエリアを設定すべきだという意見が非常に強く出されております。
 それと、先ほど例でも言いましたように、病院などは敷地内禁煙にしていますので、どうしても吸いたい方というのは敷地から外で吸われる、それが道路なんかが多いんですけれども、こういうケースどう考えるか。逆に、敷地内禁煙という措置を一律にしていることがそういう現象をもたらしているわけですので、だとすると、一番影響力のないようなところを喫煙エリアにするということも考えられるのではないか、そのような意味で、喫煙エリアの設定ということについてより厳密な対応が必要なんではないかという意見でございます。
○武田良介君 それでは、最後に田中参考人に一つだけお伺いをしたいというふうに思います。
 経営への影響ということで懸念を述べていただきましたけれども、例えば、例外なくもう全て禁煙というふうになると、それぞれの店舗の違いということはなくなっていくかというふうに思うんですけれども、そういった方向性というのはどうお考えでしょうか。
○参考人(田中秀樹君) 飲食店において全て禁煙ということですか、飲食店においての。確かに、全部吸えないよというのであるならば、それはそれで公平性を保たれるのかもしれませんけれども、ちょっといいですか、お伺いして。
 喫煙室に関してはどういうお考えですか。喫煙室があることを前提にするか、ないことを前提に、どっちですか。
○武田良介君 私どもは、喫煙室がなくて完全禁煙というのが望ましいというふうに考えております。
○参考人(田中秀樹君) 喫煙室がなくて完全禁煙、これは確かにそのとおりだと私も思います。しかし、今現実として、それが現実的な話なんでしょうかというところなんです。
 というのは、私、たまたま千代田区で生活しておるわけでございますけれども、御承知のとおり路上は全部禁煙です。今まで公園で喫煙場所とされていたところも全部禁煙になっております。いわゆる外では一切吸えない。ところが、たばこがこの世の中に存在している以上は吸う方がいらっしゃるわけですよね。そうすると、様々な制約が掛かって、今むしろ吸える場所というのが分煙を実行している飲食店がやはり一番多いのではないのかなと思うんです。
 確かに、いろいろな今お話を聞いておりましても、望まれないいわゆる副流煙を吸うのはよくないということでございますので、当然、例えば私の店はこれは禁煙です、喫煙です、分煙ですときちっとお客様に前段で告知することは絶対必要だと思っております。
 しかし、全部が禁煙ということが、それは確かに先生おっしゃるように公平だとは思いますけれども、それをやるんですと、やっぱりたばこそのものをこの世の中からなくしていくというのかな、それに近いような我々としては発想になってしまうので、なかなか現実の問題として全部が禁煙というのは難しいのかなと思っております。
 以上です。
○武田良介君 ありがとうございました。終わります。

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赤旗記事→「加熱式も国際的には規制/受動喫煙 参考人が発言」