国会質問

質問日:2018年 11月 27日  第197臨時国会  環境委員会

石炭火力発電建設 業界任せにするな

武田良介参院議員は、環境委員会で、石炭火力発電所の新規建設やめよと質問しました。

武田氏は、東京湾岸では、横須賀など五基の石炭火力発電所建設計画があり、住民から、子供のぜんそくや、PM⒉・5の影響など、懸念の声が上がっていることを取り上げました。その上で「東京湾には工場、発電所が集中しており、五基の新増設による大気汚染による健康被害について、累積的影響を広範囲に調査すべき」と質問。原田義昭環境大臣は、個々の石炭火力には触れましたが、五基の石炭火力新増設による影響予測調査についての答弁はありませんでした。

さらに、武田氏は、CO2の排出の問題を取り上げました。石炭火力建設計画は、全国で33基にのぼり、CO2排出量は8,200万トンにのぼることを指摘。日本が海外で資金と技術を援助したCO2削減を、日本の削減分にカウントする「二国間クレジット」で「『国際貢献』だと言って削減するとしているが、一方で、日本国内では排出。矛盾している。石炭火力の新増設はやめるべき」と追及しました。

政府は、火力発電所の温暖化対策は、競争関係にある電力業者の協議会を通じた自主的取り組みで行うとしています。しかし、有識者からは「協議会が厳密な意味でチェックしていない」と指摘がされています。武田氏は、環境省の「進捗状況の評価」でも「現在のような体制は難しく、構造的に無理がある」「自主的な取り組みで達成困難なら制度的対応に切り替えられるよういまから準備すべき」と有識者から指摘があったことを紹介。「環境省のまとめでも、『実効性に課題がある』とされている。見直すべき」と追及しました。原田大臣は「取り組みを注視する」「目標達成ができないと判断されれば見直しを検討。まずは進捗状況を見る」と答弁。武田氏は「注視するでは環境省は役割を果たせない。直ちに手を打つべき」と追及。「電力業界任せでは石炭火力建設は止まらない」「既設の石炭火力も止めなければ、パリ協定の目標は達成できない」と主張しました。

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石炭火発 建設中止を

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今年は大変な猛暑になりました。西日本を中心に襲った七月の豪雨災害、それから台風被害など、水害も多発をいたしました。
 最初に国土交通省にお聞きしたいと思いますが、昨年の水害の被害額、暫定値で結構ですので、幾らになったか御紹介ください。
○政府参考人(林俊行君) お答えいたします。
 平成二十九年、暦年でございますけれども、この年における水害による被害額につきましては、本年七月に暫定的な値として全国で約五千三百十億円と集計をしております。
○武田良介君 九州北部豪雨だと一千九百億円、約ですね。三重県などを襲いました台風二十一号、これが一千四百六十億円等というふうに国交省の資料でもなっていると思います。
 水害だけではありませんで、私の地元でもあります長野県、適応法のときにも高原野菜の問題、若干取り上げさせていただきましたが、今年の夏もセルリーにまた影響が出ております。今年の猛暑で、これまでに経験したことのない芯なしという症状がセルリーに現れました。要は、生育不良で、一番ぱりっとした食感のおいしい部分ですね、あそこの部分がもうそもそも育たないという状況が生まれている。これはまだ原因不明であります。
 今年の冬も暖冬だというふうに言われていますが、長野県内のスキー場、大体今頃オープンしたいというところが多いわけですけど、今年については雪が全然降っていないがためにまだオープンすることもできない。オリンピックの会場になったようなスキー場でも閉鎖を検討するかということも言われているような状況があります。
 こういう気候変動の影響というのは本当に大きなものがあるというふうに思いますし、この対策、その中心はやはりCO2の削減だというふうに思いますけれども、大臣、その重要性、どのように認識されているのか。
○国務大臣(原田義昭君) 御指摘のように、今年の夏は、我が国での記録的な豪雨や酷暑を始め、世界中で豪雨、高温などの異常気象が頻発をしたところであります。今後、地球温暖化が進展した場合に、こうした豪雨や酷暑に見舞われるリスクが更に高まるということは間違いないと思っております。
 こうした状況を踏まえて、私どもとしましては、二〇三〇年度までに二六%、二〇五〇年度までに八〇%の温室効果ガス削減に向けた緩和策、そして気候変動の影響を回避、軽減する適応策に全力で取り組んでいく必要があると、こういうふうに考えております。
○武田良介君 真っ先に手を着けるべき部門はどこなのかということを見定めておく必要があると思うんです。最も多くCO2を排出している部門はどこなのか、より実態を分かりやすく示すと思いますけれども、電気・熱配分前でどこが一番多く排出しているのか、環境省、いかがですか。
○政府参考人(森下哲君) お答え申し上げます。
 二〇一六年度の温室効果ガスの排出量におけます電気・熱配分前のCO2の排出量を部門別に見てみますと、エネルギー転換部門がCO2換算で五億七百万トンで、最も多くなっているということでございます。
○武田良介君 資料の一に付けましたけれども、二〇一六年度、グラフ、上と下ありますが、上が熱配分前でありまして、全体が約十二億、その中で、エネルギー転換で五億大体七百万トンという話がありましたけれども、全体の四二%がエネルギー転換部門から排出されている。更に言えば、そのうちの約半分が石炭火力発電所で占められているということですから、この石炭火力発電所から排出されるCO2の排出削減にどのように取り組むのかということが今非常に重要だというふうに思います。
 資料の二を御覧いただきたいと思います。環境省の作っている資料ですけれども、「石炭火力の設備容量とCO2排出量について」という資料でありまして、三つのグラフで石炭の設備容量とCO2排出量を示しております。
 一番左側が二〇一三年のCO2排出量の実績約二・七億トン、真ん中にありますのがエネルギーミックスどおりでいけば二〇三〇年はどうなるのか、CO2は二・二から二・三億トン、一番右側ですが、老朽原発は止めて新増設計画を認めると約二・九億トンと、こういう資料を環境省が出しておられます。新増設認めると、エネルギーミックスに基づく目標を上回るということはもちろんですが、二〇一三年の実績も上回る、こういうことになっているわけです。
 環境省に確認したいと思いますが、新増設計画は今何件あるのか、それと、その新増設計画によって新たに排出されるCO2の排出量は合計で幾らになっているのか。いかがですか。
○政府参考人(森下哲君) お答えいたします。
 私ども環境省の調べですと、二〇一八年十一月現在で、自家発分も含めまして三十三基の石炭火力発電の新増設計画がございます。これらの計画が、エネルギーミックスにおきます二〇三〇年の石炭火力の排出係数を前提にしまして稼働率七〇%で運転をした場合、二〇三〇年におけるCO2の排出量ですけれども、約〇・八二億トンCO2になると試算をしてございます。
○武田良介君 八千二百五十万トンと、まあ億というか、あれですけど、それだけ出るわけですね。ここはやっぱり国民の皆さんとしても非常に大事な数字だと思うんです。新たな新増設することによって八千二百五十万トン出る。
 具体的に横須賀火力発電所についてお伺いしたいと思います。
 新一号機、二号機、石炭火力ですけれども、計画がされています。これ、反対運動が大きく広がっています。その理由の一つは大気汚染物質の排出にあります。LNGに比べても多い大気汚染物質が排出されるわけです。SOxだとかNOxだとか水銀、それからPM二・五ですね。PM二・五は直接の排出ということもありますが、二次生成ということも含めてありますので、非常に心配をされております。
 私も現地でお話聞きましたけれども、これから新たに造られる石炭火力発電所、そこから大気汚染物質が出る。とりわけPM二・五についてはどういう影響が出るのかまだまだ分かっていないことも多いと、子供のぜんそくが心配だと、そういう声がありますけれども、大臣、こうしたお母さんたちの声、どのように受け止めておられますか。
○国務大臣(原田義昭君) 大気汚染につきましては、子供や高齢者の方々などを含めて、人の健康を保護する上で維持することが望ましい基準として、環境基準が定められております。この基準の達成に向け、必要な規制がなされているところであります。
 ただいま御指摘いただきました横須賀火力発電所の建設に当たりましての環境影響評価では、二酸化硫黄、二酸化窒素、浮遊粒子状物質について環境基準等を満たすことが予測されています。現在、横須賀火力発電所の周辺において、人口分布等を考慮した一般環境大気局の測定結果は環境基準を達成している状況ではありますが、引き続き、大気汚染防止法による規制を適切に実施するとともに、モニタリングによる達成状況の確認も行ってまいりたいと思います。
○武田良介君 私も現地に行って、事業者となりますJERAからも話を聞いてきました。
 今、アセスで基準を満たすだろうというような話もされていましたけど、確かにJERAの方はもちろん基準を満たすと説明しますよ、それは。煙突の高さを百八十メートル、ある程度高さを取って、余り基準値に影響しないように拡散するということもありますから、安全な程度まで拡散するんだということもお聞きをしましたし、最大の着床地が大体七百メートルぐらいのところに現れるというふうに説明されていましたけど、そこでも基準値以下なんだというふうにそれは言っておられました。
 それは、じゃ、風をどういうふうに見ているのか、データの基はどう取っているのかといえば、近くにあります久里浜行政センターという一般局の風に関するデータを基に言っておりまして、その一つで本当にいいのかなと私は非常に疑問を感じましたけれども、百歩譲ってそうだったとしても、国は、横須賀火力だけではなくて、東京湾に集中して発電所があったり、工場もあったりするわけです。
 今、横須賀火力の話からしましたけど、東京湾には、蘇我火力、新たに一基だとか、袖ケ浦も新たに二基、横須賀も新たに二基ということで、新増設の計画が五基もあるんですね。これから新たに排出されるであろう大気汚染物質です。それによってどういう健康影響が出るのか、どの地域までどのように広がっていくのか、そういう調査をする必要があるというふうに思いますけど、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(原田義昭君) 一定規模以上の石炭火力発電所を建設するに当たっては、事業者は、環境影響評価法に基づき、事業が環境にどのような影響を及ぼすか、大気への影響を含め、自ら調査、予測、評価を行うこととされており、環境省としてもその内容を確認しているところであります。
 また、環境省では、大気汚染状況を適切に監視するために、都道府県等と連携し、モニタリングを実施しております。さらに、PM二・五の短期的な大気濃度の予測を国立環境研究所において実施するとともに、発生源に係る大気汚染対策の評価のシミュレーションモデルについても研究を進めております。こうした調査研究を実施しつつ、新たなデータも踏まえて、大気汚染に係る総合的な対策を検討、実施してまいります。
○武田良介君 シミュレーションをこれから検討していくという話もありました。現状やられているのは、気象庁のデータを基にしたものだったでしょうか、三日先ぐらいまでどのように汚染物質が広がるかというようなものをホームページで公開していると。
 それは私も承知をしておりますけれども、私が質問したのは、東京湾なんかで新たに五基も石炭火力が新増設をされる、そこからどれだけ大気汚染物質が出るのか、どれだけ拡散してどういう影響が出るのか、健康影響が出るのか、それを調査すべきだということをお聞きしたわけですけど、それを調査するということの答弁がなかったこと自身、私非常に残念だというふうに言っておきたいと思います。
 環境団体はもう調査しているわけです。資料の三枚目に付けましたけれども、こういった石炭汚染マップというものを環境団体が今作りまして、ホームページでも見ることができるようになっております。
 ちなみに、韓国の行政区で忠清南道というところがありますけれども、ここは脱石炭連盟、PPCAと言われるものですね、そこに先日加盟をしました。PPCA、皆さんも御存じかと思いますけれども、二〇三〇年までの脱石炭を成し遂げようということで、世界各国の国や地域が今加盟をしております。そこにこの韓国の行政区も入った。最大の理由は大気汚染なんだということを言っておりました。日本も、大気汚染の観点からも、脱石炭火力ということで取り組んでいくべきだというふうに思うんです。
 横須賀火力から排出されるCO2についてもお聞きしますけれども、横須賀火力、排出されるCO2の量、どのぐらいになるか、環境省、お願いします。
○政府参考人(中井徳太郎君) お答え申し上げます。
 事業者によれば、横須賀火力発電所が稼働した場合の二酸化炭素排出量は年間約七百二十六万トンでございます。
○武田良介君 私、現地でたしか説明聞いたときは七百九十六万トンと言ったと思うんですが、まあ事業者の時々若干前提が違ったりして言うことあるかもしれませんけど、七百万トンから八百万トンと、七百九十六万トンだと私は説明を受けましたが、それの数字、一つ頭に置いておいていただきたいと思うんです。
 一方で、パリ協定の下、位置付けられている二国間クレジット、JCMというものがあります。これは皆さん御承知かと思いますけど、日本の技術を生かして海外でCO2排出削減に貢献したと、そういうプロジェクトを行って、日本も貢献したんだからということで日本の削減分をクレジットとして買い取ってくると、こういうことですよね。
 このJCMによって今各国との間でプロジェクト重ねているとお聞きしておりますが、JCMによって二〇三〇年までに削減を見込むことができたそのCO2の削減量、これは幾らになっているでしょうか。
○政府参考人(森下哲君) お答えいたします。
 平成二十八年の五月に閣議決定をされました地球温暖化対策計画におきましては、このJCMにつきまして、毎年度の予算の範囲内で行う政府の事業によりまして、二〇三〇年度までの累積で五千万から一億トン、CO2の国際的な排出削減・吸収量が見込まれるというふうにされてございます。
 現在、百三十件超のJCMプロジェクトを実施をしておりまして、それらの二〇三〇年度までの累積削減量は現時点で約九百万トンが見込まれてございます。
 今後、より費用対効果が高く、更なる民間資金の導入や大規模案件につながっていくようなプロジェクトを実施していくことでこの目標達成を目指していきたいというふうに考えているところでございます。
○武田良介君 約百三十件のプロジェクトで九百万トンという話がありましたが、九百万トンというのは、あくまでそのプロジェクトで削減されるであろう排出量の全体ですよね。日本がそこのうちどれだけ日本の削減量として取ってくるのかというのはまた別の話で、各プロジェクトによってこれから詳細決めるということをお聞きしていますけど、大体二分の一は日本が取れるだろうというところからプロジェクト登録していると。そうすると、大体半分と見れば四百五十万トンとか、多少上積みする部分はあるかもしれませんけど、その程度が日本の今削減量として確保できている量ということになるわけです。
 そう考えると、先ほどの横須賀火力、これ認めると七百九十六万トン、答弁では七百二十でしたか、と言われましたが、これ一つ認めるだけで、少しずつ積み上げてきたプロジェクト、百三十件積み上げてきたプロジェクト、その削減量全部吹き飛ぶぐらいあるわけです。これやっぱり矛盾していると思うんですけど、大臣、認識いかがですか。
○国務大臣(原田義昭君) 石炭火力については、そういう負荷量の多いということについては、そのとおりだろうと思っております。
 我が国の二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標の達成は、その増設を全て認めれば、確かに非常に困難な状況だろうと思っております。こうした点を踏まえますと、経済的な観点のみ、すなわち、これは比較的安い、経済的に安い電源だというような観点から新増設を認めるということはできないという状況だろうと思っております。
 そういう意味では、環境省としては、経産大臣との合意も踏まえて、これからしっかりこの問題にも取り組んでいかなきゃいけないなと、こう思っているところでございます。
○武田良介君 今、経産大臣との合意という話もありました。その前に、温対計画の中で、クレジット、五千万トンから一億見込んでいくという話もありました。
 最初にも確認しましたが、今環境省が認識している石炭火力の新増設計画、そこから出てくるのは八千二百五十万トンということですよね。温対計画にあるクレジット、ちょっと幅ありますけど、五千万トンから一億トン。やっぱり石炭火力を認めたら、クレジットをどんなに積み上げたって全部吹き飛ぶようなことをやっているわけですね。これやっぱりおかしいと思うんです。
 今、大臣が、経産大臣との合意に基づいてという話ありました。以前、中川大臣にも同じ質問をしましたけど、いわゆる二月合意というものだと思いますが、この二月合意、どういう中身か、大臣、もう一度御説明いただけますか。
○国務大臣(原田義昭君) 一昨年二月の環境、経産大臣の合意、いわゆる二月合意というのは、二〇三〇年度の電力業界の削減目標達成に向けて、電気事業分野における地球温暖化対策の取組の実効性を担保する枠組みでございます。
 要点は三つあると思っております。まず、電力業界の自主的な枠組みにより、目標達成に向けた取組の実効性の向上を促すことであります。また、政策的な対応といたしまして、省エネ法に基づき、全ての発電事業者に対して、石炭火力発電所等の新設基準や火力発電の運転時の発電効率のベンチマーク指標を設定するとともに、エネルギー供給構造高度化法に基づき、非化石電源についてエネルギーミックスと整合的な数値を設定することとしております。さらに、毎年度それらの取組の進捗状況をレビューし、目標の達成ができないと判断される場合には施策の見直し等を検討することとしております。
 以上が二月合意の中身であります。
○武田良介君 業界の自主的な取組、それからベンチマークなどの政策的な対応、進捗状況のレビューと、大きく三本柱ということをおっしゃられました。
 この合意を踏まえて、今、電力業界が業界全体で排出係数〇・三七というのを掲げている。その結果、高効率の石炭火力だったら認めていくということにやっぱりなっているわけです。これが今の現状だと思うんです。
 今大臣のお話にあった進捗状況のレビューについてお聞きをしたいと思います。
 今年の二月、環境省は、平成二十九年度の進捗レビューの作業に当たって、この二月に、環境省、それから今言われた事業者側ですね、電気事業低炭素社会協議会、そして有識者、三者で意見交換会をやられています。三月には環境省と有識者の間でヒアリング、これをやっております。最後、三月二十三日に環境省が評価の結果についてというものをまとめて発表されております。資料の四と五に、その意見交換会とヒアリングについてちょっと抜粋をして付けております。
 二月の意見交換会の概要を見ますと、電気事業低炭素社会協議会、この協議会の方がPDCAサイクルの評価に関してこういうふうに言われているんですね。今年度、初めて協議会でPDCAを回したが、その感想としては、率直に言うと、PDCAを実効的に展開するのはそう容易ではなく、改善をしていかなければならないというふうに、非常に正直に発言をされています。
 三月のヒアリングを見るとどうか。有識者の浅野福岡大学の名誉教授ですけれども、現在のような体制では難しく、構造的に無理があると、自主的取組で達成が困難なら、直ちに制度的な対応に切り替えられるように今から準備しておくべきだという発言をされています。
 大臣、この認識、こういうふうに言われていますけど、大臣、どのようにお考えですか。
○国務大臣(原田義昭君) 御指摘のように、昨年度、電気事業者による自主的枠組みである電気事業低炭素社会協議会により、協議会会員企業の取組状況について初めての評価が実施されました。電力レビュー結果において、こうした協議会による評価に関しては、会員企業が相互に競争関係にある中、協議会として各社に取組を促していくという実効性の観点で課題があることを指摘いたしました。
 環境省としては、今後とも、取組の進捗を注視していくとともに、進捗が見られない場合には、目標達成が困難になることがないよう、関係省庁と連携して施策の見直しを含めて検討することとしております。
○武田良介君 今後の進捗を見ていくという話ですけど、それでは全く足りないということだと思うんですよ。
 もう少し紹介しておきますけど、排出係数〇・三七、この達成見通しについてということでここでやり取りされています。
 二月の意見交換会見ると、この協議会の方は、これまでは改善の流れです、原発の再稼働とか再エネの導入なんかが要因になって改善の方向ですと。日本共産党としては、係数下げるために原発再稼働なんていうことは断じて許さないという立場ですけれども、少なくともそういうことから下がっていると言っておりますが、しかし、今後達成できるかどうかは今すぐ断言できないと協議会の方が自分でおっしゃっているんです。
 三月のヒアリングでは、先ほどの浅野先生、政策的対応の評価は本来個々の政策、施策の効果とこれに応じた事業者の努力を見るべきものだ、その議論なく先に指標ありきで評価するのは無理だと考えるということもおっしゃっているわけです、無理だと。
 大臣、今の答弁でいいんですか。やっぱりおかしいんじゃないですか。
○政府参考人(森下哲君) 先ほど御紹介がございましたこの電力レビューの関係でございますけれども、レビューを環境省として取りまとめるに当たりまして、事前に事業者から、そして有識者からヒアリングを行っているということでございます。御紹介をいただきましたようなやり取りがございまして、それを今御紹介いただきましたけれども、こういったこともオープンに既に公表して取組を進めているということでございます。
 私どもがこのヒアリングを踏まえて取りまとめました電力レビューでございますけれども、これが今年の三月に公表されたものでございまして、その中では、この評価として、一年間の取組を各社が自らチェックを、事業者がですね、したことを協議会として確認をしたということを説明を受けて、それを受けて、定量的な目標設定を始め具体的な評価基準を明確にしなければ自主的枠組みの実効性には疑問がありますよということを評価としてお示しをしているところでございます。
 しっかり今後の取組を注視をしてまいりたいというふうに考えております。
○武田良介君 最後のところで取組を注視するという話になったら、環境省は役割を果たせないんですよ。もちろんその資料にもあると思いますけど、大塚先生もおっしゃっていますよね。協議会が進捗状況を確認すると言うけど、協議会が厳密な意味でチェックしていない以上、PDCAをそもそもやっていないと言えるのではないかということまで大塚先生もおっしゃっています。
 今答弁あったとおりだと思いますけど、環境省のその三月二十三日にまとめた中身にも、PDCA、履行担保の実効性の観点で課題があると言っているわけですよね。課題があるんだったら、これ見直さなきゃ駄目なんです、二月合意の枠組みを。環境大臣としてどうですか。
○国務大臣(原田義昭君) 今後の取組の進捗状況を見定めつつ、目標の達成ができないと判断される場合には施策の見直し等を検討することとしており、石炭火力発電に対しては引き続き厳しい姿勢で臨んでまいりたい、こう思っております。
○武田良介君 問題は地球温暖化対策なんです。パリ協定の目標をどうやり切るかなんです。もうこれは直ちに手を打たなければいけないんです。状況を見ていたら遅いんです。だから、政府だって、今度G20があるとか、またCOPの会議もあるとか、いろいろありますよ、そういうときに日本がどういう対応をするのかということが大事なわけじゃないですか。
 今、有識者の方たちは、これはもう実効性の観点で課題があると環境省のまとめで言っているんですよ。環境省自身の認識ですよ。だったら、これ見直すしかないと思うんです。二月合意そのものだし、もっと言えば、自主的枠組み、電力業界にお任せということでは、一番排出している石炭火力、新増設だって止めることできないですよ。自主的枠組み、これ見直す必要があるんじゃないですか。大臣、もう一度お願いします。
○国務大臣(原田義昭君) こうした取組の実効性の確保のためには、省エネ法等の政策的対応も行われております。目標の達成ができないと判断される場合には、繰り返しになりますけれども、施策の見直し等を検討することとしており、まずは今後の取組の進捗状況をしっかりと評価してまいります。
○武田良介君 本当に進捗状況を確認していたってCO2減らないんですね。そういうことではならないと思います。
 浅野先生は、御承知でしょうか、二〇一五年に中環審の会長にも就任をされて、ずっとこの環境行政に携わってやってこられた先生ですよね。環境庁から省になって、その基本法を作るときからずっと関わってこられた、そういう先生だというふうに私もお聞きをしています。そういう方から今の枠組みでは駄目だと言われ、環境省自身もレビューの中でまとめているわけですよ。そもそも、この進捗状況のレビューというのは、二月合意がうまくいかなかったら見直すためにまとめているレビューですよね。そこでもう課題があると言っているんだから、これ見直すのは当然だということを言っておきたいと思います。
 最後に一つだけ。
 今、新設の話、ずっと聞いてきました。今動いている既設の石炭火力でも、これ止めなかったらパリ協定の目標は達成できないわけです。既設の石炭火力止めると、大臣、その覚悟はありますか。
○国務大臣(原田義昭君) 新設も含めまして既設をどう扱うか、あくまでもこれから石炭火力については非常に厳しい姿勢で臨んでいきたい、こういうふうに思っております。
○武田良介君 厳しい姿勢と言うんだったら、本当に自主的枠組みを見直すと、二月合意見直していくという立場に立たないと実際には止められないということを申し上げて、今日の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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関連資料

しんぶん赤旗記事「石炭火発 建設中止を/武田議員 『業界任せ 新設続く』」

参考資料

環境委員会資料20181127