環境委で長野県諏訪市メガソーラー計画について質問。
予定地内にある特定植物群落について、「風力発電施設であれば、環境アセス大臣意見で避けるべき地域としてあげている」と答弁。
太陽光発電施設も環境アセスの対象になるところです。だったら、まだ対象になっていないなどと言わず、この地域での開発は避けるべき‼
さらに、産業廃棄物のプラスチックごみも自治体に焼却処理を要請する通知を、環境省が各自治体に出した問題。
長野県の自治体から、「市民には分別を呼びかけ、施設周辺の方とは公害防止協定も結んでいる」「収集と焼却の前提が崩れる」と指摘されていることを突き付けました。
産廃ゴミの「排出者責任」の「大原則」を考えれば、排出者の責任で保管・管理することも「法的に責任の果たし方の一つ」と認めさせました。だったら、緊急避難措置は自治体に求めるのではなく、排出者に求めるべき‼であります‼
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議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
まず、長野県諏訪市のメガソーラー計画について取り上げたいと思います。
この計画については、二年前にも当委員会で私、取り上げました。その際にも、この建設予定地に環境省が指定した特定植物群落があることを指摘をいたしました。
特定植物群落というのは、自然環境保全法に基づいて自然環境保全基礎調査を行って指定される規模や構造、分布等において代表的、典型的なもの、代替性のないもの、あるいは極めて脆弱であり、放置すれば存続が危ぶまれるものなど、保護対策を検討することを目的に策定されているというふうに承知しておりますが、この実は長野県諏訪市の特定植物群落、第五回の基礎調査で指定を受けたものだというふうに思いますが、その代表的な構造、分布、希少性、脆弱性、こういったものはどういう特徴があるのか、いかがですか。
○政府参考人(正田寛君) お答えいたします。
委員御指摘がございましたとおり、特定植物群落は、自然環境保全基礎調査の一環といたしまして把握した中で、特に注目すべき植物群落を選定して公表してきたものでございます。
御指摘の特定植物群落につきましては、平成十年度に実施されました第五回自然環境保全基礎調査において選定されました諏訪高原リゾート開発地内湿原でございまして、ヌマガヤ、クシノハ、ミズゴケ群落などの長野県内で希少な植物群落が確認され、学術的価値も高い湿地であること等から選定されたものでございます。
○武田良介君 非常に貴重な群落、ミズゴケ等ですね、あるということなんですね。
一九九九年に調査を終えて以降、この基礎調査では、特定植物群落に関する調査、二十年もの間なされていないというふうに思いますけど、これなぜなんでしょうか。
○政府参考人(正田寛君) お答えいたします。
特定植物群落調査につきましては、自然環境保全基礎調査の一環としてこれまでに計三回実施しておりまして、最近のものといたしましては、一九九三年から一九九九年にかけての第五回自然環境保全基礎調査において実施したものでございます。
この三回目の調査までに全国での悉皆的な調査は終え、対象となる特定植物群落はほぼ網羅的に選定されたところでございまして、その後、特定植物群落調査としては実施をしていないところでございます。
○武田良介君 網羅したといっても、その追加的に、追加的にで二十年たっているわけですね。その群落がどうなっているかという状況を確認していくことも含めて私は必要だというふうに思うんですよ。
ここはやっぱり湿地帯なんですね。今回のメガソーラーの建設計画によって、水の影響というのは大変心配をされております。この一帯は水が非常にきれいで、飲料水に使われている。農業用水にももちろん使われている。それから、お酒造りにも使われている。そういうきれいな水があります。ここの川には、アマゴだとかサツキマス、希少な魚もいるというふうに言われております。それから、先ほどお話ありましたミズゴケ、県のレッドリストに指定されている高層湿原ミズゴケ群落などの植物もあると。まさに自然の宝庫なわけであります。
私も現地行ってお話を伺いましたけれども、諏訪湖の漁業協同組合の方も大変強い懸念をされているということでありました。この地域の食文化を支えてきたのが諏訪湖でありますけれども、平成二十八年のときに魚類の大量死が発生したことがあります。それだけその諏訪湖の豊かな環境が損なわれているということがまさに今指摘をされているところであります。
大量死の原因とされる湖底の貧酸素水、要は酸素が少なくなる、その拡大要因として湖の周りでの地下水の動向変化も考えられているということなんですけれども、この諏訪湖の漁協としては、本計画が諏訪湖を中心とする水環境に何らかの影響を与える可能性もあるということで懸念をされているわけです。こういう中に特定植物群落もあるわけなんですね。
今御答弁いただきましたけれども、調査というのは二十年の間やられていないわけです。これ、調査一般という話に限らずに、今回のようなメガソーラーの計画がある、そこで直面して特定植物群落が守られるかどうか、こういう課題になっているところ、こういうところから追加調査を行っていくべきだと思いますけれども、環境省、いかがですか。
○政府参考人(正田寛君) お答えいたします。
御答弁先ほど申し上げましたとおり、特定植物群落につきましては、第五回自然環境保全基礎調査までの三回の調査により網羅的に選定を終えたところでございます。
その後についてでございますが、平成二十八年度からは、縮尺二万五千分の一になりますが、植生図の調査を行ってございます。この植生図の調査の際に、必要に応じて特定植物群落の状況についても確認することでフォローアップをしてまいりたいと考えてございます。
○武田良介君 事前にも聞きましたけど、その植生調査やったって、どこに何があるかというだけですよね。そこの群落がどういう状況にあるのか、二十年前に指定したけれども現在どうなっているのかなんということを現地で確認しているわけじゃないんですよ。そういうことではなくて、しっかり調査をしていくということが必要になると思うんですね。
現在、環境省が取り組む環境アセスの対象にこの太陽光発電施設を追加するという準備が進められているところだというふうに思いますけれども、今回の計画が国の環境アセスの対象になったらどういう対応があり得るだろうかと。風力発電の発電施設を例に取れば、この間の環境大臣意見でも、特定植物群落があったら計画地から避けなければならないという旨のことも述べられているわけですよね。そういう立場に立ったら、特定植物群落のあるこの計画地、対象地域から外すようなそういう地域だと思いますけれども、これは大臣、いかがですか。
○政府参考人(中井徳太郎君) お答え申し上げます。
太陽光発電事業は、委員御指摘のとおり、現時点では環境影響評価法の対象とはなってございませんけれども、仮に環境影響評価法に基づく環境アセスメントの対象となった場合には、事業の実施区域に特定植物群落が存在する等、当該事業によって重要な自然環境への影響が懸念される場合には、事業特性や地域特性を踏まえつつ、その改変の回避等の必要な対応を環境大臣意見の中で求めることになると考えております。
なお、委員御指摘ございましたけれども、過去に北海道や山形県内で計画されました風力発電事業に対しましては、特定植物群落につきまして区域を明らかにした上で予測評価を行い、その結果を踏まえ、重要な自然環境の改変を回避又は極力低減することという大臣意見を述べておるところでございます。
○武田良介君 今答弁ありましたけど、風力発電施設だったら計画地からこれ外さなきゃいかぬという話、それから、これから太陽光もアセスの対象になってくる、そういうことを広くやっぱりこれは知らせていかなければなりませんし、そういう事業者に対して知らせていく必要があるというふうに思うわけです。
そうすると、今この計画というのは、既に長野県の環境アセス条例に基づいて準備書が出るかというところに来ているというふうに私、聞いておりますけれども、国のアセスの対象には現状なっていない。しかし、今の状況からすれば、アセスの対象にまだなっていないわけだけれども、環境省としてそういった姿勢を示していくことも必要になってくるんじゃないかというふうに思いますが、これは大臣、いかがですか。
○政府参考人(正田寛君) お答えいたします。
特定植物群落につきましては、我が国の植物相のうち代表的、典型的なもの、極めて脆弱であるものなど、こういった選定基準に基づいて選定されており、その保全を図っていくことは重要と認識をしてございます。今申し上げました特定植物群落調査を含みます自然環境保全基礎調査の結果につきましては、インターネット上でも概要を公開しており、アセスなどで適切な環境保全措置の検討に活用されていくものと認識をしてございます。
環境省といたしましては、引き続き、特定植物群落調査を含む自然環境保全基礎調査の情報を積極的に発信するとともに、必要に応じ研究者や事業者等に詳細情報を提供することなどにより自然環境の保全に一層努めてまいりたいと考えております。
○武田良介君 この計画は、大規模な樹木の伐採が行われるものにもなります。この間、市民の皆さんに届けられている書面を見ますと、伐採工事の着工は来年、二〇二〇年の三月には行われるということになっているわけです。本当にまさに今が大事なところになっていると思うんですね。本当に正確な情報発信、環境省としても、しなければならないというふうに思うんですけど。
私が二年前に質問した後の環境省の対応ですけれども、長野県に対して問合せはし情報共有はしたものの、現場確認など、環境省独自の行動はないということでありました。私、現地に行って伺ってきましたけど、市民の皆さんの願いは、是非環境省に現場に来て、見ていただきたいということなんですよね。先ほどの追加調査もそうですけれども、群落がどうなっているのか、水にどういう影響があるのか、是非環境省に見ていただきたい。
これはやはり、大臣、これから太陽光発電施設も含めてアセスの対象になっていくわけですから、もうどんな理由でもあれですけど、是非現地に行って、見ていただきたい。大臣、いかがですか。
○国務大臣(原田義昭君) 環境省としては、まずはしっかりとした情報収集をやらなきゃいけないと、こういうふうに思っているところであります。
○武田良介君 現地に是非行っていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。
次に、廃プラスチックについてお伺いをいたします。
バーゼル条約によって、汚れた廃プラスチックについては輸出に対して規制が掛かって、日本でもより大量の国内処理が必要というふうになっております。
そうした状況を受けて、環境省は、五月の二十日に「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について」という通知を出されました。この通知の第八のところを見ますと、市町村において、今般の状況に鑑み、産業廃棄物に該当する廃プラスチック類を受け入れて処理することについて積極的に検討されたいというふうにあるわけですね。
これ結局、自治体の焼却炉で燃やしてしまうということになるというふうに思いますし、これは排出者の責任はどうなるのか、その排出者の責任ということを曖昧にしてしまうんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
○政府参考人(山本昌宏君) 御指摘のありました通知に関しまして、排出事業者責任を曖昧にしてはいけないという御指摘でございます。
それはそのとおりだと考えておりまして、通知、全体で九項目あるんですが、その第二の項目の中で、まず排出事業者責任の徹底というところを設けておりまして、これは、排出事業者が他人に委託する場合であっても排出事業者責任が極めて重いということ、それから当該産業廃棄物の処理に関して適正な対価を支払うことなど、その責任についてしっかりと記載させていただいております。
また、先ほど言及のありました第八のところ、市町村で受け入れていただく要請のところに関しましても、廃プラスチック類を受け入れる際には、排出事業者責任等を勘案し、処理費用として料金を徴収することなどを明記させていただいております。
○武田良介君 今御紹介いただいたその第二のところですけれども、排出事業者の適正な処理だとか費用について述べているだけなんですよね。それも自治体に指導強化を要請しているにすぎないわけであります。自治体に焼却処理を押し付けてしまうということに何らこれ変わりはないというふうに思うんですね。
この通知では、市町村において処理することを検討されたいということですけど、処理するといっても実際にはほとんどが燃やされるわけでありますから、廃プラを燃やして処理するということを推進する通知だということであって、これ、環境省の3Rという姿勢とも矛盾するんじゃないですか。
○政府参考人(山本昌宏君) 環境省といたしましては、まず、廃プラの処理体制をしっかりと、国内体制を、リサイクルをする体制を整えるということが重要と考えておりまして、平成二十九年度から、今般の輸入規制の影響も考慮しまして、リサイクル設備の国内導入を支援するための予算を確保してきてございます。
この今御紹介のありました通知の中でも、市町村の処理を要請するだけではなくて、当該補助制度の周知も併せてしておりまして、その積極的な活用促進を依頼してございますので、3R推進を求める立場に変更はございません。
ただ、やっぱりそういった体制の整備には一定の時間を要するということと、現状、廃プラスチック類の処理が逼迫しているという状況を踏まえまして、その体制が整備されるまでの間の緊急避難措置として今回の受入れの検討をお願いしておるというところでございます。
○武田良介君 立場を変えたわけではないと言ったんですけど、私は矛盾するんじゃないですかと聞いたんですけど、矛盾するんじゃないでしょうか。
○政府参考人(山本昌宏君) あくまで、現在、産業廃棄物処理事業者のところで保管量が積み上がって保管基準違反が生じて改善命令を発出するような事例も出てきておりまして、こういったものが不適正に処理されるといったことは避けなければいけないということで、3Rを推進するという中で、体制の整備その他、処理を円滑化するための様々な努力を重ねながら、市町村にも併せてこういった緊急避難的な措置としてお願いをするということでございます。
○武田良介君 やっぱり私はおかしいと思うわけですね。
自治体は、廃棄物処理法だとか容器包装リサイクル法に基づいて、分別収集をするだとか、減量、リサイクルということに努力をしているというのが自治体ですよね。そういう自治体に、これまでプラスチックくずとして海外に輸出していたそういう廃プラを今度は焼却するように求めているということなんですから、これは全く逆行していると思うんです。
信濃毎日新聞、五月二十二日、昨日付けですが、見ましたら、今回の環境省の通知を受けて長野県内の自治体がどのように対応するのかということで取材をされておられました。それ見ますと、上田市では、廃プラごみを受け入れて焼却処理することになれば収集や焼却の前提が崩れると困惑をして、現時点で検討の考えはないというふうにしたということが報道されております。
これやっぱり、自治体の担当の方に聞いても、本当困惑しているわけですよね。住民にはプラスチックを焼却しないように呼びかけているわけです、自治体は。そういう市民との信頼関係を崩すことにもなるということも言われておりますし、もちろん、その施設の周りの住民の方と公害防止協定を結ぶ、そういうことにも反するということになるわけですね。だから、これは上田市の方がそう言ったという例ですけど、他の自治体でも同じ問題があるんだろうというふうに思うんです。
これ、大臣、いかがですか。どうお考えですか。自治体の焼却だとか収集の前提、崩れるんじゃないですか、大臣。
○国務大臣(原田義昭君) 確かに、この問題の出発点というのが、今、とりわけ都市部で、産廃施設、産廃の量が多くなり過ぎたために自らなかなか処理できないと。一方、近隣の自治体が一般廃棄物を処理しておるわけでありますけれども、そこに仮に余力があればという前提で今回の通知を出したところであります。
いずれにいたしましても、今御指摘のような案件も含めて、出す側、頼む側と受け入れる側、この自治体がしっかりその辺も踏まえながら何とか調整をしていただければ有り難いなと、こういうふうに思っておるところであります。
ただ、基本的な解決とは私どもも考えておりませんで、是非また産廃の側もしっかりとした、今のようなことを踏まえて産廃の側もこの体制をつくらなければいけないなと、こういうふうに思っております。
○武田良介君 今の答弁の趣旨がちょっと分かりかねる部分もあるんですけど。
本来であれば排出者の責任ということがありますので、その中間処理業者のところでも積み上がった廃プラをどうするのかということもあるわけですが、本来だったら、排出事業者が持ち帰り、例えばですね、持ち帰り、自らの責任で保管する、管理する、そういうことだって可能なんじゃないかと思いますけれども、その原則に立てばあり得る話じゃないですか。
○政府参考人(山本昌宏君) お答え申し上げます。
先ほども御紹介した排出事業者責任の徹底というところで、一つは適正な対価を払うということで、一つは、今中間処理の滞留しているものは処理のための費用が、広域的な処理をするための費用が十分に負担できないということで滞留している部分もありますので、そこは排出事業者さんがしっかりとそこを、費用を負担していただくということで処理が流れてリサイクルできる部分もございますし、あとここに、通知の中にありますように、分別の徹底ということで、従来は交ぜた形で出していたもので、交ぜたものとしてはもう受入先がなかなかないという状態でありましても、きちんと排出事業者が分別していただくことでリサイクル先が確保できるという事例もございますので、こういったことも併せて今回お願いをしております。
それから、その通知の最初のところでも、広域的な処理ということで、産廃の流入規制などで、本当は出したいし、そこに、施設に余力があっても処理ができないと。まさに産廃の世界でうまく回るところが滞っている部分もありますので、そういうところはしっかりやってくださいということを併せてお願いをしているということで、そこは排出事業者にもしっかりと努力をしていただくということをしっかりとこの通知の中でもお願いをしておりまして、それを前提として緊急避難的な市町村へのお願いということでございます。
○武田良介君 ですから、端的に確認しますけど、排出者の責任で自ら保管、管理することもその責任の果たし方の一つということでよろしいですか。
○政府参考人(山本昌宏君) 排出者の側で適正に保管ができるような場合であれば、そういったことも選択肢としてはあり得ると考えます。
○武田良介君 であれば、緊急避難措置として自治体に燃やしてくれという話をするというよりも、そういったことも含めて排出者の責任においてやってくれということ、そういう通知を出すということこそ必要になるんじゃないですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(原田義昭君) いや、御指摘のとおり、決して、自治体にその処理を頼むからといって、事業者の側、排出者の側の責任やらが減じられるわけでは一切ございません。それは、当然のことながら、排出者の側、生産者の側は3Rの原則に基づいてしっかりやらせなければならないと、こう思っております。
どうしても今緊急避難的に、今ここにたまり過ぎて大変だから、自治体でもし余裕があればというような前提でございますから、今お話しのとおり、事業者については、私ども、その形でしっかり指導してまいりたいと、こう思っております。
○武田良介君 終わりにしますけど、緊急避難といってもその必要な間と言っているだけですしね。結論はやっぱり燃やしてくれという中身が入っているわけですから、そういう通知になっていないんじゃないかなというふうに思いますし、引き続きこの問題も注視していきたいと思います。
終わります。