本日、参議院環境委員会で、汚染土中間貯蔵と再生利用問題で質疑。
南相馬市の常磐自動車道工事での再生利用実証事業は、住民のみなさんの反対の声があがっています。
私は、「高速道路の下に埋めるのですから、実証も何もない。事実上の最終処分ではないか」と追及。
原田環境大臣から、「住民合意がなければすすめられないのは事実」との答弁が最後になされました。これは重要!
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
JESCO法の附帯決議に基づきまして、中間貯蔵開始後三十年以内に福島県外での最終処分を完了するための取組の進捗状況に関する報告、先ほどの理事会で環境省から報告もされました。本日の委員会でも配付がされているということであります。
そこで、まず、中間貯蔵施設について伺いたいと思います。
山本局長にお伺いをいたしますけれども、双葉、大熊両町が中間貯蔵施設、これを受け入れたということになっているわけですが、どんな思いでこの施設を受け入れたというふうにお考えでしょうか。
○政府参考人(山本昌宏君) 福島県は原発事故による最も大きな被害を受けまして、とりわけ大熊町、双葉町におきましては、現在もなお町の大部分が帰還困難区域に指定されているという状況でございます。こうした状況の中、福島全体の復興のために大熊町、双葉町において中間貯蔵施設の受入れをいただいたのは、まさに苦渋の決断をいただいたものと認識してございます。
国としては、地元の思いにしっかり向き合った上で、復興に向けた取組を進めていかなければならないと考えております。
○武田良介君 福島県内各地にフレコンバッグに入った除去土壌、汚染土がたくさんあるわけですよね。だから、福島県下各地で、早くどこかに持っていってほしいと、これじゃ復興が遅れてしまうという思いがあるということを私もお聞きをしておりますし、当環境委員会でも視察をさせていただきました。二年前だったと思いますけれども、させていただきました。そのときにも伊澤双葉町長がおっしゃっておりましたけれども、今の苦渋の決断という言葉をおっしゃっておった。やっぱりこれを本当に私たちは重く受け止めなければならないというふうに思うわけです。
局長にもう一つお聞きしますけど、福島県民の皆さんにとって汚染土とはどんなものだというふうにお考えでしょうか。
○政府参考人(山本昌宏君) 福島県におきましては、先ほども申し上げたように、原発事故で最も大きな被害を受けたということで、今なおたくさんの除染によって生じた除去土壌等がフレコンバッグなどに入れられて保管が継続しているという状況でありますので、こういったものは一日も早くやはり運び出して、中間貯蔵に運び入れてほしいと、そういったものだというふうに認識してございます。
○武田良介君 同様に、あきもと副大臣にもお伺いしたいと思うんです。
汚染土は福島県民の皆さんにとってどんなものだというふうにお考えでしょうか。
○副大臣(あきもと司君) 今局長の方からもお話ありましたけれども、やはり我々としましては、福島県の方々、この原発事故によって最も大きな被害を受けられ、現在も帰還困難区域を抱える浜通り市町村を始め、復興に向けた懸命な努力をなされている真っ最中であると思っております。
復興に向けては、県内に本当に多数存在する仮置場等を一刻も早く解消することが重要だと思っておりますし、来年、東京オリンピック・パラリンピックに向けても、福島の地がこの競技施設の会場となっておりますので、まずは、目に見えるところはしっかりと移動する、そのことの思いで、環境省としては、二〇二一年度までに、帰還困難区域を除く除去土壌等の輸送を全て、おおむね完了させるということを目指しているところでございます。
○武田良介君 まず、私、やっぱりそもそもこの汚染土というのは、東京電力の福島第一原発のあの原発事故によって生まれたものだということを私は改めて指摘をしたいというふうに思いますし、その汚染土の処理の責任は東京電力と国にあるんだということを、当たり前ですけれども、改めて指摘をさせていただきたいというふうに思うんです。
今、福島の皆さんは、日常生活の中で毎日フレコンバッグに入った汚染土を見ているということがあるわけですね。だから、原発事故が終わったものではないということをそのたびに感じるということをおっしゃっておられた。そういう話を私も伺ったことがあります。
この汚染土というのは、じゃ、どこに持っていくのかということを考えれば、中間貯蔵に運び込むにしても、双葉、大熊の皆さんは苦渋の決断をせざるを得ない。これは、福島県内だけではなく、全国的に見ても本当に分断も生み出しかねないような、そういうものだというふうに思うんですね。
福島の皆さんをそうして悩ませ、分断を生み出しかねない汚染土の問題に対する今回のこの報告なわけです。それが今回の理事会でも行われたわけです。これは、見るとペーパー一枚なんですよね。こういう問題に関わっての国会報告がペーパー一枚なんです。とりわけ、先ほども話がありました再生利用の実証事業ということでいうと、この(二)のところにある僅か十行なわけです。
こういう汚染土の問題を考えれば、いかに福島の皆さんを悩ませているかということを考えれば、このペーパーだけでは、その認識甘いと言わざるを得ないんじゃないかと思うんです。福島の皆さんがこれだけ汚染土の問題で、分断も持ち込まれかねないようなそういう汚染土の問題、そういう福島の皆さんの思い、この記述では明らかに不十分だと思いますけれども、局長、いかがですか。
○政府参考人(山本昌宏君) 環境省におきましては、福島県及び地元自治体との協定にも記載しておりますとおり、中間貯蔵開始後三十年以内の福島県外での最終処分の完了に向けて減容・再生利用技術開発戦略及び工程表を作っておりまして、これに沿って減容技術の開発や全国民的な理解を得ながら再生利用の推進等の取組を進めていくということとしております。
それに基づいて様々な取組をしている中、JESCO法附帯決議に基づく国会報告では、こうした県外最終処分に向けての前年の報告以降に実施してきた取組事項を項目立てをして、それぞれの進捗を記載させていただいているものでございます。
○武田良介君 それはここにも書いてありますよ、何でこの報告をするのかということは書いてあります。
私が聞いているのは、そうじゃなくて、福島の皆さん悩ませている汚染土の問題ですよね、そのことがここには全然記述ないじゃないですか。そういう国として国会に報告するに当たって、これで十分だと思っているのかということをお聞きしたんです。局長、もう一度お願いします。
○政府参考人(山本昌宏君) 御報告に関しては、今申し上げたとおり、それぞれの取組事項を項目立てをして報告させていただいておりますが、個別の事項に関する詳細につきましては、環境省で開催しております検討会の資料、あるいは環境省のホームページ等でも公開しているところでございます。
○武田良介君 いや、それはそうですよ、公開していますよ。公開しているんだったら、このペーパー、何なんでしょうか。本当に形式的に出しているだけとしか言いようないじゃないですか。戦略検討会とかのあの資料を見たらより詳しいことが分かるわけですよね、どういう実証事業が得られるのか。
じゃ、これ、不十分だということを今認めたということでよろしいですね。
○政府参考人(山本昌宏君) 最終処分に向けた取組というのは様々な取組、膨大な取組がございますので、それらについて、国会報告の中ではこういった形で項目立てをして、それぞれの進捗を記載するということで整理をさせていただいているところでございます。
○武田良介君 膨大だとかそういう話じゃないんですよ。福島の皆さんが悩んでいる問題ですよね。原発事故が起こったから、これまでになかったような異質の問題が起こったから、福島の皆さんが悩まれ、全国の皆さんが本当に考えなきゃいけない課題なんですよ。それをペーパー一枚で出して、これで十分なのかどうかと聞いているんです。局長、もう一回。
○政府参考人(山本昌宏君) 報告の内容につきましては、今回の御指摘も踏まえて、今後についてはしっかりと検討してまいりたいと考えておりますが、申し上げましたように、この中では、取組事項に沿って進捗を整理して報告をさせていただいているということでございます。
○武田良介君 同様に、あきもと副大臣、これ、不十分だと思われませんか。
○副大臣(あきもと司君) 国会への報告そのものにつきましては、今局長から答弁をさせていただきましたように、形式、項目をまず述べさせていただいて、結果としての報告をさせていただいたものだと思っております。
ただ、御指摘いただいたことはしっかり踏まえて、今後、この国会報告の在り方というのも環境省としてやっぱり検討すべきは検討していくべきだと思っておりますので、そのことは次回また我々もしっかり対応させていただきたいという思いであります。
そういった中で、環境省として、この中間貯蔵除去土壌等の減容また再生利用技術開発戦略検討会を設置しまして、除去土壌等の減容、再生に係る技術開発の戦略や、また再生利用の促進に係る事項等について公開で検討をさせていただいておりまして、私もこの検討会に出席をしながら、これまで国会等で御指摘をいただいたことも踏まえて、除去土壌等の減容また再生利用の推進に向けて委員の皆様から忌憚のないこれは御意見をいただくようにお願いしているところでございまして、こういった検討会における議論等も踏まえて、再生利用や福島県外の最終処分の取組に対する国民の皆様の理解を得ていきたいという思いでございますので、様々な情報はしっかりと開示しながら国民の理解を得ていきたい、そんな思いでございます。
○武田良介君 国民の理解を得たいと言うんですけれども、これでは絶対に理解得られないというふうに私は思います。
報告書にあるように、先ほどもお話ありましたけど、二本松の実証事業は再検討とされたわけです。住民の皆さんの強い反対がありました。これはやっぱり、本来であれば中間貯蔵に搬入すべき汚染土を市道のところの下に埋めるという話ですから、これはもう約束と違うじゃないかということで怒りが大きく広がったと。
そういう住民の皆さんの思いが全く記されていない報告書だということを私、言わざるを得ないというふうに思いますし、今回のこの報告、ペーパー一枚出したら年に一回の国会報告は終了と、こんなことでは絶対にならないというふうに思います。私もこの間ずっと求めてまいりましたけれども、この報告されるんであれば、委員会でちゃんと報告がされて、それに対しての質疑があってしかるべきだというふうに思いますので、引き続きそのことは強く求めていきたいというふうに思います。
南相馬小高区の常磐自動車道工事についてお伺いをしたいと思いますが、道路建設に汚染土を使うことになるということで、地元住民の皆さんも反対の声を上げておられます。どのような反対の声があるんでしょうか。山本局長、お願いします。
○政府参考人(山本昌宏君) 今御指摘がありました南相馬市の常磐自動車道に係る工事におきましては、四車化工事に伴う盛土の一部として再生資材を利用する実証事業を計画してございます。当該事業につきましては、事業の着手に先立ちまして、本年三月に地元での説明会を行いました。その際、御指摘がありました点につきましては、再生利用については聞いていなかった、あるいは農作物への風評被害が心配である等の御意見をいただいたところでございます。
○武田良介君 住民の皆さんの怒りというのは、東電と国によって汚染されたその土が、中間貯蔵に入るんじゃなくて、今度は高速道路で埋め立てようというふうな話になっているわけですから、それに対する怒りだと思うんです。
高速道路ですから、一回、造るために、先ほどの福島先生の資料じゃないですけど、使って上に何か盛土をするとか安全だとかと言っても、実際にはもう高速道路ですから、造られて後からまたどこかに運ぶなんて事実上あり得ないですよね。どう考えたって最終処分になるわけです。こういう怒りが再生利用に対しての反対の世論になっているということだと思うんですよ。
大臣に確認をしておきたいと思います。先ほども若干やり取りありましたけれども、この再生利用の実証事業、住民合意がなかったら、これは再生利用の実証事業をやらないということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(原田義昭君) 再生事業への実証事業は、これはあくまでも国の方針に従って、まずは幾つかのポイントを選択をして、そして徹底的にその安全性を確認すると。その過程では、当然のことながら、住民の皆さんの意見を聞きながらこれを進めるということになっております。
私どもからすれば、丁寧な説明、皆様方の御意見をしっかりとまた拝聴するということが大切なことではないかと、こう思っております。
○武田良介君 それは、住民の皆さんに説明するというのは当たり前ですよ。当たり前だと思います。南相馬の東部の仮置場ですか、視察も行きましたけれども、あそこでデータ測るわけですよね、大丈夫だと。そのデータを用いて、じゃ、あそこでまた再生利用しましょう、こっちもやりましょうと。そのためにそのデータを用いて説明するという御答弁ですよね。説明はそのとおりだと思うんです。
住民合意がなくてできるのかということなんです。住民合意がなくてそんなことできるんでしょうか。
○国務大臣(原田義昭君) 政府の方針は、少なくとも住民合意を得るために最大限努力すると、こういうことであります。
私どもからすれば、本当に丁寧な、しかも安全性がやっぱり何よりも住民の皆さんにとっては一番心配なことでありますから、当然のことながら科学的な調査、測定をしっかりやった上で、そのことをやっぱり住民の皆さんが納得いただくという努力を続けなければいけないと、こういうふうに思っております。
○武田良介君 必ず、答弁の頭には国の方針、国の方針ということがあるわけですよね。国の方針に従って再生利用をどんどんやるということになるし、説明をしながら納得してもらうと、納得してもらって再生利用をどんどんやるんだという答弁されているようにしか私には聞こえないわけですね。
しかし、二本松の事業は実際に再検討となったわけです、反対の声が強くて。常磐道だって、今、本当に反対の声が大きく広がっているわけであります。もう現地の声も改めて聞きましたけれども、現地で賛否両論分かれているという話じゃなくて、少なくともこの常磐道のものは反対の声しか私は聞いていないという声もお聞きしました。それだけ反対が強い話だと思うんですね。
納得してもらうということには、冒頭お聞きしたような双葉や大熊の苦渋の決断ということだってそこにはあるわけじゃないですか。そういうことを住民の皆さんに迫っていくということが私はやっぱりおかしいというふうに思います。
常磐自動車道のこの事業についてですけれども、大臣に一つお伺いしておきますが、今回の報告、これ、常磐自動車道については僅か一行ですよね、南相馬小高区の常磐自動車道工事において実証事業を検討していることについて地元への説明を行った。地元の皆さんへの説明だとか丁寧な理解だという答弁がさっきありました。それでは不十分だと思いますけれども、そういうことからしても、この記述は不十分ですよね。
大臣の認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(原田義昭君) 私どもからすれば、今、更に丁寧な説明を継続しておるところでございまして、更にそのことをしっかりと進めていくことが大切であると、こういうふうに理解しております。
○武田良介君 ちょっとお答えいただけなかったように思って、非常に残念なんですけれども。
どう考えても、この記述、国会報告は不十分です。これではならないということを重ねて指摘をさせていただきたいと思いますし、この常磐自動車道の問題は署名活動もされています。環境省が市に対して、実証事業をやるから協力してくれという要請をされていますよね。それに対して住民の皆さんが署名を集め、市長に対し、協力要請があるけれども協力しないでほしいという署名を出されておりますよね。二月にはたしか約三千筆、この五月の末にも五千七百四十五筆、こういう署名が集まっている。南相馬だけでなく県内外の公共事業で利用されることになってしまうのではないか、そういう声がやっぱりあるわけです。
大臣に、最後、認識をお伺いしたいと思うんですが、本来であれば、汚染土というのは、冒頭にも言いましたように、東京電力の原発事故によってつくられた汚染土、生まれた汚染土であります、東京電力と国の責任で処分されるべきものだと思うんですね。それが、高速道路の下に埋める、あるいは市道の下に埋める、事実上そこで最終処分されていく、もうこれがそもそも誤りだというふうに思うんです。
各地にある仮置場の汚染土の中間貯蔵への搬入も遅れている、そういう遅れているということも棚上げにしながら、先ほどの線量の話、そういうことも口実にしながら、再生利用可能だというふうに今環境省は言っている、これはもう到底許されない話だというふうに私は思います。
こういうやり方というのは国と東京電力が責任果たしているということにはならないと思いますけれども、原田大臣、認識いかがでしょうか。
○国務大臣(原田義昭君) この案件が、東京電力、さらには国が最終責任を持っているということは、これはまさにそのとおりでございます。
それゆえに、今起こっている現状をどう解決していくかと、こういうことを国も事業者も、さらには全ての皆さんが考えた上で、最終的にはやっぱり、出てくるものを減容化、さらには再生利用する道がないかということで様々考えられた上で、一応政府としては、これをぎりぎりできる範囲でやっていこう、あくまでそれは汚染の問題である、あわせて、それをモデル事業、実証事業というもので何点か選んでやっていこう、仮にそれがうまくいけば、その実証結果を他のところにも及ぼすことができる、こういう観点の下で、現在、南相馬についても行われているところであります。
当然のことながら、その前提として、住民の皆さんの絶対的な賛成、合意がなければこれはなかなか続けられないのは事実でありますが、それについて、政府としては、また事業者としても最後までその努力を続けるというのが現状だろうと私は思っております。
○武田良介君 本当に形式的にといいますか御説明されただけの答弁で、本当に残念であります。
是非大臣、現地で声聞いていただきたいと思うんですね。大臣自身が現地でお話聞かれたことあるんでしょうか。是非聞いていただきたいと思うんですね。是非現地にも行っていただいて、そういうお話聞いていただきたいというふうに思います。
繰り返しですけれども、東電と国に責任があるということを私は強調させていただきたいというふうに思いますし、住民の合意がない下でどんどん進めるということでは絶対にあってはならない。
それから、この報告、これだけでは本当に不十分だと、委員会での報告と質疑を引き続き求めていきたいということを表明をしまして、終わりたいと思います