国会質問

質問日:2020年 12月 24日  第203臨時国会  国土交通委員会

GoToトラベル中止、新規感染者を増やさない対策を

参議院国土交通委員会で、中止を求めるGoTo と新型コロナ対策で質疑。
尾身分科会長は、医療9団体の共同記者について「危機感を共有する」「いま必要なことは感染を下火にすること」と述べられた。
 
やはり、新規感染者を増やさないことこそ、いま必要。社会的検査を広げること、保健所体制の強化を求めました。
医療現場で働く方から「私たちは旅行はもちろん外食も我慢して働いている。しかし、政府はGoTo で旅行に行こう!食事に行こう!といっている」との声に、赤羽大臣は「かといってGoTo をやめよというのは短絡的」と答弁。
 
しかし、12/28~1/11全国停止のキャンセル補てん50%について、「旅行業者と取引のある業者には配分されると大臣は答弁するが、観光地で立ち寄る土産物屋さん、飲食店などに支援は届かない」と指摘し、従来からの資金繰りなど以外の支援を要求。
「新たなやり方で」と赤羽大臣、よし!これはぜひ、実行していただかなければなりません。引き続き、頑張ります。
 

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今日は、尾身参考人、お忙しいところありがとうございます。まず尾身参考人にお伺いしたいというふうに思います。
 先日、医療九団体の記者会見が行われました。このとき連名で発表された医療緊急事態宣言では、新たな感染者を増やさないことが述べられております。そして、記者会見では、日本が誇る医療制度は風前のともしびだと、万全の感染対策こそ最強の経済対策だということも述べられました。大変強い危機感が示されたというふうに受け止めておりますし、政治はまずこの医療現場の声に応えなければならないというふうに考えております。
 尾身会長はこの医療九団体の記者会見をどのように御覧になったか、医療緊急事態宣言をどのように御覧になったのか、まず伺いたいというふうに思います。

○参考人(尾身茂君) お答えいたします。
 先日の医療団体の危機感ですよね、の表明だったと思いますけど、私も、その危機感は全く共有をいたします。
 そういう中で、今、医療の側の人たちがベッドの確保、運用等を一生懸命、もう懸命に限界の中でやっていただいています。私は、もうそうした懸命な努力に応えるためにも、今一番求められていることは早く感染を下火にすることで、それは、ある程度今はもうやるべきことが分かっているんですね。これが四月の緊急事態宣言のときは、私どもも何が効くのかが分からないで、ああいう八割、できれば八割の削減、最低七割というような話を提言させていただき、今は急所が分かっているんです、何をやれば。
 そういう意味では、私は、国の方と地方自治体の更なるリーダーシップで、国民に向けてこうしたいんだと、我々はやるべきことはこうなんだという、財政支援も含めて、そうしたことを強く。それに一般我々市民が応えて、もう感染がする状況は分かっていますので、どうしたら感染を防ぐことが、少人数で、動くなら少人数、分散、マスク、食事の場、こういうことが分かっているので、それを国民が、徹底的にみんなが。国がリーダーシップ、地方自治体のリーダーシップもまずそこが大事で、それにみんなが応えれば私は感染を下火にすることが可能で、そのことが実はやってほしいというのが団体の人たちの気持ちですよね。
 それで、そういう意味では私も全く同感で、早くみんなで、日本の人がみんなが心を一つにして感染を早く下火にするということが今一番求められていることだと思います。

○武田良介君 感染を下火にすることが今求められていると、そして危機感を共有するというお話でありました。
 尾身参考人にもう一点ちょっとお伺いしたいんですけれども、厚労省のアドバイザリーボードの資料を見ますと、国内の移動歴のある例では移動歴のない例に比べて二次感染の頻度が高かったという解析結果が出ているかというふうに思いますけれども、これはそういう認識で間違いないでしょうか。

○参考人(尾身茂君) お答えいたします。
 これは、もう当初、もうこれは感染症の常識で、人が、特にこういう状況になれば、動けば、人の人口密度、人の動き、人の行動変容、それから気候、この四つが感染の状況に影響するということは、これは元々分かっているということです。
 今委員のおっしゃったデータは先日のアドバイザリーボードで発表されたものですけど、今まで定性的に分かっていたことを定量的にしたということで、感染のしっかり分かっている人で移動歴のある人をつぶさに調べた結果、やっぱり比較的五十歳から二十歳ぐらいの人が移動することによって二次感染を起こすのがもう明らかに七十歳、八十歳の人より多いということが分かった。これは、今まで我々が定性的に思ってきたことを定量的に示された重要なデータだと思います。

○武田良介君 常識であり、定量的に示されたということでありました。
 昨日の日本医師会の記者会見を見ても、崩壊は間近という言葉まで使われて危機感を述べられておりましたし、今回のこの宣言は、医療崩壊を防ぐために最も重要なのは新たな感染者を増やさないこと、今、尾身参考人もおっしゃっていただいたように下火にすること、これがやっぱり述べられているというふうに思います。
 日本共産党この間提案してきましたように、医療機関の減収補填をすることですとか社会的検査の拡充、それから、保健所の体制を強化して隔離、保護、追跡しっかり行っていくということを求めてきましたけれども、改めて政府に求めたいというふうに思います。
 尾身会長、今日はお忙しいところありがとうございました。これで質問を終わりますので、御退席いただいて構いません。

○委員長(江崎孝君) 尾身参考人は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

○武田良介君 医療現場からの声をちょっと紹介をさせていただきたいというふうに思います。
 長野県の医労連が集めましたアンケート、生の声直行便二〇二〇というのが私のところにも届けられました。紹介します。
 自分が感染してしまったら病棟の患者さんにうつしてしまうのではないかと心配でどこにも出かけられない、GoToで旅行している人もいるが、病院勤務のため、感染させてしまう可能性を考えるとどこにも行けない、別居家族との交流が今までのように自由にできない、医療従事者であることから敬遠されがち、外出や旅行など今までのように行きたいところへ行くことができず、家族に我慢してもらっていることに本当に申し訳なく思うと。
 今、医療従事者の皆さんは異口同音に、私たちは旅行はもちろん外食もできずに家族にも会わずに生活をしていると、一方で、政府からはGoToで旅行に行こう、外食に行こうというメッセージが発せられていると、こういうことをおっしゃっております。こうした声は大臣の耳にも届いているでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 医療現場の方々が大変な御苦労をされ、そして、当然、エッセンシャルサービスの、またエッセンシャルワーカーとして多大な御貢献をいただいていることに私は常日頃から敬意を表しているつもりでございます。そうした方々のためにどういった対応ができるのかというのは、政府一丸となって考え、対応を取られているというふうに思っております。ただ、そのこととGoTo、だからといってGoToトラベルをやるべきではないということは、それはいささか短絡的なのではないかなというふうに思っております。
 加えて、GoToトラベルを、これはもう何回も繰り返して行っておりますが、感染拡大防止を大前提としておりますし、地域によって医療の状況が、逼迫度が厳しいと判断をされた場合には、知事と担当大臣、政府の中で、事実、これまでも札幌市、大阪市、名古屋市、東京都、そして広島市と、現状も今五都市で、そうした医療の状況をこれ以上逼迫させてはいけないということで停止をさせていただいているということでございます。
 ですから、私は、そうした医療崩壊を決してこのGoToトラベルで招くようなことがあってはいけませんし、感染拡大の要因になってもいけないという思いで、関わっている事業者も、また参加されている利用者も、大変な思いを持って感染拡大防止に御協力をしていただきながら実行されてきたというふうに認識をしております。

○武田良介君 もう一つ医療現場の声があります。
 全国一時停止を発表した十二月十四日、その翌日、十二月十五日にGoToの六月末までの延長が発表されておりますが、なぜ翌日なのかと、感染拡大している今現在、六月末までの延長を決めるのかと、まだ半年も医療現場の逼迫した状況が続いてしまうのではないだろうかと、こういう不安の思いも私聞いております。
 こうした声というのは、先ほど大臣の答弁ありましたけれども、こういった声にはどういうふうにお考えになりますか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 現在、先ほど挙げた五都市以外は、この年末年始は特別にして、このGoToトラベル事業は展開をしております。
 今のところの予定ですと、当然、感染拡大防止ということを大前提としながらも、一応一月三十一日で終了ということで行いました。しかし、それは、全国各地を回って現場の皆さんから聞くと、これは継続をしてほしいという、こうした声も切なる要望の声だというふうに受け止めて、それで延長を、そういうロジックから延長を決めたということであります。
 しかし、その一月三十一日の時点で感染状況が大変より厳しくなっているということであれば、それはそれで、当然、その地域に対して、またもっと広い地域であるかもしれませんが、当該地域の知事の皆さんと、そして政府の中、また分科会の専門家の皆さんと相談をしながら対応を取っていくという、これは全く当然のことだというふうに思います。

○武田良介君 医療現場では、県外への移動は禁止されていると、そういうところもあるように聞いておりますし、禁止されないまでも、事前に届出を必要とするというふうにしている医療機関もあるというふうに聞いております。しかし、このGoToはどんどん行きましょうということですから、この最も深刻な医療現場とのギャップ、これが余りにも大きいということを医療現場の声として紹介をさせていただきたいというふうに思います。
 ちょっと時間がありませんので、補償の問題に進みたいと思います。
 政府は全国で一時停止決断しましたけれども、であれば、補償を一体で行うことが必要だというふうに思います。今こそ自粛と補償はセットの対応が求められると。私も観光業は裾野の広い産業だということを実感をしておりまして、私、静岡県の伊東市に伺った際にお話を聞きました。
 お土産物屋さんに並ぶお菓子などの箱を作っているのは福祉作業所がやっているということでありました。お土産も売れないので福祉作業所の仕事も激減してしまっていると、コロナの影響がなくても工賃が低く、自立して生活していくことができないと、こういう声が上がっている現場にこういう影響が広がってしまうと。こういうところにも支援が行き届く必要があるというふうに思っております。
 キャンセル料見合いの五〇%、上限二万円の補償ということはもちろん発表されておりますし、今日も議論ありましたように、それが旅行業者から関連業者に補償が行き渡るように今検討しているということでありましたが、この旅行商品に含まれていない現地での飲食だとかお土産物屋さん、こういったところにはこの五〇%で補償が届くのだろうか、お土産物屋さんだとか、それに関わる今紹介しました福祉作業所のようなところも含めて、全ての事業者に届く支援は用意されているんでしょうか。大臣にこの点を伺います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 先ほど熊谷委員の御質問に丁寧にお答えしたつもりでございますけれども、一義的には、この旅行の仕組みに入っている事業者については直接届けると、これは大前提であります。
 しかし、その先、宿泊事業者の取引先多数あると思いますが、そこについて国の支援として明確化するということは、これは物理的に無理ですから、三五%から五〇%に引き上げる中で、宿泊事業者にそうした常識というか良識を発揮していただきたいと。事実、入ってくればいつもの取引先に対していつもより手厚い対策を取ると言ってくれた具体的な声も聞いております。
 それに加えて、これは政府としてでありますけれども、そうしたことが、大変このコロナ禍で厳しい状況にあられる事業者に対しては、これは国交省という所管だけではなくて、政府全体としてこれまでも様々な対策を取ってまいりました。そうしたことを柔軟に使いながら適時適切に対応すると。その窓口として全国の運輸局に相談窓口をつくっておりますので、そうしたことはきめ細やかに寄り添って対応していかなければいけないと、こう考えております。

○武田良介君 私が聞かせていただいたのは、旅行業者とか取引先ということではなくて、旅行に行った現地で、お土産物屋さんですとか飲食店だとか、お客さんが回ってくれるということも考えていた事業者もあるんだというふうに思うんですけれども、そういったところに旅行者が行かないわけですから、仕事がなくなってしまうということにならないかということだと思います。そこを聞きたいと。
 今も運輸局で相談窓口という話もありましたけれども、支援の総合的な取組ということですから、政府がこれまでやってきたものの延長で本当に支援が届くのかということを私は改めて聞かせていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) ですから、先ほど答弁したつもりでございますが、五〇%の中では限りがあるということでございまして、必要であれば新しいやり方を構えて適時適切に対応したいと、こう考えています。

○武田良介君 新しいやり方も含めて適時適切にということで御答弁いただきましたので、是非、全ての事業者に支援が行き渡るようにお願いをしたいというふうに思います。
 最後に、今日は赤澤副大臣にも来ていただきまして、一問聞かせていただきたいと思いますけれども、そもそもGoToキャンペーンは感染が収束した後の事業だったんじゃないかなというふうに思っておりまして、四月七日の閣議決定、新型コロナの緊急経済対策、このときには感染拡大が収束し反転攻勢のフェーズでやるということだったというふうに思うんですけれども、この四月七日の閣議決定というのは今でも生きているものなんでしょうか。

○副大臣(赤澤亮正君) 御質問ありがとうございます。
 感染拡大防止と社会経済活動の両立は、命対経済の問題ではなくて命対命の問題であると、国民の命と暮らしを守ろうとすれば、暮らしを守らなければ命も守れない、そういった中で両立を図ってきており、双方のバランスを取ることが非常に重要であるというふうに考えております。
 御指摘の四月七日の閣議決定された経済対策における収束とは、まさに四月七日に緊急事態宣言を発出することに至った大きな流行の収束のことでございまして、国民の皆様の御協力によりこの大きな流行を収束させて、五月二十五日に全都道府県に対する緊急事態宣言の解除に至ることができたということでございます。
 その上で、GoToトラベルについては、分科会の提言を踏まえ、感染状況や病床の状況を最もよく把握をしている都道府県知事の皆様の総合的な判断を尊重しながら、感染防止対策を徹底した上で適切に事業を実施してきたところでございます。今月八日に閣議決定をされました新たな経済対策においては、GoToキャンペーンは、感染状況を踏まえ柔軟に対応しつつ、感染拡大防止策を講じながら引き続き適切に推進するとさせていただいているところでございます。
 これからも、分科会の提言、感染の状況を踏まえて適切に事業を実施し、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図って、しっかりとバランスを取ってまいりたいというふうに考えてございます。

○武田良介君 緊急事態宣言の解除をもってこの収束の判断ということが本当に適切だったのかということを今、私、検証されるべきかなというふうに問題意識に持っております。
 時間なので終わりますけれども、行動歴と二次感染の関係ですとか、あるいは現在感染拡大の傾向にある中でこれ以上感染拡大をさせない、そういう政府の対応が求められるということを重ねて強く強調いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

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関連資料

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