国会質問

質問日:2020年 12月 1日  第203臨時国会  国土交通委員会

北陸新幹線工事の情報公開、リニア新幹線計画はコロナ後の社会における再検証を

 12月1日、参院国土交通委員会で2回質疑に立ちました。
1つは法案に関わり、北陸新幹線加賀トンネルに関する情報公開せよ。
2つはリニア新幹線はコロナ後の社会において再検証すべき。
 
北陸新幹線については、「事実関係の確認、検証が終わるまでは情報が独り歩きしないようにするため、情報を出さない」ことを趣旨とする答弁。「事実関係を把握するためにも情報公開が必要だ」と重ねて求めました。
 
リニアには、3兆円もの財政投融資がされており、「テレワークなどかつての需要予測だけでなく、償還確実性が再検証されるべきだ」と追及。大臣は「私は楽観的」と述べ需要を起こしていくと述べましたが、償還確実性の再検証は否定できませんでした。だったら需要予測をやり直すべきだと、引き続き求めていきます。
 
そして、「リニアによる影響を懸念しているのは静岡だけではない」と、長野県南木曽町の事例を紹介しました。南木曽町は、JR 東海、鉄道運輸機構、長野県と4者で「確認事項」文書を交わしており、「発生土置き場(仮置き場含む)が確保した後にトンネル(斜坑含む)掘削を行う」としており、まだ確保出来てませんから、南木曽町では掘削は認められていないのが現状です。
「発生残土置き場は、新たな候補地が出てくる度に安全性や工事車両による騒音、粉塵など生活環境への懸念が生まれる。住民の理解、納得なく工事をすすめることがあってはならない」と重ねて強調しました。住民のみなさんの運動と連帯して、リニアストップへ頑張ります。
 

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 リニア新幹線について質問をさせていただきたいと思います。
 東京品川駅から名古屋、大阪を結ぶものでありまして、総事業費約九兆円の大規模な事業というふうになっております。事業主体はJR東海ということでありますけれども、国家的プロジェクトとして進められてまいりました。
 そして、今、新型コロナ感染拡大という新しい状況が発生をいたしました。この新たな状況を受けて、リニアを建設することによって社会にどんなインパクトを与えようとしているのか、どんな社会をつくろうとしているのか、まず政府の考えを伺いたいと思います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) まず、後段の新型コロナウイルス感染症の拡大、その影響によって、私、先ほど御答弁をさせていただきましたが、働き方の改革、そして住まい方の改革、変化ですか、様々な大きな変化が出てくると思います。
 そういった意味で、先ほど申し上げましたように、コロナ禍は地方創生を進める大きなきっかけとするべきだと。そういう意味で、私は、まさに地方創生の一つの大事なところがこのリニア中央新幹線の役割だというふうに思っております。それが一つです。もう一つは、まさにスーパーメガリージョン、国際競争力のあるスーパーメガリージョンの形成だと、こういう二つの大きな目的があるというふうに思います。
 具体的には、リニア中央新幹線、東京―名古屋間を四十分、東京―大阪間を六十五分で結ぶという計画でございます。移動時間が劇的に短縮することによって、いわゆる三大都市圏、東京、名古屋、大阪の移動があたかも都市内を、この東京都内を移動するような、そういう近いものになるということでありまして、そうすると、まず三大都市圏がそれぞれの特色を発揮しつつ、この三大都市圏には四つの主要国際空港があり、二つの国際コンテナ戦略港湾があるということから、世界から人、物、金、情報を引き寄せる、まさに世界を先導するというか、世界で国際競争力があるスーパーメガリージョンの形成が期待されるというのが一つでございます。
 二つ目は、先ほど申し上げたように、新しい働き方、住まい方、地方移住ですとかワーケーション、こうした中で、その中で、新幹線の沿線沿いですとか、恐らく将来はこのリニアの沿線沿いというのがそうした大変な拠点にもなり得るのではないかと。現実に、今、リニア新幹線の沿線の飯田ですとか岐阜県の中津川では、愛知かな、中津川市、岐阜県ですね、済みません、中津川では、将来の移住促進ですとか企業誘致に向けた新たな取組が始まっているところでございます。大野先生、済みません、間違えまして。
 そうした意味で、リニアは大きなまさに事業でございますが、こうしたことをこれからの社会の変化にうまく使えるように、これも考えていくべきではないかというふうに思っております。

○武田良介君 スーパー・メガリージョン構想検討会の最終とりまとめ、これも私も見ましたけれども、この構想が目指すものは、国土基盤の整備のみならず、各地域を健全で活力ある関係で結び、産業力を高める抜本的なイノベーションを起こしていくことで経済発展と社会的課題の解決を一体的に達成し、これからの時代に相応しい新たな成長の実現を目指すものだというふうにされておりました。
 私が問題意識に持っていますことは、この最終とりまとめでも述べておりますような経済発展あるいは成長、こういうことだけではなくて、逆に今後の日本社会の負の遺産とはならないだろうか、将来にツケを回すことにならないだろうかということを問題意識に持っております。
 例えば、財政投融資の三兆円でありますけれども、リニアがうまくいかなければ最終的に負担のツケをかぶるのは国民ということになりかねないというふうに思います。それだけに、この財政投融資三兆円の償還確実性があるのかどうか、新型コロナ感染拡大という事態も受けて、改めて検証されなければならないだろうというふうに思っております。
 先ほども少しテレワークという話もありましたけれども、例えばこのテレワークが今後広がっていくということも想定されると思いますが、テレワーク自身は長時間労働だとか不払労働につながりかねないという指摘もされておりますけれども、いずれにしても、今後テレワークが広がっていくことになれば、出張で移動するビジネス客が減ることも否定できないのではないだろうかというふうに思いましたけれども、この点について国交省はどのようにお考えになっているでしょうか。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 先ほど大臣からの答弁にもございましたとおり、政府全体で東京一極集中から多核連携型の国づくりを進めていくこととしているところでございます。その中で、リニア中央新幹線の人流ネットワークの整備は、二者択一ではない、より柔軟な働き方、地方都市での就労、居住の推進に大きく寄与するものと考えております。
 こうした新しい大都市圏と地方圏の関係が構築されることによりまして、地方における人口増加を通じて双方向の交流人口の増加も見込めるため、リニア中央新幹線計画について、直ちに需要の低下が懸念される状況にはないと考えております。

○武田良介君 直ちに減ることはないというような御答弁だったかと思うんですけれども、現時点では確かに、開業のときにどれだけ利用されるかということを精緻に予測することは困難かもしれませんけれども、新型コロナという新しい状況の下で、これまで交通政策審議会で行ってきた需要の予測というのは、当然、このコロナのような状況が発生する、あるいはテレワークという状況も十分勘案していなかったという点もあろうかというふうに思いますので、こういう新しい状況の下で改めて検証する必要があるのではないかというふうに思っております。
 直ちにということで仮になくても、リニアの中止とか何だと言う前に、もう一度見直すということが必要なのではないかというふうに思っています。直ちに見直すということでなくても、今後、コロナの社会の変化、幾つかの傾向などなど見えるようになるにつれて需要予測も少しずつ具体的にできるようになっていく、そういう段階も含めて需要予測をし直す、償還確実性の再検証を行う、そういう必要があるのではないかというふうに私考えておりますけれども、大臣、この点はいかがでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 武田さんの質問を常に聞いていますと、すごく私と違って随分悲観主義だなと。私は随分楽観主義なのかもしれませんが。
 二〇四五年の大阪までの開業時までどうなっているかというのは誰も見通せないわけでありますが、少なくともこのままどんどんシュリンクしていいわけではないわけで、こうしたコロナ禍ですぐに需要が低迷するとかということで、この大プロジェクトの見直しということが、そういうふうに、何というかな、その必要性があるのかどうか。私はもう少し、そうではなくて、新しい需要を掘り起こしながら、このリニアの当初考えていた時点よりもこれから先を行くことを考えながら、何というかな、前向きに考えていった方がいいのではないかというふうに思います。
 恐らく、東海道新幹線、昭和三十九年にできたときも、莫大な投資をしてどうなんだという議論は多分あったんだと思っております。当時は、東京―大阪間、早くても六時間以上掛かっていた、なかなか日帰り出張ができるような状況じゃなかったことが、今やもう二時間半で、「のぞみ」で行き帰りができるようになったと。これは明らかに経済的には加速をしているし、経済だけではなくてその沿線等々では地方の活性化にもつながっていると。
 確かに、大きな投資ですからリスクもないとはもちろん申し上げませんので、私たちの立場は、この主体はJR東海でありますけれども、しっかり国土交通省として、これだけ大きなプロジェクトを失敗させないと、国民益になるように、また地方の創生に必ずつながるようにしっかりと取り組んでいく、それが私の立場だろうというふうに思います。

○武田良介君 償還確実性だとかそういったこと、大変、私、重要だというふうに思っておりますので、是非検討いただきたいというふうに思います。
 先月の末、静岡県内のお茶の生産者の方々など利水者の方々が、大井川の命の水、南アルプスの自然を守ろうということで、工事の差止めを求める訴えを起こされました。また、静岡県の住民の方あるいはお茶農家の方が静岡県知事宛てに、JR東海に対し住民が納得できるまで説明をするよう働きかけることなどを求める署名活動を開始すると、そういう運動も始まっているというふうに伺っております。
 しかし、リニアに対して懸念しているのは静岡県だけではありません。例えば、長野県の南木曽町の工事用車両に関わってちょっとお聞きしたいと思うんですが、広瀬非常口工区において、環境影響評価書では工期を十年としていたものを、その後、工事の説明会では工期七年というふうに説明をされ、そのことによって、発生残土を運ぶ工事用車両、ダンプカーなどが、想定された一日最大二百三十二台から約四百台に増えたというふうにお聞きをしております。
 これは、そのアセスの変更手続などを行うような必要があるようなものではないのか、住民に対してどういうふうに御説明をされているのか、この点について国交省に伺います。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 中央アルプストンネル萩の平・広瀬工区につきましては、工事工程が精査された結果、環境影響評価の予測時点のトンネル掘削期間に比べ、より短い期間で掘削することが可能となり、これに伴いピーク時の工事車両台数は増加するとのことですが、工期は短縮される見込みということであります。
 令和二年八月に行われました地元住民の代表者等が出席する南木曽町リニア中央新幹線対策協議会におきまして、JR東海から、今後、複数の発生土置場候補地を用意することで工事車両が集中しないような方法等について引き続き検討していくことを説明いたしております。
 JR東海としては、地元の御意見を踏まえ、引き続き、運行ルートの分散や隣接する尾越工区の発生土運搬車両との調整を行いまして沿線への影響を抑える方針であるということでありまして、詳細につきましては、今後、施工計画が具体化した段階で地元に説明する予定と聞いております。
 国土交通省といたしましては、引き続き、JR東海に対しまして、地元住民の皆さんに丁寧に説明を行いながら、発生土の運搬等に対する環境保全についての配慮が適切になされるよう求めてまいります。

○武田良介君 工事用車両の通行量が増える、ピークで増えるというお話も今ありましたけれども、本当に心配されている地域住民の方もいらっしゃいます。地元の理解、納得がなく、工事用車両が評価書の段階より多く走るというようなことがあってはならないというふうに思いますし、たとえ時間が掛かっても住民の皆さんとしっかり話し合うということをJR東海にも指導いただきたいというふうに思っております。
 発生残土置場についても確認をさせていただきたいと思うんですが、南木曽町で行われるリニア建設工事に伴い発生する残土、全ての発生残土の置場が決まっているという状況でしょうか。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 リニア中央新幹線の建設発生土につきましては、JR東海としましては、まずJR東海が自らの事業で最大限活用していく一方で、ほかの公共事業、さらには民間事業を含めて有効活用していくという考えでございまして、具体的な発生土置場につきましては、地方自治体から情報を収集いたしまして、あっせんを受けながら決定されるものと承知いたしております。
 お尋ねの南木曽町内におきましても、長野県から発生土置場の候補地に関する情報提供やあっせんを受けながら、地権者や関係機関と協議、検討を進めている段階でございまして、現時点では決定はしていないということでございます。

○武田良介君 なぜ確認させていただいたかといいますと、その南木曽町、それからJR東海、それから鉄運機構及び長野県の間で、昨年の八月二十一日に中央新幹線建設に伴う工事に関わる確認事項という文書が交わされておりまして、実はこの第一条に、「JR東海は、必要な発生土置き場(仮置き場含む)を確保した後にトンネル(斜坑含む)掘削を行う。」というふうにあるんですね。つまり、今御答弁いただいたように、確保、全て決まっていないと、置場ですね、利活用も含めて、決まっていない下で、この確認書に照らせばトンネルの掘削を行うことはできないと、そういう状況なんじゃないだろうかというふうに思うわけです。
 いずれにしても、全てこれ決まっているということではありませんで、発生残土の置場が決まっている量というのは全てまだ分からない、どこに置いていいのか分からない。それはそうだと私も思っておりまして、一度発生土置場を決まる、あるいは候補地になっても、そこに置いてしまっては、その後、豪雨災害などが発生したときに土砂災害になってしまうのではないかとか、例えばそういう不安の声が広がって発生土置場として使えないということで撤回されることもあること、私も承知をしております。
 あるいは、この南木曽でも、今候補地になっているところ、これJR東海が説明しているところもあるわけですけれども、JR東海は、例えばこの場所については、まずは現地の測量、地質調査及び環境調査の実施に入りたいと説明したようですけれども、詳細な調査を行った上でなければ発生残土の置場として是非は判断できない、そういう意見ですとか、地元の賛同を得てから調査した方がいい、こういう意見もあって、まずは調査の内容や考え方について地元で説明を行うということになったそうであります。
 こういう発生残土の問題、これからも新たな候補地が出てくるたびに各地でいろいろ議論が必要になってくるかというふうに思いますけれども、こういう一つ一つ、地域住民の理解をしっかり得ながら解決していかなければなりませんので、国交省にもしっかりとそういう住民の立場に寄り添った対応をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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