国会質問

質問日:2020年 11月 27日  第203臨時国会  災害対策特別委員会

被災者生活再建支援法改正、避難所整備、自主防災組織への支援など

 27日の参院災害対策特別委員会で武田良介議員は、被災者生活再建支援法改正案、民間施設の機能整備など指定避難所を拡充する課題、自主防災組織に補助する自治体への支援などについて質問しました。(スタッフ)

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。よろしくお願いいたします。
 被災者生活再建支援法改正案について、早速質問させていただきたいと思います。
 現状は、支援金が全壊、大規模半壊には支給されるけれども、半壊以下の認定では支給されないという、こういう実態に対して、本法案は、中規模半壊、こういう新たな概念を設けまして、基礎支援金は支給されませんけれども、加算支援金を建設、購入の場合百万円、補修の場合に五十万円、賃借の場合には二十五万円支給するというものだというふうに思います。
 被災者の皆さん始め全国知事会も求めてきた内容であり、大変重要な意味のある法案だというふうに思っております。
 改めて確認しておきたいのは、改正案の第二条第二項の定義、居室の壁、床又は天井のいずれかの室内に面する部分の過半の補修を含む相当規模の補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難と認められる世帯というふうに、改正案でこういうふうにされていることと、被害認定運用指針、ここでは半壊のうち損害割合が三〇%以上四〇%未満というふうに定義すると、こういうふうにされていることとの関係について確認をさせていただきたいというふうに思っております。
 今日の質疑でも、また衆議院の私ども日本共産党の田村貴昭衆議院議員の質問に対しても、損害割合三〇%台の中規模半壊世帯を支援対象として追加するためのものの規定なんだと、両者は同一のものであるという御答弁がありました。今後、被害認定調査における中規模半壊の認定方法については、自治体の負担も考慮しながら、有識者の御意見も伺いながら具体的な内容の検討を進めて、標準的な調査や判定方法を示す被害認定基準の運用指針に反映していくんだという御答弁がありました。
 そこで、確認をさせていただきたいと思うんですが、今後、その被害認定を行う現場では、被害認定基準の運用指針を基に損害割合三〇%台であるかどうかを見るのであって、その居室の過半の補修を必要とするかどうか、それを見るのではないということでよいでしょうか。

○政府参考人(青柳一郎君) 御指摘のとおりというところでございます。
 三〇%台という、損害割合三〇%台という話と第二条第二号ホの規定というのは同一のものでございまして、これは、現行法の大規模半壊世帯というのも、実は「自然災害によりその居住する住宅が半壊し、基礎、基礎ぐい、壁、柱等であって構造耐力上主要な部分として政令で定めるものの補修を含む大規模な補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難であると認められる世帯」と。これを基準では四〇%以上ということで措置をしているところでございますので、定性的な部分に至らない形で三〇%台が判定できるように運用指針は定めていきたいと考えております。

○武田良介君 今後、更新された被害認定基準の運用指針、それを用いて損害割合三〇%台と判断されたんだけれども居室に関しては過半の補修を必要としなかったと、そういう事案が発生した場合というのは、これはどうなるんでしょうか。

○政府参考人(青柳一郎君) 基本的には一致するはずではございます。
 過半の補修はある意味あるはずではあるんですけれども、「含む」は相当規模の補修でございますので、余りにもケース・バイ・ケースでという世界が出てきたときには、またちょっとこれまた有識者の御意見いただいて運用指針を若干手直しをという話はあろうかと思いますけど、基本的には三〇%台のものは中規模半壊世帯ということで、混乱生じないように対処をしていきたいと思います。

○武田良介君 混乱生じないようにということで、私も同じ思いでありまして、もう現場が混乱しないこと、その被災者が泣かされるような事態が生まれないようにということで繰り返し聞かせていただきました。
 大臣について、先ほどもあったんですけれども、支援金の増額について聞かせていただきたいと思います。
 内閣府防災に直近の災害における住宅の応急修理の進捗状況というのを先日聞きましたら、台風十五号で被災した千葉県、ここは発災後約一年で千葉県全体で六三%だったんだそうです。その他、大阪北部地震で被災した大阪府、これは一年後の時点で七五%だったと。二〇一八年の七月豪雨で被災した岡山県の場合八八%、広島県で八九%、愛媛県が九五%。それから、北海道胆振東部で被災した北海道ですけれども、これは八五%だったと。平均すると、一年後で応急修理の進捗は大体九〇%というお話だったんですね。そうすると、千葉県は六三%ということでしたので、相対的に遅れている状況にあるという御説明をいただきました。
 そこで、鋸南町に私ちょっと聞いてみましたら、住宅修理支援、その対象になっている戸数が一千六百三十八戸あるうち、修理申請に至っていない戸数が大体六百戸まであるんだそうであります。その申請に至らない理由ということをお聞きしましたら、一つには、地元の業者に発注したいということで順番待ちをされているけれども、まだ進んでいないという問題。それから、もう一つに、手持ち資金の不足ということがあるんだということをお聞きをいたしました。
 こういうやっぱり手持ち資金の不足という問題が出てくる、お金がなくて修理ができないという実態がやっぱりあるからこそ、支給額を増額していく必要があるんじゃないだろうかというふうにも思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小此木八郎君) 支援金の支給額の引上げについても度々述べてまいりました。
 武田委員がやっぱり地元の現実、ことをこの前もちょっと議論いたしましたけれども、これは政治家にとって大変必要なことであろうと思います。
 相互扶助の観点から、それが基本にあることで、都道府県の意見等も踏まえる必要がありますけれども、全国知事会による平成三十年七月の被災者生活再建支援制度に関する検討結果の報告においても、現行の支給額は被災者が住宅再建を行うために必要な支給額であると考えられることから、支給限度額は現行どおりとすると、こういうふうになっております。
 さらに、国や都道府県の財政負担等の課題を勘案すると、支援金の支給額の引上げについては慎重に検討すべきものと考えておりますが、更にこれは研究等しっかりと受け止めてまいりたいと思います。

○武田良介君 御答弁いただきましたけれども、共同通信が行った全国自治体アンケートというのを私も見ましたけれども、これ見ますと、市区町村の四四%が対象の拡大だとか支援金の増額を求めるという結果も出ているというのを私、見させていただきました。その拡充や見直しが必要な項目というところがありまして、半壊や一部損壊への拡大に次いで、支援金の増額というのも三九%になっている。私の地元、長野県でありますけれども、長野県の場合は五〇%というふうになっておりました。
 支援金だけでは何もできないという、そういう現状に正面から向き合っていく、あるいは、この被災者生活再建支援法の第一条の目的も、「生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資する」というふうになっておりますので、そういう抜本的な改正が求められているんだろうというふうに私認識をしております。
 前回、この二〇〇七年の改正の際には、参議院の災害対策特別委員会の附帯決議にこういうのがありました。一、支援金の支給限度額については、被災者の住宅再建に対する意欲に十分応え得るよう、今後、実績等を踏まえ、引き続き検討すること。二つに、本法施行後四年をめどとして、支援金の支給限度額、国の補助割合を含め、制度の見直しを行うなどの総合的な検討を加えることというふうにありました。
 今回の法改正後も、こういう附帯決議に示されているように、支援金の限度額について引き上げるですとか、制度の見直し、総合的な検討をする、これ引き続き取り組んでいくということで大臣のお言葉いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(小此木八郎君) 平成十九年の十一月に参議院災害対策特別委員会において、今附帯決議読まれましたけれども、そのことにつきましては承知をしております。
 被災者生活再建支援制度の拡充については、かねてより各方面から御要望をいただいてきたところでありまして、これらの御要望も踏まえ、今般の改正に至りました。
 今回の改正法案の検討を行うために、全国知事会と内閣府が設置した実務者会議において、この拡充により、支援金と応急処理を合わせた支援の枠組みは、被害の程度に応じて調和の取れたものとなるとされております。
 この実務者会議の結論を踏まえると、当面、制度の見直しが必要となることは現在考えておりませんけれども、引き続き、委員のお話も、今日は皆さんのお考えもそれぞれお聞きしたと思います。御要望を伺って受け止めてまいりたいと思います。

○武田良介君 引き続きお願いしたいというふうに思いますし、今、野党の方も被災者生活再建支援法の拡充を求める法案出しておりますけれども、被災者の生活を守り、早く復旧復興を進められるように積極的な議論を私たちもしていきたいというふうに思っております。
 時間の限り、別のテーマについても聞かせていただきたいと思っておりますが、避難所について聞かせていただきたいというふうに思っております。
 今後、地震や水害に対応した避難計画の作成がどんどん進められていこうかというふうに思いますが、先日、長野県の町村会から御要望をお聞きいたしまして、公共施設ではない場所を避難所に指定する際に、施設整備に対する支援がないんだというお話をお聞きをいたしました。
 今どうなっているのかと、その制度がどういう支援があるのかというのをまずお聞きしたいんですが、市町村が設置した公民館とは違って、地域のコミュニティーだとか、寄り合ってみんなでお金を出し合って造ったような研修センターですとかコミュニティーセンターというんでしょうか、呼び方いろいろだというふうに思いますけれども、そういうものがある。しかし、それは耐震不足という状況もかなりあるんだということでありました。だから耐震化が必要だ、あるいは発電機ですとかパーティションですとか簡易トイレですとか、いろいろ必要だと。
 備えておくものもあるんですが、まず、この公共施設ではないものを指定避難所として設備を整える場合、どういう支援があるのか、これについて伺いたいと思います。

○政府参考人(青柳一郎君) 施設整備の関係で、公共施設でない民間施設の避難所に対する支援ということで、国土交通省さんの耐震強化の補助は、耐震性のない建築物について防災・安全交付金で耐震診断とか耐震改修が行われ、ただ、前提として、自治体が補助制度を持っているという前提ではございますけれども、対象としては、公共施設でない民間の避難所も対象になるというふうに認識をしております。
 また、施設整備の関連でいいますと、自家発電設備、非常用電源ですね、この関係についても、避難所を含めまして、この避難所は民間の避難所も含めて施設整備の支援はあるということでございますので。
 ただ、ケース・バイ・ケースと言うとあれですけれども、委員御指摘の避難所のそのパターンがいろいろ、何らかの位置付けも全くなくて、住民の方々が事実上避難しているというものですと補助対象から外れるとかなんとかというところがあるかもしれませんけれども、基本的に地域防災計画に定められている避難所であれば支援策はあるものと認識しております。

○武田良介君 使えるものがあるということであれば、是非その町村会の方にも私も伝えていきたいというふうに思いますので、皆さんもアナウンスしていただき、私も更に勉強させていただいて、伝えていくようにしたいというふうに思います。
 先ほど、国交省の防安交付金の関係でもそうおっしゃっておりましたけれども、それぞれの自治体が取り組んだ場合に国の方が応援するという格好になっているということでありました。
 そういうことも含めてよく伝えていかなければならないというふうに思いますし、今コロナの問題もあって、指定避難所をどう確保していくのかと、これ切実な課題になっているというふうに思います。市町村がそういう公共施設ではない指定避難所の耐震化とかバリアフリー改修とか必要な備品をそろえていく、こういうことに対する補助をした場合、した場合、国が国庫補助をする。まだどういう由来の建物かということによってない場合があるかもしれないということでしたので、そこをしっかり詰めていただきたいというふうに思います。
 次に、自主防災組織についても質問させていただきたいというふうに思います。
 日本共産党の千葉県委員会の皆さんが、台風十五号の災害から一年を節目に被災の四市町を訪問されまして懇談した際に、自主防災組織に関する要望というのが出されました。
 積極的に活動する自主防災組織も千葉県にもあるということを伺っておるんですけれども、まず、その自主防災組織に対する国の支援策、どういったものがあるのか、御説明いただけますでしょうか。

○政府参考人(荻澤滋君) お答えいたします。
 ただいま御紹介いただきましたとおり、災害頻発する中、その最小化に向けて、公助のみならず、自助、共助の取組必要でございますし、その中心となる自主防災組織の活動は重要であると認識しております。そういった点から、第一線の市町村におきましても、自主防災組織に対して活動支援、資機材の整備などを行っているというふうに認識しております。
 消防庁といたしましても、この自主防災組織、しっかり活発に活動していただくということが重要であろうというふうに考えておりまして、手引などにおいて活動事例でございますとか組織の運営のポイントなど、そういう情報提供を行うですとか、また、地域の多様な主体、消防団でございますとか学校、社会福祉協議会、そういうことによって活動の幅も広がるというようなメリットもございますので、そういう先進的な取組を委託調査事業として支援する、そういったことも行っているところでございます。

○武田良介君 鴨川市ですとか南房総市で聞き取った内容ですと、炊き出しだとか発電機などの備品を用意する自主防災組織、そういったものに対して市の単独事業として二十万円助成していると、そういうこともあるんだということもお聞きをいたしました。
 こういうふうにその市町村が自主防災組織に対して行う支援策があった場合に、先ほどのような避難所のような話ですね、自治体がやっているものに対して国が後から応援する、補助金を出す、そういうこともやって自主防災組織の活動を支援していくことも必要ではないかなというふうに思っておりますが、この点、どうでしょうか。

○政府参考人(荻澤滋君) 自主防災組織が整備する資機材整備等の支援、一義的には市町村が行っているところでございまして、これは地域の実情によってそろえるべき資機材等、また必要な支援等も異なりますので、現在では地方交付税で支援を行っているところでございます。
 それに加えまして、先ほど御紹介いたしましたとおり、先進的な取組については、財政支援そのものを目的としているわけではございませんけれども、モデル的に支援、委託調査という形で支援をしておりまして、その得られた成果については全国に情報提供してまいりたいというふうに考えております。

○武田良介君 全国で大規模な災害がこれだけ繰り返し発災している中で、本当に自治体の皆さん、一生懸命取り組まれていると思うんです。先ほどの避難所の話も私、調査、調査というか聞き取りましたら、長野県の下諏訪町というところは、民間のそういう集会所みたいなところの耐震改修に要する経費に対して上限二百万円で支援するということをやっているということをお聞きをいたしましたし、それから筑北村というところもあるんですけれども、こちらも、改築それから耐震改修、これに対してのその要した経費の二分の一、上限二百五十万円ということですけれども、村でもこういう努力をやっているということも私もお聞きをいたしました。
 やっぱり、こういう災害が頻発する中で自治体も必死に取り組んでおりますので、こういった取組をしっかりと応援していく、そういうことも非常に重要だということを述べさせていただきまして、今日の質問を終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。

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しんぶん赤旗記事「『中規模半壊』まで拡大 改正被災者支援法が成立 参院本会議 全会一致」