26日の参院国土交通委員会で武田良介議員は、「GoToトラベル」事業の全国一律実施の見直し、小規模事業者に支援が行き届く制度にするよう求めました。(スタッフ)
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
GoToトラベルについて、赤羽大臣に質問させていただきたいと思います。
政府は、先日、札幌市と大阪市を目的地とする旅行の一部除外を発表されました。今回の除外について、感染は東京首都圏ですとか中部ですとか各地に広がっておりますけれども、その中でなぜ札幌と大阪市に限られているのか、大臣に御説明を求めたいと思います。
○国務大臣(赤羽一嘉君) この仕組みは、まず、直接の担当は西村担当大臣でありますが、一応基本的なルールが決まっておりまして、それぞれの各都道府県の知事さんが、その地域がいわゆる国でいうステージ三に該当すると、こう認定したときには、その知事さんから担当の西村大臣のところに連絡をし、そして国の、これは、GoToトラベルだけではなくて外食産業の時短ですとか医療面でのサポートですとか、そうしたことの依頼があると。そうしたことを受けて、政府としては、先ほど申し上げましたが、総理を先頭に関係閣僚で打合せをして、どう対応するかということを決定するということがございます。
今回は、二十四日の夕刻に、北海道、大阪府の両知事からそれぞれ、札幌市と大阪市が国のステージ三相当に当たるとの認識が伝えられたことを受けまして、菅総理大臣、加藤内閣官房長官、西村担当大臣、田村厚生労働大臣、そして国土交通大臣たる私の五者で協議をし、両市を目的地とする旅行について一定期間GoToトラベル事業の適用を停止するということを決定したものでございます。
それについて、細目はよろしいですか。
○武田良介君 知事からの要請があってということだと思います。
私もちょっとそれを聞いて疑問に思ったんですけれども、GoToトラベル事業がスタートしたとき、東京除外という状況がありました。あのときは、東京都知事の方から東京を除外してほしいという、そういう要請があったということなんでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) このことについて、ちょっと私、担当直接ではありませんが。
いろんなケースがございまして、分科会、今でいう対策本部の分科会、当時は専門家会議だったと承知をしておりますが、そうしたところから逆に政府に対する建議というか、あのときは、記憶としては、東京が非常に感染者数が増えている上に、クラスターの原因となるエピセンター、ちょっと専門家じゃないんですけど、エピセンターとなる可能性がすごく高いと、ですから、東京から各地にそれを広げることは大変危険だという、そうした御提言があり、西村担当大臣、先ほど私申し上げましたが、知事から西村担当大臣に連絡があると言いましたが、そうした状況になるというと、西村担当大臣と該当の知事さんは相当綿密にやり合って、最終的に、北海道は、札幌市長とかそれなりの道内でのプロセスを踏んで、正式に最後そう告知してきたという意味で、何も連携がないという意味ではございません。そうしたやり合いは当時の都知事と西村担当大臣の中でもあったものだというふうに承知をしております。
○武田良介君 そうすると、今回の札幌、大阪、その除外についても、今御説明のあったような今でいう分科会などからの建議のような形のものがあったという理解でよろしいんでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) これは、今回は、分科会の中で尾身先生の、ちょっと私、それ正確じゃありませんけど、私の聞いている範囲では、尾身先生の個人的な見解として、もう札幌市なんかはレベル三相当になっているのではないかという御発言があったと承知をしておりますが、今回の場合は、正式には、大阪の知事と北海道の知事から政府の西村担当大臣のところに正式には最終的に通知が受けたと、それを受けて、二十四日の夜、官邸で関係閣僚会議を行ったというのがプロセスでございます。
○武田良介君 昨日の夜の分科会ですかね、今答弁にもありましたように、分科会の方がステージ三にあるという判断をするわけではないけれども、尾身先生の考えとしては、またほかの委員もそうだと思いますがという趣旨の発言もあったように記憶しておりますけれども、ステージ三に相当するような地域があるということで、大阪、それから北海道ももちろん入っておりましたけれども、首都圏だとか中部の方、名古屋などもたしか入っていたかというふうに思います。そういうふうにあるということをおっしゃっておられた、そのことを指しての今の御答弁だったかなというふうに聞かせていただきました。
私、いずれにしても、GoToトラベルは国の事業ではあります。その一部除外するかどうかの判断というのを知事の判断、正式な要請があるのを待つ、委ねる、そういう格好になっていいのだろうかと、国が責任を持って判断していくということもこれ必要になってくるんじゃないだろうかということを思っております。
今回のその札幌市と大阪市を目的地とする旅行をGoToトラベル事業の対象外とする判断ですけれども、これ予防的措置だというふうにおっしゃられておりますが、予防的措置というのはこれどういうことなのかということを伺いたいんですが、GoToトラベルで感染するきっかけになり得るということを認識として持たれているということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) それは違います。
もう一度言いますけど、国と両知事が全く会話もなく、両知事が言ってくるのを待つという、そういう現実ではございません、大変心配をして、どうなんだという状況を聞いたり。例えば、数字だけ見ていますと、我が兵庫県は、たしか入院率というのかな、ベッド率が相当高いんですけど、それは県の、兵庫県の独特のやり方で、軽症の人も全て病院に入ってもらっていると。ですから、見かけはすごく数字が悪く出ておりますが、それは数字だけ見るとよく分からないので、西村担当大臣から兵庫県の井戸知事に確認したところ、そうした兵庫方式をやっているので、いざとなるときのベッドの、病床の状況は余裕があると。そうしたことはやっぱり国では分からない、そういう意味で、やっぱり地元の状況が一番分かっているのは知事さんですから、そこを飛び越して国が何だかんだするというのはおかしいだろうということが、県知事からのまず申入れがということの定めでございます。
それが一つ目で、それで、GoToトラベル事業については、この分科会においても、GoToトラベル事業が感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスは現在のところ存在しないというふうに言われておりますが、札幌市においても大阪市においても、病床の状況、ベッドの状況とかが相当切迫感があるので、それを外からそこに、その目的地に人が、随分人が訪れ、かつ、正確に言うと感染拡大防止をしていない方が訪れて、そこで感染をして、またそこで入院するというようなことがあってはならないということで。
GoToトラベル事業というのは、何回も申し上げておりますが、参加する側についても原則は感染拡大防止をしっかり講じているということで参加をしていただいておりますし、その結果、これまで四千万人泊の利用者がありますが、その中でも、少し多めに見ても感染された方は百九十名という状況で、極めて抑制的に行われていると。しかし、そうした中でも、もうぎりぎりのところの状況である札幌市と大阪市に医療的な負荷を掛けることは避けた方がよかろうという意味で、予防的措置というふうに言っております。
○武田良介君 二つ御答弁いただきまして、一点目ですが、やり取りする、その現場の状況をよく分かっている知事さんとやり取りをするというのは、それは当然だと思うんですね。その上で、いや、ステージ三に相当するぞと、これ止めた方がいいんじゃないかという判断を今だと知事の方から正式に要請来るのを待つわけですが、国の方もそういう判断を示すことがあっていいんじゃないだろうかと、そういうことを私は申し上げているということです。
それと、後のその予防的措置ですけれども、感染拡大しているところに行って医療提供体制に更に負荷を掛けてはならないということは、そこで感染するということが想定されているからですよね。そうじゃないとそこに負荷が掛からないわけですから、感染拡大しないと。ですから、GoToトラベルがきっかけになっているということは、これ誰が考えてもそうなんじゃないだろうかというふうに私は思っておりますけれども。
先ほど答弁の中にもありました、四千万人のうち広く見て約九百人ということでありましたけれども、そしてその……(発言する者あり)ああ、済みません、失礼しました、百九十人ということでしたけれども、GoToトラベルによってその拡大、感染が拡大したというエビデンスはないというふうにこのことで説明されてきておるわけですけれども、この数字、私は余りにも小さ過ぎるんじゃないかなというふうに思っておりますが、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) なぜ小さ過ぎると感じられているのか、私はよく理解できません。
○武田良介君 GoToトラベルの事業によってどれだけ感染拡大しているのか。そもそも私、その検査が十分されているんだろうかということを、私、疑問に思っております。
そもそも、この調査方法もそうですけれども、その宿泊したところで体調を崩された方がいらっしゃれば、その方がフロントなんかに連絡をして感染拡大が把握できる、あるいは、帰宅された後に発症した場合などに保健所を通じて検査なども行って陽性だと分かれば、その後の追跡調査で、ホテルなどを利用していればそこに連絡が入るということからつかまれている数字だというふうに私認識をしておりますけれども、やっぱり無症状の方もそもそもいらっしゃるわけですよね。そうなると、どこでどれだけ感染が拡大したのか分からない。そうすると、これGoToトラベルだけじゃないですけれども、検査がしっかりと行われていない下で、四千万人のうち百九十人の方がGoToトラベルの関連で確認されているだけだということでは、これは、やっぱりしっかりとGoToトラベルによってどれだけ感染拡大したのかということがつかめないんじゃないだろうかというふうに思っております。(発言する者あり)
○委員長(江崎孝君) まだ質問中です。質問中です。どうぞ。
○武田良介君 時間がちょっとありませんので……(発言する者あり)
○委員長(江崎孝君) 質問を終わってください、じゃ、まず。よろしいですか。
○武田良介君 じゃ、お願いします。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 推測でそういうことを言われると、風評被害を生むので非常に困るんですね。
これは、無症状の方が発症しなかったら、これは全てにおいて数字として出てこないわけです。無症状で帰られた方もチェックアウト後一週間とか十日ぐらいまでは捕捉をしておりまして、そこで症状が発症した方は病院に行く、その病院で陽性と認定された方は必ず保健所に行く、保健所で履歴を、行動履歴を調べる、そこでGoToトラベルを使ってと言ったら必ず宿泊施設に連絡がある、宿泊施設はそれを受けて事務局に報告をしなければそれは義務違反ですから、そこでもう参加資格は失うという、非常に厳しくやっているんです。
ですから、百九十名ぐらい出ていますけど、その全数は捕捉しております。その全数を捕捉していることについて、昨日のちょっと予算委員会でも言いっ放しで言われたんですけど、それはいいかげんな数字だみたいな、恣意的な余地が入ること。そういう仕組みじゃないんです。
ただ、もちろん検査の限界性というのは、別にGoToトラベルにかかわらず全てにおいてあるわけで、そこをあたかもGoToトラベルが全部みたいなことを言われるのは、ちょっとそれは、これは私にはどうでもいいんだけど、協力をして真面目にやっている旅館やホテルの皆さんたちに対して、それはちょっとひどい認識なんではないかと言わざるを得ない。
○武田良介君 旅館、ホテルの皆さんが感染対策取られていることは私も十分承知をしております。
私が言いたいのは、社会的な検査も含めて私たち今提案しておりますけれども、そういう検査の体制をしっかり取ることが必要なんだということを私は訴えさせていただきたいというふうに思っております。(発言する者あり)
○委員長(江崎孝君) 静かにしてください。
○武田良介君 時間がないので先に行かせていただきますけれども、厚生労働省のあの専門家会議、アドバイザリーボード、十一月二十四日に行っている感染状況の評価というのもありました。先ほどもありましたが、昨日の分科会でもありましたけれども、北海道だとか首都圏、関西、中部圏中心に顕著な増加が見られると、このままの状況が続けば医療提供体制と公衆衛生に重大な影響が生じるおそれがあるということも言われております。
全国で深刻な感染状況になっているのは、GoToトラベルが全国一律で進められてきたことが感染拡大のきっかけになった可能性もあるというふうに思っておりますが、新型コロナの感染状況は地域によって異なっております。観光は、県をまたぐものもあれば県内で旅行を楽しむもの、また感染が厳しいときは控えるなど、感染状況に応じて様々な形態があるものだと思っております。この際、全国一律のGoToトラベル事業を見直すべきではないかというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 今の御質問の中で、観光客が殺到しているところが感染状況がどうかということを丁寧に分析しないと、これは余りに暴論ですよ。それを一把一からげで、もちろん移動するから感染拡大のリスクが高まるということは、私はそこは否定しませんけれども、それなりに一生懸命やって、数も出ていない。
ですから、そういう連関性を示していただけるなら私は答えますけど、そうした連関性も示されない中で、何というか、印象論でそういうことを言われると、それは、観光庁の責任を持っている私としては、それは全く承服できません。
○武田良介君 いや、私、そういうことを言っているわけではありませんが、もう時間がないので先に進ませていただきます。
日本共産党は、今、全国一律のGoToトラベルの見直し、これを求めております。主に、紹介しますが、次の五点であります。全国一律のGoToトラベル事業はやめること、二つ目に、感染状況に応じ、地域ごとの事業にして国が応援すること、三つ目に、その際、小規模事業者に支援が行き届くようにすること、四つ目に、持続化給付金の第二弾など直接支援を組み合わせること、五つ目に、消費税の五%減税と中小企業の納税免除などを行っていくこと。
やっぱり、一時停止するということであれば持続化給付金を改善した上で支給することもセットにしてやっていくだとか、こういう観光業支援もあるんだと、GoToトラベル事業だけじゃなくて、自粛と補償をセットにしたそういう支援もあるんだと、こういうことも今行っていく必要があるというふうに思います。感染が拡大してきたときには自粛と補償をセットにした休業も選択できると、ここが大事だというふうに思っております。
地域ごとに支援策取っていくということも申し上げました。そこで、長野県の小さなお宿応援事業というのを一つ紹介させていただきたいというふうに思っておりまして、この事業を宿泊事業者の方に知らせる長野県の観光部の資料もいただきました。
これ見ましたら、趣旨には、国が実施するGoToトラベルキャンペーンは主に旅行会社やインターネットの宿泊予約サイト(OTA)を通じて宿泊、旅行代金の割引を受ける仕組みのため、これらを利用していない宿泊施設のうち、特に小規模な施設はキャンペーンによるメリットが及ばないことが想定されますというふうにされているんですね。ですから、支援対象はGoToトラベル事業の支援を受けていない事業者というふうになっております。
そこで、直接、登録事業者の方に聞いてみました。収入ゼロの日が百日以上続いたということでありました。そして、この小さなお宿応援事業に登録をされて、長野県が告知をしたりあるいは常連さんへの制度の紹介もされる中で、約百人泊分の利用があったということでありました。煩わしい手続もなく、請求も簡単なので使い勝手がいいと、うちの宿では小さなお宿事業の予算を使い切ってしまったので追加で用意してもらえば引き続き事業を利用したいと、こういうお話でありました。
こういう各自治体が行っているきめ細かな小規模事業者にも裨益するような支援策を、今後国はこういう支援をどんどん応援していくと、ここが大事になってくるんじゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 四十七都道府県全部でそれぞれやられております。それは併用も可能で、いわゆるマイクロツーリズムになっている、利用していただいている、それは非常にいいことだと思います。
長野県の今の例示をもって全てGoToトラベル全体が、制度がちょっと欠陥だみたいな、そういう言われ方も私はちょっと承服しかねるのであって、確かに、私たちの制度は機会は平等なんですよ。感染拡大防止対策を取れるということが参加する条件、機会は平等、結果は、努力している地域がやっぱり利用が進んでいるということは、それは否めない。
ただ、一つ申し上げておきますけど、当初は、旅行代理店が全部やるとか、県民割引とか復興割引というのはある大手の旅行会社が全部仕切ってやっていたんですよ。それだと、まさに中小ですとか旅館、ホテルに直接裨益できないということで、今回は直接契約するということもやっているわけです。ですから、そうしたことを配慮しつつ、地元の皆さんの零細な旅館を助けようとする長野県ですとかほかの県、それは非常にいいことだと思いますが、それと、GoToトラベルを全部やめてそうしたものにというのは、なかなか規模的に難しいと思います。
ですから、私は、両方をうまく併せてうまく使っていただけるというなら賛成ですけれども、GoToトラベルを全部やめて各地方、四十七都道府県に委ねるといったら、全国の地方自治体もそれは困ると思いますよ、これをハンドルするというのは。それが私の発言でございます。
○武田良介君 もちろん、私も長野県だけで全てのものを言うつもりはありませんし、先ほど紹介した事業者以外にもあちこち聞かせていただいております。GoToトラベル使っているところ、使っていないところ、いろいろ聞かせていただいております。その中でたくさんの指摘もありますので、また引き続き議論が必要だと思います。
今日のところは終わります。