国会質問

質問日:2021年 6月 11日  第204通常国会  北朝鮮・拉致特別委員会

2年ぶり拉致特質疑「政府の姿勢問われる」

 北朝鮮による拉致問題を審議する衆参両院の拉致問題特別委員会で11日、閣僚への質疑が2019年5月以来、2年ぶりに行われました。

 参院委では武田良介議員が質問に立ち、「北朝鮮に粘り強く6カ国協議への復帰を働きかけることが重要だ。対話と交渉を継続し、包括的な解決を目指すべきだ」と求めました。(スタッフ)

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 初めに、約二年、この拉致問題等特別委員会、対政府質疑行われてきませんでした。私たちは一貫して開催すべしというふうに求めてきましたけれども、結果として開催されなかった。この点では、政府とともに与党も含めてその本気度が問われているということをまず厳しく指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 北朝鮮の国際的な無法行為である拉致問題の解決に、日本、北朝鮮双方が必要な努力を尽くさなければなりません。まず、その基本となる日朝平壌宣言について伺います。
 二〇〇二年の日朝平壌宣言、これは、拉致問題や北朝鮮による核・ミサイル開発、過去の清算、国交正常化といった日朝間の諸懸案を包括的に解決することを目指したものであります。菅政権は、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意だというふうに繰り返し述べておられますが、条件を付けずにというのは、拉致、核、ミサイル、諸懸案はいろいろあるんだけれども、優先順位を付けずに交渉のテーブルに着くということではないかというふうに思うんです。
 もちろん、拉致問題は日本国民にとって重要問題ですけれども、拉致問題の解決を進めるためにも、まず優先順位を付けずに交渉のテーブルに着くと。北朝鮮が拉致問題の解決について話し合う意思はないというふうにすれば、交渉のテーブルに着くこともできないのではないだろうかと、日本政府として主体的な取組というのもできないんじゃないだろうかというふうに思うわけです。ですから、私は、日朝平壌宣言、この諸懸案を包括的に解決することを目指した、これ外交の知恵だと思うんですね。
 加藤官房長官に伺いますけれども、こうした立場で取り組んでこそ拉致問題の解決の道も開かれるというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) あくまでも拉致問題担当大臣としてお答えをさせていただきたいと思いますけれども、我が国は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指すというこの基本方針、これは一貫をしておりますし、この間全く変わるところはないわけであります。また、拉致問題の解決に向けては、米国を始め関係国と緊密に連携すると同時に、我が国自体が主体的に取り組むことが重要であり、菅総理自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意、これを述べさせていただいているところであります。
 そうした中で、条件を付けずに対応する中で、どう具体的に対応していくのかということについては、まさに現時点であらかじめ申し上げるのは必ずしも適当ではないというふうに思います。

○武田良介君 日朝平壌宣言は、政府としての北朝鮮政策の基本にあるものだと思うんです。であるならば、そこに込められたこういった国際外交の知恵を大いに働かせるべきだというふうに私思いますし、加藤大臣がよくおっしゃいますように、政府として主体的に取り組むというのであれば、交渉のテーブルに着かせるための確固とした外交戦略、これを持った努力をすべきだということを求めておきたいと思うんです。
 諸懸案の中には、核・ミサイル問題もあります。私は、今年五月に行われました米朝の首脳会談、これに注目をしております。あっ、失礼しました、米朝じゃない、米韓首脳会談について注目をしております。
 米韓の首脳会談の共同声明では、二〇一八年に南北首脳会談で署名した板門店宣言やシンガポールでの日朝共同声明など、これまでに南北間や米朝間で結ばれた合意を基礎とした外交と対話こそが朝鮮半島の完全な非核化の実現と平和の確立のために不可欠だと再確認したというふうに述べているわけですね。
 北朝鮮と韓国の間で結ばれたこの板門店宣言、あるいは北朝鮮と米国の間の共同声明、これまでに結ばれた合意を基礎とすると、ここが非常に大きなポイントではないかというふうに思うんですね。その上で、外交と対話こそが完全な非核化、平和の確立のために不可欠だと再確認をしていると。これ非常に重要な共同声明だと思うんですね。
 これが米韓の認識なんですけれども、日本政府もこの認識を共有されているんでしょうか。加藤大臣。

○政府参考人(石月英雄君) 我が国として第三国間のやり取りについてコメントする立場にはございませんけれども、北朝鮮への対応につきましては、これまでも日米、日米韓で緊密に連携してきているところでございます。例えば、先月の日米韓外相会合におきましても、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、北朝鮮に対し国連安保理決議の下での義務に従うことを求めることで一致いたしました。
 政府としましては、委員が御指摘されました北朝鮮が過去に約束したこと、こういったことも踏まえまして、完全な非核化に向けて北朝鮮が具体的な行動を取るよう求めていくことが重要と考えており、引き続き、日米、日米韓で緊密に連携していきたいと考えております。

○武田良介君 日米韓の緊密な連携ということなんですけど、米韓は今紹介したような板門店宣言、あるいはシンガポールでの共同声明、こういう立場を北朝鮮とそれぞれ結んできたことを基礎にして外交と対話こそが大切だという立場なんであって、日本はどうするのかということが今問われているんだと思うんですね。日米韓、三か国とも六か国協議を構成する国でありまして、政府自身が緊密に連携を取るという国々とともに外交と対話に踏み出すことこそ求められているというふうに思うんです。
 完全な非核化などの目標で一致しても、その階段を上っていく過程では紆余曲折があり得るというふうに思います。しかし、外交と対話の積み上げの中で諸懸案を解決していこうというのが日朝平壌宣言であり、六か国協議の枠組みだと思うんですね。この六か国協議の枠組みをどう生かしていくのか、六か国協議の枠組みへの復帰をどう働きかけていくのか、政府の認識を伺いたいと思います。

○政府参考人(石月英雄君) お答え申し上げます。
 米国は、バイデン政権発足直後から対北朝鮮政策レビューを行った結果として、北朝鮮との対話を通じ、完全な非核化を目指す方針を明らかにしております。
 六者会合の再開の可能性を含めまして、今後の北朝鮮政策に関する国際的な取組の進め方を検討するに当たりましては、まずは米国との連携の下、北朝鮮から具体的な行動を引き出していけるかを見極める必要があると考えております。
 いずれにせよ、日米、日米韓三か国で緊密に連携しながら、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けた取組を進める上で何が最も効果的かという観点から今後の対応を検討していきたいと考えております。

○武田良介君 私が今言いましたことは、国連安保理決議で言っていることなんですね。北朝鮮に関する国連安保理決議、累次にわたって言っています。北朝鮮が無条件で六か国協議に復帰することを拒否してきた、これを遺憾として、北朝鮮に対して、直ちに無条件で六か国協議に復帰すること、繰り返しこれ求めております。
 改めて加藤大臣に、では伺いたいと思うんです。
 六か国協議の枠組みをどう生かすのか、六か国協議の枠組みへの復帰をどう働きかけていくのか。いかがですか。

○国務大臣(茂木敏充君) 累次の国連安保理決議、これ御覧いただきますと、その一番主な内容と、これは、北朝鮮に対して全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVID、これを求めておりまして、核・ミサイル開発を継続する北朝鮮に様々な制裁を科すことで北朝鮮にCVIDに向けた前向きな行動を促す、こういう内容になっていると考えております。これが主なことです。
 もちろん、累次の安保理決議の中には、今御指摘の六者会合への支持、再確認をされておりますし、その再開が要請されているということも事実でありますが、六者会合の再開の可能性も含めて、今後の対北朝鮮政策に関する国際的な取組の進め方、これいろいろ考えられると思いますが、米国とも連携をした上で、どうやったら北朝鮮に前向きな行動を促すことができるか、北朝鮮から前向きな行動を引き出すことができるか、こういう観点で考えていきたいと思っております。

○武田良介君 様々御答弁ありましたけれども、大切なことは、どんな困難があっても目標の実現に向けて対話、交渉、これを継続することで問題を解決していくんだと、六か国協議の枠組み、そこへの復帰、これを働きかけていくということが本当に重要なんだと。諸懸案の対話による包括的解決ということを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

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