議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介でございます。
今日は、地域公共交通について質問させていただきたいというふうに思います。とりわけ人口減少と高齢化という変化に応じた公共交通はどうしたらいいのかということの問題意識を持って質問させていただきたいというふうに思います。
最初に、一つ事案の紹介をさせていただきたいと思うんですけれども、先日、新潟市北区の豊栄の地域のお話、私伺いまして、旧豊栄市のときから運行されているコミュニティーバス、これが、二〇二一年度、来年度いっぱいで廃止の方向ということが打ち出されているというふうにお聞きをいたしました。運行開始は二十年前ということなんだそうですけれども、合併時には、豊栄地域に限定して現行どおりという規定で維持されてきたものだそうであります。
廃止の理由ですけれども、車両の老朽化、それから市の財政難ということが指摘されているようであります。現在は、維持費や燃料費などは市が負担をしていると。利用できる方は、豊栄地域の自治会だとか学校が利用可能。ここ数年間の利用者は年間で大体一万四千人程度というふうにお聞きをいたしました。阿賀野市に近い地域に住む中学生は、冬の期間、コミュニティーバスで通学できるように、保護者でつくる会が低負担でこれを借り上げていたと。民間事業者に今後頼むことになれば、負担増ということになってしまうと。市から一部補助が仮に出るとしても、今後の不安は大きいということをお伺いをいたしました。
私、この事案をお聞きしていろいろ思いましたけれども、市町村合併が一つのきっかけになってしまったのではないかだとか、あるいは、通学の足となるバスがなくなれば子育てがよりしにくくなるのではないか、自治会の行事ができなくなれば今後のまちづくりだとかいろんな影響が出るのではないかとか、様々問題意識を持ちましたけれども、そこで、まず大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、冒頭言いました、人口減少と高齢化という変化に応じて公共交通政策どうしていったらいいのかということであります。
私は、交通弱者の方に対する支援という発想だけではなくて、もっとこう、何ていうんでしょうか、前向きに、元気に高齢者の方も外に出ていただいて、安心して病院に行けるだとか、買物に行けるだとか、文化なんかに触れるだとか、そういったことに出かけられるような交通、公共交通であっていいというふうに思っておりますけれども、大臣にその御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 日本の各地、地方行けば行くほど、どこの地域も押しなべて少子高齢化、人口減少化が進んで、地域公共交通が維持が大変難しくなっていると。多くは民間事業者が担われたり、地方自治体の市営バスとか担われているケースがあれば、今のお話は多分、ちょっとよく分かりませんが、NPOなんかでやっているケースもあって、私の地元なんかでもNPOでやっていたコミュニティーバスが、採算が元々取れない上に、そもそもドライバーが高齢化で維持ができなくなってきたと、こうしたところは大変多い現実だと思います。これ、本当に非常に難しい話でありますし、その上にコロナ禍の影響によってより厳しくなっていると。
そうしたことから、令和二年の第三次補正予算、また今審議いただいています当初予算で、公共交通の地域の鉄道、バス、離島航路等の運行の維持ですとか、今回、感染症の防止対策の強化ということで、合わせて五百億円を超える手厚い支援を行っているところでございます。
加えて、公共交通サービスは、これから、各事業者任せということではなくて、地域の実情が一番分かっている地方公共団体がやはり中心になって、地域の公共交通の在り方、その実情に合わせて模索をしていくというのが不可欠ではないかというふうに思っております。
そうした観点から、昨年、通常国会で地域公共交通活性化再生法を改正させていただき、また、独禁法の特例法を認めていただいて、バスの事業者が集まって効率化を図るとか、それに加えて、自家用有償旅客運送ですとかスクールバスですとか福祉輸送、地域にある輸送資源を総動員して、移動手段の確保を図るということを促していこうということでございます。
いずれにしても、公共交通って、地方自治体の人と話すと、何か所与、与えられたもので、これは国がやるべきものだという感覚の地域が何か多いような気がしますが、今後は、地域公共交通団体と国交省でいうと各地方運輸局がやはりしっかり丁寧に連絡をしながら、また、民間事業者だけではなくて、フルに地域の輸送資源を総動員しての工夫をしていかないと、なかなか維持が大変なのかなと。
一例挙げますと、富山市も合併をされて、富山の市内は路面電車で頑張っていますけど、すごく広くなっているので、そこはやっぱりバスでやるしかないと。私の記憶では、お出かけパスといって、何か、ちょっと正確じゃありませんけど、年間千円出すと毎回百円で乗れるというような、それは非常に、今お話ありましたけど、高齢者の皆さん、市長さんいわく、それを利用されている高齢者は非常に健康で医療費も少なく、掛かっていないというようなお話もあって、そうしたこともあろうかというふうに思っております。
○武田良介君 地方自治体と協力して、公共交通の維持確保、大変重要だというふうに思っております。
そこで、国交省に、公共交通確保維持改善事業というのがありますけれども、これについて御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(久保田雅晴君) お答え申し上げます。
地域公共交通確保維持改善事業は、地域におけます持続可能な地域公共交通ネットワークの実現に向けた取組を支援する補助制度でございまして、大きく三つの柱でございます。
一つ目は幹線バス交通、デマンドタクシー、離島航路等の生活交通の確保維持への支援、二つ目が公共交通におけるバリアフリー化や地域鉄道の安全対策等への支援、三つ目が地域公共交通ネットワーク形成に向けた計画策定等への支援ということでございます。
○武田良介君 三つの事業から成るものだという御説明いただきました。
一つ目の柱なんですけれども、資料の一番にその予算付けました。一つ目の柱というか、今御説明いただいた三つの柱全体の予算の変化について資料を付けさせていただきました。
二〇一一年度、三百五億円でスタートしたということですけれども、残念ながら当初予算は減少傾向にありまして、来年度二百六億円ということで伺っております。この予算も増やしていかなければいけないのかなというふうに思っておるところですけれども、三つの事業のうち一つ目に紹介をいただきました事業の中には、地域間幹線系統補助と地域内フィーダー系統補助というのがあるというふうに思いますけれども、それぞれの補助について、違いなど御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(久保田雅晴君) お答え申し上げます。
地域公共交通確保維持事業では、高齢化が進む過疎地域等の住民の移動手段を確保するため、幹線バス交通や地域内交通の運行、離島航路、離島航空路の運航に対し支援を行っています。
このうち、陸上交通につきましては、委員御指摘の幹線バスやデマンドタクシー等の運行費について、経常費用から経常収益を控除した赤字額の原則二分の一を支援することとしているほか、車両導入への支援を行っておりまして、地域間幹線系統補助及び地域内フィーダー系統補助に分かれておるところでございます。
まず、地域間幹線系統補助におきましては、複数市町村にまたがった広域的な地域間ネットワークを形成する幹線系統に対して支援を行ってございます。また、地域内フィーダー系統補助におきましては、基本的には、先ほどの地域間幹線系統補助を受けているバス系統と接続する地域内のバス交通やデマンド交通の運行等に対して支援を行うことにより運行の維持を図っておるところでございます。
○武田良介君 資料に付けましたけれども、地域内フィーダー系統補助の推移なんですね。ここに記載されているとおりなんですけれども、コミュニティーバス、乗合タクシー等の確保維持に対するニーズは拡大傾向にあると、地域内フィーダー系統補助を活用する市町村数、申請(要望)額も増加傾向にあるが、限られた予算の範囲内で執行している状況にあるというふうにあるんですね。
この右のグラフを見ていただきますと、実績と申請(要望)というふうになっておりますが、申請はずっと増えていくわけですけれども、実績の方がなかなか増えないというか、少し減ってしまっているという資料になっております。
これはやはり、先ほどの話からしても、自治体が何とか努力をして地域公共交通維持をしようと、確保しようということで取り組んでいる、実際に申請も増えている、要望増えているけれども応えられていないということではないかというふうに思いますけれども、この点、認識、いかがでしょうか。
○政府参考人(久保田雅晴君) 先ほど申しました幹線のところにつきましては、赤字額の二分の一ということで、これは今執行しておりまして、この額が年々増えてきているという実態もございます。
一方で、フィーダーにつきましては、地域内、限定されたところであるということから、国と自治体の役割分担を踏まえながら、それぞれの財政状況を見ながら対応しているという状況でございます。
○武田良介君 その地域間とフィーダーと分ければそういう話はあるのかもしれませんが、全体として予算が減少傾向であり、地域の公共交通を支えていく上で不十分になっているのではないかというふうに私は思うんですけれども、その点は率直にいかがですか。
○政府参考人(久保田雅晴君) 委員配付の資料を見ますと、地域公共交通確保維持改善事業の推移額、この当初予算額が減っているような形でございますけれども、実は先ほど三つの柱というふうに申しました。この中で、生活交通の支援につきましては、このうちおおむね二百億の規模をキープしておりまして、その意味では、地域の足の確保という意味においては二百億の、済みませんが、予算額を確保していると、そういうことに努めておるところでございます。
○武田良介君 申請額、申請(要望)の方も逆に増えておりますので、本当に守っていこうと思えばやはり予算をもっと付けて増やしていくことも私重要になってくるのではないかというふうに思っております。
ちょっと時間がありませんけれども、先ほど大臣の方からも少しお話がありました富山市なんですけれども、私、富山市もちょうどお話少し伺いまして、富山市も合併された、先ほどお話あったとおりですね。合併した婦中町というところも、合併前に自治体が運行していたコミュニティーバスがなくなって、今、自主運行のバスが走っているということなんだそうです。これは、自治振興会などが、住民団体が富山地方鉄道に運行を委託する形で自主運行バスが走っていると。運行の費用を、バス停がある町内では一世帯当たり二百円の負担があって、自治振興会は年間五十五万円の負担もしている、市も運行の経費の二十分の九を助成している、それでも赤字があるんだというお話を伺いました。このままでは地域の足を守っていくことが大変だと、どうしても負担増というふうにならざるを得ないということの声があるんだというふうにお聞きをいたしました。
この富山の場合は、先ほどのフィーダー系統のような補助ができるんでしょうか。
○政府参考人(久保田雅晴君) お答え申し上げます。
委員お尋ねの婦中町の自主運行バスに対する支援としては、委員御指摘のように地域内フィーダー系統補助が考えられますが、その前提としまして幾つかございます。
まず、地域の協議会が定めた生活交通確保維持改善計画におきまして、確保又は維持が必要と記載されていることが必要となります。加えまして、先ほど幹線の系統と接続するという話申しましたけれども、その関係で補助対象事業者でありますとか対象路線などについてもそれぞれ要件があるところでございます。
したがいまして、先生今お話を伺った限りにおいては対象になるのかどうかについてはっきりと申し上げることはできませんが、できればその支援の可能性などにつきまして管轄しております北陸信越運輸局に御相談をいただければ、我々いろんなノウハウございますので、御相談に応じたいと考えておるところでございます。
○武田良介君 一点教えていただきたいんですが、今言われたその地域間の幹線系統と接続しなければいけないという要件はどうして必要になるんでしょうか。
○政府参考人(久保田雅晴君) 国と地方の公共交通、支える役割としまして、国としてやはり幹線、地域と地域をつないでいく、そういった系統がなくなってしまうとそれぞれの地域が孤立することになります。したがって、その幹線を助けていくという意味においてのフィーダー輸送だという考えでございます。
○武田良介君 時間ですので終わりにしたいというふうに思いますけれども、地域公共交通を守ることは、冒頭少しお話もさせていただきましたけれども、ただ交通弱者助けるというだけではなくて、健康寿命という言葉もありますが、高齢者の方が安心して病院へ行けることはもちろん、文化だとかスポーツだとかいろいろ触れられる、若い皆さんも社会参加ができていく、やっぱりそういう機会を保障するものとして非常に重要だというふうに思っておりますので、幅広い視点を持って予算の確保、取り組んでいくし、実際に地域公共交通守らなければならないということを申し上げさせていただいて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
関連資料
しんぶん赤旗→「地域公共交通支援を 武田議員、予算増求める」