国会質問

質問日:2022年 3月 7日  第208通常国会  予算委員会

予算委員会で、気候変動対策について岸田総理を追及

予算委員会で質疑。
🌏テーマは気候変動対策❗️
 
台風19号災害で甚大な被害を受けて、気候危機は肌身で実感。
それだけに「大量にCO2を排出する石炭火力発電はやめよ!!」
COP26で化石賞をもらい、石炭火力の延命策を続ける岸田政権ですから。
 
答弁を求めていないのに萩生田大臣が出てきたから、何を言うのかと思ったら、
「化石賞は、日本だけじゃない。オーストラリアも、アメリカも、…」
だから何だよ❗️っていうヤジが議場に。
 
確かに、本会議でも「イギリスは4回もらっています」って岸田総理も答弁していたのです。まさか、テレビ入りの本会議でも、こんな答弁するとは…❗️
 
岸田首相も、それまでの質疑者に対して、ウクライナ情勢に関する質問やコロナではムキになって答弁する姿は一切見られなかったけど、私に対してだけは、求めてないのに手を上げて、余程、化石賞をもらったことを指摘されて嫌だった様子。
 
岸田政権の、
気候変動に後ろ向きな姿勢、
いまできる再エネ・省エネの対策は先送りの姿勢が、
明らかにできた質疑になった。
 
 

再エネ転換へ直ちに

武田議員 脱石炭・脱原発迫る

参院予算委

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(写真)質問する武田良介議員=7日、参院予算委

 日本共産党の武田良介議員は7日の参院予算委員会で、「日本経済の健全で持続可能な成長のためにも、再エネ・省エネの抜本的普及が必要だ」と強調し、脱石炭・脱原発にかじを切るよう求めました。(論戦ハイライト)

 武田氏は、岸田文雄首相が昨年末のCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)で民間団体から「化石賞」を受賞したのは「演説で石炭について触れなかったからだ」と指摘。主要7カ国(G7)のうち日本を除く各国が2035年までに電力部門のCO2排出実質ゼロを掲げている一方、日本は2050年に向けて水素やアンモニア、CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)などを活用するとしていることについて、「石炭火力発電の延命策にほかならない。なぜ日本はこのような延命策をとるのか」と追及しました。

 岸田首相は「アンモニアや水素を活用していく考えに立っている」と答弁。武田氏は「アンモニアを使っていたらCO2削減効果は4%しかないという試算もある。CCUSも実証段階だ。直ちに削減するなら今ある技術で再エネ・省エネに真剣に取り組むことが必要だ」と強調しました。

(「しんぶん赤旗」2022年3月8日付より)

 

論戦ハイライト

参院予算委 武田議員の追及

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(写真)質問する武田良介議員(右)=7日、参院予算委

武田 なぜ日本は石炭火発延命策か

首相 化石燃料から脱却目指す技術

武田 削減の効果は4%程度

 日本共産党の武田良介議員は7日の参院予算委員会で、気候変動対策について、大量のCO2を排出する石炭火力発電の延命は経団連の要求だと批判した上で、脱石炭・脱原発の決断で再エネ・省エネの抜本的普及を行うよう迫りました。

 武田氏は、先月28日にIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の第2作業部会が発表した報告書で、気候変動はすでに広範囲の悪影響と損失を引き起こし、このままでは温暖化の進行が不可逆的になると警告していることを指摘。COP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)で岸田文雄首相が民間団体から「化石賞」を受賞した理由について、「岸田首相が演説で石炭火力の廃止に触れなかったからだ」と批判しました。

 その上で武田氏は、石炭火力の廃止期限について、仏、英、伊、独、加、米国では、期限を区切って実質ゼロを目指す一方、岸田首相は「水素、アンモニアやCCUS等(二酸化炭素回収・利用・貯蔵)を活用して、石炭火力を脱炭素型の火力に置き換える」などと石炭火力を延命しようとしていると批判しました。

 武田 世界の先進国は石炭火力の「段階的廃止」を言っているのになぜ日本は延命策をとるのか。

 首相 アンモニア、水素を活用したゼロエミッション火力は、最後は純粋に化石燃料からの脱却を目指す技術だ。

 武田 30年にやっと20%混燃できるかどうかという状況だ。アンモニア生成時に化石燃料を元にしたら、(CO2)削減効果は4%程度だという試算もある。アンモニアに頼ったら駄目だ。

 武田氏は、再エネや省エネなど今すぐできる技術はたくさんあると指摘した上で、日本経団連が「日本国内で高度な石炭利用技術を培うとともに、世界に展開していく」などとしていることをあげ、延命策は経団連の要求だと批判。石炭火力発電の輸出先のインドネシアでは、気候危機に反すると抗議行動が行われているとして、次のようにただしました。

 武田 JICA(国際協力機構)が融資を行い、開発は東京電力のグループ会社が受注している。公的支援を中止すべきだ。

 林芳正外相 現時点では、インドネシア側から本体工事に関わる支援の要請はない。引き続き協議する。

 武田 もうやめなければならない。相手国のためにもならない。

 武田氏は、脱炭素・脱原発を決断し、再エネ・省エネの抜本的普及でこそ経済成長ができると強調。火力発電偏重が是正されない場合、製造時にCO2排出量が多い日本生産の自動車が輸出できなくなり、約100万人の雇用が失われ、マイナス26兆円の経済影響になるとの推計がある一方、30年までにエネルギー需要の約40%を削減する省エネと、電力の44%を再エネでまかなう政策転換で、年間254万人の雇用創出と202兆円の投資、GDP(国内総生産)を205兆円押し上げるという試算を紹介。日本経済の健全で持続的発展のためにも、脱石炭と再エネ・省エネの抜本的普及を決断するよう求めました。

(「しんぶん赤旗」2022年3月8日付より)

議事録

○委員長(山本順三君) 次に、武田良介君の質疑を行います。武田良介君。
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 まず、ロシアによるウクライナ侵略について申し上げます。
 ロシアによるウクライナ侵略は、原子力施設を標的にするに至っています。ザボリージャ原発に続き、ハリコフの核研究施設への砲撃が行われたとウクライナ当局が明らかにいたしました。このロシアによる所業を厳しく糾弾したいと思います。
 プーチン大統領が核兵器による威嚇をエスカレートさせていることは、核兵器は人間に決して持たせてはいけない絶対悪の兵器だということを示しています。唯一の戦争被爆国として、核による脅威に核で対抗する道ではなくて、核兵器禁止条約に参加をし廃絶の先頭に立つこと、ロシアの侵略をやめさせるために国際社会とも総力を挙げていくことを強く求めたいというふうに思います。
 それでは、今日は気候変動対策について質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初のパネルであります。(資料提示)
 先月の二十八日、気候変動に関する政府間パネル、IPCCの第二作業部会というところが報告書を発表いたしました。この中で、人類が引き起こした気候変動は、自然と人間に対して広範囲にわたる悪影響と、それに関連した損失と損害を引き起こしていると、こう結論付けて、気温上昇が一・五度を超えた場合、一・五度を超えたら、一部の影響は温暖化が低減されても不可逆的になると、こういうことを指摘をしています。
 私の地元、長野県ですけれども、二〇一九年の際に台風十九号災害も発生をいたしました。千曲川が決壊をいたしまして、全国で百名近い方が亡くなられる大規模の災害が発生してしまいました。
 総理にお伺いをしたいというふうに思います。
 現在の気温上昇でも損失、損害を引き起こしている。で、一・五度を超えたら影響が不可逆的になっていく。これ以上被害を拡大させない、そのことが今本当に求められているというふうに思いますけれども、総理の認識を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先日公表された気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCの報告書においては、人間活動が原因となり引き起こされた気候変動が、水資源へのアクセス、食料生産、人の健康など幅広い分野で悪影響を及ぼし、それに関連した損害を引き起こしていることが示されました。
 我が国においても気候変動とその影響が全国各地で現れており、記録的な猛暑や度重なる豪雨や台風などが多くの犠牲者をもたらし、国民の生活、社会、経済に多大な損害を与えています。個々の気象現象と地球温暖化との関係を明確にすることは容易ではありませんが、今後についても、地球温暖化の進行に伴い、このような猛暑や豪雨のリスクは更に高まることが予想されています。
 気候変動問題は人類共通の待ったなしの課題だと認識をいたします。今後とも、我が国として脱炭素社会の構築に向けた挑戦を続けるとともに、国際社会においてリーダーシップを発揮してまいりたいと考えます。
○武田良介君 人類共通の待ったなしの課題ということはおっしゃられましたけれども、今答弁されましたけれども、一・五度に気温上昇を抑えるためにこれから日本政府がやろうとしていることがどれだけ役に立っていくのかということが問題になってくるというふうに思います。
 総理にお伺いしますが、昨年、COP26が開催をされました。その際に化石賞を受賞されるということになりました。その理由はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君) 御指摘の点は承知しておりますが、民間団体の活動の一つ一つにつき、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。
○武田良介君 いや、本当に世界共通の課題で、市民社会が一生懸命、気温上昇もう抑えなきゃいけない、気候変動対策しなきゃいけないと。市民社会と一緒になって行動しなければいけないときに、今の答弁ではいけないのではないかというふうに思います。
 あの化石賞の理由ははっきりしているんです。岸田総理が、岸田総理がCOP26に行って、そこの演説で石炭の廃止、石炭火力発電所の廃止ということを触れなかったからなんですよ。
 CO2を大量に排出すると、当然ですけれども気温上昇してしまいます。ですから、気温上昇を、先ほどのパネルにあったように、一・五度に抑えるということは、これから世界が排出できる炭素の総量が決まってくるということになるわけですね。だから、総量が底をつかないように直ちにCO2の排出削減をしなければいけないということなわけです。だから、世界各国が二〇三〇年までの目標も大切にするし、排出源の大どころである石炭火力の発電所、この廃止、乗り出しているわけですね。
 石炭の廃止、すべきではないですか、総理。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の化石賞については、COP26での私の演説において、アジアで、化石燃料を使う火力からアンモニア、水素などのゼロエミッション火力への転換を推進することを表明したことが理由であるとされていますが、アンモニアや水素などを活用したゼロエミッション火力への転換はアジアにおける脱炭素化への取組として高く評価され、期待されているものと考えています。
 また、我が国が同時に表明した五年間で百億ドルの国際的な支援という新たなコミットメントについても、多くの会議参加国から高い評価と歓迎の意が示され、存在感を示すことができたと考えております。
○武田良介君 市民社会は評価していないから化石賞を受賞されたわけですね。各国が言うふうに言っておりますけれども、評価されたと言っていますけれども、世界の流れをしっかり見なければいけないというふうに思うわけです。
 石炭の、石炭火力の廃止期限、フランスは二〇二二年、イギリスは二四年、それからイタリアは二〇二五年、ドイツは前倒して二〇三〇年、カナダも二〇三〇年と、アメリカも二〇三五年までに電力部門のCO2排出実質ゼロということを言っているわけですね。
 しかし、総理は、今も答弁にもありましたけれども、二〇五〇年に向けて、アンモニアだとかCCUSとか、そういったものを使っていくと、脱炭素型に置き換えるというふうに言われています。テレビ御覧の方も、ちょっとアンモニアとか分からない方もいらっしゃるかと思いますけれども、アンモニアというのは、要は石炭火力発電所で石炭と一緒にアンモニアを一緒に燃やすと、混焼をすると。アンモニアの部分はCO2出さないからその分削減になりますねとか、あるいはCCSとかいうものも、ただただ大気中に放出するのではなくて、回収したり貯蔵したりすればCO2減らせるじゃないかということを政府おっしゃるわけだけれども、結局石炭燃やし続けるわけです。石炭火力に頼り続けている。もうこれは延命策にほかならないというふうに思うわけですね。
 先ほど紹介したように、各国は期限を切って石炭やめるといっているんです、他の先進国が。何で日本はこういう延命策を取るんでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 済みません、詳細については経産大臣からあるかと思いますが、今おっしゃったように、日本が延命策とおっしゃいましたが、アンモニア、水素を活用したゼロエミッション火力、これ最初はおっしゃるように混合するわけでありますが、最後は純粋にアンモニア、水素、化石燃料からの脱却を目指してこういった技術を活用していくという考えに立っていると認識をしております。
○武田良介君 いずれできるようになるような話ししましたが、二〇三〇年にやっと二〇%混焼できるかどうかと、もうそういう状況ですよね。そのアンモニアを生成するときに化石燃料を基にしたエネルギー使ってやってたら、結局削減効果は四%程度しかないという、こういう試算もあるわけであります。だから、アンモニアに頼ってたら駄目だというふうに思うんですね。
 CCUSもそうなんです。これもまだ実証段階であります。実証段階であるので、直ちにCO2削減しようと思ったら、今ある技術で再エネ、省エネに真剣に取り組むということが必要なんだと思います。
 経産大臣、どうですか。世界各国はこうやって廃止の期限を切って石炭やめると言っている。何で日本は延命策なんですか。
○国務大臣(萩生田光一君) その前に、今日せっかくテレビ入りですから、化石賞は、ワイドショーなどでは日本だけが取ったかのような放送をしていますけれど、会議の十二日間、毎日二、三か国が選ばれて、日本は二日目の一回だけ言われたんですね。この間の関係あると思いますよ。化石賞で第一位はオーストラリアです。第二位は米国です。第三位が英国です。ですから、そういう意味では、そういう意味ではですね……(発言する者あり)今答えますから大丈夫ですよ。(発言する者あり)いやいや、化石賞をなぜ取ったのかとおっしゃるから、化石賞が、開き直っているわけじゃないんですよ。
 したがって、この石炭を減らしていくというのは、日本としてももちろん努力します。しかし、やっぱりみんな登り方が違うんですよ、二〇五〇年に向かって。日本や東南アジアのように、化石の、言うならば石炭の火力発電所が数多くあるところは、やっぱりこれをフェードダウンしながらその道を目指していかなきゃなりません。したがって、今総理が答えた科学的な技術の手法は、今の段階ではそんなことできるのかという、これ、まさにCOP26で言われたとおりの話なんです。ですけれど、そこはやっぱり技術で乗り越えていくということを我々は皆さんにお約束しているわけでありますから、CCUSについても、あるいは化石の、石炭の減量化についても、当然、技術をもってアンモニアの混焼や水素を使って解決をしていくという方針はしっかり示させていただいております。
○武田良介君 技術、技術というふうにおっしゃられましたけれども、再エネとか省エネとか、今すぐにでもできる技術たくさんあるわけですね。新たなものを開発するんじゃなくて、すぐに減らすためにすぐ打てる手を打つということが絶対必要だと私は言わせていただきたいというふうに思いますし、二〇五〇年ということも言われますが、帳尻合えばいいわけじゃないんです。先ほども言いましたけど、総量限られますから、すぐに減らさなきゃいけないということは強調させていただきたいというふうに思います。
 火力発電の段階的廃止ではなくて、なぜ延命に走るのかということですけれども、パネルを用意いたしました。
 日本経団連は、二〇一九年五月に行われましたパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略、これへのパブリックコメントの中で、石炭火力についてこういうふうに言っているんですね。
 エネルギー転換、脱炭素化が実現するまでの過渡期において、国内外で一定の役割を担うことが見込まれていると。だから、当面、日本国内で高度な石炭利用技術を培うとともに、高効率については世界に展開していくというふうに言われているわけです。だから、国内でもまだまだ石炭やりたいし、世界に展開だと。
 そこで、輸出先の実態がどうかということで一つお伺いをしたいというふうに思います。
 例えば、インドネシアのインドラマユというところで計画されている石炭火力の計画があります。これはJICAが融資を行い、開発については東電のグループ会社が受注をしているという案件になっております。いわゆる高効率のものに限るとここにも書いておりますけれども、政府もそういうふうに説明してきましたけれども、気候危機に反するということで反対運動が起こっているわけですね。これは、COP26の開催に当たって官邸前でもやられました。あるいは、輸出先のインドネシアの日本大使館前でも抗議行動が行われているわけであります。
 もうこの公的支援を中止すべきではないかというふうに思いますけれども、外務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君) 先般のG7首脳コミュニケでは、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への新規の支援を昨年末までに終了することにコミットしたものでありまして、インドラマユ石炭火力発電所といった既に実施に向けた手続を行っている既存案件については、G7における合意の対象ではありません。
 引き続き、相手国の実情に応じた対応をしていくことを通じて、世界の実効的な脱炭素化に日本としては積極的に貢献してまいりたいと思います。
○武田良介君 もう既に始まっている案件のような話でしたが、そのエンジニアリング・サービスについては契約交わしてやっているけれども、本体工事に関してはまだこれは契約結んでいないわけなんですね。だから、これからでももうやらないという決断はできるんじゃないかというふうに思います。
 じゃ、今度、外務大臣にお伺いしたいと思いますけど、いかがですか、公的支援やめるべきじゃないですか。
○国務大臣(林芳正君) 今御質問の事業については、現時点では、インドネシア側から本体工事に係る支援の要請はなされていないところでございます。今後については、今経産大臣からも御答弁がありましたが、昨今の石炭火力発電をめぐる国際的な議論を踏まえつつ、引き続きインドネシア側と協議していく考えでございます。
○武田良介君 まだ融資決定していないんですから、もうやめるというふうにしなければならないと思うんですね。これだけ気候変動が世界的に叫ばれているときに、相手国のためにもならないというふうに指摘をさせていただきたいというふうに思います。本当に気候変動に後ろ向きな姿勢だということが明らかになっているというふうに思います。
 CO2を排出するエネルギーを使って車を造っていると、海外へ輸出できなくなるということを懸念しているのが日本自動車工業会であります。
 ここにもありますように、二つ目ですね、日本は、火力発電比率が七五%と高く、エネルギーをつくるところでたくさんのCO2を排出してしまうと。そうすると、製造時のCO2排出量が多い日本の車は海外に輸出できなくなってしまうのではないか、約百万人の雇用が失われる可能性がある、経済影響はマイナス二十六兆円にもなるのではないかと、こういう懸念が示されております。
 それから、一方で、もう一つのパネルであります。
 脱石炭、脱原発、この再エネ、省エネの普及に進んだ方が大きな経済効果があると、こう示した研究もあるわけですね。これは日本共産党の気候危機を打開する二〇三〇戦略でありますけれども、未来のためのエネルギー転換研究グループの皆さんがまとめられましたレポート二〇三〇、この研究成果に大いに学ばせていただきました。
 二〇三〇年までにエネルギー需要を省エネで四〇%削減をする、そして再エネで電力の四四%を賄う、こういうエネルギー転換を行えば、投資額約二百二兆円、そしてGDPが二百五兆円押し上げられる、雇用の創出も年間二百五十四万人になる、そして化石燃料の輸出削減額も約五十二兆円になると、こういう試算があるんですね。
 この石炭や原発をやめるということになりますと、仕事を失う労働者も出るのではないかと、当然この心配されるわけですけれども、この研究で影響を受ける労働者の数、どのくらいか紹介をしておきたいと思うんです。
 電力関係で約一万人、石油精製で約一万人、鉄鋼業で約三万六千人、化学工業で六万五千人、セメント製造業で約五千人、パルプの製紙業で約二千人、そして原子力関係が約五万人と、合わせてこれで二十万人というふうになっております。
 一方で、生み出される雇用の方ですけれども、農林水産関係で一・一万人、建設で四十六・九万人、製造業で六十・三万人、第三次産業で百四十五・一万人、合計して約二百五十四万人ですね、というふうになる。この生み出される雇用者の数というのが影響を受ける労働者の数を大きく上回るというふうになっているわけであります。
 労働者の声をしっかり聞きながら政府が丁寧な支援を行っていけば、企業内での配置の転換ですとかあるいは職業訓練などを含んでしっかり支援していけば、雇用転換はできるということだと思うんです。
 それから、もう一点紹介しておきますけれども、電気代は上がらないのかということもこの中で指摘をしているんですね。
 研究成果では、発電コストの総額、これは化石燃料の低減がありますので、二〇三〇年に政府のシナリオよりも低くなるということが示されておりますし、発電コストの単価で見ても、二〇三〇年以降に政府のシナリオよりも単価で下回るということになっています。既に近年、太陽光のコスト大分下がって、一キロワットアワー当たり十一円を記録されておりますから、全く無理な試算じゃないと思うんですね。
 安定供給についても、電力の融通だとか蓄電池の活用だとか需要側の管理、こういったものを組み合わせれば十分にできるということを一つ一つ分析をされております。つまり、雇用も増えて経済成長もしていくと、で、電気代も安くなっていくと。
 ですから、二〇三〇年に脱石炭、脱原発、この決断をした方が日本経済のためではないかというふうに思いますけれども、総理、どうですか、この提案。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、委員の方からこの戦略について御説明がありました。
 数字の根拠については、それが適切なのかどうか、ちょっとたちまち聞いただけですので、私も判断はできないと思っていますが、ただ、世界各地で異常気象が発生する中、世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面している、こういった認識は政府も共有をするところであります。そういった危機感を持って、この資本主義の中に様々な弊害を是正する仕組みを埋め込むことで、この最大の課題である気候変動問題を克服していきたいと考えています。
 政府としては、二〇三〇年度削減目標の実現に向け、これまで閣議決定した地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画等に基づき、あらゆる施策を総動員してまいります。その上で、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、単にエネルギーの供給の構造変革だけではなくして、産業構造、国民の暮らし、そして地域の在り方全般にわたる、経済、社会全体の大変革が必要であると認識をしています。
 そこで、現在、変革の全体像の、と道筋を示すべく、本年一月に、私が自ら指示を行い、クリーンエネルギー戦略の検討を進めているところです。官民でこの戦略を共有し、脱炭素への投資を早急に少なくとも倍増させ、新しい時代の成長を生み出すエンジンとしてまいりたいと考えています。
○武田良介君 この数字の根拠についてはぱっと分からないと。政府の政策について最後お話ありましたけれども、政府のシナリオよりももっと雇用が生まれる、経済成長することが試算されると、そういうことですから、こういう研究された方から是非お話聞いていただいたらいいと思うんですね。聞く力を大いに発揮してやっていただきたいというふうに申し上げたいというふうに思います。
 先日、日本共産党は、大企業の内部留保に課税する案も発表いたしました。グリーン投資の額を控除したという、そういう説明もさせていただいております。グリーン投資も大いに呼び込むことにもなっていきますから、是非こういうことこそ検討いただきたいというふうに思います。
 日本経済の健全で持続可能な成長のためにも再エネ、省エネの抜本的普及ということを重ねて訴えて、私の質問にしたい、させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(山本順三君) 以上で武田良介君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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