国会質問

質問日:2019年 12月 4日  第200臨時国会  災害対策特別委員会

災害復旧の農地の泥だし、生産組合も受注可能

先日長野市長沼でお聞きした「生産組合ぽんど童」のみなさんの声を受けて、参議院災害対策特別委員会で質問。テーマは、農地の泥だしに焦点を絞りました。

最大の課題である農地の泥だし。災害復旧で行われることになりますが、作業を担うことは建設会社などはもちろん、生産組合でもできること、事業主体となる市町村などの判断でできることが答弁で確認できました。
これは、農水省農政局も通知しているのですが、雇用の確保、つまり被災農家の収入確保にもなります。
それぞれの市町村、現場にあった形で、災害復旧事業に取り組んでいただけるようにしなければなりません。

さらに、これまで「ぽんど童」のみなさんやボランティアのみなさんが、やむにやまれず行ってきた実質災害復旧と同じ泥だし作業にかかった重機のリース代、軽油代について、「一般にはできないが、個別に相談に応じたい」と農水省から答弁。
武田良太防災担当大臣も「農水省と連携していきたい」と答弁あり、希望がもててきました。

何とか、一歩でも前にすすめるように、生活と生業の再建に取り組むしかない。

 

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災害復旧事業 生産組合も受注可能

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 長野市の農業被害に関わって質問させていただきたいと思います。
 長野市の長沼、先日も視察をいただきまして、ありがとうございました。視察に行きました三日後にも私、再び長沼の方に行ってまいりまして、被災された皆さん、農業されている皆さんからお話を伺ってまいりました。
 この長沼地域には、長沼林檎生産組合ぽんど童という、若い農業者が中心になってつくっている生産組合があります。ぽんど童というのは、ぽんどは平仮名で、童は児童の童、子供ですね、児童の童と書いてぽんど童というんですけれども、二〇一〇年に結成された生産組合で、高齢化や後継者不足で農業者が減少して遊休農地が増加する中で、リンゴ産地を守ろうということで結成されたということであります。しかし、この長沼で、皆さん御承知のように災害が発生をしてしまいました。千曲川の決壊によって最も被害を受けた地域であります。
 今、現地の最大の課題は、リンゴ畑にある泥をいかに早くかき出すかということであります。これ、やはり営農再開という意味でもちろん重要であると同時に、農業者が自ら行うには、実際にこれまでもやっているわけですけれども、その労力だとか資力を含めて大変な負担に今現場でなっているということでありました。
 このぽんど童の皆さんは、泥のかぶった農地をそのままにしてはリンゴの木が死んでしまうということで泥出しを必死になって行っておられます。ボランティアの方も募っておられますし、重機も十二台今使って必死の作業を続けておられます。
 そこで、まず大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、ぽんど童の皆さん始め農業者の皆さんが必死に営農を再開しようということで頑張っているけれども、その見通しが付かないのは、やはりこの泥を何とかかき出すということ、これがなかなか見通しが付かないということにあるんですけれども、その大きな彼らの課題、これしっかり受け止めいただいて、この作業に対して国として最大限の支援していただきたいというふうに思いますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(武田良太君) この問題、詳細は農水省の方に問われていただきたいと思うんですけれども、泥出しに対しては、市町村等が事業主体となって土木的な対策工事を行う災害復旧事業による支援とともに、浸水被害を受けた果樹園地におきまして被災農家等が次期作に向けた樹勢回復等を行う果樹産地再生支援対策、また、農家等の地域共同活動による多面的機能支払交付金により支援をしているものと承知をいたしております。
 内閣府としましても、農林水産省とよく連携してまいりたいと思いますし、また、私の方からも農水省の方にはしっかりと伝えてまいりたいと思います。

○武田良介君 是非、農水省と連携して取り組んでいただきたいというふうに思うわけですが、具体的にもう少しお伺いをいたします。
 来年三月頃にはリンゴの消毒作業なども始めなければいけないということもおっしゃっておりました。それに向けて、これから冬を迎えて、また天候がどうなるかということも含めて、泥出し作業が間に合うのか、営農再開できるのかということが現場での今せっぱ詰まった実態であります。そこで知恵を出していきたいと思うんですね。
 今も大臣の答弁の中にありましたけれども、農地の災害復旧ということがこれから行われていくことになると思います。今お話にもありましたように、その実際の仕事は、市が発注者になって建設業者だとかいろんなところに災害復旧をお願いをしていく、で、実際そこが施工していくということになると思いますけれども、この災害復旧、このぽんど童のような生産組合がその災害復旧を受けていく、その生産組合始め農家の皆さんが泥出しをする主体として災害復旧に参加していく、加わっていくということも可能だというふうに思いますけれども、農水省、いかがでしょうか。

○政府参考人(安部伸治君) 農地等の災害復旧事業は、御指摘のとおり、市町村、土地改良区、JA等が事業実施主体となって実施するところでございます。この災害復旧事業の実施に当たりましては、市町村などの事業主体から受注した施工業者が早期復旧を望む被災農家等を雇用して行うこと、また、事業主体自らが地域の農家等の参加を得て事業を実施することが可能であります。このような形で、農家等の協力も得ながら早期の復旧に努めてまいります。

○武田良介君 農家の参加を得て取り組むことも可能という御答弁があったこと、あるいは業者が取り組んでいくこともできる。災害復旧を誰が受けてどう施工するのか、実行するのかということは、やはりその現場によって違うということもあるでしょうし、その一番かみ合った形で行われれば一番いいのかなというふうに私も思っております。生産組合が受けることも可能だということ、建設業者などが受けることもあり得るんだということで様々な選択肢があるということを確認したいというふうに思います。
 現実の、これから行われる、想定される現実の作業に沿ってもう少しお聞きしたいというふうに思っておりまして、長沼のそのリンゴ畑は、視察の際にも御覧いただいた先生方いらっしゃると思うんですが、畑の中には泥がたまっている、リンゴの木の周りだけ取りあえず今緊急的に泥をかいている、こう丸く泥がなくなって、まだ木と木の間には泥が残っているというような状況がかなりあります。
 こういう畑では、そういった泥を園地の一角にまず移動させるという作業がこれからあろうかというふうに思います。それから、集めた泥を、まだ泥出し場が決まっていないわけですが、泥出し場が決まった後には、その泥出し場に一角に固めている泥を持っていくという作業もこれからあろうかというふうに思います。このどちらの作業も、今話をしておりますこの農地の災害復旧のこれからの作業として該当する作業であるかどうか、これも農水省に確認したいと思います。

○政府参考人(安部伸治君) 被災しました樹園地の復旧方法といたしまして、御指摘のとおり、果樹の樹勢を回復するために、樹木の周辺の土砂を一旦撤去、集積をいたしまして、その後に運搬処理するという方法があります。このような場合にも、災害査定等の手続をいただくことで災害復旧事業の対象となります。

○武田良介君 対象となるということで確認をさせていただきました。
 これからの災害復旧事業について聞いてきたんですが、これまでについても、これまでの彼らが行ってきた事業についても聞かせていただきたいと思うんです。
 ぽんど童がやむにやまれず行ってきた、これまで実際上その災害復旧と同様の泥出し作業ですね、これにはその重機のリース代だとか軽油代が掛かっておりまして、大変な費用が掛かっているわけであります。これを被災者の持ち出しにしないで補助してほしいというのが大変切実な願いに今なっているわけであります。これは、当災害対策特別委員会でも懇談をさせていただいたときに、長野市長名の要請書の中にも同趣旨のものが入っていたことであります。
 そこで、農水省に確認したいと思うんですが、ぽんど童がやむにやまれず行ってきた災害復旧と同様のこの泥出し作業に掛かったリース代だとか軽油代、これ災害復旧で補助することも可能でしょうか。

○政府参考人(安部伸治君) お答え申し上げます。
 災害復旧事業の事業主体である市町村と地域の生産組合等が参加契約を結びまして復旧事業を実施する場合、生産組合が調達した重機のリース代や燃料代に対する支援、これは可能です。
 なお、既に支出した重機のリース代等について遡って支援をすることは難しいと考えていますが、いずれにしろ、個別のその契約の状況などの事情を把握をいたしまして、個別に判断をしてまいります。

○武田良介君 個別の事情を踏まえて判断していくという話でありましたけれども、現地で聞いてきた声は、やっぱりリース代と軽油代ということだったんです。私たちの人件費といいますか作業代まで見てくれという話はされておりませんでしたので、例えば査定を比較するということがあるにしても、そこまでの費用を見るというふうにならないかというふうに思いますし、実際には災害復旧と同じ作業をやってきているわけですので、このリース代や軽油代を補助していくということは非常に重要なことなんだろうと、やはり私は思っております。
 これ災害復旧ですから、連携して取り組んでいくことも必要になると思います、各団体と。長野市なら長野市が発注して各団体と連携していくことになるというふうに思いますけれども、生活となりわいの再建のために、これ、武田大臣にも是非連携強めていただいて、リース代、軽油代、被災者の持ち出しにしない、補助をしていただきたいと、是非願いに応えていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(武田良太君) 先ほど農水省から答弁があったとおりでありますけれども、なかなか遡って支援することというのは原則として難しいと思います。
 しかしながら、個別の契約状況などの事情を把握して、農水省において適切に判断されるものと。また、私の方からも改めて農水省の方にはしっかりとお伝えしたいと思います。

○武田良介君 個別の判断、またあるいは大臣の方からもという御答弁がありました。
 是非、彼らの頑張りに私も応えたいというふうに思いますし、これからの長野の農業、彼らの生活も含めて、本当に生産者の生活も含めて懸かっておりますので、是非お願いをしたいというふうに思います。
 災害復旧の話を雇用という視点でも一つ見ておきたいというふうに思うんです。
 資料の一に付けさせていただきましたけれども、十月十四日の日に農政局から出されました通知をいただきました。農業農村整備事業等の執行についてというものなんですけれども、ここには書かれているわけですが、「当該被災地域における就労機会の確保に資するため、今後実施される災害復旧事業を含め農業農村整備事業等の機動的かつ弾力的な施行に努めるとともに、関係地方公共団体等と密接な連携を取りつつ、当該地域における被災農林漁家の就労が円滑かつ効率的に行われるよう配慮されたい。」というふうにあります。つまり、就労の機会を確保していく、そのためにこの災害復旧事業も含めて雇用を確保しようということだと思います。収入を確保していこうということだと思うんです。
 このぽんど童、例えば、ぽんど童生産組合が災害復旧に加わっていく、共に参加していくということができるという話でしたけれども、このぽんど童に加わって一緒に作業に当たるということは、ここで言う雇用の確保、実質的には被災農家の収入確保になるということだというふうに思います。
 これは、やっぱり農家の収入確保と同時に、新たな耕作放棄地を生まないとか、災害を機に離農する方を出さないという意味でも大変大きな意味を持っているというふうに思います。この意味を、大臣、どう受け止めておられるのか、御見解をお願いします。

○国務大臣(武田良太君) 被災農家の当面の就労確保のために、災害復旧事業の実施に当たりましては、市町村等の事業主体から受注した施工業者が早期復旧を望む被災農家等を雇用することや、事業主体が自ら地域の農家等の参加によって事業を実施することが可能であり、農水省においてこのような取組を通じて被災農家の就労機会の確保に努めていただいているものと承知しております。
 我々も農水省とよく連携してまいりたいと、このように思っています。

○武田良介君 是非お願いをしたいと思います。
 最後に、ちょっと話題変わりまして、住家被害の認定について、一問大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 資料の二にも付けさせていただきましたけれども、住家の被害認定調査における第二次調査や再調査についてということで、これについてはこれまでも累次にわたり周知しているところですがということで、ここに記載されておりますのは、罹災証明書に記載される住家被害等の調査結果は、その後の被災者支援の内容に大きな影響を与えるものであることに鑑み、この度、改めて下記のとおりお知らせしますというふうにあります。その下にも、水害における浸水深や堆積の深さによる判定等の第一次調査は、あくまで簡易的な判定方法でありと、被災者は二次調査、再調査の依頼をすることが可能である旨、被災住民に十分周知するよう改めてお願いしますということです。これ、私、大事な通知だというふうに思っております。
 先日、私、長野市の南隣にあります千曲市というところに行きまして、岡田市長さんという方とお会いをしてきました。ここは、当初、一部損壊というふうに認定していた被害認定を半壊というふうに変えておられました。当初、半壊は三世帯、一部損壊が六百十五世帯だったものが、認定変えた後は、半壊が三百二十九世帯、一部損壊は四百八十三世帯ということになったということでありました。なぜ変えたかということをお聞きしましたら、市長が時間がたってみないと分からない被害があるということに私が気付いたということをおっしゃっておりました。
 資料の三のところ、壁内と書いてある上の写真なんですが、その押し入れの中に二本線があるんですね。これ、時間がたって、その二本の線の意味が必ずしも分からないんですが、浸水はもっと低いので、数十センチのはずだということですので、ここまで時間がたって水が上がってきたということを私も見たということだったんです。
 この千曲市の判断を変えたということは、この通知の趣旨にも沿っているものだというふうに思いますけれども、大臣、いかがか、最後にお聞かせいただければと思います。

○委員長(杉久武君) 時間が来ておりますから、答弁は簡単にお願いします。

○国務大臣(武田良太君) 内閣府では、市町村が被害認定調査を迅速かつ的確に実施できるよう指針を定めております。
 水害については、越流、決壊等の外力が作用しているか否かを住家ごとの損傷により確認し、それに基づく被害認定フローに応じて判定をして行っているところであります。
 先ほど御指摘の千曲市におきましては、再調査としまして詳細な調査を実施したところ、外力が作用していると判断すべき損傷が確認されたことから、同様の損傷が確認された地域につきましては、被害認定フローを見直した上で判定を実施したところ、半壊が増加したものと、このようにお聞きしております。
 千曲市の調査が適切であったか否かにつきましては、個別の事案で差し控えたいと思いますけれども、住家の被害認定調査の結果につきましては、その後の被災者支援の内容に大きな影響を与えるものであり、被災者の生活再建において極めて重要であることから、運用指針に基づき適切に調査、判定されることが肝要であると、このように考えております。

○武田良介君 終わります。

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関連資料

しんぶん赤旗記事「生産組合も受注可能/武田氏に農水省答弁 災害復旧事業/参院災害特委」

参考資料

災害対策特別委員会資料20191204被災者雇用・住家被害認定