8月31日、9月1日の両日、十和田湖・奥入瀬渓谷で。環境省がすすめる国立公園満喫プロジェクトの調査を行いました。
海外旅行客を2020年に4000万人にするという政府の方針のもと、国立公園にも海外旅行客を呼び込むということで、十和田・八幡平国立公園では、2015年に7,000人を21,000万人にするという計画だということ。
国立公園は、保全と利用という量側面があるわけですが、それらのバランスのとれた事業になるか。
十和田湖、奥入瀬渓谷、またその他の国立公園もそれぞれの貴重な自然があり、それぞれをどう保全し、利用するのか、地元の声も踏まえて十分な検討が必要なことは当然です。
8月31日は、奥入瀬渓谷と十和田湖の現状を見て、環境保護団体の方や、十和田湖の観光協会のみなさんからの声を聞きました。
奥入瀬渓谷の自然がいかに世界でも稀な環境であるのか、その環境が失われていないか。
また十和田湖の観光の現状、またお客さんが増えるかどうか生活がかかった重大な問題だという切実な声など…。
たいへん考えさせられる問題です。
9月1日は、十和田湖の休屋地域にある環境省の管理事務所と懇談し、青森市へ移動し県庁でも青森県と懇談。
一口に、十和田・八幡平国立公園といっても、今回視察をしている十和田や奥入瀬渓谷など、大きく8つのエリアがあり、それぞれに把握すべき現状と課題、地域の願いがあります。
奥入瀬渓谷について言えば、現在もっとも観光客が足を運んでいる場所だけに、経済的期待もあれば、環境負荷も懸念される地域でしょう。
奥入瀬渓谷は、国立公園の中でも特別保護地区に選定され、保全が十分に図られるべきですが、そこに国道が走っています。交通規制の議論があり、地元住民の方の合意など、経過についても最大の課題の一つと認識しました。
十和田湖畔にあるビジターセンターを見学してから、県庁へ。青森県としての観光戦略や十和田湖の自然保護などで意見交換。十和田湖は神秘の湖といわれるほどの透明度を誇っていましたが、一時透明度が悪化。下水道の整備により、若干回復しているそうですが、県や環境省の認識はちょっと心配です。
十和田湖の観光協会のみなさんとお話しすると、「私たちが最低限生活していけるように、何とかお客さんに来てほしい」という切実な声をお聞きしました。「冬季はお客さんいなくなるので、ひめますの加工をして販路を作る努力をしている」などの取り組みには学びました。
また一方で、観光地に暮らす方の暮らしは、お客さんがいなくなるもとで、商店がなくなり病院もなく、市街地へいくにもバス路線は1日2本のみというお話も。これは今回の満喫プロジェクトの話にとどまらず、街づくりの話にもなってきます。それだけ、総合的な視野、総合的な計画が必要なのではないかと感じます。
多くのことに気付けた調査となりました。
赤旗記事→「原生的植生の保護を/青森 塩川・武田氏、十和田八幡平を視察」