国会質問

質問日:2021年 4月 5日  第204通常国会  決算委員会

不祥事繰り返す東電、柏崎刈羽原発の設置許可取り消しを

決算委員会はテレビ中継ありの全般的質疑。倉林明子議員と二人で質疑に立ちました。
私は東電のテロ対策不正と適格性、そして政府の責任について追及。
東電は謝罪しますが、いまに始まったことではありません。改ざん、隠ぺい、安全軽視の歴史があるのですから。
 
設置許可取り消しも将来的にあると答弁した更田原子力規制委員長。新しい検査制度になり、一年もたたないうちに東電の問題が発覚しましたから、こんな検査制度では不正を見抜けないと指摘すると、「抜き打ち検査ができるようになった」と誇るので、「不正が行われた後の調査ではならない」と指摘した。
 
菅総理の答弁は、ひとごとのよう。「国は東電の株の半分を保有し、エネ庁が80回も異例の新潟訪問をしていることも明らかになっている。再稼働をめざす政府の当事者としての責任をどう考えているのか」と再度追及。
 
同じ答弁を繰り返した菅総理に、問題に向き合う姿勢は、まったく感じられなかった。
東電に原発を動かす資格はない。
政府にも再稼働をさせるわけにはいかない。
原発ゼロの政治決断こそ必要だ。
 

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 東京電力柏崎刈羽原発でIDカードの不正利用、さらに、テロ対策設備の機能喪失、こういったテロ対策に関わる重大問題が次々と発覚をいたしました。
 規制委員会は、この問題の重要度を世界最悪レベルの赤というふうに評価をいたしましたし、東電の安全を守る活動に長期、重大な劣化が見られるということで是正措置命令を下しました。この是正措置命令そのものは原子炉に核燃料を装填してはならないと、こういう話ですけれども、実際に是正されるまでは原発を動かすこともできない大変重大なものだと思います。
 こうした命令は「もんじゅ」以来二例目というふうに言われております。「もんじゅ」の事案というのは、日本原子力研究開発機構が「もんじゅ」は稼働していないということを理由にして行うべき安全点検を行わなかったということですけれども、今回はそれに続く二例目、しかし、発電用の原子炉としては初の命令が下されたわけであります。
 そこで、東電に伺いたいと思いますけれども、この事態、どう受け止めておられますか。

○参考人(文挾誠一君) お答えさせていただきます。
 ID不正使用問題に加えまして、核燃料物質防護設備の一部機能喪失といった一連の不適切事案を起こしてしまいました。地域の皆様を始め、広く社会の皆様に御不安と御心配をお掛けしておりますことを改めて深くおわび申し上げます。
 三月三十一日に原子力規制委員会より、先生御指摘のとおり、柏崎刈羽原子力発電所におきます特定核物質、特定核燃料物質の移動を禁止する是正措置命令が出されております。大変重く受け止めてございます。
 当社は、福島第一原子力発電所で重大な事故を起こしてしまい、社員全員がしんから反省し、二度とあのような事故を起こさないと志を共有してまいりました。事故の反省から、安全意識、技術、それと対話力の不足というものを向上するための取組を進めてまいりましたが、そうした中でこのような事案を起こしてしまったことは痛恨の極みでございまして、その取組は十分でなかったというふうに認識してございます。
 いま一度、福島第一原子力発電所事故の反省と教訓という原点に立ち返りまして、根本的な原因究明と組織全体として対策の強化を図りまして、抜本的な対策を講じていく必要があるというふうに考えてございます。
 発電所に経営資源を最大限投入いたしまして、発電所と本社が一体となりまして原因の究明と対策を取りまして、その対策の定着と効果を認識しまして信頼の回復に全力を挙げてまいります。
 以上でございます。

○武田良介君 「もんじゅ」については、原子力規制委員会が二〇一五年、主務大臣である文科大臣に対して勧告を出しました。それは何と書いてあるかといいますと、「もんじゅ」は、研究開発段階とはいえその規模は発電用原子炉に近いもので、リスクも軽視できないと。安全確保上の難度が勝るとも劣らないのであり、当委員会としては、機構は「もんじゅ」を扱う主体として必要な資質を有していないと考えるというふうに言っているんですね。
 東電も自らの資質を問われているということをしっかりと自覚すべきだというふうに思いますし、何より、パネルにしました、東電による不祥事は今に始まったことではありません。(資料提示)
 これ、東電のプレスリリースや報道から私の事務所でまとめましたけれども、東電のデータ改ざん、隠蔽、安全軽視がずらっと並びます。このデータの改ざんとか隠蔽というのは意図的に社会の目をごまかそうとしているものであって、電力事業者として到底信用できない行為であることは言うまでもありません。
 何より、東電は福島第一原発事故の当事者です。原発事故の発生前から、日本共産党の吉井英勝議員が津波による電源喪失の危険を指摘してきたにもかかわらず、対策は取られませんでした。原発事故の発生時の対応でも、メルトダウンが起きていたにもかかわらず、当時の清水社長がメルトダウンという言葉を使わないように指示していたということも明らかになりました。事故後も、柏崎刈羽原発の事故対応拠点となるべき免震重要棟が地震に耐えられない状態であったという事実を隠していたことも明らかになりました。
 総理に伺いたいと思います。
 これだけの不祥事が長きにわたって続いています。三・一一の原発事故の後も続いております。何でこれだけ東電で不祥事が続くとお考えですか。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 安全対策をしっかり実行しなきゃならない東京電力が重大で不適切な事案を起こしたことは大変遺憾であり、深刻に受け止めています。原子力規制委員会からも、柏崎刈羽原発の組織的な管理機能の低下や安全文化の劣化が指摘されていると承知しています。
 過去の不適切な事案も踏まえ、なぜこのような事態を繰り返してしまうのか、東京電力が規制委員会の検査に真摯に対応し、根本的な原因を究明しなければならないのは当然のことだと思います。
 経済産業省も、東京電力に任せることではなく、組織的な改善の道筋を描いていかなきゃならないというふうに考えています。

○武田良介君 どうも人ごとに聞こえてしようがない。政府の責任を自覚すべきだということを申し上げたいと思うんですが、規制委員会にもお聞きいたします。
 規制委員会は是正措置命令下しましたけれども、設置許可の取消し、その原子炉を保有できないという、そういう状況の判断もできた、法律上はできたはずであります。ですから、三月二十四日の原子力規制委員会の場で、東電に対して原子炉の設置許可を取り消すか、あるいは是正措置を命じるか、議論がされた。この議論の内容を見ますと、設置許可取消しについては今後の検査を見なければ判断できないということなんですけれども、パネルにあるように、ずらっとこれまでも並んでいるわけであります。こういうことを考えれば、もう設置許可の取消しということも必要なのではないかと、私、率直に思います。
 更田委員長は、記者会見などでも、将来の許可の取消しの可能性も否定しないというふうに述べておられますけれども、確認します、許可の取消しの判断、除外されませんね。

○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えをいたします。
 原子力規制委員会としましては、将来の東京電力柏崎刈羽原子力発電所の設置許可の取消しについて、将来における可能性を否定しているものではございません。

○武田良介君 重ねて、更田委員長、その検査結果を踏まえて、ちゅうちょなく設置許可の取消し、これも判断するということでよろしいでしょうか。

○政府特別補佐人(更田豊志君) 今後、恐らくは一年以上にわたる期間ですけれども、まさに委員御指摘のように、なぜ東電で続くのか、ここがポイントであります。この先ほどの東京電力からの答弁にもありましたが、東京電力が考えている原点というのは本当に原点なのか、原点と言えるものなのか、そしてなぜ東京電力で続くのか、最終的な判断に至るまでにやはりきちんと詰めるべきところは詰めるべきというふうに私たちは考えております。
 そういった意味におきまして、これから一年間の検査を通じてしっかりとした確認をしてまいりたいというふうに思います。

○武田良介君 ちゅうちょなく判断するべきだと思いますし、私、速やかに設置許可取り消してしかるべきだというふうに思いますが。
 こんな東京電力に原発の安全検査を任せるというふうにしたのが二〇一七年の原子炉等規制法の改定であります。この青字で書いたところであります。これまでの検査というのは、電力会社も規制機関も一緒になって検査をやってきた。しかし、新しい検査制度では、検査を行う主体はあくまで事業者だというふうに、事業者による自主検査に変更されてきました。これ、事業者任せでは不正も見抜けないではないかということを、私、当時からも指摘をしてまいりました。
 そして、今回の審査制度がスタートしたのは二〇二〇年の四月からであります。まさに新しい審査制度が始まって一年もたたないうちに発覚したのがID不正の問題であり、テロ対策設備の機能喪失の問題であります。
 東電に任せたら、一年もたたずにこんな事態になってしまったと。この事態をどうお考えになるのか。更田委員長、いかがですか。

○政府特別補佐人(更田豊志君) 今回の施設の機能の一部喪失事案については、その機能、機器の機能が喪失していたこと自体ももちろん重大なことなんですけれども、ただ、そういった機能喪失があったときに事業者が十分な代替措置をとることが義務付けられています。この代替措置がきちんととられていなかったことを原子力規制委員会は非常に重く見ています。
 この代替措置が不十分で、なかったというのは、日曜日の夜間に検査として入って確認することができました。このやり方は旧制度ではできないやり方でありまして、常駐の検査官が二十四時間いつでも踏み込めるという新しい検査制度の、もちろん突然踏み込まなくても、定期的に何月何日に行きますよという検査でも同じことが見えたかもしれないです。しかしながら、今回は新しい検査制度の利点がそういった意味で生きたというふうに考えております。
 また、今回の事案の発生自身と制度の変更自体のタイミングというのは、これは相関があるものだというふうには捉えておりません。

○武田良介君 今、抜き打ちの検査もありましたけれども、いつもやっていくものではないというふうに私説明も受けております。そうしたら、不正が発覚した後の対応にどうしてもなってしまうんじゃないだろうかというふうに思えてなりません。
 大体、福島原発事故を受けて設置された国会事故調の報告書、何て書いてあるか改めて読みましたけれども、規制当局が事業者のとりことなり、規制の先送りや事業者の自主対応を許し、国が自らの責任を回避してきたことが事故の背景にあると指摘されているわけです。福島の事故の教訓を決して忘れてはならないということを私は強調したいというふうに思います。
 総理、私、政府の責任問いたいと思うんですね。東電はこういった改ざん、隠蔽、安全軽視の姿勢で一貫しています。ついにテロ対策めぐって赤の評価も下されました。東京電力に原発を動かす資格はないんじゃないだろうかというふうに思うんです。
 先日の予算委員会で総理は、原発を扱う資格に疑念が持たれても仕方がないというふうに答弁されておりますが、疑念ではなくて資格なしとはっきり言うべきじゃないですか。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 今般の東京電力の不適切な事案は、地元の方々の信頼を損ねる行為であり、組織の体質や原発を扱う資格にまで疑念を持たれてしまう、このこともやむを得ない、そのように思います。
 東京電力においては、高い緊張感を持って、責任を持ち、まずは規制委員会の検査に真摯に対応すべきだと考えています。その上で、東京電力の組織的な管理機能について抜本的な対策を講じる必要があると考えます。
 東京電力を監督する立場の経済産業省から厳しく指導させたいと思います。

○武田良介君 国は東電の株の半分持っているわけですよ。衆議院の質疑でも、日本共産党の藤野保史議員が、エネ庁幹部が八十回も異例の新潟訪問をしていたということも明らかにしました。国は再稼働を進めようとしているのであって、まさにその当事者としての責任をどう考えているのか。
 そういう中で、東電が今年に入ってからもこういうことをずっとやってきた。
 もう一度問いたい。そこら辺の責任、どのようにお考えなんですか、総理。

○内閣総理大臣(菅義偉君) まず、東京電力は、高い緊張感を持って、規制委員会の検査に真摯に対応していくべきだというふうに思います。そして、東京電力の組織的な管理機能について抜本的な対策を講じる必要があるというふうに思っています。
 東京電力を監督する立場の経済産業省から厳しく指導をさせていきたいと思います。

○武田良介君 いや、本当に人ごとのような答弁ではいけないというふうに思うんですね。
 再稼働ありきで安全軽視の、そんな原発を絶対動かしてはならないと思いますし、東電に運転する資格なしということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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関連資料

しんぶん赤旗記事→「東電繰り返す不祥事 武田議員 柏崎刈羽問題を追及 参院決算委」

参考資料

東京電力の数々の改ざん・隠ぺい・事故など