3月30日の参院国土交通委員会で武田良介議員が静岡県の沼津駅周辺総合整備事業について取り上げ、補助金を出す国として、実態に即した事業の再検証を求めました。(スタッフ)
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議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
まず、踏切の高架化について質問をいたします。
交通事故防止のため、改良の必要がある踏切道を国土交通大臣が五年間の期限で指定し、改良工事を進めてきたわけですけれども、踏切道の改良には長期間を要するということで、五年の期限を撤廃するという法案になっております。
この連続立体交差の事業ですけれども、関係者との調整、用地取得などにより、長期間の期間を要するというふうにされているわけですが、まず、これが具体的にはどういうことなのかということをお聞かせいただきたいと。例えば、JRの中央線三鷹駅―立川の間は、連続立体交差については、調査、調整に十六年、用地買収や高架化の工事に十八年、合計三十四年近く掛かっております。こういうことを想起しても、なぜ長期間掛かるのか、この点について御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
連続立体交差事業の関係者協議に時間を要する理由といたしましては、まず、連続立体交差事業が複数の踏切を一挙に除却する事業でありますことから、地方公共団体や鉄道事業者、沿線住民など、関係者の数が非常に多いことが挙げられます。また、事業そのものが大変大きなものでございまして、全体事業費の大きさや事業期間の長さが関係者の合意形成に時間の掛かる理由であると考えております。さらに、連続立体交差事業と併せて周辺のまちづくりについても検討しようとする場合には、まちづくり、あるいは周辺の土地利用との調整にも時間を要することになります。
事業実施段階におきましても、列車を運行しながら工事を行わなければならないことから、列車の運行に支障を来すことのないよう、鉄道事業者とよく調整をしながら慎重に工事を行う必要がございます。また、工事が完了するまでの間、暫定的な営業路線、仮線が必要となる場合もございます。この場合には、仮線のための用地を確保する必要がございますので、地権者との調整にも時間が掛かってまいります。
御指摘の三鷹駅から立川駅までの区間で行われましたJR中央線連続立体交差事業では、地方公共団体と鉄道事業者との間で、連続立体交差事業と同時に鉄道の複々線化をするのかしないのか、複々線化の進め方をめぐって調整に時間を要したと承知をしております。
○武田良介君 同じく連続立体交差の事業で、沼津駅周辺の高架化事業があります。資料も配付をさせていただきました。
まず、全体像を若干紹介させていただきたいというふうに思いますけれども、総合整備事業でして様々な事業がある、そのうち一つが高架化の事業ということであります。先ほどの三鷹―立川間は都市計画決定されました区間は十三・一キロであったのに対しまして、この沼津駅の周辺の事業区画は約四キロということであります。踏切が十三か所解消されるということ、また、八つの幹線道路との間で立体交差となると。また、貨物駅と新車両駅を移転もさせるということもありますし、関連事業として取り組まれた土地区画整理事業、これも行われまして、北口駅前広場が整備をされました。そして、駅北の拠点開発事業として、会議場あるいは展示イベント施設、民間のホテルから成る総合コンベンション施設も建設が完了しているというものであります。
こうした経過については、沼津市において一九八八年に鉄道高架化の方針が示されたことに始まりまして、十五年後の二〇〇三年、静岡県が鉄道高架などを都市計画決定をした、そして二〇〇六年に国が高架化、高架の本体、あるいは新車両駅、新貨物駅の整備事業について許可をしているということであります。
地権者など地域住民の方々には、先ほど来話がありますように、事業に対する様々な意見があります。用地買収に関わって、今年の二月十九日に、新貨物駅建設予定地の明渡しに応じておられなかった一名の方に対して、土地の行政代執行が行われたというところであります。
ここまでが経過でありまして、これから高架の本体工事が始まっていくことになるというふうにお伺いをしています。この工事にも十三年掛かるというふうに言われているそうでありますので、そうすると、完成が二〇三四年かということになるわけです。一九八八年から数えますと、実に三十三年掛かっている上に、更に十三年ですので、合計四十六年掛かるであろうという事業だということであります。
やっぱり長期間になるには、先ほどの答弁にもありましたけれども、理由があるんだというふうに思うんですね。反対されている住民の方との調整に時間を要するということがやはりあろうかというふうに思うんですけれども、この沼津駅の周辺の高架化事業で地元の方が訴えられた内容というのはどういったことだったんでしょうか。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
沼津駅周辺連続立体交差事業につきまして、事業主体であります静岡県と地元沼津市に伺いましたところ、市民への説明会や議会において、賛成、反対、様々な御意見をいただいているとのことでございました。
賛成の意見といたしましては、安全、安心なまちづくりに関するこの事業は将来世代に残る財産になる、県東部の拠点としてふさわしい沼津のまちづくりを推進し、にぎわいと活力ある都市へ成長させるため極めて重要である、渋滞が多く、緊急車両が停車してしまうこともあり、また歩道も狭いことから、早く鉄道を高架化して南北を自由に往来できるようにしてほしい、こういった御意見をいただいているとのことでございました。
反対の御意見としては、事業費が大きく、市の財政への影響が懸念される、ほかに駅や町が良くなる方法があるのではないか、事業期間が長く、完成までに市が衰退されることが懸念される、貨物駅の移転先での騒音など環境面が心配だと、こういった御意見が寄せられていると承知しております。
○武田良介君 事業費の問題、あるいは非常に長期間を要しているので今後衰退しないかというお話等々あるということをお伺いをいたしました。
例えば、私も、新貨物駅が計画されている土地で農業を営んでこられた方が、代替の農地を用意されるということなんだけれども、先祖代々受け継いできた土地だからと、新しい土地がどういう状況か、土がですね、どういう状況か分からないので、生活の糧を奪われてしまうと、こういう訴えがあるということも承知をしております。
既に高架化の方針が出されてから三十三年、都市計画決定から数えても十八年ということで、先ほどの答弁のことだと思うんですけれども、本当にこの予定どおりに計画を進めていいのかという声が上がっておるということであります。
国土交通省は、この高架化の事業、さらに関連の事業がありまして、合計五事業に対して八百四十六億円の補助金を出しているということでありました。そのために事業再評価が行われるわけですけれども、最新が二〇一六年だったと思います。この中でBバイCはどのように検討されたのか、御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
平成二十八年度に静岡県が実施いたしました沼津駅周辺連続立体交差事業の再評価における費用対効果につきましては、国土交通省から発出されております費用便益分析マニュアルに基づいて算出をされております。
これは社会的割引率を考慮して五十年間の便益と費用の比率を求めるものでございまして、便益といたしましては、移動時間の短縮、走行経費の減少、交通事故の減少の三項目につきまして、連続立体交差事業と関連道路の整備が実施された場合、実施されなかった場合の差を便益として金額換算して計上されております。費用といたしましては、連続立体交差事業と関連道路の整備費と関連道路の五十年間の維持管理費を計上し、用地費などの残存価値があった場合にはこれを控除して算出をされております。
以上の方法によりまして、沼津駅周辺連続立体交差事業につきましては、総便益約九百九十九億円、総費用約八百二億円、費用対効果一・二四とされております。
○武田良介君 今答弁にもありました費用便益分析マニュアル、私も見ました。これ見ますと、便益算出の前提は、検討年数、先ほど答弁にもありましたけれども、五十年ということです。これは、ですから、供用が開始されるのが、仮に工事がこれから十三年掛かるとすると二〇三四年、二〇三四年から五十年ということになるかというふうに思いますので、そうしますと、二〇八四年までの便益を算定したということになろうかというふうに思います。
今答弁にありましたように、九百九十九億円、まあ大体一千億円というふうに考えたとして、二〇三四年から二〇八四年までで約一千億円便益があるということで、これ先ほど答弁がありましたように、市民の方から、それから長期にわたって全体が衰退してしまうのではないかという心配も含めて、なるほどなというふうに思うところあるんですけれども、この点はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(榊真一君) 公共事業で整備をされます道路等につきましては、ほかの事業もそうなんですけれども、耐用年数がそれなりの期間ございますので、五十年という期間を定めて算出をしております。また、その便益につきましては、事業が完成してからその効果が発現いたしますので、事業が完成されたときを起点といたしまして五十年間の便益を算出しているところでございます。また、費用についても同様に算出をしてございます。
○武田良介君 ですから、二〇三四年から八四年までの五十年間で一千億円便益が発現するということなんですが、それが市民の方からすると、本当に今後の、今人口減少もしているということで、沼津の方、状況お伺いしましたが、本当にそれだけ発現するのかという疑問が当然浮かぶんだろうというふうに思うんです。
もう一つ、その事業のそもそもの目的に慢性的な交通渋滞等の解消ということもあるということなんですが、伊豆縦貫道ができたことによって大きく変わったという指摘もあるんだというふうにお伺いをいたしました。東名高速の沼津インターにアクセスする沼津岡宮インターというところから函南塚本インターチェンジまで開通したということで、沼津の市街地を抜ける車は減少したと、駅を南北に抜ける必要がなくなったということですね、そちらに流れるようになった。ですから、交通渋滞という実態がもう当初から変わったんだということを言われておりました。
この指摘をどう受け止めるかということなんですが、こういう条件の変化というのはBバイCの計算に含まれているものなんでしょうか。
○政府参考人(榊真一君) お答えを申し上げます。
沼津駅の連続立体交差事業につきましては、国の補助金も入っておりますことから、国土交通省所管公共事業の再評価実施要領に基づいて、事業が継続中のものについては五年に一回、五年ごとに再評価を行うことになります。その時々で最新の便益、費用を算出し、BバイCを出していただくことになります。
○武田良介君 今私が指摘したような交通量の減少というのは、前回、二〇一六年が再評価だったと思うんです。先ほど言った区間で開通しているのが二〇一四年だと思うんですね。そのBバイCの計算のときに、そういう状況の変化というのは含まれているものなんでしょうか。
○政府参考人(榊真一君) お答え申し上げます。
交通環境の変化で御指摘のその事案が入っているかどうかということにつきましては確認をしてみなければいけませんけれども、再評価する時点で最新の情報に基づいて評価をしていただくことを考えております。
○武田良介君 減価をどう取るかとか、そういったことはもちろんあろうかというふうに思いますけれども、重ねて指摘をさせていただきたいと思いますし、五年で再評価やりますということですから、次が二〇二一年度ということで、まさに来年度からですね、来年度でやるということになりますから、そういった点も含めてしっかりと見ていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
時間があれですが。ちょうど立ち上がってしまいました。
一点だけ、鉄道事業法の関係で端的に。
啓開のために倒木を事業者が、倒木するおそれがある木を事業者が切ることができるということなんですが、文化的に重要な価値を持っている木であったような場合どのように対応されるのか、お願いします。
○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
伐採等の対象となる植物や土石が自然公園法や文化財保護法等で保護されている貴重なものである場合、鉄道事業法に基づく国土交通大臣の許可とは別に、各法の規定に基づき、別途、環境大臣や文化庁長官等の許可が引き続き必要になると考えております。
○武田良介君 しっかり対応していただきたいと思います。
終わります。
関連資料
しんぶん赤旗記事→「沼津駅整備 再検証を 武田氏『市民の疑問当然』」