2日の参院災害対策特別委員会で武田良介議員は、昨年末からの豪雪被害をうけ、除雪作業への支援に関する要件や体制整備の課題について質問しました。(スタッフ)
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。よろしくお願いいたします。
災害救助事務取扱要領が、今年の、先月ですね、五月、改定をされました。これは、この間の災害対策基本法の改正ですとか、あるいは応急修理と応急仮設の併用ですね、こういったことが可能になったことを受けて改定されたものと、そういったものを反映しているというふうに承知をしております。各県、各市町村はこの事務取扱要領を見ながら災害対応に当たられるというふうに思いますので、この改定内容について確認をしたいというふうに思っております。
昨年末から今年にかけて豪雪被害が発生をいたしました。そこで、災害救助法における障害物の除去、豪雪の場合ですから除雪について、どう記載されているのだろうかということで、私もこれを見てみました。今回の事務取扱要領の改定に際して、災害救助法による障害物の除去実施要領(案)、これが新たに作成をされたと。この事務取扱要領の中に参考資料として添付されているわけであります。これを例に自治体に実施要領定めてくださいというふうに促す内容が本文、その事務取扱要領本文の方に書いてあるということなわけですが、なぜこの障害物の除去実施要領を作成することになったのか、その理由についてまずお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(青柳一郎君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、五月に改定した災害救助事務取扱要領においては、災害救助法による障害物の除去実施要領案というものを盛り込んでおりまして、これ、近年というか、大雪による災害など災害救助法に基づく救助として障害物の除去を実施する事例が多く発生しているということで、できるだけ実際に運用される都道府県等で円滑、迅速に障害物除去が行われるように実施要領の案というものを盛り込ませていただいたところでございます。
○武田良介君 これ、質問していきますけれども、障害物の除去については、資力要件ですとか、あるいは写真の撮影、実際にどこをどういうふうに除去したのかということを確認するための写真の撮影ということが必要になってくるというふうに思います。この後、もう少し聞かせていただきたいと思うんですが。
まず、写真撮影についてちょっと冒頭聞かせていただきたいと思うんです。これ、ちょっと明確に通告していなかったかもしれませんけれども。
以前も少し言いましたが、この冬の新潟県上越市などにも私行ってお話聞きましたけれども、写真を撮影していなかったと、除雪をする前の状況を写真を撮っていなかった。その後の写真と比べて、こういうふうに除去しましたということを証明するわけですけれども、十分それを撮っていなかったということで、事業者の方が災害救助の対象にならないのではないかと、そういう声を上越の方からたくさんいただいたわけですが、こういうケースがあった場合に、写真はないんですけれども、例えばそれに代わるような書類、後で言いますけれども、スタディーケースというのが出てきます。今日、配付資料で配らせていただきました。例えば、ああいうケースが見られたんだとか、あるいは各自治体によっては、それぞれの基準を条例などで持っているところもあります。このぐらいの雪が降れば、何センチ降ればこう考えましょうだとか、それぞれの自治体によって違いますけれども、そういった状況にあったんだとか、そういったことを記した書類を付けるだとか、そういうことが行われれば、写真に代わって写真撮影を行ったというふうに扱っていく、そういうこともできるのかどうかということについて伺いたいと思います。
○政府参考人(青柳一郎君) 通告はしていなかったと言っていただいているんで、この場でちょっとお答えをさせていただきますけれども。
写真撮影については、一般的に災害救助は現物給付ということもございまして、いわゆる使用前、使用後の状態を明らかにしておかないと、実際に本当にそれが必要であったのかどうか分からないというところがあるので、いわゆる応急修理、あるいは応急修理などでも、原状の、元の被災した状況と、それから修理を行った後の状態を写真撮影をしていただくということでございます。
ただ、委員が今お話をしているように、雪の場合というのは、あるエリアである箇所だけ雪全然降っていないということはなくて、情況証拠のような形で保管される可能性ももしかしたらあるのかなと思われるところも感じてはおります。ちょっとよく勉強させていただきたいなと思います。
○武田良介君 よく勉強させていただきたいと、情況証拠のようなという話もありましたけれども、是非柔軟に対応されるということが非常に重要だと思います。やっぱり雪ですから、後でも言おうと思っていましたけど、今のこの状況が現にその被災されている方、まあ被災というか、おそれの段階でもう判断して始めなければならないという緊急性も一方でありますので、この写真の話というのも状況状況に応じて柔軟にやられる必要があるだろうということで、この問題、一点質問というか指摘をさせていただきたいというふうに思います。
それからもう一つ、資力要件ですね、この障害物の除去における。先ほど言いました事務取扱要領でも、障害物除去の対象は、自らの資力では障害物を除去できない世帯であるということはもちろん記載をされております。
一方で、事務要領(案)、これ、今日、配付資料の一枚目に配付させていただいておりますけれども、障害物の除去に関する申込書というのがあるんですね。障害物の除去に関する資力確認(申出)という項目がありまして、世帯の収入の状況、資力が不足する理由を具体的に記入してくださいというふうになっているわけです。
この項目が置かれた趣旨というのは何なのか。その自らの資力では障害物を除去できない者であることを申出によって確認するものというふうに理解していいんでしょうか、確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(青柳一郎君) お答えいたします。
障害物の除去については、災害救助法のそのほかの応急修理あるいは応急仮設住宅などと同様に、災害救助法に基づき現に救助を必要とする者に対する救助ということで、この意味合いとしては、やはり自らの資力をもってしては障害物を除去することができない者に対して行うということで、この申込書でも資力確認の欄を設けさせていただいております。
ただ、資力の確認に当たって、弾力的な運用を図るという観点から、昔は所得証明書とかという話ございましたけれども、現在は被災者からの申出で足りるということにしておりまして、そこは柔軟に対応してまいりたいと思います。
○武田良介君 昔はあったけれどもと、明確なものがですね、今柔軟に対応するということだと思うんですが、今答弁された趣旨というのはこの実施要領の本文にはどのように記載されているんでしょうか。
○政府参考人(青柳一郎君) 災害救助事務取扱要領の本文では、障害物の除去の対象者については、自らの資力をもってしては障害物の除去を実施し得ない者をその対象としているところというふうに記載をさせていただいております。
○武田良介君 私が聞かせていただいたのは、今答弁いただいたのは、資力要件は昔は課していたけれども、今は柔軟に対応すると。だから、私が示した欄のところ、申出によって資力確認をしているということだと思うんですね。
だから、資力要件、もちろん一般には自らの資力では除去できないんだけれども、この申出を書くことにどういう意味があるのかと。どういう趣旨でこの項目ですね、申出の部分を入れていただいたのか。その趣旨については事務取扱要領の本文にはどう書いてあるのかということを聞かせていただいた。
○政府参考人(青柳一郎君) まだちょっと委員の御趣旨が明確に理解できていないかもしれませんけれども、救助法というのは、一般的に飲料水とか食料の供給とかは資力とかは関係なく、必要とされる被災者は皆提供を受けるということになりますけれども、応急修理あるいは障害物の除去、さらには仮設住宅というようなものについて、大富豪が被災をして、セカンドハウスとかサードハウスに行けば大丈夫という人に応急修理やみなし仮設を提供するというのは問題というか現実的ではないということもあって、現に救助を要する者ということで、自らの資力をもってしては実施し得ない者ということで対応させていただいて、それを本文では書かせていただいているというところでございます。
そういう意味で、それを自ら申出を行っていただくことによって、我々としては資力ないんですねということを確認させていただいているということでございます。
○武田良介君 最後のところで、資力の申出を書いていただくことで、あっ、資力がないんですねと確認をしていると、行政の方でですね、ということの発言がありました。そういうことを私も確認をしたかったんです。
事前にこの事務取扱要領の本文の方にせっかく資料のところで新たに実施要領(案)というのを作成されたんだけれども、その趣旨は何なのかと。しかも、この申出の部分ですね、今最後に御答弁いただいた部分、本文にどう記載されているのかということをお聞きしましたら、その部分がなかったと、直接はですね、いうことだったので、是非記載いただきたいというふうに私御要望させていただきたいというふうに思うんです。
今もう確認をさせていただきましたけれども、私も事前に聞きました、熊本地震のときに、先ほどもお話がありました資力要件という意味では、同じように応急修理をどうするのかというときに、これまでは年収幾ら幾らの場合はこうしますだとかあったものを、実際には、申出によって資力要件を、あなたは資力がないんですねと行政の方で確認することにしたと。これが応急修理の方にはあったけれども、障害物の除去の方にはなかったということをお聞きをいたしました。
だから、今回は、新たにこの実施要領(案)、これも含めて、申出の欄もその中に入れて、これを書くことによって資力がないことを確認するんだということをこれから行政の方で始めていくんだと。これを見ながら、各県、市町村、被災自治体が災害対応に当たられるわけですから、その趣旨を十分に踏まえて、現に救助を必要としている方が障害物の除去がされないことによって命の危険にさらされるということがないように、是非これ運用していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
障害物の除去で、これ除雪を考える場合、資料の二枚目のところに付けておきましたけれども、除雪が可能である住宅として、参考としてスタディーケースというのを今回新たに記載をされたということでありました。これ、十一ケース記載されているんですけれども、軒先の折損ですとか、軒先の変形、折れ曲がり、あるいは屋根の一部損壊、こういうのはどういう状況なのかというのがちょっと分かりにくかったので、これについて教えていただきたいということと、この十一ケースに当てはまらなければ障害物の除去として対象にならないというような固定化した理解になったらまたこれはいけないかなというふうに思っておりますので、その点について御答弁いただければと思います。
○政府参考人(青柳一郎君) お答えいたします。
御指摘の、資料にも、配付資料にもございますけれども、軒先の折損、変形、折れ曲がり、屋根の一部破損は、いずれも屋根雪の重みによって軒先が途中で折れたり変形したり、根元から折れ曲がる状態であったり、屋根の一部が陥没する状態を示しているということで、これは専門家の、建築の専門家であります日本建築協会の北海道支部に提供していただいた資料を参考に、まさに例示をさせていただいたものでございます。
これ、趣旨としては、屋根雪放置すれば住家が倒壊するおそれがあるために、いわゆる生命、身体に危害を受けるおそれがある場合に当たるということで、ある意味では分かりやすい例示として示しているところでございますけれども、このケーススタディーに限らず、当然、当てはまらないからもう該当しないということではないということはしっかり自治体へ助言を、固定化した理解を生まないような助言をちょっとやっていきたいと思います。
○武田良介君 答弁の中にもありました、この基の資料ですね、日本建築協会北海道支部、ここの平成二十五年の、何ですか、建物の倒壊危険度判定方法の策定と、私もこれ見させていただきましたけれども、この中身を見ても、この判定方法は目安として活用していただきたいというふうにも記載されておりましたので、あくまでこれは目安なんだと、これ以外も含めてあり得るんだということを是非徹底いただきたいというふうに思いますし、やっぱりその必要性判断するというのは現場だと思うんですね。現場の方がどう判断されるのか、現場で実際に救助が必要な方に救助が行われるということを何より大切にしていきたいというふうに思います。
雪害の関係で、担い手の確保について聞かせていただきたいというふうに思います。
二〇二〇年十二月二十一日に国交省の国土政策局がまとめました豪雪地帯対策における施策の実施状況等、これ見ましたら、共助除排雪体制の整備に関わって指摘されている課題、これ行政の方から見ても、住民の側から見ても、人材不足がトップでありました。コーディネーターやリーダーを担う人材の不足、これも課題として挙げられているんですけれども、それを上回って人材不足というのが課題だというふうにされておりました。
そもそもこれ、高齢化ですとか人口減少が進んでいる下で、農業だとか林業だとか、やっぱりこういったなりわい、あるいは医療や教育、こういったものが充実がなければ前向きな展望を見出すことはできないのではないだろうかというふうに思いますけれども、この点の大臣の御認識を伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(小此木八郎君) 地域における除雪の担い手を確保していくという観点から、農業、林業等、地域産業の振興による雇用機会の確保、医療施設、教育施設の整備による生活環境の充実などを図ることで持続可能な地域づくりを行って現役世代の定着を図っていくことは有効と考える一方で、豪雪地帯においては現実に人口減少、高齢化で除雪の担い手が不足していることから、広域から除雪ボランティア等雪の処理の担い手を円滑に受け入れる仕組みの構築や、公助による道路除雪あるいは雪下ろしの支援を行う体制をしっかり整えることも重要であると考えます。
○武田良介君 雪下ろしの体制なんということも今触れていただきましたけれども、国交省の克雪体制支援調査という事業があるんですね。これ見ましたけれども、予算は二〇一八年二千百万円、一九年も二千百万円、二〇二〇年一千八百万円、活動地域は二〇一八年十か所、二〇一九年十か所、二〇二〇年七か所と。支援の上限額は一か所五十万円なんですね。ちなみに、二〇二〇年は七か所で上限五十万ですから三百五十万円でありまして、残りの一千四百五十万円はコンサルタント会社への委託料だということでありました。その予算のうち八〇%が委託料ですから、もう少し違う除雪体制ができる、支援ができることもあるんじゃないだろうかというふうに思うわけですが。
ちょっと時間もありませんので飛ばさせていただきたいと思いますけれども、国交省はそういうことで一方で担い手が不足しているというふうに認識はされておりますけれども、こういった事業を通じて一定対応してきたんだというふうにおっしゃりますが、実際には、国交省も認めているように、コーディネーターという方たちが不足していると、その除雪体制を担う上でですね。コーディネーターというんですが、このコーディネーターというのは行政職員として位置付けられているものなんでしょうか。
○政府参考人(田邊靖夫君) お答えいたします。
共助除排雪体制の整備に向けては、除排雪を実施する人材の不足、地域のコーディネーターの不足が課題というのはまさにおっしゃるとおり、そういう認識をしております。また、豪雪地帯を対象とした令和元年度のアンケートでも、地域コーディネーター、リーダー不足を課題とした市町村が約五割もありました。
こうしたことから、国土交通省では、除雪ボランティアと地域をつなぐコーディネーターがますます重要になると考えておりまして、克雪体制支援調査によってその養成と活動への支援を行っております。具体的な事例でございますけれども、青森市……(発言する者あり)
○武田良介君 国交省の今言われたそのコーディネーターだとか、これ位置付けられているわけじゃないんですよね。整理としても共助の世界の話であります。これでいいんだろうかと。
私、長野県栄村の雪害対策救助員事業というのを見ました。これは、救助を受ける世帯は栄村に対して救助認定を申請して、栄村が救助員に対して作業を指示し報酬も支払うということですから、除雪者探しが不要で、作業員に公務の災害補償があると、除雪費用が安定的であると、こういうことを栄村でも訴えております。
共助を必要とする方に対してこういう体制での支援こそ必要ではないかというふうに私思っておりまして、ちょっと時間来ておりますけれども、もし委員長のお許しいただければ、大臣に最後御認識伺いたいというふうに思いますけれども、よろしくお願いします。
○委員長(新妻秀規君) じゃ、大臣、手短にお願いします。
○国務大臣(小此木八郎君) はい。
御指摘の長野県栄村の雪害対策救助員事業において、自力では住宅等の雪下ろしが困難な世帯に対して、村が村民の中から雪下ろしの担い手となる雪害対策救助員を非常勤の公務員として任用し、地域における雪除等の支援を行うものであり、除雪の担い手不足に対する好事例として承知しています。
一方で、この事業には、救助が必要な世帯が今後増加して、救助員の人材不足も懸念されるといった課題が指摘されているものとも承知しております。
降雪状況、人口等の地域ごとの特性も踏まえて、除雪体制の確保に向けどのような仕組みが有効なのか、関係省庁とも連携をして研究してまいりたいと存じます。
○武田良介君 好事例だというふうに思いますので、是非こういう支援が必要だということを重ねて訴えて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
関連資料
しんぶん赤旗⇒「豪雪被害 救助の認定を柔軟に 武田氏 状況写真だけでなく書類で」
動画⇒「豪雪被害 救助の認定を柔軟に 2021.6.2参院災害特」