国会質問

質問日:2021年 6月 3日  第204通常国会  国土交通委員会

国交大臣の不自然な視察を追及

 6月3日の参院国土交通委員会で日本共産党の武田良介は、赤羽一嘉国交大臣の不自然な視察について質問。都議選を控えた5月下旬、赤羽大臣の都内視察に、国交省が公明党の国会議員や都議、予定候補者の視察を同実施できるように調整していたことが明らかになりました。

 直近1年間の国会議員が同行した赤羽大臣の視察をまとめた国交省資料を示し、不自然な視察が常態化していることが明らかになりました。

 また、航空法案の質疑を行い、武田議員が反対討論を行いました。(スタッフ)

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 法案の質疑に入ります前に、先ほどもお話がありました赤羽大臣の視察の件に関わって質問させていただきたいというふうに思います。
 五月の二十四日、二十六日両日の大臣の視察について報道があったと、先ほど青木理事の方からも御紹介がありました。その報道を受けて、先ほどの答弁あるいは理事会の場での官房長からの説明を聞きました。その説明によりますと、五月二十四日、二十六日の赤羽国交大臣の視察と、それから衆議院議員であります岡本三成衆議院議員の視察はそれぞれ別個のものだったんだと、岡本議員の視察はこのくらいの時期に行きたいという要請があったために、国交省の方で調整をして、大臣の視察と岡本議員の視察を同時に行ったという説明でありました。公明党の都議、区議が一緒に視察をしたわけでありますけれども、それは岡本衆院議員の視察に同行したものなんだという説明がありました。
 元々別個の視察をなぜ同時に実施する必要があったのか、今、コロナの緊急事態宣言が発令されている下で、分散させるということはあったにしても、一緒にするということはあり得ないんじゃないかなというふうに思うわけですけれども。
 二十四日、二十六日と二度やっているわけですけれども、報道されている部分だけでもですね。ですけれども、感染防止対策を十分取ったから大丈夫ということではなくて、何で元々別の視察を一緒にやったのか、この点について説明を求めたいと思います。

○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。
 国土交通省におきましては、国会議員から御視察の御要請をいただきました場合には、与野党を問わず、省内担当部署の体制及び視察先の自治体あるいは事業者の御都合の観点、さらに、コロナ対策上の観点から調整をいたしまして、対応が可能である限り、職員を同行させるなどして御視察を対応してございます。
 大臣による視察の実施を計画している際に、同じ時期に同様の箇所について国会議員による御視察の御要請があった場合には、現地の負担を勘案しつつ、適切に対応可能であることを確認した上で、これはコロナの観点も、コロナの感染対策の観点も含めてでございますけれども、適切に対応可能であることを確認した上で、大臣による視察と同時に行っていただくことがございます。
 今回につきましても、衆議院議員からの視察の御要請を受けまして、当該議員の御意向と地方自治体等受入れ側の御意向を踏まえた上で、同時に実施させていただくことといたしました。

○武田良介君 緊急事態宣言を延長するかどうかということがまさに議論されている、そういうタイミングでありました。本当に、コロナの問題というのは大丈夫だと、感染対策を取って大丈夫だという判断があったということなんですけれども、結果として一緒に視察は行われているわけであります。
 大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、こうした大臣の視察、この二十四日、二十六日について言うと、都議選の間近という時期でありました。大臣の出身政党であります公明党の国会議員の方あるいは都議会議員予定候補の方、こういった方と一緒に視察をすれば、その大臣の視察が特定の政党の選挙活動に利用されているというような国民の疑念を抱かせることになる、国民に疑念を抱かせることになってしまうと、そういう認識を大臣はお持ちでいらっしゃったでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 二十四日、二十六日の視察共に、先ほど午前中にもお答えしたかと思いますが、それぞれの法案の成立を踏まえて、大事な法案でありましたから現地から様々な御要望もいただいていた、そういった経緯の中で、公務として視察をしたわけでございます。
 私は、できるだけ数多く視察をしようとしておりますし、特にこのコロナ禍にあっては、基本的には県外は、相手の知事さんとの相談もありますが、基本的には今はしておりませんし、そうした中で東京都内で行うと。そのときには、当然のことながら、コロナ対策を講じた上で、一本化したから増えたわけじゃなくて、その人数のマックスは増やしておりませんし、加えて、現場の二度手間になるようなことはなるべく避けた方がいいということもあって一本化したというふうに聞いております。
 ただ、私、これだけ数多く視察をしておりますので、実際のところは、現場に行ったときに同行議員というか、ああ、こういう人がいるんだなということが分かることが大半でして、仮に自分の党の議員ではないときでも、午前中申し上げましたように、多くの方々にその問題を共有して、それに対する対策の進捗状況等々をよく理解していただくということは事の解決には大変有用だというふうに思っておりますので、私は、現場に行って知らない議員がいるから困るなんて言ったことはありませんし、そうしたことは対応しているつもりでございます。
 また、国交省としても、それは議員の申出もあって、それは省を挙げて視察の対応をさせていただいたということもよく御承知だと思いますし、そうしたことは基本的に、何というかな、国土交通行政が前に進むような方向であるというふうに信じながら、基本的には、現場現場の制約も当然ありますが、そうしたことはしっかりやっているということでございます。
 ですから、それを都議会議員選挙云々と言いますけれども、二つの案件とも、それぞれのところで長年にわたってお困りでありましたし、うちの党の議員だけではないかと思いますが、地元の議員さんにとっては大変大きな課題でありましたので、そこに行って、現場で一緒に問題を共有しながら今の国交省としての対応状況について御理解いただくというのは、非常に公務視察というか現地視察という意味では大変意味のあったものだというふうに理解をしておるところでございます。

○武田良介君 現場を見るというのは当然大事なことだというふうに思います。私も視察に行かせていただきます。それはもちろんそのとおりだというふうに思いますけれども、今回は、都議選の間近ということがあり、また、都議やその予定候補の方なども同行をされている、そういうところから疑念が生まれてしまうと、生まれているんだということだと思うんですね。
 じゃ、過去の例はあったのかということもお聞きをいたしましたら、あるということでありましたので、これ理事会でも話になりましたけれども、じゃ、その資料をいただきたいということで出していただきました。今日、配付資料として付けさせていただきました。
 ここにも書いてありますが、これが全てではないということは言われておりますけれども、しかし、国交省からいただいた資料でありますので、今確認できる資料としてこの資料の中身を、少し特徴的なところを見たいと思うんですけれども、例えば、同時に視察をされた国会議員というところがありますけれども、公明党の議員の方から始まって、自民党の方、公明党の方がほとんどであります。公明党の議員の方は、これ二十九回、過去一年間でありますけれども、二十九回あるうち二十八回参加をされておられる、メディアの関係ということで見ますと公明新聞のみということになっておりまして、特定の政党だけという状況があるというふうに言わざるを得ないのかなというふうに思うわけですけれども。
 私聞かせていただきたいのは、先ほど説明いただいた、こういった視察を一緒にした経過、これらの過去の例も同じ経過なのかということを確認させていただきたいと思うんです。大臣が以前から行こうとしていたその同じ場所に同じ時期にほかの議員の方も一緒に行きたいと、全部そういうことで、それだったら調整しましょうということでこの例が、過去の例があるんでしょうか。

○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。
 大臣の視察が計画されている時期と同じ時期に同様の箇所につきまして国会議員から御視察の御要請があります場合、その都度、現地の負担を勘案しつつ、適切に対応できるかどうか、適切に対応可能であるかどうか、これを確認いたしまして、妥当であると確認でき判断されれば、御意向を確認して、その都度同時に実施させていただいているところでございます。
 今回につきましても、そのような経緯をたどって同時に実施されたというところでございます。

○武田良介君 いや、その都度そういう対応をしていますということじゃなくて、この二十九回、この一年で見た場合にあるわけですけれども、同じ経過でやっているんですかということを聞いています。

○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。失礼いたしました。
 その都度と申しましたのは、この二十九回いずれにつきましてもそのような経緯をたどって同時に実施されたというところでございます。

○武田良介君 そういう偶然みたいなことがこんなに続くのかなということを率直に私も大変疑問を持つところではあるんですけれども。
 大臣官房からの説明では、大臣の視察の日程は前日に決まったというお話でありました。その後国交省の方で調整して、岡本議員の方にも、あした大臣が行くことになりましたので、何ですか、以前からいただいていた要望についてあした行きましょうということで連絡をし、セットされたことになると思うんですね。
 普通、そういう視察の日程というのは少し前にセットしておくことが普通だというふうに思いますから、そう考えますと、岡本議員に対して事前に、近々大臣も同様の視察を検討しているので、その際御一緒に視察いただきたいというふうに思っておりますと事前に国交省の側から、働きかけたといいますか岡本議員の方に連絡をしていた、そういう一緒に視察をしましょうという道筋を付けていたということになるんじゃないかと思いますけれども、事実関係についてだけ確認をしたいと思います。

○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。
 本件につきましては、大臣の視察自体は年明け以降検討が進められてきました。具体的なスケジュールにつきましては、四月末の時点ぐらいから具体化してきたところでございます。また、衆議院議員の先生の方からお話いただきましたのも四月の末以降でございます。そして、具体的にどの日になるかというのは、これはもう直前に調整された結果実施されましたが、ただ、これは、国土交通省の方からそういうことでお願いした、同時にお願いしたということではなくて、事実関係としてもうコミュニケーションを日常取っておりますので、この日になりましたということを情報として入れさせていただくという経緯はあると思います。

○武田良介君 岡本議員からは四月の末頃にそういう視察をしたいという話が国交省の方にあったと、だから、何月何日にじゃ行きましょうというふうに調整をして事前に確定していたわけじゃないと、確定していなかったけれども、またいつかじゃ行きましょうということにしておいて、そのしておくに当たっては、大臣が近々視察に行く予定もありますからその際にという話を岡本議員の方にもされていたんですよねということを確認しています。

○政府参考人(瓦林康人君) お答え申し上げます。
 これは、やり取りの中で、やはり現地の受入れ体制がございますので、現地の御都合、受け入れていただける地方自治体の方の御都合も含めて、そういった情報を総合的に提供いたしまして最終的に御判断いただいて、同時で構わないということで同時に調整されたということでございます。

○武田良介君 聞いたことにちょっとお答えいただいていないと思うんだけれども、現地のことがあるからこそ、本来、何月何日に視察をしますということをはっきりしておかなければ、議員から言われたときにも困ると思うんですよ。だから、本来はそういう話があって当然だというふうに思うんですけれども、はっきりちょっとお答えいただけなかった。
 ちょっと法案の質疑もしなきゃいけないのであれなんですが、最後に、この関係で最後に。
 今後どうするかということなんですけれども、今後も同じように同時期に視察という話になった場合に、大臣の視察に同行して一緒にやっていくことがあるのかどうか、今後どうしていくのかということについて赤羽大臣に質問したいと思います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) その事務的な段取りというのは私がやっているわけじゃありません。ですが、官房長が言っているのは、一番大事なこと、配慮しなきゃいけないのは受入れ側の負担であります。やはり大臣が動くときには少なからず、受入れもありますけれども、他の政党の視察についても同じように荷重が掛かります。ですから、同じ案件で、ざっくばらんに言うと、何回も来られるよりも、受入れ側の地方整備局ですとか様々なところは一本化するのが望ましいわけでありますが、しかし、他の政党は政党で独自にやりたいというやっぱり意向もありますから、その点はよく意思疎通をしながら、多分、公明党の場合は、私の想像ですけど、やっぱり同じ政党ですから、まあ他の政党に対してはなかなか大臣もちょうど行くので一緒にどうですかとは言いにくいことも、身内だということで言いやすいというところも多分あるんではないかと思います。
 私たちはそういう、何というか、聞かれているその質問の論点がよく分かっていないんですが、視察をするということは大事であって、より効率的に、なるべく現場の負担を掛けないでより多くの議員の皆さんに理解をしていただくということは非常に重要なことであるので、今後も基本的にはそういう姿勢で私は視察に臨みたいと思いますし、合流されるケースもあればそうじゃないケースもある。
 ただ、何というかな、いろんな問題というのは様々な人から、首長さんや地元の議員さんから年中要望を受けて、足立さんなんかはよく分かっていると思いますが、国交省にいると朝から晩まで要望で、必ず現場に来てくれというようなことを言われている中で、取捨選択というのは当然国交省の中で政策の重要度でやるわけでして、そのときに、うちの公明党の議員だけじゃなくて、自民党の議員さんとかほかの野党の議員さんも同じような問題意識で要望をされているということはよくあることですから、それは、別に一律的に決めているわけでもありませんし、現場でより柔軟な形で視察が行われるようにということで、それが一番重要なんではないかなと思います。

○武田良介君 いずれにしても、特定の政党の選挙活動に大臣の視察が活用されるようなことがあってはならないというふうに思いますし、国交省も道筋を付けるようなことがあってはならないというふうに思いますので、このことを重ねて指摘をしておきたいというふうに思います。
 僅かしかちょっと時間残っていないんですが、航空法について質問させていただきたいというふうに思います。
 ドローンの第三者上空での目視外飛行に関する安全性について質問をさせていただきたいと思います。
 二〇二二年の十二月までにレベル4の有人地帯での補助者なし目視外飛行、これを解禁することを目標にしているというふうに伺いました。
 現在、任意の事故報告によって国交省に、現行制度の下でも飛行による事故が報告をされています。資料の二番に付けさせていただきました、一部でありますけれども。二〇二〇年度六十五件、一九年度八十三件、二〇一八年七十九件、一七年六十三件、このほか、農水省にも空中散布における物損の事故が報告されているということでありましたけれども。
 資料に付けたのは二〇二〇年の事故例でありまして、空中散布のため活用する電線に接触し損傷させたというのが一番に出ておりますし、あるいは電柱と倉庫の外壁に接触し損傷させた、これ三番目に出ていますね。あるいは広島では、学校空撮のために飛行していたけれども、突如プロポ接続がエラーとなって隣接するマンションの壁に衝突、九階のベランダに墜落したとか、それから新宿、これは十四番ですかね、空撮のためドローンを飛行させたが、操縦不能となり通行人に接触、けがはなかったということでありますけれども。
 局長に伺いたいと思いますけれども、毎年報告されているこういう事故を受けて、国交省はどういう検証をしたんでしょうか。

○政府参考人(和田浩一君) お答え申し上げます。
 国土交通省の方に事故等の報告を受けた場合には、当事者に対して原因究明及び再発防止策の検討を指示し、その結果を御報告いただくこととしております。そして、各事案の概要について国土交通省のホームページで随時公表するとともに、特に注意を要する案件、事案については有識者の御意見をいただいているところでございます。

○武田良介君 有識者の意見いただいているということでしたけど、有識者などの参加で何か検証するような場というのは設けられたんでしょうか。

○政府参考人(和田浩一君) お答え申し上げます。
 私どもの交通政策審議会航空分科会技術・安全部会というのがございまして、そこで有識者の方々がおられます。そこの場におきまして事案の概要、それからユーザーが講じた措置などにつきまして御報告を申し上げ、御意見をいただいて、対応が必要になるものに関しては御意見をいただくというような形で処理をさせていただいております。

○武田良介君 私、事前にレクで説明聞いたときには、こういった一つ一つの事故事例に対してどういう検証がされているかなんて、そういう場を設けたなんということはないと言っていましたよ。それは、有識者の話というのは、もちろん、ドローンの今回の法改正に向かう議論はもちろんやってきたと思いますけれども、こういう一つ一つの事故に対してどういう安全対策を取るのかということの検証が必要だということを私は言っております。
 これ、付けた資料もそうですけれども、見てみますと、今お話があった事故原因の分析ですとか是正措置という欄が一番右にありますけれども、何も記載されていないところもたくさんある。これは事故を起こした方が報告するものだから、その方たちが書いていないんだという話なんですけれども、やっぱりこれ、十分検証されているのかということが最大の問題だというふうに私は思っております。
 今回これ見ますと、例えばナンバー九の富山市の事故例なんですけれども、これ、空撮のために飛行した際に突風にあおられてそのまま落下したと書いてあるんですけど、事故原因は、突風にあおられたときに機体と操縦者、監視者と操縦者の距離が通常以上に離れていたと、是正措置には、そういう繊細な操作が必要な場合はなるべく位置を離さないことが大切だと書いてあるんですけれども、今回は、レベル4、目視外飛行なわけですね。でも、実際こういう事故が起こっている。
 こういう現状で今回の法案を提出されているということなわけで、今このタイミングで法案を提出した、このことをどうお考えですか。

○政府参考人(和田浩一君) お答え申し上げます。
 御指摘の事案は、昨年五月に発生したものですけれども、無人航空機の目視内での飛行に際してのものと承知をしております。目視内飛行につきましては、操縦者が飛行中の無人航空機の位置や姿勢を把握することを確実に行えるようにするために当該無人航空機を常時監視する必要があることから、そのような是正措置が提出されたものであります。
 一方、レベル4飛行を行う無人航空機につきましては、補助者を付けずに第三者上空を目視外で飛行することとなるため、より高度な安全性を確保することが重要と認識をしております。このため、今般の法改正によりまして、機体の安全性を認証する制度と操縦者の技能を証明する制度を創設し、レベル4飛行に関しては、技能証明を受けた者が認証を受けた機体を飛行させることを必須としております。その上で、非常時を想定した対処方針や緊急着陸場所の設定等、運航管理体制について飛行ごとに国が審査をすることにより飛行の安全を担保することとしております。

○武田良介君 検証を十分していないのにライセンスが、機体認証がということを言っても、それが本当に安全の担保になるのかということを私は最大の問題に思っておりますので、その点を指摘をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

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関連資料

しんぶん赤旗⇒「公明都議と“同時実施” 赤羽国交相視察で調整 武田議員が国会で追及」

しんぶん赤旗⇒「ドローン 有人地帯飛行は尚早 武田氏」

参考資料

2021年6月3日国交質疑提出資料(大臣の視察等)