国会質問

質問日:2021年 6月 8日  第204通常国会  国土交通委員会

北陸エリアJR西日本の安易な減便は許されない

 参議院国土交通委員会で、鉄道減便問題で質疑しました。JR 西日本は5月19日の社長会見にて、約130本の減便計画を発表しました。

 昼間の時間帯での減便であり、通勤や通学、買い物など生活の足への影響が懸念されます。
沿線自治体や利用者の方は、報道で減便計画を知り驚きが広がっています。これまでどう説明されてきたのかを正すと、社長会見前に37自治体に概略を伝えていたというだけ。
どの路線のどの区間、どれだけの減便があるのかなどの詳細がわからなければ、利便性がどれだけ損なわれるかわかりません。ですから、これだけでは不十分です。
 
 沿線自治体はJR 西日本と利用促進について協議していたのに、いきなり減便計画が明かになり、これまでの協定などを覆された形です。減便をしないこと、などを求める要望を国交大臣にも提出するなどされています。
 
 国交省は、まだ何も決まっていないという守りの答弁。鉄路を守り事業の発展を!というような前向きの答弁はなかった。
 大臣も「列車本数と利用状況の乖離が大きいところで見直すもの」で減便はギリギリの判断という答弁。理解できないですが、影響は甚大だ、と指摘したところで時間。
 

 

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 コロナ禍で営業が悪化している鉄道事業による鉄道の減便問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、国交省に確認いたしますけれども、既に減便を実施している事業者は幾つあるのか、また、今後減便を検討している鉄道事業者、事業者名で教えていただけますでしょうか。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 鉄道事業者百七十五社に調査を行ったところ、現在までに減便を実施した事業者は七十八社ございます。このうち、ほとんどが利用状況と輸送力の乖離ということを理由にしておりますが、一部、新型コロナウイルス感染症の影響により経営が悪化していることを理由としているものがございまして、こちらが十八社ございます。
 また、今後新型コロナウイルス感染症の影響で経営が悪化していることを理由に減便を予定している事業者はございませんが、利用状況と輸送力の乖離を理由といたしまして運行計画の見直しを予定している事業者は、JR西日本、JR北海道、JR四国、近畿日本鉄道及び横浜市交通局の計五社であると承知いたしております。また、阪神電気鉄道が、減便を予定している近畿日本鉄道と相互直通運転をしていることから、これに合わせてダイヤ改正を実施する予定であると承知いたしております。

○武田良介君 経営悪化を理由に十八社という話がありました。今後計画しているところ、まあちょっと乖離があるところという話で答弁されましたけれども、もう少し具体的に聞いていきたいと思います。
 鉄道の減便は、通勤通学など、沿線住民の方に大きな影響を与えることになります。安易に減便をしてしまうということは、私ならぬだろうというふうに思いますが、そもそも国交省はこの鉄道の減便に対してどういう立場で対応されているのかについて御説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 鉄道の運行ダイヤの設定につきましては、鉄道事業者が輸送需要に弾力的に対応することができるよう、各事業者の自主性、主体性を尊重する観点から、鉄道事業法上、事前届出制とされているところでございます。
 一方で、鉄道は、地域住民の生活の足として、かつ経済産業活動の基盤といたしまして非常に重要な役割を担っていることから、減便の実施に当たっては、沿線自治体等の関係者に対し丁寧かつ十分な説明を行い、利用者の利便性の確保にできる限り配慮した上で行う必要があると国土交通省としては考えております。

○武田良介君 具体的にもう少し見ていきます。
 JR西日本は、JR小浜線、それからJR越美北線の減便の検討をされております。これについて、どういう検討内容になっているのか、どういう減便を計画されているのか、今分かっているところで御説明いただけますか。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 JR西日本は、五月十九日に、本年十月のダイヤ改正におきまして、利用の少ない昼間時間帯等を中心といたしまして、列車本数と利用状況の乖離が大きい線区、区間で約百三十本の列車ダイヤを見直すと発表をいたしました。この中で、北陸エリアにおきましては小浜線、越美北線が対象になっていると承知いたしております。この小浜線、越美北線につきましては、新聞報道等がございまして、自治体の方からも心配をする声が上がりました。
 JR西日本からは、まず、減便については具体的な検討に入ることを対外的に明らかにした段階であって、ダイヤについての具体的な内容はまだ決まっていないこと、今回の減便は利用状況と輸送力の乖離に基づくものであり、輸送力の確保につきましては今後の利用状況に応じて柔軟に対応すること、また、今回の減便は廃線を前提としたものではないこと、最後に、自治体関係者に対し理解を得られるよう丁寧かつ十分な説明を行うことという四点につきまして、今回のダイヤ改正の考え方が本年六月三日に鉄道局に対して報告をされております。

○武田良介君 廃線しないなんというのはもう本当に当たり前のことだと思いますけれども。
 今、報道もあったということが答弁の中にもありました。私も、報道を幾つか確認をさせていただきました。例えばこういうふうに言われております。もちろん、先ほど言われたように全体で約百三十本見直すという話なんですけれども、地元の福井新聞によりますと、小浜線は、敦賀から小浜の間、この間で三十本中十四本、それから、小浜から東舞鶴の間で二十六本中十五本、これが小浜線ですね。それから、越美北線、こちらの減便の検討対象は、福井と越前大野間の十八本のうち乗客が少ない十二本、越前大野―九頭竜湖間全九本、全体の八割近くに相当するというふうに言われているんですね。
 だから、これ、地元で衝撃が広がるのは本当そのとおりだというふうに思いますし、通勤通学にも使われております。そういうまさに生活の足だからこそ、これは大きな衝撃が広がっているんだというふうに思うんですね。
 局長にもう一点お伺いいたしますけれども、先ほども丁寧な説明がなければならないと御答弁でおっしゃられました。この減便について、沿線自治体や住民への説明はどうなっているのか、いつどこでどういった方にどういう説明がされたのか、御説明いただけますでしょうか。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 答弁にも関わることでございますが、先ほど委員が新聞報道につきましてお話をされましたが、それにつきましては、六月四日の同じ福井新聞におきまして、JR西の金沢支社長がその喧伝されています本数につきましてはそういうことではないということを言明をして、報道もなされているところでございます。
 JR西日本が本年秋に予定している減便予定の周辺自治体に対する説明につきましては、委員からの御指摘を受けまして調査を行ったところ、これまでに担当者レベルも含めまして三十七の自治体に対しましてこの発表の前に説明を行ったと聞いております。また、そのとき、自治体の皆さんにはダイヤの見直しの基本的な考え方を示したけれども、具体的な減便の対象となる内容につきましては今後検討した上で後日説明に伺う旨をお伝えしたというふうに聞いているところでございます。

○武田良介君 私、今答弁にもありましたけれど、もう十日以上前から、いつどういう方に対してどういう説明がされたのか、答弁にあったように丁寧な説明が必要だということで、私ずっと資料を求めておりましたけれども、いざ今日質疑になって、今のような御答弁を初めて聞かせていただきましたのでちょっと分からないところありますが、今答弁の中にあった発表前に説明をしたと、その発表というのはいつのことを指しているんですか。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 社長会見の日ということでございまして、このときが初めて今回のJR西日本全エリアについての減便の方向性について説明をしたものでございますが、五月十九日だと記憶しております。

○武田良介君 具体的なことではなくて、基本的な百三十本の減便だということだけ伝えたということを今答弁されたんだというふうに思いますけれども、例えば、福井市の地域交通課の担当者、先ほども担当者とおっしゃっておりましたけれども、具体的な打診がなく困惑しているという話が出ておりますし、同じく、具体的な数字や時期について一切聞いていなかった、これも大野市の交通住宅まちづくり課の担当者の方ということで出ております。
 私も、地方議員の方に、どんな説明があったのか、現場でどうなっているのかというのを聞かせていただきました。例えば、やっぱり福井市や大野市では、越美北線の減便について一切事前の説明は聞いていないと、報道を見て驚いたというのが実態だということを言われておりました。
 今答弁されたところでは、まだまだ、三十七の自治体ですか、誰がどういった内容で説明され、あるいはそれに対して自治体の方がどういう受け止めをされているのか、理解が得られているのかどうか、そういった点も含めてもう一度私説明を求めたいというふうに思いますが、国交省、説明していただけますか。

○政府参考人(上原淳君) お答えいたします。
 現在、具体的な、どういう説明の仕方をしてどういう対応であったかということについては調査中でございます。
 一方で、先ほどから答弁いたしておりますとおり、今回事前に説明いたしたとJR西日本が言っておりますのは、今回の減便の基本的な考え方あるいはエリア等について説明をしたということでございますので、新聞報道にもなりましたが、先ほど委員が御発言された減便数については聞いていない、つまり、具体的な内容については聞いていないということにはなっているというふうに考えております。
 ただ、具体的なそのやり取り等につきましては今後調査をしてまいりたいと考えております。

○武田良介君 大筋でも、百三十本減らすというのは、これすごいことだと思うんですよ。私、ほかの鉄道会社、事業者のところの減便見ましたけれども、特急だけですよと、だけと言っているかはあれですが、特急を中心にしていたり、あるいは本当に深夜帯、そういったところであったり、土日であったりと。そうじゃないんですね。平日の昼間百三十本という話が全体として出てきているわけですね。これは影響非常に大きいということは指摘をさせていただきたいというふうに思いますし、また改めて私のところに説明に来ていただきたい、重ねて求めておきたいというふうに思います。
 資料を今日配付させていただきました。
 小浜線の減便の検討に対して、福井県と嶺南六市町、それから京都の舞鶴市から、JR西日本の前田金沢支社長宛ての小浜線にかかる要望書、これが提出をされたということであります。
 小浜線にかかる要望書では、国民共通の財産であり、地域をつなぎ、沿線住民の暮らしを支える重要な交通機関である小浜線の利便性を維持するため、減便は行わないことと、こういうふうに要望をされているわけですね。要望書にはこういうふうに書かれています。小浜線は、敦賀―舞鶴間を結ぶ日本海側の幹線路線であるとともに、通勤通学や買物の移動手段として沿線地域の人々の暮らしを支え、産業や観光など地域振興に寄与する重要な交通機関と、こういうふうに紹介されています。さらに、利用促進にも取り組んできたことが強調されているんですね。
 福井県及び沿線市町では、小浜線を基軸とした嶺南地域公共交通網形成計画を策定し、小浜線各駅を起点とする交通結節点の整備や、駅へつなぐ新たな交通手段の充実など、小浜線を中心とした公共交通の活性化を今年度から積極的に進めることとしておりますというふうに述べているんですね。
 今度、六月四日金曜日には、福井県から赤羽国交大臣宛てに、JR小浜線および越美北線の維持・活性化に関する要望書、これ資料の二番ですけれども、提出をされたということであります。ここでも小浜線については、今言いましたような地域公共交通網形成計画、これを策定して、積み立てた基金を活用した小浜線活性化事業を行うとしていることが指摘をされておりますし、それから越美北線について、JR西日本と越美北線の観光利用促進に関する連携協定を締結し、沿線市への観光誘客を進めることとしていたやさき、減便の検討であり、大変遺憾であるというふうにされております。
 最後に大臣に伺いたいと思うんですけれども、こういうふうに嶺南地域では、地域公共交通活性化再生法、この法改正も受けて、公共交通網形成計画を策定していたところなわけですね。JR西日本とも協議を進めてきた。だけれども、それをJR西日本の方から覆すことに対する怒りなんじゃないかというふうに思うんです。この要望書をどのように受け止めになるのか、大臣の見解を伺います。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 地域から、地域住民の生活の足として、また今後の観光政策における重要なアクセスとして公共交通機関を守りたいというのは非常によく理解をしているところでございます。
 この具体的な路線について、先ほど局長からも答弁しているように、JR西日本から国交省に報告があったのは、ダイヤについての具体的な内容はまだ決まっていないということでありますから、やや私は少し報道が先走っているのではないのかなと。恐らく、当然、簡単にえいやとばかり、幾ら事業届出制だからといって、地域住民のこととか、地域、関係自治体と話合いもせずに減便をばしばしできるなんていうことは公共交通機関としては考えていないと思いますし、当然それぞれの丁寧な説明とか地元の希望とかということがあると思います。
 他方、しかし民間鉄道会社でありますし、その中で、先ほど局長からもありますが、利用状況と輸送力の乖離に基づくものということで、やはりこれは最後の手段として、やっぱりぎりぎりのところで私は許される話だと思いますが、本当に厳しいところであるならば、その状況の中でどうその地域の生活の足を確保するのかというのは、やはり国交省としてもしっかり考えなければいけないことであることは言うまでもないということでございます。
 いずれにしても、私たちの認識は、大枠として百三十本というのは、これ近畿地域全体も入れての構想だというふうに思っておりますし、具体的なことはまだ決めていないということでございますので、JR西日本に対しまして、関係地方自治体に対して、地方自治体に対して丁寧な説明をしながら、地元の意向も受け取って、我々に対して要望書もいただいておりますので、我々も、国土交通省としても関与していける範囲でしっかりと支援をしていきたいと、こう考えております。

○武田良介君 もう時間ですので終わりますけれども、今でも便数が少なくて大変不便なんだと、これから更に減らされてしまうというのが地域住民の皆さんの声。あるいは、観光に対してこれからその路線をうまく活用していこうということも含めて考えていたところでの減便の計画、近畿ということでしたけど、近畿エリア以外のところで七十本減らすというのが西が発表している中身ですから、影響は甚大だということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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関連資料

しんぶん赤旗⇒「北陸エリアJR減便 沿線住民に影響甚大 武田氏」

参考資料

https://takeda-ryosuke.jp/wp-content/uploads/2020/11/915b02bf647fe2de5b52a26a3d242c91.pdf