国会質問

質問日:2017年 6月 8日  第193通常国会  環境委員会

生産者責任を明確に 廃棄物処理問題

 廃掃法改正案等の質疑が行われ、スクラップヤードや不法回収業者の規制、拡大生産者責任の明確化を求めました。

 これまで、スクラップヤードの「雑品スクラップ」は「有価物」とされれば、「廃棄物」処理法の規制がかからず、有効な規制が打てないという問題があり、住民や自治体等から改善を求める声が上がっていました。今回の法改正は、使用済み家電などは「有価物」であっても「有害使用済機器」として取り扱い、「ヤード業者」に届け出をさせ、都道府県に監督させるもの。
 武田議員は名古屋港でのヤード火災や、神奈川県綾瀬市でヤードが崩壊し、児童養護施設の児童や職員が一時避難した事例を紹介。「うずたかく積み上げられたヤードの中に、有価物や火災の原因となる廃棄物が混在する。現場では判断がつかないのでは」と質問。環境省の中井徳太郎廃棄物リサイクル局長は「今回、都道府県等が日常的に状況把握できるよう法的手当てをする」と答弁。武田議員は「体制強化など、自治体を支援し、実効性あるものとすべき」と述べました。

 また、条例で不用品の「回収業者」の届出制を行い、不法業者の規制を行っている鳥取県の事例を紹介。使用済み家電などを適正なリサイクルルートに乗せるため、国も今回の法改正で回収業者の規制に踏み込むべきと指摘。井林辰憲環境政務官は「スクラップヤードの規制で対応し、無許可回収業者に取締りについては、自治体向けのセミナーなどを行う」と答弁しました。
 武田議員は「使用済み家電に含まれる金属などの値段が上がれば、海外に売りたいと不用品回収業者が出てくる」と不十分さを指摘。「適正なリサイクルルートに乗らず、生産者の責任も果たされなくなる。生産段階はもちろん、廃棄・リサイクルまでメーカーが責任を負う拡大生産者責任を明確にすべき」と要求。山本公一環境大臣は「メーカーに環境配慮設計などを示したガイドラインの厳格運用を求めていく」と答弁しました。

議事録

■質疑■

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 廃掃法とバーゼル法、それから福島事務所の格上げと、三法まとめられて質疑ということでありますが、廃掃法を中心に、時間の関係であれですが、バーゼルもお聞きできればお聞きしたいというふうに思っております。
 家庭や事業所から排出される使用済みの家電に有用な金属が含まれているために、それらを取り出して海外へ売って利益を得たいと、こういう状況が今あると思います。そうした有価物を狙った無許可の不用品回収業者、こういった方たちがいらっしゃり、そして、使用済家電などの回収を行い、不用品回収業者による不適正処理ということも問題になっていると思います。さらに、回収業者から今度はヤード業者にこれが売り渡され、ヤード業者のところで環境への配慮に欠けるような破砕だとか保管だとか管理、こういったことが行われる。そして、いわゆる雑品スクラップのヤードなんかが積み上がっていくということになっているんだろうというふうに思います。
 そうしたヤードから有害物質が漏出する、こういう影響というのは地域にも広がっておりますし、お話がありましたとおり、火災を引き起こす、生活環境に影響を与えるという事例が各地であります。
 私は、名古屋港の方に行ってまいりまして、名古屋港でそういったヤードを見てまいりました。高さ十メートルを超えるんじゃないかというようなヤードが幾つもある状況でありました。金属を多く集めているように見えましたけれども、近づいてみるとまさに雑品という感じで、プラスチック片が一緒に入っているだとか、廃電子基板もあるとか、木材が混じっているとか、そういう状況でありました。こういう名古屋港でもヤードの火災は発生しているということをお聞きしました。
 改めてでありますが、なぜこの火災が発生するのか、御説明いただければと思います。
○政府参考人(中井徳太郎君) お答え申し上げます。
 いわゆる雑品スクラップに含まれる使用済みの電気電子機器は、本来の用途での使用が終了しており、これを保管又は処分する者にとって、本来の用途での使用ができるように適切に管理するインセンティブが働かないため、ぞんざいな取扱いを受けることにより生活環境上の支障を生じるおそれが高いものということがあろうかと思います。
 最近火災が頻発しております直接的な原因は不明ではございますが、スクラップヤードの火災の原因といたしましては、電気電子機器内部の電池の破砕や金属の衝突、発火などが考えられまして、家電に含まれますプラスチック部品などが延焼に寄与すること等が報告されてございます。
○武田良介君 現場は大変苦労しているということをお聞きしてきました。
 資料一、それから二にも付けさせていただきました。これは名古屋市消防局が出している文書であります。名古屋市消防局は、集積場を管理する皆様へ、火災予防対策を実施しましょうという文書を出されておられます。この中で、分別仕分による保管物品の管理というところでは、集積物の分別仕分を行い、出火危険や延焼危険のある物品を区別しましょうというふうにも書かれております。
 それから、資料の二ですが、これは海部南部消防本部という、名古屋港は自治体が幾つかまたがっている関係がありまして、海部南部消防本部、ここでは、金属スクラップ卸売業者等の指導基準というふうになっておりますが、荷受けについてというところで、発火危険性の高い油等の危険物、毒劇物、特定化学物質及び放射性物質の持込みは禁止とすること、仕分する場所を蔵置場の手前に設け、電線や電池、バッテリーなどの、燃料タンク、スプレー缶等、発火の可能性のあるものを取り除くことというふうにもあります。これ、しかし、あくまでお願いというふうになっております。海部南部の方も指導基準というふうになっておりますが、しかし法的拘束力のあるものではないということです。
 こういうことで、きちんとこういったものが守られるのかどうか、結局、雑品スクラップとなって火災につながるんではないかということが現場では大きな懸念としてあるわけであります。
 今回の改正で、有害使用済機器の保管や処分を行う者に対して、都道府県知事への届出、それから政令で定めていく保管、処分の基準、その遵守を義務付けると、こういうことになっていると思いますが、名古屋港では、金属スクラップだと言って申請され表記もされてきた、そういったものが実際には火災を起こす、廃家電なんかを粉砕したものが実際その中に含まれていたということもあったというふうにお聞きをしました。
 今回、有価物であっても有害な使用済機器は取り締まるということですけど、ヤードの中にそういった火災の原因となるような廃棄物が混じっていても実際上これ分からないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(中井徳太郎君) スクラップヤードにおいて火災が発生するような状況があるという中で、今委員御指摘のように、スクラップの中に有害物が混入していることがどうやって分かるのかという問題の御指摘でございます。
 今般の法改正におきまして、有害使用済機器という新しい概念をもちまして、届出、また、これを都道府県知事等が監督していくという枠組みをつくるわけでございますが、そういう意味におきまして、分かるか分からないかという点につきましては、日常的にスクラップヤードにおいてどういうことが起こっているかということを、しっかりと監督に当たる都道府県等が日常より状況把握できるということのまず法的な手当てが必要であろうというふうに考えておりまして、今般の法案におきましては、有害使用済機器を扱う業者が届出をした上で保管、処分の基準に従うということであるわけですけれども、この監督権を有する都道府県等につきましては、届出をしていなくても有害使用済機器の疑いがあるものを保管しているヤードについて的確に把握できるよう、報告徴求や立入検査を行う権限を付与しているというところでございまして、このような法的な手当てをする中で日常的な状況把握ということもしっかりとやっていっていただきたいと、こういうようなことでございます。
○武田良介君 非常に現場は日頃から苦労されてやっているわけで、今回の法改正でそういう対応ができるようにするということは私も理解しておるわけですが、ちょっと言い方を変えれば、実際にうずたかく積まれた雑品スクラップヤードの中で、有害使用済機器に対しては今度は有価物だと言われても規制をしていくということなわけですけど、逆にそういったものさえ取り除いてしまえば、あとは有価物だけしかありませんというふうになったら、それ以上取り締まれないということにはならないんでしょうか。
○政府参考人(中井徳太郎君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の今回法改正をお願いいたしますのは、有害使用済機器という新しいくくりをつくりまして事態に対処したいというものでございますが、御指摘のように、厳密に、ストックヤードに置かれておるものの中から有害使用済機器というものが厳密に一〇〇%取り除かれるということが仮にあるとすれば、それ自体はこの規制の対象からは抜けるということにはなるわけではございますが、実態といたしましては、我々の今の状況認識といたしましては、今回、有害使用済機器という形で定めさせていただき、届出の対象とするということをしっかりとやらせていただくことが仮にできれば、雑多なものがスクラップの中に実態はいろいろあるという状況の中から、指定された有害使用済機器だけを厳密に全てきれいに取り除くと、一時的に取り除こうとしても、なかなか物理的に完全に取り除くことは容易ではないだろうというふうには考えております。
 そういう中で、先ほど申し述べさせていただきましたように、疑いがあるというものについても、都道府県等監督の立場から立ち入り、報告等を求めるということができる状況が、今回作らせていただければ、そういうものを活用して事態の改善を図っていただきたいと、こういうものでございます。
○武田良介君 実態としてはということでお話もあって、だから、実態としてはもう本当に高い山で積まれたヤードの中の方にそれがあっても、逆に言えば分からないわけですよね、これは規制すべきものだということも。だから、本当にそのヤードの規制を実効性あるものにするという点では、取り除ければという話もしましたが、実態としてはなかなかこれは判断するのが非常に難しいんだということだと思うんです。こうしたヤードの問題というのは、今名古屋港のお話ちょっとしましたが、市街地にもあるわけです。
 神奈川県の綾瀬市の事例をちょっと紹介したいと思うんです。これは、二〇一四年の十月、神奈川県の綾瀬市に金属スクラップがうずたかく積み上げられた、そういったヤードがあった。これを囲っていた外壁が倒壊をして、隣接する児童養護施設の約十メートル手前までその堆積物が流れ込むという事態で、児童養護施設に居住する児童や職員の方が避難するという事態まで発生したということです。このヤードについては、以前から地域住民の方が危険ではないかということで感じておられた、そういう声も出されていたということであります。
 生活環境の保全及び公衆衛生の向上、これが廃掃法の目的にも書かれておるわけですが、そういう廃掃法ですので、こうした事例に対しても対応しないといけないのではないかというふうに思うんですが、今回の改正で、こういう綾瀬市のようなヤードに対しても規制できるようになるんでしょうか。
○政府参考人(中井徳太郎君) お答え申し上げます。
 御指摘の神奈川県綾瀬市の金属スクラップ置場における崩落事故につきましては、その詳細につきましては把握していない部分もございますが、神奈川県からは、平成二十六年十月に金属製の外壁が崩れたことがあったと聞いておるところでございます。
 当該事案におきまして、仮に金属スクラップに有害使用済機器が含まれているということであったとするならば、今般の改正法による規制の対象になると考えております。今般の改正により、有害使用済機器の保管等を行おうとする者は、政令で定める保管等の基準を遵守する必要があります。廃棄物処理法における保管基準には、産業廃棄物の飛散や流出の防止の観点から高さや勾配に係る基準を定めておりまして、今後、有害使用済機器の保管等の基準を作るに際しましては、この廃棄物処理法における保管基準を参考にしながら、しっかりと検討してまいりたいと思います。
○武田良介君 これ、本当に現場では困っているわけです。資料の三にも付けました現場の写真でありますが、これ、非常に高いところにヤードがあるというのが一目で分かると思うんです。このヤードの置かれている場所というのが、県の土砂災害警戒区域も含んだ高さ三十メートルの高台の上にあるということなんですね。この高台の下から変色した水が出ることもあると。近隣住民の方から、崩落するんじゃないか、土壌が汚染されているのではないかという、そういう不安の声もあったということなんですね。
 今回の改正で、今御答弁の中にも少しありましたけれども、こういった綾瀬市の事例なども念頭に、どう基準を作っていくのか、やっぱりこれは大事だと思うんです。今回の改正で、先ほども言いましたが、有価物であっても有害使用済機器を保管、管理する、そのときの基準を設けるということですね。これが政省令で定められるということで、どういうふうになっていくのか。
 先ほどちょっとお話ありましたが、今のこの廃掃法で設けられている保管の基準、ちょっと端的に御紹介いただきたいと思います。
○政府参考人(中井徳太郎君) 現行法の産業廃棄物の保管基準につきましては、廃棄物処理法第十二条二項に規定されておりまして、生活環境保全上の支障がないように保管しなければならないとされております。
 具体的には、周囲に囲いを設け、見やすい箇所に一定の要件を備えた掲示板を設置する。また、産業廃棄物が飛散し流出し及び地下に浸透し並びに悪臭が発散しないように、保管の高さ、勾配の遵守等の適切な管理を行う。そして、ネズミ、蚊、ハエ、その他の害虫の発生防止措置等を講ずるなどの基準が廃棄物処理法施行規則の第八条に定められております。
○武田良介君 確認をいたしました。
 その囲みが積み上げられている産廃なんかの重みに十分耐えられるようにしなければならないと、これ、非常に大事なことだと思いますし、廃棄物の飛散、流出、地下浸透、悪臭の発散というんですかね、こういったものの対策、これ非常に大事なことだと思うんですね。
 今回の改正によって政省令で定められる保管基準が、当然、これは産廃とか今回のような有害な使用済機器とかという違いはあるわけですけれども、法律の目的はもちろん同じなわけでありますから、こういった基準に準じたものを定めていくことが必要になるだろうというふうに思うんですが、この点、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 有害使用済機器は、ぞんざいな取扱いを受けることによりまして生活環境保全上の支障を生じるおそれが高いものでありまして、こうした性質は廃棄物として共通しているものであります。このため、御指摘のとおり、有害使用済機器の保管等に関する具体的な基準については、現行の廃棄物の保管基準等を参考に今後検討してまいりたいと思っております。
○武田良介君 この綾瀬市の事例、囲っていた壁なんかが倒れて崩れて落ちてきたということでありますから、こういう基準に照らしても、二度とこういうことを起こさないようなしっかりとした基準を設ける必要があるというふうに思います。
 今、火災の話だとか、それから綾瀬市の崩落、汚染の問題、少し御紹介をさせていただきましたが、非常に深刻でありますし、対応が求められていることは言うまでもないと思うんです。
 こういったヤードの管理というのは、どこがこれは所管してやっていくことになるんでしょうか。
○政府参考人(中井徳太郎君) お答え申し上げます。
 有害使用済機器は、適正なリサイクルルートを外れて市町村の区域を超えて広域に移動しておりまして、雑品スクラップの保管等を業として行う者の規制を行うためには、広域自治体である都道府県等の役割が非常に重要でございます。
 このため、本改正案におきましては、都道府県等が、届出や報告徴求、立入検査等を通じまして有害使用済機器の保管又は処分の実態の把握を行い、不適正な行為に対しては法的権限に基づく指導監督を行うこととしておるところでございます。
○武田良介君 環境省はこれに対してどういう責任を持っていますか。
○政府参考人(中井徳太郎君) 環境省といたしましては、まず、廃棄物処理法を中央政府として所管しているという立場で実態を監督する都道府県等のいろんな相談に今後も乗っていくということでございますが、ぎりぎり、いろいろ言いますと、この廃棄物処理法という法律におきましては、緊急の事態においては環境大臣が都道府県知事の権限を行使すると、こういうような規定の備えもある中での、環境省としては、この法を所管するという立場から、現場の監督権限がしっかりと行使されるようにいろいろな指導、助言等をやっていきたいということでございます。
○武田良介君 先ほどのヤードの管理、一見して雑品として何が含まれているのか分からないというあの問題一つ取っても、確かに今回の改正で、都道府県の役割、それから市町村なんかの日常的に果たしている役割、これはやっぱり大きいわけですが、なかなか現場でそれが全て把握できない、だからこそ火災が起きてきただとか汚染が広がるんじゃないかということが非常に心配をされているわけで、環境省の責任というのは非常に大きいということを指摘しておきたいと思うんです。
 先ほど神奈川の綾瀬市の事例紹介しましたけれども、神奈川県は、昨年の七月、環境省宛てに廃棄物の適正処理及び不法投棄の防止対策の推進という要望をされております。この中に、ちょっと読み上げますが、中古の家電製品やそれを破砕処理した金属スクラップは、鉛や銅などによる環境汚染を生じさせるおそれがあるが、有価物である場合には、廃棄物処理法が適用されず、取扱業者への指導ができない状況にあるため、環境汚染を防ぐ観点から、金属スクラップ等の有価物を適正に保管するよう業界へ働きかけることということで要望されております。
 こうした声に環境省はどう応えていくのでしょうか、大臣にお願いします。
○国務大臣(山本公一君) 御指摘のとおり、昨年七月に神奈川県から、中古の家電製品やそれを破砕処理した金属スクラップについて、有価物であったとしても環境汚染を防ぐ観点から適正に保管するよう業界に働きかけてほしいとの要望があったと承知をいたしております。
 スクラップヤードで使用済電気電子機器等に含まれる有害物質等が周辺に飛散するなどの生活環境への悪影響が生じるおそれがあること、神奈川県や千葉県船橋市などからの御要望もあったことも踏まえ、今般の廃棄物処理法の改正法案では、いわゆる雑品スクラップを対象にした規制を導入することとしております。
 環境省としては、雑品スクラップによる生活環境保全上の影響が生じないよう、今後も都道府県等と連携して法の運用に努めてまいりたいと思っております。
○武田良介君 業界の方に対して働きかけるということで、業界の側もそういった努力、非常に重要だというふうに思いますし、先ほども確認しましたが、環境省の役割、責任ということもやはり非常に大きいというふうに思いますので、重ねてその点を強調しておきたいというふうに思います。
 そして、今回の法改正考える際に、やはり、今話してきましたように、現場でどういった対応ができるか、現場の要望に応えられるのか、やっぱりここは非常に大きなポイントなんだろうというふうに思っております。
 鳥取県の使用済物品放置防止条例というものがあります。不用品の屋外集積や不法投棄に対応するために、不用品回収業を営む者に対して届出をさせて、それから収集や保管に基準を設定して、放置することを禁止をし、県の調査、指導権限を明確にこうするというような、こういう条例が制定をされております。
 こうした未然防止していくような条例、私、非常に大事だというふうに考えております。そのためにヤード業者のところに不用品、使用済家電が入る前の回収業者のところで規制を掛けているところに私は注目をしております。
 ちょっと大臣に、これ本当に基本的なところをお聞きしたいと思うんですが、鳥取は回収業者のところに規制掛けていますけれども、今回の改正はヤード業者のところに焦点が当てられて規制を掛けている。これはなぜなのか。回収業者のところに踏み込まなかったというのは、これはどういうことなんでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 現在、雑品スクラップの不適正な保管による火災や破砕等による有害物質の流出のおそれが生活環境上の問題として顕在化しており、まずはスクラップヤードにおける対策に注力する必要があると考えたわけでございます。
 また、不用品回収業者が回収し、中古としても使用できない機器の多くがスクラップヤードに持ち込まれていると推測され、スクラップヤードにおける保管等の規制、さらにバーゼル法改正法案により輸出の厳格化を図ることによりまして、こうした業者がスクラップヤードに持ち込み、不適正な輸出を行うインセンティブを引き下げることができるものと考えているわけでございます。
 なお、不用品回収業者については、これまでも、各自治体により、廃棄物に該当するものを無許可で取り扱っている場合には廃棄物処理法の無許可営業として取締りを行ってきたところでございまして、引き続きこうした取締りを進めてまいりたいと思っております。
○武田良介君 まずここから規制するというお話がありました。
 しかし、先ほどもちょっと私言いましたが、確かにヤード業者のところで不適正な破砕なんかが行われ、それが積み上げられ、生活環境に対しての影響と、これももちろんあるわけですが、回収業者のところにもあるわけですね。回収業者の人もトラックで集めてヤード業者に売るわけですが、ある程度仮置きといいますか、回収業者の持っているヤードというものは市街地に点々とあったりするわけですね。そういったところから油が漏れているだとか、いろんな心配の声が近隣の住民の方からも次々寄せられるということになっているわけです。
 そういった方たちが急に、無許可で営業されていることも多いというふうに思いますけれども、そういう方たちが急に倒産したとかどこかにいなくなってしまったとか、そういうことになってその場に積み残された、不法投棄されたりすることもあると思いますが、積み残されたもの、こういったものを自治体が処分せざるを得ないという状況も、鳥取でもそういう状況があって今回の条例に踏み出したというふうに私も承知をしているわけでありますが、そのヤード業者への取締りというだけでは、ちょっとこれはやっぱり実態に合っていないのではないかということを思うわけです。
 鳥取県の制定過程と施行後の状況という資料がありました。この条例を制定したことによって、不用品回収の置場になっていたところから業者が撤退して、非常にその土地がきれいになったというようなことも紹介をされておりました。それから、制定を振り返ってという項目の中では、効果の背景ということで、条例制定に合わせた専属の指導担当職員の配置といった体制の充実があったということも言われておりますし、その後、廃棄物処理法のみでは難しかった地域に条例を後ろ盾として踏み込めることで適正化が図られていることは紛れもない事実というような記述もありました。
 鳥取の条例で成果を上げた大きな要因というのは、私、体制の強化ということ、非常にあったんじゃないかなというふうに思うんですね。私もお話をお聞きしましたが、専任の非常勤の職員の方を使用済物品放置防止指導員として二〇一六年から二名配置をして、正職員の方とともに届出事業者の現場確認をしたりだとか、基準の遵守指導に当たったと。お聞きしたら、パトロールに出て市街地を直接見て、おかしな積み方しているところがないかだとかということも見て回っているということもお聞きをしました。
 私、こういう取組に学んでいく必要が本当にあるんじゃないかというふうに思うんです。今回の法改正でヤード業者、届出させていくということですが、その後のチェックの体制がどうなっていくのか、これはやっぱり今回大事なポイントだと思うんです。環境省として体制の強化に取り組んでいく必要もあるかと思うんですが、この点、どうでしょうか。
○政府参考人(中井徳太郎君) お答え申し上げます。
 有害使用済機器の保管又は処分を行う事業者につきまして、今回の法律改正におきましては都道府県知事が監督権限を有しておりまして、具体的には、都道府県知事が報告徴求、立入検査、改善命令等を行うこととなるというものでございます。
   〔委員長退席、理事高橋克法君着席〕
 この都道府県における具体的な法施行の体制につきまして、それぞれ具体的な今後の検討といたしまして、都道府県ごとに検討が行われることになるわけでございますけれども、まずは現在行っている産業廃棄物の監督に関する体制をうまく活用していただくということになろうかとは思っております。
 そうした中で、都道府県の監督体制として、それを機能するために大変体制が重要であるという認識を持っておりまして、環境省といたしましても、都道府県に対しまして有害使用済機器のまず判断基準等、技術的な点につきましてもきちんと助言を行うとともに、有害使用済機器に対する規制が効果的に運用できるような助言、指導等を行ってまいりたいと思います。
○武田良介君 基準の、先ほどもセミナーなんという話もありましたが、そういうこともありました。今ある体制をまずは生かしてという話もありましたが、鳥取ではそういう指導員という方も置いてやっているわけでありますので、環境省として、今回の改正に当たって、本当に体制を強化していく、国が自治体を支援していくということが非常に重要だということを指摘しておきたいというふうに思います。
 ちょっと視点変えまして、今度、3Rということからも今回の改正について考えたいと思うんです。
 3Rというのは、皆さん御承知と思いますが、リデュース、ごみを減らしていく、リユース、繰り返し使っていく、それからリサイクルですね、資源の、再び使っていくということ。
 今回問題になっているこの雑品スクラップということで考えますと、そこに有用な金属があって、これをリサイクルするという話になるわけですが、リサイクルの前にリデュースとかリユースということを考えなければならないということは、これ当然だと思うんです。
 先ほど来言っていますが、不用品回収業者への取締りではなくて、今度はヤード業者への取締り、今回の法改正では、そこに焦点が当たっているわけですが、不用品回収業者に回収されたら、それがヤード業者に売り渡されたりなんかして不適正な処理をされていくというルートに乗っていってしまうわけですね。だから、リサイクルよりもリユースをまず重視しようということであれば、今回の法改正で、やっぱりヤード業者への管理というだけではなくて、回収業者に対して規制をちゃんと掛けていく、そしてこの不適正処理のルートに乗せるのではなくて、適正な処理、もっともっとリユースできるものはリユースしていくと、こういうルートに乗せていくのが必要ではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○大臣政務官(井林辰憲君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、循環型社会形成に向けて、リユースの推進ということは非常に重要なテーマだというふうに考えております。一方、リユースすると偽って使用済電気電子機器を収集し、実際にはスクラップヤードに持ち込んでいるような業者の存在も指摘されていることも確かでございます。こうした偽装リユースにつきましては、今般の廃棄物処理法の改正でスクラップヤードを規制することで対策を進めることができるものと考えております。
 環境省では、ポスター、ホームページ等を通じて、消費者に対して無許可の回収業者を利用しないことなどについて周知、啓発を行っております。また、無許可の回収業者への指導、取締り能力の強化を目指した自治体向けのセミナーだけではなくて、モデル事業も実施をしておりまして、引き続きこれらの取組をしっかり行っていきたいと思います。
 こうしたことを通じまして、適正なリユースの促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
   〔理事高橋克法君退席、委員長着席〕
○武田良介君 鳥取でもちょっとお聞きしましたが、いわゆる真面目に回収業をやっている方たち、真面目、不真面目と言うとあれですけど、やっておられる方たちがそういった無許可の方たちがいることによって非常に迷惑をしていると、だからこの鳥取の条例というのは作られてきたという、やっぱりこういう背景があると思うんですね。今そういうふうにおっしゃられましたけれども、そういう実態があると思うんです。今回の法改正という点では、やっぱりこれは不十分にならざるを得ないところがあるんだろうというふうに思うんです。
 ちょっと見ましたが、二〇一三年五月三十一日に閣議決定された第三次循環基本計画、この中では、その基本的方向の一番目に、リサイクルより優先順位の高い2R、リデュース、リユースの取組がより進む社会経済システムの構築ということが挙げられておりました。こういう閣議決定された政府の立場からしても、今回の法改正は不十分で、踏み込み切れない甘いものになっているんじゃないかということを私は言わざるを得ないというふうに思うんです。
 それから、家電リサイクル法に基づく全国の指定引取り場所、ここで引き取られた廃家電の四品目についてちょっとお聞きしたいと思うんですが、指定引取り場所、これは家電リサイクル法ができたときに全国で不法投棄なんかが大変問題になって、生産者であるメーカーにも再商品化をしてもらうということで責任を果たしていただこうという中で作られてきたと。指定引取り場所で引き受けた使用済家電が、その構造を最もよく知っている、どこにどういう材料が使われているのかも最もよく知っているそういうメーカーが責任を持って再商品化していくと、こういう仕組みだというふうに思いますが、この指定引取り場所に入った使用済家電がどれだけあるのかと。二〇一五年はこれが一千八十八万台だったというふうにお聞きしておりますが、これ、ピークが二〇一〇年度、二千七百七十万台、これをピークにしてずっと落ち込んでいるわけですね。ちょっと全部、時間の関係で紹介しませんが、一千万台、四家電合わせてですね、ずっと落ち込んでいます。
 これ、背景は何かということを考えれば、幾つかあるかと思うんですが、例えばその廃家電に含まれる有用金属が海外で売るというときにどれだけの値段が付くのか、その値段の浮き沈みによって、海外へもっと売りたいということで無許可の不用品回収業者もどんどん出てくるということもあろうかと思うんです。そうなれば、その分この指定引取り場所に回る分が減っていくという、こういうこともあろうかというふうに思うんですが、適正なリサイクルのルートに乗らないという、やっぱりこういう状況を改めて、もっとリユースされるように、適正なルートの方に乗せていくという、こういうことが本当に必要だと思うんですが、この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(中井徳太郎君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の家電リサイクル法の引取り場所への実績等の状況がございますが、これにつきましては、まず、このところ例年一千万台から一千三百万台で推移しておるという状況ですが、委員御指摘のとおりに、ピーク、平成二十二年度になりますが、過去最高二千七百七十万台ということでございました。この二十二年度の二千七百七十、これ非常にちょっと突出した数字が出たという状況なんですが、これにつきましては、省エネ家電の購入者に商品と交換可能なポイントを提供する家電エコポイント制度の実施や、テレビのデジタル放送への切替えによりまして家電の買換えが一気に進んだという特殊事情もあったと、こういうふうに認識してございます。
 その後は消費税導入前の駆け込み需要の影響による引取り台数の微増などがあるものの、ここ最近、従来水準をほぼ一定で推移しておるというところでございまして、二十二年度をピークにずっと下降傾向にあるという認識ではないという状況でございます。
 さはさりながら、不用品回収業者等による不適正なルートの存在というものがこの家電リサイクル法に基づく適正ルートの引取り台数に一定の影響を与えている可能性はあろうというふうに考えております。
 現状から申しますと、その不適正ルートへ漏れ出ている分によって現状で引取り台数がどんどん下降トレンドになっていると、こういう認識ではございませんが、その可能性はある、不適正ルートへ出ているというところへの影響というものは可能性としてあろうというふうに思っております。
 そういうことで、この家電リサイクル法にのっとった正規のルートをきっちりと回していくということが非常に極めて大事でございまして、家電リサイクル法を推進するという立場からも、これをやると同時に、今般、不適正ルートの実質的な道を塞ぐに近くなる、今回の廃掃法の有害使用済機器ということでの保管、処分への対応をさせていただくということによって、併せまして、家電リサイクルの適正ルートについての引取り台数が増えていくような形に持っていってまいりたいと考えております。
○武田良介君 可能性はあるという話もありました。
 エコポイントのときにばんと伸びたという、それはそうかと思うんですけれども、エコポイントがなかったら、逆に言うとそんなに回収できないということであれば、それこそ本当にリユースになかなか回っていかないと。メーカーが責任を果たすべき部分で十分果たさないということになるかというふうに思うわけです。
 ちょっと時間の関係で最後に一つだけお聞きしたいと思うんですが、今ちょっとお話ししました生産者の責任ということはやっぱり非常に大事だというふうに私思うんです。
 今回の廃掃法、そもそも廃棄物が出たらそれをどう処理するかということが基本なわけですが、そもそも出さないということも非常に大事ですし、廃棄物になるとしても、その処理にまで生産者が責任を持っていくという、こういうことが非常に大事だというふうに思うんです。
 こういったリサイクルに関わる法律、幾つかあるわけですが、容器包装のリサイクル法、これは自治体が回収するということを前提にしているわけですけれども、しかし、生産者の側がいて、そのお金も提供して、それをやっていくということもありますし、それから今の家電リサイクル法、こういった、先ほどの再商品化のルートに乗せていく、こういうこともある。それから、自動車のリサイクル法、これは自動車の販売価格にリサイクル料金を含ませていくような、こういう前払の制度ということもあるわけですね。
 こういう法律がもう既にある。これがどういう経過で作られてきたのか、背景に何があったのか。先ほども若干言いましたが、全国各地で不法投棄が問題にもなる、そういったものを処理しようと思ったら自治体が負担せざるを得ない、こういう状況もあった。こういうことが日本中で広がってきたからこそ、こういう法律もできてきた。今回の廃掃法の改正を考える上でも、やっぱり生産者の責任をしっかり果たしてもらおうということは、ずっと流れを見れば、その底流に流れているということだと思うんですね。
 先ほどの指定引取り場所に廃家電がどれだけ入るのか、それが減っていくということになれば、これ、生産者の責任が曖昧になるということも言いましたけれども、拡大生産者の責任、やっぱりこれが非常に大事だというふうに思いますし、今回の法改正考えていく上でも、この点がもっともっと議論されていいんじゃないかというふうに思うんです。
 この拡大生産者責任ということを明確にすべきだというふうに私思うわけですが、大臣、この点でいかがでしょうか。
○国務大臣(山本公一君) 家電メーカーが3Rの推進に一定の役割や責任を果たすことは、循環型社会の形成において大変重要なことであります。その上で、家電リサイクル法の下では、製造業者に対しては、製品の中身について最も知識を有しているという立場にあることから、使用済家電のリサイクルを行うことを義務として求めております。それに加え、製品の耐久性向上やリサイクルしやすい設計と環境配慮設計に取り組むこともメーカーの責務として課しております。これらを踏まえまして、家電メーカーにおいては、再商品化の質の向上やリサイクル費用の低減等に継続的に取り組んでこられたものと評価をいたしております。
 さらに、国際的には、より少ない資源投入でより大きな価値を生み出すことが必要とされておりまして、国としても、昨年一月、特定家庭用機器廃棄物の再商品化等に関するガイドラインにおいて、メーカーによる環境配慮設計や二次資源の重要性を示したところでございまして、各家電メーカーにおいては、このガイドラインの厳格な運用に努めることにより、更なる製造者責任を遂行していただきたいと思っております。
○武田良介君 非常に大事な点だと思いますのでよろしくお願いしたいと思うんですが、前払の制度だとかバーゼル法についてもまだちょっとお聞きしたいところはあったんですが、時間ですので終わりにしたいと思います。

■反対討論■

○武田良介君 私は、日本共産党を代表して、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求める件につき、反対の討論を行います。
 福島地方環境事務所の設置は、昨年十二月に閣議決定された原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針にある放射性物質汚染対策については、推進体制の一元化、充実を図り、柔軟かつ突破力に満ちた解決力の向上を目指した組織改革を行うという方針に基づく措置の一つです。基本指針は、放射性汚染物質対処特措法に基づく除染、中間貯蔵施設整備、放射性指定廃棄物処理などに関する業務を一元化し、環境本省においては新たに環境再生・資源循環局を設置するとともに、福島においては福島環境再生事務所を福島地方環境事務所へ格上げすることで、現地の意思決定の迅速化及び体制強化を図るとしています。
 しかし、この基本指針は、帰還困難区域内の特定復興拠点を整備するための除染及び汚染廃棄物の処理に要する費用について、原因者である東電の賠償責任を免罪し、汚染者負担の原則に反して国が費用を負担することを掲げています。福島環境再生事務所は、東電の汚染者負担原則に基づきその業務を行ってきたのに、その原則がゆがめられることになります。原発事故被害者への賠償措置の一端を担うという組織の性格が損なわれることになります。賠償の位置付けが損なわれ、国費を投じる公共事業になれば費用対効果の議論が持ち上がり、戻る人数が少ないとなれば事業の縮小や廃止などにつながり、住民が求める全エリアの除染が行われないことになりかねません。
 このような基本指針に基づいた福島地方環境事務所の設置は、住民が求める全エリアの除染に応える組織となる保証がありません。このことを申し上げ、反対討論を終わります。

 

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