武田良介参院議員は国際経済・外交調査会で、アジア外交に関わって参考人に質問。参考人からは「アジアが自発的に自分たちの共通の課題を話す枠組みに日本が積極的に関与して、そこでイニシアチブを取っていくことが今後非常に重要」などの意見が述べられました。
(スタッフ)
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議事録
○武田良介君 今日は三人の参考人の先生、ありがとうございました。
大庭参考人にお伺いをしたいと思います。
ASEANというのは非常に面白いユニークな共同体として、歴史もありますし、発展してきたかなというふうに思っているところでありますが、今日お話には出てきませんでしたけれども、今回のテーマに関わって私がお聞きしたいと思ったのは、アジア政党国際会議、ICAPPというものがあるかと思います。たしか二〇〇〇年から始まっていたかというふうに思います。
これも、アジア各国の与党や野党を問わず、それぞれ文化だとか信条が違う各政党が集まりながら非常に幅広のテーマで議論が行われる非常にユニークなものかなというふうに思っておりますけれども、まず、このアジア政党国際会議というものをどのように御覧になっているかということをお伺いしたいと思います。
○参考人(大庭三枝君) アジア政党国際会議については、私もそれなりには見ておりますが、どちらかというと行政府、政府中心の制度というのを見ておりました関係で、余りそれほど深掘りしているわけではないということを念頭にお答えしたいと思います。
今のような制限を掛けていても、政党間の関係というのは、政府間の関係での様々な制約というのを超えた連携が可能なものであろうと思います。そして、何よりも重要なのは、今アジアの国々は多くの場合、これはブルネイのようにほとんどもう議会がないのと等しいところもありますが、しかしながら、多くの場合、一応議会があって、選挙もやって、これはカンボジアでもそうです、選挙もやって、議員がいると。
そういった制度を多かれ少なかれほとんどの国々が採用しているという事実でありまして、そういった観点からすると、それは政府間の関係であるとか完全に純民間の関係に加えて、政党間の関係というものを深めていくということは、先ほどの人材育成ということも絡みますけれども、様々な各国の知見というものを交換し合い、民主主義や人権の推進ということについて刺激をし合うという意味で非常に重要な枠組みであるというふうに私は考えています。
以上です。
○武田良介君 それに関わって、大庭参考人の文面読ませていただきましたけれども、日本がこれまでどちらかというと二国間の外交を展開する傾向が強かったけれども、多国間の外交が必要になってくるのではないかという趣旨のことが書かれていたかと思います。
私もそのとおりかなというふうにも思いますし、お聞きしたいのは、じゃ、多国間で話し合うというときにどんな政治的なテーマがあるのかなということなんですけれども、今のアジア政党国際会議というものも、日本共産党としてもこれは参加して、核兵器のない世界ということも繰り返し発言もしてきました。
必ずしも政府の立場ではないという今のお話のとおりなんですけれども、忌憚なく各国与野党問わず意見交換する中で、核兵器禁止条約という、結果的に今そういうところまで来ているわけでありますけれども、日本の利益が周りの国の皆さんの利益にもなるんだという外交が大事というようなことをたしかお書きになられていたかというふうに思うんですけれども、どんなテーマがあり、どういう外交が必要かということをちょっとお聞きしたいというふうに思っています。
○参考人(大庭三枝君) 具体的なテーマにつきましては、枠組みによります。例えば、ASEAN、日・ASEANの枠組みでやるのであれば、これは非核というのは非常に容易に話すことが可能ですけれども、そこにインドや中国が加わった場合にどうなるかとか、やっぱり枠組みがたくさんあるので、その枠組みごとの設定し得る政治的なアジェンダというのは変わってくると思います。ただし、そういうような煩雑さがあっても、私は多国間の枠組みでの外交というのは今後大事になってくると思います。
それは、短期的に言うと、やはりアメリカの政策の不透明性と中国の影響力の拡大という中で、従来日本がやってきた二国間アプローチであるとか、あるいは日米関係に非常に多く比重を置くということだけでは恐らく日本の外交が難しいのではないかと思っているわけで、アジアが自発的に自分たちの共通の課題を話す枠組みに日本が積極的に関与して、そこで何らかのイニシアチブを取っていくことが今後非常に重要だと思います。その上で、政治的なアジェンダは、当面のところ、その枠組みごとに何が話せるのかということの、そのリアリズムを前提とした上で様々なものが設定できるのではないかと考えています。
以上です。
○武田良介君 今の国際社会が非常に不安定な要素がたくさんある、今のアメリカや中国の話があるという中で、大庭参考人に最後にもう一つだけ、非常に大事だなと思ってお聞きしたいんですが、ASEANの流儀という話がありまして、やはり緩やか、まあ悪く言うと曖昧なのかもしれないですけれども、しかし、緩やかだからこそこの間長くASEANなりの発展をしてきたのかなというところもあるかなというふうに思っておりまして、最後、後半のところに分断の懸念があるという話もありましたけれども、一方でそんなやわでもないと。
私、ASEANのこういった流儀というものは、これからの国際社会の中で、先ほどのお話じゃないですけれども、私、重要なものではないかなというふうに考えているんですが、今後どんな役割をASEAN、そのASEANの流儀というものが果たしていくというふうにお考えか、お聞きしたいと思っております。
○参考人(大庭三枝君) ASEANの流儀は大事なんですけど、これはとにかく一言で言ってしまうと、その国によって都合の悪い協力はせずに、都合のいいところだけでやっていくというふうに取られかねないところがあります。
でも、それでもってASEANが多様なスタンスを持ちながらまとまってきて、それなりの影響力を発して、周りの域外国も取り込みながら多国間の枠組みが形成されて、それが運営されてきたのも事実なんですけれども、それはそのとおりなんですが、ただ、本当に、例えばTPPにあるような、国内の規制というものを取っ払って何か実際に協力をしていくというときに、その生ぬるいやり方でいいのかどうかというのはASEANの内部からも疑義がありまして、ASEANの流儀を今後どうやって維持していくかということについては、ASEANの中でも様々な議論があるということをちょっと一つ付け加えておきたいと思います。
その上でであれば、そのASEANの流儀というものがある種の知恵であって、多様な意見やスタンスを持っている国々をまとめ上げる一つのやり方であるということであるのは事実なので、今のところ、ASEANが中心となっているアーキテクチャーは、そのようなASEANの流儀に従って恐らくまとまっていくであろうと思います。
それと、ASEANがなかなか強靱というか、そんなにばらけないと言っているのは、非常にASEAN諸国自身がASEANを重視しているからで、これはまた別の機会にお話をしたいと思います。
以上です。
○武田良介君 ありがとうございました。
石戸参考人に一つだけ。
今日のお話の最後のところに中小企業のグローバル化を後押しというお話がありました。まあこれ、中小企業でグローバルというと、確かに現状、大企業なんかが中心というふうになっていますが、ここの展望はどのように御覧になっているのかということをお聞きしたいと思います。
○参考人(石戸光君) 中小企業と申しましても、やはり生産性といったことに差がございまして、そして、特にニッチな部分ですと、それこそ日本食絡みというフード産業のセクターですとか、それから製造業の中でもよりその金型の方に、要はがちゃがちゃとやるそちらに近い部類ですと、まだまだ日本の中小企業、まあ大田区がくしの歯が欠けるようにということはありますが、やはりここには伝承されたものがありますと。
そういったものが外に出ていくことによって、恐らく生産性が、逆にその日本でのその研究開発努力といったものも刺激されていくというようなことが還流されて起きないとも限らないと、こういったことが研究者かいわいで指摘されて、また実証的にもそのことが示されて、臥竜企業、伏している竜ではなく飛び立つような、そういった中小企業というのを期待したいというところでございます。
○武田良介君 時間ですので、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。