国会質問

質問日:2018年 4月 18日  第196通常国会  国際経済・外交調査会

テロの背景に不遇、貧乏 JAXAと防衛省協力進む と参考人

武田良介参院議員は、国際経済・外交調査会での、国際平和実現への取り組みに関わっての参考人質疑で、テロが世界各地で発生している現状について質問。

安部川元伸日本大学教授はテロの背景と対策で「不遇とか貧乏とか、学校も行かせてもらえない、大学出ても職業に就けないと、そういった不平を解消してやることが大事」と指摘。「鉄道駅とかバスの中とか、野球のスタジアム」が狙われるとして、テロを防ぐ難しさに言及。武田氏はテロを起こさせないことが大切との立場で「テロは許されない」としました。

また、武田氏は、宇宙の軍事利用に関わって、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の業務を「平和の目的に限り」行うと定めたJAXA法から、この規定を削除する改悪が行われたことについて質問。

鈴木一人北海道大学大学院教授は「宇宙空間を監視する能力、ミサイルの発射を探知するためのセンサーの開発などで、JAXAと防衛省の協力は進んでいると理解している」と述べました。武田氏は「軍事利用に傾斜」していると批判しました。

 

 

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 今日は三人の参考人の先生、本当にありがとうございました。
 まず、鈴木参考人にお伺いをしたいと思いますが、今も少しやり取りがありましたけれども、その利用という点ですね、利用主導の宇宙開発云々という話がありました。今何を目的にやっていくかということもありましたが、具体的にその目的というのは何になるのか。お話の冒頭のところで無人機の問題だとかミサイル防衛ということもありましたけれども、それ以外も含めて、一般的なイメージでいうと気象だとか、それが転じて災害対策に使えるだとか、いろんなものもあるかと思うんですが、どういったものがあるのか御紹介いただければと思います。
○参考人(鈴木一人君) 宇宙利用に関しては、既にもういろんな形で使われているのが現状ではあると思います。
 日本の場合、主に気象とか通信、それから測位衛星もこの間「みちびき」が打ち上がりまして、この宇宙利用というのは進んでいっているんですが、これから多分開けてくるのは、例えば先ほど無人機って言いましたけれども、軍事用の無人機だけじゃなくて、今ドローンというのは例えば農業ですとか建設業ですとか様々なところに使われるようになっておりますし、例えば自動車の無人運転、こういったものも今アメリカのGPSですとか「みちびき」のデータを使ってやっていくと。とりわけ「みちびき」は非常に精度が高いので、車のGPSというのは差分があってかなりアバウトに位置を把握してしまうので、例えば車の自動運転をするときに車線をきちんと分けることというのはなかなか難しいんですが、これは「みちびき」使うとできるようになるですとか、様々なそういうことって既存の衛星でもできることは多々あると思います。
 ただ、これから例えば新しい技術開発、利用を目指した新しい技術開発ですと、例えば通信衛星は、日本がまだ獲得していない技術としてハイスループットというものですとか、あと、これは要するに大容量の通信ですね。これは通信ですので、様々な用途に使えます。これは携帯電話もそうですし、様々な、例えばCS放送、テレビの放送なんかでも使えますし、インターネットでも使えます。それ以外にも、例えば衛星の電化ですね。イオンエンジンというのを使って衛星の寿命を長くする、つまり軽い燃料で衛星を長く使うといった。
 細かいことを言うと全く切りがないんですけれども、利用というのは、宇宙でできることというのは基本的に電波を飛ばすですとか信号によって地球上で何かをやるという、こういうことですので、それは様々な産業アプリケーションがあるだろうと。地図を作るでもいいですし、農業でもいいですし、これは私というよりは、もうまさにいろんな人たちがそれを考えてやっていくことだと思っています。
 今、特にアメリカのベンチャーで目指しているのはやっぱり、先ほど言った石油タンクじゃないんですけれども、非常に高頻度に写真を撮る。今までは一日に一回とか二日に一回しか撮れなかったものを、例えば数時間ごとに撮ることができるというようなサービスを提供することによって、例えば移動するもの、大きな例えば家畜の群れですとかそういうものを追っていくとか、船の動きを追っていくですとか、そういったものまでできるようなサービスをするという。こういうような考え方で利用の展開というのはいろいろあると思います。
○武田良介君 ありがとうございます。
 具体的な専門的なところは全て分からなかったところもありますけれども、非常に多目的にといいますか、様々な用途で利用できるのかなというふうに思っております。
 それで、引き続きもう一つ鈴木参考人にお伺いしたいと思いますけれども、JAXAのお話もありました。国会で、二〇一二年だと思いますけれども、JAXA法が改定されるということがありました。これは、改定されたときに、目的のところに平和の目的に限りということでJAXAがこれまでやっていたものが、そこの文言が削除されるという点だとか、必要な措置を主務大臣が求めることができる、この主務大臣に総理大臣も含めて入っているということ等々が国会で審議されたというふうに理解をしております。
 こういった問題がとりわけ軍事利用に傾斜する、平和の目的に限りというところが削除されてですね、ということは非常に懸念をしているところでありますけれども、この必要な措置を求めることができるというのが先ほどの利用の話ともちょっと重なってくるところありますが、このJAXA法が改定された以降、どのような、必要な措置というのは求められたことがあるのかないのかとか、JAXAが今どのように変わってきているかだとか、そういったところがあればお教えいただければと思います。
○参考人(鈴木一人君) JAXA法の改正以降、JAXAと防衛省の関係というのはそれなりに進んできているとは思います。
 このそれなりにというのもなかなか難しいんですが、一つは先ほど紹介したSSAですね。宇宙空間を監視する能力というのは元々JAXAにしかなかったもので、防衛省にはそういうものがなかったので、これはもうある意味JAXAと防衛省が協力をして、宇宙状況監視をするということに今両者が協力してやっているという、こういうこともありますし、また、今防衛省が進めている二波長赤外センサーといってミサイルの発射を探知するためのセンサーなんですけれども、この開発なんかも、基本的には防衛省がやっているんですけれども、その宇宙に関する部分でJAXAとの協力というのは進んでいるというふうに理解をしております。
○武田良介君 ありがとうございます。
 安部川参考人にお伺いしたいと思うんですが、テロが許されないことは当然でありまして、どう対応するのかということは非常に大事かなというふうに思いますが、改めて、基本的なことですけれども、今本当にいわゆる紛争国だけではなくて先進国でもテロが起こるという状況になってきているかなというふうに思います。
 これは、端的にいつ頃から、いつ頃からといいますか、何をきっかけに、いつからそういったことが起こってきているのか、またそういう背景は何があるのかということを、お考えをお聞かせいただければと思います。
○参考人(安部川元伸君) 国際テロリズムは、アルカイダ、イスラム国、今その辺が主流になっておりますけれども、テロの類型はいろいろございます。民族系のテロとかイデオロギー、冷戦時代のテロ、いろいろございますけれども、やはり一番問題は、テロには必ず憎悪が絡むということですね、憎しみです。憎しみを晴らすための暴力を使うわけでして、それをどういうふうに癒やすか、あるいは問題を解決するか。
 憎しみをどういうふうに癒やしてあげるかというのは、国のそれぞれの姿勢で一番大事だと思うんです。だから、そういう不満とか、不遇だとか貧乏だとか、学校も行かせてもらえない、大学出てもちゃんとした職業に就けないと、そういった不平を何とか解消してやるということが一番大事なことだと私は思っております。
 先進国で起きているテロというのは、大体、移民がやっていることが多いです。移民は迫害されております。そういう国が多いです。フランス、イギリス、アメリカもそうかもしれません。そういった国で、やっぱり余りいい思いをさせてもらっていないと、そういった若い人たちがその恨みを抱いて、それをまたうまく刈り取っていくのがテロリストです。テロリストはそういったところを狙って仲間に引き込んでテロをやっていく。先進国型のテロは、まさにそういったところだと思います。
 以上です。
○武田良介君 ありがとうございます。
 ちょっと時間もあれなんですが、端的にもう一つ。
 そういったことを考えると、やはり軍事攻撃によって報復的なテロが起こる、まあ当然あることだと思うんですが、今ほどのお話でも、貧困の問題だとかがある、やっぱり社会的な要因なんかもある、そういったことが一定見えると、テロを特別警戒しなければいけないような都市というのは世界にやはりあると思うんですね。そういったものは幾つぐらいあるものなのか。それが駅だとかイベント会場だとか、そういうところが狙われるということでいえばもっと増えてしまうのかもしれませんが、どのぐらいあるものなんでしょうか。
○参考人(安部川元伸君) 数はよく分かりませんけれども、テロリストが今言っていますことは、ソフトターゲットといいますけれども、警備が余りしっかりしていないところ、例えば鉄道の駅とかバスの中とかそういったところ、野球のスタジアムなんかもそうだと思いますけれども、そういったところでテロをやれと言っています。それは、武器は何でもいいと。要するに、爆弾でなくても、ナイフでもいいんだ、かみそりでもいいんだ、おのでもいいんだ、そこにあるもの、こん棒でもいいんだと、そういうものでやりなさいというのが彼らの指令です。
 なぜかといいますと、大規模なテロを計画しますと必ず警察に探知されてしまうんですね。実行前に潰されてしまうと。それはテロリストにとっては一番嫌なことですね。やっぱり成功したいんです。自爆にしろ自爆でないにしろ成功したいものですから、そういうふうに警察に探知されないような形でテロをやるというのが主流です。
 そうすると、人口がいっぱいあるところ、人通りが多いところ、そういったところでレンタカーを使ってひき殺すというようなテロもありますし、いろんな手口があると思いますけれども、やはり人が多いところ、外国人が多いところ、自分たちにとって敵意があるというようなところですね、警察署とか軍隊のある基地、そういったところを攻撃するというのは常套手段だと思います。
 よろしいでしょうか。
○武田良介君 時間ですので。ありがとうございました。

(中略)

○武田良介君 先ほど時間の関係で忍足参考人だけ聞けませんでしたので、端的に一つだけお聞きしたいと思います。
 お聞きしたいのは、要は、現地の他国のNGOの方が、日本の、先生、なかなか一貫性がないというお話もありましたけれども、そういった日本の政策どう見ているのかということをお聞きしたいんですが、幾つかありますけど、とりわけお話の中にあったインフラ整備、道路の建設なんかを自衛隊がやっていると、いや、あれはJICAでいいんじゃないかという話がありましたけれども、ああいった問題。あの問題については、現地の他国NGOの皆さんはどういうふうに御覧になっているのでしょうか。
○参考人(忍足謙朗君) 私、スーダンにいたんですけれど、それは南スーダン独立前なので自衛隊が入る前だったんです。直接的な印象はないんですけれど、周りの知っている連中とかに聞くと、自衛隊がやってくれているそのインフラ整備みたいな道路の修復とか、もう本当に有り難いとは思っているんですが、ただ、それがほかの国連のPKOとはちょっと違う形でいる。
 いつか、国内避難民ですか、戦闘みたいなのが行われてわあっと国連のPKOの陣地に入ってきたときも、ほかのところはそれを受け入れたけど日本は受け入れないとか、いろんな独自の活動になってしまうので、それに対して、じゃ、みんな理解しているのか。そこは、PKOの内部の人間、ほかのWFP、ユニセフ、UNDP、UNHCR、いろんな組織がそこで、同じところで仕事して、外国のNGOも仕事をしている。みんなどういうふうに見ているのかなというのをやっぱり我々気にしなくちゃいけないんじゃないかということです。
○武田良介君 ありがとうございました。
 そういう連携が取られた形で日本も仕事ができるということが大事だということでよろしいですかね。はい、分かりました。
 また今後ともいろいろ勉強させていただきたいと思います。ありがとうございました。

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