国会質問

質問日:2018年 5月 9日  第196通常国会  国際経済・外交調査会

日本は核兵器禁止条約に参加し外交戦略を持つべきと意見表明

南北首脳会談、そして日中韓首脳会談が行われるなか、国際経済外交調査会で意見表明。
日本が核兵器禁止条約に参加し、そのイニシアチブをとることなど、外交戦略を持つべきであることを求める意見を表明しました。

議事録

 日本共産党の武田良介です。
 本調査会の中間まとめに対する意見を述べます。
 本調査会が参考人質疑を行ってきた間にも国際社会は大きく動き出しています。その代表的なものは、北朝鮮と韓国の南北首脳会談であり板門店宣言だと思います。南北首脳会談は、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和体制の構築に向けて大きく前進をしました。私は、こうした流れを心から歓迎したいというふうに思います。
 参考人質疑を振り返れば、それぞれ参考人からはこうした現実の変化を示唆する重要な指摘がなされていたことに気付きます。
 二月十四日の調査会では、外務省から今年二月九日に平昌で行われた日韓首脳会談に関する報告が行われ、文大統領の方から、南北の対話について、これは非核化をぼやかしたりするものではない、非核化は最終的にはそこにつながっていかなければいけないということが話されたことが紹介されました。今回の南北首脳会談はまさにそれを現実のものにしたものであります。文大統領からは、続けて、南北が動いているコンテクストで日本も積極的に対話に乗り出してはどうかという発言があったことも報告をされました。これが今まさに起こっている国際社会の流れであり、日本に求められているのではないかというふうに思います。
 朝鮮半島の非核化を考える際に、二月七日に行われた調査会は示唆に富むものだったというふうに思います。ノーベル平和賞を受賞したICANの川崎国際運営委員、参考人は、国連加盟百二十二か国の賛成で核兵器禁止条約が採択されたこと、さらにはそれが北東アジアの非核化に寄与することを述べられました。
 川崎参考人は、今回の条約は、核兵器が使われた場合の結末、何が起こるのか、その非人道性ということをベースに国際人道法の考え方で作られた条約であり、誰が使おうと結末が大変であるというこの視点をきちっと維持していくことが国際社会がこの核兵器に向かうときにぶれない一線になると思う、そのぶれない線を出せるのは、やはり被爆国の日本であろうというふうに思いますと、こう述べられました。唯一の戦争被爆国である日本が核兵器の非人道性を訴えることの重要性を説かれています。
 さらに、川崎参考人は、核兵器禁止条約に北朝鮮、韓国、日本の三か国が同時に加入すれば事実上の非核兵器地帯になるとも述べておられます。北朝鮮に関しては、国際監視下で核を放棄すると、そして、韓国と日本に関しては、禁止条約に入れば、これらの両国の国土には核兵器は配備できない、あるいはそれらの国々は核兵器の使用を援助することができないということになりますので、地域の非核化が達成されるとともに核の脅威を大幅に削減するということに寄与しますと、こう述べて、核兵器禁止条約が朝鮮半島、さらには北東アジアの非核化につながることが強調されておりました。
 現実に朝鮮半島で大きな変化が生まれていることを踏まえれば、こうした指摘に耳を傾けるべきだというふうに思います。日本の外交戦略として対話による平和外交に大きく踏み出していくことを基本に、唯一の戦争被爆国として核兵器の非人道性を訴えながら禁止条約に加盟をしていく、北東アジアから世界へその流れを広げていくべきだというふうに思います。
 最後に一点だけ、気候変動に関する問題です。
 気温上昇を二度未満に、今世紀の後半には脱炭素社会を実現するということを目標としたパリ協定が採択された今日において、気候変動に対する対策、野心的な目標を掲げ実行していくことが国際社会の最重要課題の一つになっているというふうに思います。本調査会でも、国立環境研究所の江守参考人から、パリ協定は人類が化石燃料文明を今世紀中に卒業しようという決意だということが述べられました。
 気候変動に対して、気温上昇を二度以下に抑えるための緩和策の重要性は言うまでもないと思います。江守参考人は、石炭火力は減らし、今世紀中には再生可能エネルギーに置き換えられていくことがパリ協定の目標を目指す上では必要になってくるということも述べられました。これは石炭火力発電を減らしていくことが国際社会の共通の課題にもなっている下で当然の指摘だというふうに思いますし、こうした指摘に真摯に向き合うのであれば、インドやベトナム、インドネシアへの石炭火力発電のプラントの輸出支援を始め、エネルギー政策を見直していくことも喫緊の課題になってくるのではないかというふうに考えております。
 以上、大きく二点の意見を表明させていただき、私の意見とさせていただきたいと思います

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