国会質問

質問日:2018年 5月 23日  第196通常国会  本会議

気候変動適応法案質問 首相の加計学園疑惑、柏崎刈羽原発再稼働、石炭火力発電所建設など追及

参議院本会議で質問しました。

加計学園の獣医学部新設に「いいね!」と話す安倍首相の発言が記された愛媛県提出の資料に対し、官邸の入邸記録はないと繰り返す菅官房長官。
新潟県柏崎刈羽原発の再稼働について、住民の反対の声にも「安全と判断されたものは再稼働」との政府の立場を述べる世耕経済産業大臣。
パリ協定の目標達成のために、石炭火力発電所の新設はやめますと言えない中川環境大臣。

安倍政権を倒すしかないと改めて実感した本会議質問となりました

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柏崎刈羽再稼働するな 「許可は誤り」県民の声紹介

議事録

○武田良介君 日本共産党を代表して、気候変動適応法案について質問します。
 法案質問に先立って二点お聞きします。
 本院予算委員会の求めに応じて愛媛県が提出した文書には、二〇一五年二月に安倍総理が加計孝太郎氏と面談し、加計学園への獣医学部計画について総理が説明を受け、いいねと応じたと記されています。加計問題に関して、総理と政府が国会を一年以上にわたって欺き続けてきたとの疑いを決定的に深めるものであり、総理の進退に関わる重大な問題です。
 菅官房長官は、当時の官邸の入邸記録が破棄されているため面会は確認できなかったと会見で語りました。記録がないということは、面会の事実を否定する根拠もないということですね。
 記憶もない、記録もないと居直るのはいいかげんにやめてもらいたい。物的証拠として明らかにされた数々の文書は、全て加計ありき、官邸ありきを裏付けているではありませんか。うそ偽りなく国民と国会に誠実に真実を語るときです。その姿勢はありますか。
 以上、官房長官の答弁を求めます。
 真相究明のため、加計孝太郎氏、柳瀬唯夫元総理秘書官の証人喚問、中村時広愛媛県知事の参考人招致は不可欠です。与党が応じれば実現できるのです。その決断を強く求めるものです。
 もう一点、新潟県柏崎刈羽原発問題です。
 原子力規制委員会は、昨年十二月、柏崎刈羽原発六、七号機が新規制基準に適合したとして設置変更許可を出しました。ところが、東京電力は、許可後に、安全上重要な施設であるフィルターベントの基礎部分などが液状化で損傷する可能性があると言い出しました。同原発は、中越沖地震の経験も経て、豆腐の上の原発と表現されるほど緩い地盤の上に立つ原発であることが指摘されてきました。原子力規制委員会が許可を出したこと自体が誤り、再稼働反対の声が広がっています。政府は、この県民の声を押し切るつもりですか。経産大臣の答弁を求めます。
 本法案は、気候変動による幅広い分野での影響が指摘されている下で、それに対する適応策の推進を図ろうとするものです。それ自体は当然です。
 気候変動枠組条約締約国会議、COP21において、国連加盟百二十二か国の賛成で採択されたパリ協定では、気候変動対策として、温室効果ガスの排出削減対策である緩和策と、気候変動の影響による被害の回避、軽減策である適応策を一体的に位置付けています。これに基づき、諸外国では、緩和策と適応策を一体とした対応を取っています。しかし、本法案は緩和策と切り離して適応計画だけを整備するものとなっています。なぜ、緩和策と適応策を一体に位置付けなかったのですか。緩和策との一体的推進が必要ではありませんか。
 気候変動対策で優先すべきは、温室効果ガスの排出削減である緩和策です。緩和策が最大の適応策であると考えますが、どうお考えですか。
 以上、環境大臣の答弁を求めます。
 緩和策をどう進めるかについてお聞きします。
 パリ協定は、地球上の気温上昇を二度以内に抑えるという目標を示しています。しかし、現在各国が示している温室効果ガスの削減目標を合わせると、二度目標を達成できないことが指摘されています。しかも、日本の二〇三〇年までの削減目標は、一九九〇年比で一八%削減と、他の先進国に比べて非常に低いと批判されています。
 パリ協定の目標達成は、日本の国際社会に対する約束です。日本は世界第五位の温室効果ガス排出国です。環境大臣、日本の削減目標を引き上げるべきではありませんか。
 石炭火力発電は、政府が幾ら高効率のものに限ると言っても、LNG火力発電の約二倍のCO2を排出します。その石炭火力発電所を日本国内で新設しようという案件が二〇一二年以降で約四十基もあることは、とても信じられません。石炭火力発電所は、新設すれば稼働年数四十年とも言われます。国内に多数の新設計画がありますが、これを今認めてしまえば、二〇五〇年を越えて、大量のCO2を排出することになってしまいます。
 環境大臣は、石炭火力発電所の建設に関する環境アセスの意見で、是認し難いと繰り返し述べてきました。そうであれば、石炭火力発電所の新増設は認められないと明言をし、中止をさせていくべきではありませんか。
 石炭火力を海外に輸出しようとしていることにも、国際社会から厳しい目が向けられています。石炭火力発電所の海外輸出推進をやめさせる立場で対応すべきではありませんか。環境大臣、お答えください。
 温室効果ガスの排出削減の足かせになっているのがエネルギー基本計画です。
 経産大臣にお聞きします。
 経済産業省のエネルギー基本計画を議論する審議会が発表した第五次エネルギー基本計画案では、石炭火力発電を重要なベースロード電源と位置付けて、二〇三〇年の電源構成でも二六%としています。石炭火力をベースロード電源と位置付けていては、温室効果ガスの削減に本腰が入るはずがありません。改めるべきではありませんか。
 エネルギー基本計画は、原発についてもベースロード電源と位置付けています。原発依存が再生可能エネルギーの普及への足かせとなるとの認識はないのですか。
 原発の電源構成は二〇三〇年に二〇%から二二%としています。そのためには原発を約三十基動かさなければならないという指摘もあります。計画では依存度を可能な限り低減するとしていますが、実際には原発の再稼働を推進する計画ではありませんか。
 再生可能エネルギーについては、二〇三〇年の電源構成で二二%から二四%とされました。国際的に見て余りにも低いこの目標をもっと引き上げるべきではありませんか。前回のエネルギー基本計画から二〇三〇年の電源構成は変わっていません。これでは、再生可能エネルギーを普及させる姿勢がないと言わざるを得ません。当面、少なくとも二〇三〇年に再生可能エネルギーを四〇%まで引き上げるべきです。
 以上、経産大臣の答弁を求めます。
 緩和策を重視するとともに、適応策を実効性あるものとするため、環境大臣にお聞きします。
 地方公共団体、とりわけ市町村段階では、気候変動による影響モニタリングや将来の影響をシミュレーションする体制を整備できないことが課題となっています。地域では、情報や人材、ノウハウ、財源も不足しているのが現状であり、国の財政的、技術的な支援が不可欠であると考えますが、国はどう支援をされますか。
 実効性のある適応策を推進するためには、科学的評価に基づく対策の推進が必要です。正確な科学的評価のため、情報基盤の整備と評価手法の確立が重要となりますが、どのように進めていくのですか。
 気候変動は、既に地球規模での大問題として生起しています。パリ協定の掲げた目標を達成するために、日本が率先して取り組む必要性を重ねて訴えて、質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣中川雅治君登壇、拍手〕
○国務大臣(中川雅治君) 武田議員より、大きく六問御質問いただきました。
 まず、緩和策と適応策を一体的に位置付けない理由、一体的推進の必要性、また、緩和策が最大の適応策であるとのお考えに対する認識についてのお尋ねがありました。
 緩和策と適応策は、車の両輪というべき関係にあり、それぞれ個別の法制度に基づいてしっかりと推進すべきものです。
 緩和策については既に地球温暖化対策推進法に基づく対応が進められていますが、適応策についてはこれまで法的な位置付けがありませんでした。このため、地球温暖化対策推進法と今回の法案により、緩和策と適応策を車の両輪として進めるための法的基盤を整えることとしたいと考えております。
 また、緩和策が最大の適応策とのお考えに関して、緩和策が重要であることは言うまでもないことであり、それは既に地球温暖化対策推進法に明記されているところです。
 地球温暖化対策推進法と今回御審議いただく本法案の二つを礎に、緩和策と適応策を共にしっかりと推進してまいります。
 次に、削減目標の引上げについてのお尋ねがありました。
 パリ協定は、二度目標の達成のため、今世紀後半に温室効果ガスの実質排出ゼロを目指して各国の取組を前進させていく歴史的な枠組みであり、この趣旨を十分に考慮し、全ての国が脱炭素化に向けて取り組んでいくべきと考えております。
 我が国においては、平成二十八年五月に閣議決定した地球温暖化対策計画に基づく取組を着実に実施し、まずは二〇三〇年度二六%削減目標を達成することが重要です。
 また、同計画では、対策、施策の進捗状況を毎年厳格に点検するとともに、少なくとも三年ごとに目標及び施策について検討を行い、必要に応じて計画を見直すこととしております。
 パリ協定の目指す脱炭素社会の実現に向け、温室効果ガスの国内での大幅な排出削減を目指すとともに、世界全体の排出削減に最大限貢献してまいります。
 次に、石炭火力発電についてのお尋ねがありました。
 石炭火力発電は、最新鋭技術でもCO2排出係数が天然ガス火力の約二倍です。また、御指摘のとおり、我が国においては多数の新増設計画があり、仮にこれらの計画が全て実行されると、我が国の二〇三〇年度の削減目標の達成は困難となります。
 さらに、世界の流れを見ますと、パリ協定が発効し、諸外国で石炭火力発電に対する抑制の動きがある中、ビジネスも投資家も脱石炭に向けてかじを切っております。こうした中で、二〇五〇年八〇%削減、そして、その先の世界全体での脱炭素社会の構築に向けて、石炭火力発電は抑制し、さらには、CCS付き石炭火力発電以外は卒業していく必要があると考えています。
 こうした認識の下、環境省としては、今後も石炭火力発電の新増設については引き続き厳しい姿勢で臨んでいきたいと考えております。
 次に、石炭火力発電所の海外輸出についてのお尋ねがありました。
 我が国は、パリ協定を踏まえ、世界の脱炭素化をリードしていくため、相手国のニーズに応じ、再エネや水素なども含め、CO2排出削減に資するあらゆる選択肢を相手国に提案し、その選択に応じた支援を行います。その際、我が国としては、再エネ、水素の促進に積極的に取り組んでまいります。
 こうした提案、支援を含めた低炭素型インフラ輸出を積極的に進める中で、エネルギー安全保障及び経済性の観点から石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限り、当該国から我が国の高効率石炭火力発電への要請があった場合には、OECDルールも踏まえつつ、相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的な形で、原則、世界最新鋭である超超臨界圧以上の発電設備について導入を支援することとしております。
 一方、世界に目を向けると、石炭火力発電所に対する新規融資の中止や融資を引き揚げる動きが続いております。こうした世界の潮流にも目を向け、我が国においても石炭火力発電所への融資については適切な対応を取っていくことが必要と考えております。
 次に、地方公共団体への支援についてのお尋ねがありました。
 気候変動の影響は、地域の気候や社会経済状況により異なることから、地域レベルのきめ細かな気候変動影響の予測に基づき、地域の実情に応じた適応策を進めていくことが重要です。
 このため、環境省は、農林水産省、国土交通省と連携し、地域における気候変動影響の将来予測に関する調査や科学的知見に基づく適応策の検討を進めることなどにより、地方公共団体の取組を支援してきました。
 引き続きこのような支援を行っていくとともに、計画策定マニュアルの作成、提供、国立環境研究所による気候変動影響に関する情報の提供等の技術的サポート、地域協議会を通じた優良事例の共有や地域の関係者による連携協力の推進などを通じて、地方公共団体における適応策の実施を後押ししてまいります。
 最後に、気候変動の影響に関する科学的な評価のための情報基盤の整備と評価手法の確立についてのお尋ねがありました。
 気候変動は、農業、自然災害、生物多様性など、様々な分野に影響を及ぼします。これらの分野に対して影響評価するためには、環境分野だけでなく、気象、農業、防災など、様々な分野の科学的知見を充実し、集約する必要があります。
 このため、国立環境研究所が中核となって、国や地方の関係研究機関との連携協力体制の構築を図り、気候変動適応情報プラットフォームに情報を集約して情報基盤を整備し、様々な気候変動の影響に関する情報を提供してまいります。
 また、国立環境研究所に集約、蓄積した情報や関係する最新の科学的な知見を踏まえ、おおむね五年ごとに中央環境審議会の意見を聴いて、気候変動の影響を評価することとしています。この中で、科学的な知見の充実に合わせて評価手法も改善しつつ、気候変動の影響の評価を行ってまいります。(拍手)
   〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕
○国務大臣(菅義偉君) 愛媛県の文書についてお尋ねがありました。
 官邸への入邸記録については、使用目的終了後、遅滞なく破棄する取扱いとされております。
 その上で、平成二十七年二月二十五日に加計理事長が官邸に来訪したかどうかについて、念のための、当時の入邸記録が残っていないか調査を行いましたが、確認できませんでした。
 御指摘の総理の面会につきましては、既に総理御自身が、平成二十七年二月二十五日、加計理事長とお会いをしたことはありませんと説明されているとおりであります。
 加計問題に関する政府の説明姿勢についてお尋ねがありました。
 今回のプロセスは、特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定、いずれについても関係法令に基づき適正に行われました。
 事業者の選定等のプロセスを主導した八田座長を始め民間有識者の皆さんは、一点の曇りもないと繰り返し述べておられるとおりであります。
 政府としては、国民の厳しい目線が向けられていることをしっかり受け止めながら、今後とも、事実に基づき丁寧な説明を心掛け、説明責任を果たしてまいりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕
○国務大臣(世耕弘成君) 武田議員にお答えいたします。
 柏崎刈羽原発の再稼働についてお尋ねがありました。
 柏崎刈羽原発六、七号機については、昨年十二月に設置変更許可を取得し、現在、原子力規制委員会によって安全審査が行われているものと承知をしております。
 原子力発電所については、高い独立性を有する原子力規制委員会によって、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針です。
 いずれにせよ、政府としては、再稼働に当たっては、引き続き、立地自治体を始め関係者の声にしっかり耳を傾けるとともに、国民の皆様に丁寧な説明を尽くし、幅広い理解が得られるよう、粘り強く取り組んでいきます。
 石炭火力発電についてお尋ねがありました。
 第五次エネルギー基本計画では、石炭火力をベースロード電源と位置付けています。これは、石炭火力や原子力などのベースロード電源、LNG火力などのミドル・ピーク電源、再生可能エネルギーをうまく組み合わせることで3EプラスSを同時達成することが電力供給上は重要であることを示しています。
 石炭火力は、安定供給や経済性の面で優れており、一定程度の活用を図っていくことが適切ですが、CO2という環境面での課題があることから、一定の歯止めも必要と考えています。
 環境面での課題については、環境省とも合意の上、エネルギー供給構造高度化法と省エネ法による新たな規制の枠組みを導入したところです。今後も、この枠組みに基づき、着実に石炭火力発電の活用を図ってまいります。
 原子力発電と再生可能エネルギーの普及についてお尋ねがありました。
 我が国の電力供給は、東日本大震災後の原子力発電所の停止等により、化石燃料に八割以上も依存する構造となっており、エネルギー安全保障、温暖化対策、発電コストといった面で大きな課題に直面をしています。
 再エネと原子力を二者択一のものと捉えるのではなく、エネルギーミックスにおけるゼロエミッション電源比率四四%の実現に向け取り組んでいくことが必要と考えます。
 エネルギー基本計画と原発再稼働についてお尋ねがありました。
 現行のエネルギー基本計画及び新たなエネルギー基本計画の素案において、原発依存度については、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させることとしています。
 また、将来のエネルギー需給構造の見通しを示したエネルギーミックスでは、東日本大震災前に約三割を占めていた原発依存度は、二〇から二二%程度へと大きく低減することとしています。
 原発については、安全性が最優先です。そのため、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた原発のみ、地元の理解を得ながら、再稼働を進めてまいります。
 エネルギーミックスの再エネ比率についてお尋ねがありました。
 エネルギーミックスで掲げる二〇三〇年度の再エネ比率二二から二四%を国民負担約三兆円で実現するということは、欧州と比べて日本の再エネコストがいまだ高い中で、国民負担の抑制を図りつつ、水力を除いた再エネ比率を現在の二倍にするという極めて野心的な水準です。
 仮に二〇三〇年再エネ比率四割を実現する場合、単純に試算をすると国民負担の水準も現在の想定の二倍近くとなることから、コスト低減の道筋が明確になって初めて、再エネ比率四割という目標が現実味を帯びてくるものと考えられます。
 エネルギーミックスで示した比率以上の再エネの導入が阻害されるものではありませんが、まずは、エネルギーミックスの実現に向けて、入札制の活用など、コスト低減の取組を強化しつつ、系統制約の克服や調整力の確保などの再エネ導入拡大の取組を一つ一つ進めてまいります。(拍手)

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