参議院予算委員会で、3月11日を前に、岩渕友参議院議員とともに、原発ゼロの政治決断を求めて質問しました。
「再稼働やめるべき」とストレートに質問しましたら、「政府の方針ですから」と当たり前のように再稼働させる姿勢を露にしました。
もちろん、「安全が大前提」ということは繰り返しました。
安全も何も、浜岡原発は東海地震の震源域の真上であり、柏崎刈羽原発は、炉心のひび割れを改竄・隠蔽したり、メルトダウンを隠したりと隠蔽体質一つみても、原発を運転する資格などないということは明らかです。
世耕大臣は、「安全は規制委員会がみるもの」といい続け、推進官庁・経産省のトップとして原発はやめるという姿勢を一切示しませんでした。
政府・経産省の姿勢が改めて実感されました。原発ゼロを実現するには、安倍政権を倒すしかありません。
選挙で原発ゼロを実現する!ために、頑張ります。
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議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
福島第一事故を経験して、人類は原発と共存できないということが多くの国民の皆さんが共通に経験したことだというふうに思うんです。
東京新聞が三月三日付けで報じた世論調査では、原発について、即時ゼロとそして将来ゼロというのを合わせて七五%になっています。一方で、エネルギー基本計画では原発をベースロード電源と位置付けています。二〇三〇年の電源構成で原発を二〇%から二二%使うと、これをやろうと思ったら、原発は再稼働することになります。しかし、世論は原発ゼロということです。原発はなくさなければならないというふうに思うんです。
この世論をしっかりと受け止めるのであれば、世耕大臣、原発ゼロの政治決断をするべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(世耕弘成君) これは、もう既にエネルギー基本計画という形で閣議決定をされているとおり、原発への依存度はできる限り下げますけれども、一方で、CO2を減らす、電力のコストの問題、そういったこともあります。ただそれを安全最優先でしっかりと取り組んでいくということに尽きるというふうに思っています。
○武田良介君 先ほどの質問でも福島の実態をあれだけ突き付けられて、まだ原発をやめるというふうに言えないということは、本当に許されない態度だというふうに私は言いたいと思います。
経団連の中西会長が看過できない発言をしております。中西会長は、二月十四日、静岡県の御前崎市の浜岡原発を視察した際に、原発と原爆が結び付いている人にこれを分けて理解していただくのは難しいという発言をしています。
再稼働が進まないのは住民が原発と原爆を勘違いしている、同一視しているからとするような発言であって、これ絶対に看過できないというふうに思うんですが、これ、経産大臣として中西会長のこの姿勢、どのようにお考えですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 御指摘の中西経団連会長の御発言については、先月二十五日、御自身が会見において、表現自体が不適切だったと発言をされたというふうに承知をしています。もうこの御自身の発言に尽きるんではないかというふうに思います。
少なくとも、私は、そのような、最初の発言でおっしゃったような感覚や認識は全く持ち合わせておりません。
○武田良介君 不適切だったというふうに表明しているのは私も承知をしております。ただ、そうだと言って陳謝している程度であって、中西さんのこの発言そのものは撤回しているわけでもありませんし、それではやはり本質が分かっていないというふうに私は言わざるを得ないというふうに思うんです。
住民が再稼働に反対しているのは、これ、同一視しているからではありません。福島の原発事故の被害を見ているからであって、同一視しているからではないということだと思うんです。そのことが理解できない中西氏は、福島の事故の反省がないというふうに私は言わざるを得ないというふうに思いますし、そういう人物に再稼働を論じる資格はないというふうに私は言っておきたいというふうに思います。
中西会長の言わんとすることは明白だと思うんです。一月十五日の会見を見ますと、安全性の議論が尽くされても地元の理解が得られない状況に立ち至っていると、こういう発言もされております。
結局、これも地元の理解が得られないから再稼働が進まないということのいら立ちを表しておられると思うんですが、世耕大臣にお聞きしたいと思うんですけど、この発言の中にあります安全性の議論が尽くされた状況というのはあるんでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 安全性というか、我々は、過去、その安全神話に陥って大きな事故を起こしたわけでありますから、そういう意味では安全性について終わりはないというふうに思っています。常にチェックをし、常に安全性を高めていくという姿勢が私は重要だというふうに思っています。
○武田良介君 安全性が尽くされたという議論はないということでよろしいですね。
○国務大臣(世耕弘成君) 少なくとも、安全性が尽くされたという感覚を私は持つつもりはありません。常に更に高い安全性を求めていく姿勢こそが重要だというふうに思います。安全神話に陥ることが二度とあってはならないというふうに思っています。
○武田良介君 今日は東京電力の小早川社長にも来ていただいておりますが、東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働を進めようということで、六号機、七号機設置変更許可を出し、今再稼働に向けてやられておられるところですが、東京電力で安全性の議論が尽くされた、そんな状況はあり得ますか。
○参考人(小早川智明君) 当社は福島第一原子力発電所の事故の当事者として、安全に終わりがないと考えております。事故の反省と教訓を基に、昨日よりも今日、今日よりもあしたと、日々安全の向上に努めてまいる所存でございます。
その上で、現在、柏崎刈羽原子力発電所六号及び七号機につきましては、規制委員会による適合性審査が継続中でございます。また、新潟県におかれましては、県による三つの検証が進められております。当社といたしましては、審査に真摯に対応してまいるとともに、三つの検証に対しても最大限協力してまいる所存でございます。
○武田良介君 安全性の議論が尽くされたという状況なんてあるわけないんですよ。あるわけないんです。それは政府だって、先ほど大臣もおっしゃったとおり、安全対策に終わりはないと政府は一貫して言ってこられました。
でも、仮に中西さんが、安全性の議論が尽くされている状況と、本当にそういうふうに考えているとしたら、それこそ新たな安全神話じゃないですか。
この発言の撤回求めていただけますか、世耕大臣。
○国務大臣(世耕弘成君) いずれにしても、このエネルギー政策を進めていくのは、これ国の責任の下であります。そしてまた、現場で進めるのは電力事業者なわけであります。我々経産省も電力事業者も、安全対策に終わりはないという明確な考え方を持っております。それに尽きるんではないでしょうか。
○武田良介君 いや、私がお聞きをしたのは、中西会長が安全性の議論が尽くされているというような発言をされているので、撤回を求めてはいかがですか、撤回求めていただきたいと聞きました。
○国務大臣(世耕弘成君) いずれにしても、私、中西会長のその発言の前後とか文脈がちょっとはっきり言って分からないわけであります。中西会長も、これは日立というまさに原子力に関連する産業に従事されている方でありまして、安全対策に終わりはないということはよく御理解だと思いますよ。これ、どういう文脈でどういう含意があっておっしゃっているかというのは、これちょっと、私、今この場では何とも判断いたしかねる。
いずれにしても、経済産業省も電力業界も、安全に終わりはない、安全対策に終わりはないという気持ちで今後もしっかり取り組んでまいりたいと思っています。
○武田良介君 中西さんもよく考えて、そういうふうに考えていないと思いますという話では、これいけないと思うんですよ。
だって、経団連の会長さんですし、日立の会長さんでもあられます。原発のプラント造っているわけですよね、原子炉造っているわけですよね。仮に、本当に安全性の議論が尽くされている、そういう状況なのに、住民の皆さんが原発と原爆を同一視しているから再稼働が進まないんだと、本当にそういうふうに考えているんだったら、これ一大問題じゃないですか。
やっぱり撤回求めるという、それぐらい言っていただけないですか。そういうことだと確認できれば、それは撤回求めるべき発言だとお思いになりませんか。
○国務大臣(世耕弘成君) ですから、どういう、今のお話もちょっと一か月ぐらいまたいだ二つの発言を結び付けられていますよね。ですから、そういう意味で、どういう含意で中西会長がおっしゃったかというのは、これは今私は分かりません。
ただ、少なくとも、常識的に考え、中西さんも日立という原子力の炉のメーカーのトップを務めてこられた方という感覚でいけば、安全に、安全対策に終わりはないという考えは当然お持ちだというふうに思っています。議論を尽くされたとかその辺の、どういう意味でおっしゃっているのか、これちょっと私も現場にいたわけではありませんので分かりません。
○武田良介君 一か月たっているからこそ、私は中西さんの考えが一貫しているというふうに思いますし、それは大丈夫だろうという話だったら、それはやっぱり国だって安全性に対して新たな安全神話に陥っていくということになるというふうに私は本当に思います。
絶対にそれでは許されないというふうに思いますし、この発言された、視察行った先、静岡県の浜岡の原発ですけれども、あそこだって東海地震の震源域の真上にあるというふうに言われているわけですから、住民の皆さんは原爆と同じように考えているから反対しているんじゃないと思いますよ。やっぱり福島の事故があって、同じように原発事故が起こってしまったらどうなるのかということを考えているから反対しているのであって、再稼働は絶対に許されないということを重ねて言っておきたいというふうに思います。
経産省にお伺いしますけれども、東京電力の柏崎刈羽原発、規制委員会から新規制基準に適合すると、いわゆる合格をもらったのはいつですか。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
平成二十九年十二月二十七日に、柏崎刈羽原子力発電所六、七号機につきまして、原子力規制委員会より設置変更が許可されたわけでございます。
○武田良介君 その後、世耕大臣が、年明けてすぐの二〇一八年一月九日付けで、東京電力柏崎刈羽原発六、七号炉の再稼働に向けた政府の方針についてという世耕大臣名の文書を当時の米山隆一県知事に宛てて出しておられます。
この文書にある、原子力政策が直面している最大の課題とは何であると記述しているのか、大臣に該当部分を読み上げ、御紹介いただきたいと思うんですが。
○国務大臣(世耕弘成君) 私が当時、米山知事に宛てた御指摘の文書の中では、ここからがその文書の中の表現になりますが、「原子力政策が直面している最大の課題は、原子力に対する社会的信頼の回復にあります。エネルギー・原子力政策に責任を有する経済産業大臣として、原子力に対する社会の信頼が回復するよう、先頭に立って最善を尽くします。」というふうに書かれています。
○武田良介君 御紹介をいただきましたように、大臣が先頭に立って社会的信頼の回復に努め、この文書そのものの結論は、再稼働を進めてまいりますと、御理解を賜りますようお願い申し上げますという文書が出されております。
しかし、この一年で東京電力柏崎刈羽原発をめぐって起きたことは何なのかということなんです。フィルターベントの装置がその基準地震動に耐えられないということの隠蔽という問題が起こりました。ケーブル火災も起こりました。原子力安全に関わる不適合事案の再発防止対策を放置していたという問題も最近でも取り上げられております。次々と問題が明るみに出ているわけであって、新潟県民の皆さんの怒りは本当に頂点に達しているという状況なんですね。
これ、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、設置変更許可、いわゆる規制委員会による合格が出された後も様々な問題が起こって、新潟県の皆さんは本当にそのたびに怒りに震えておられます。現実は信頼が広がっているとは言えないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 先ほどのように、原子力の安全向上の取組には終わりはありませんので、このレベルまで行けば十分適格性があるといったような基準は持つべきではないというふうに思っています。
その上で、福島第一原発事故の当事者である東京電力に関して申し上げれば、今、柏崎でのいろんなケースをお話しになりましたので東京電力に関して申し上げれば、東京電力が自らの行動を通じて原子力事業に対する信頼を高めて地元や社会の理解を得ていくことが、今後も原子力事業を遂行していく上での大前提になっているというふうに考えています。
東京電力は、福島事故の反省を踏まえて、外部の専門家の監視の下、原子力安全改革の取組を進めてきましたけれども、今御指摘があったような、例えば今年二月にも保安規定違反が発覚するなど、安全性向上に不断に取り組む組織文化が定着したとはまだ言い難いと私も正直思っています。改善すべき点はまだまだ多いというふうに思っています。
東京電力は、経営陣のリーダーシップの下、改めて安全改革の原点に立ち戻って、経営や現場の意識改革を始めとした取組をしっかり進めてもらいたいというふうに考えています。
○武田良介君 理解が得られるような、信頼が広がるような状況にないということでした。
やっぱり、先ほど御紹介いただいた経産省の世耕大臣名の文書からしても理解広がっていないわけですから、これはもう再稼働は認められないというふうにはっきりと言っていただくのが一番いいんじゃないかと思うんですけど、世耕大臣、いかがですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 再稼働に関しては、これはもう国で閣議決定されている方針もありまして、これは独立した規制委員会が新規制基準に照らして適合すると認めたものは再稼働させていく、あくまでも安全最優先で進めていくというのが国の方針でございます。
○武田良介君 国の方針だから再稼働は進めるというふうに言われた。本当に新潟県民の皆さんの怒りを、更にその怒りに火に油を注ぐような答弁だったというふうに私は思いますが。
じゃ、世耕大臣、改めてお伺いしますけど、東京電力に原発動かす資格はあるというふうにお考えですか。
○国務大臣(世耕弘成君) これは、あくまでも規制委員会が判断すべきことだというふうに思っています。これ、経済産業省が再稼働について判断をするということを我々は三・一一の教訓としてやめたわけであります。独立した規制委員会の判断を待ちたいというふうに思います。
○武田良介君 大臣の所見としていかがですか。東京電力はまだまだ十分だというふうに言えないということをおっしゃいましたよね。資格あるというふうにお考えですか。
○国務大臣(世耕弘成君) ですから、再稼働できるかどうかとか再稼働する資格があるかどうかについて私が言及することは、これはもうできないんです。これはまさに三・一一の反省であります。
その上で私が申し上げたのは、今年二月に保安規定違反が発覚するなど、安全性向上に不断に取り組む組織文化が定着したとは言い難いという点ははっきりあると思います。改善すべき点はまだまだ多いというふうに認識をしています。今、おととしに経営陣が替わったばっかりでありますから、新しい経営陣の下で組織文化を根っこから変えるということが重要だというふうに思います。
再稼働の資格があるかどうかについては、これは規制委員会の御判断を待つしかないと思っています。
○武田良介君 規制委員会が適格性の審査をやっているというのは私も知っていますよ。ただ、東京電力のその体質というのをやっぱり改めて考えなきゃいけないと私も思うんです。先ほどはこの一年間ということも言いましたが、それ以前のこともたくさんありましたね。原子炉の炉心の壁のところにひび割れが見付かったけれども、それを改ざんしたという問題もありました。臨界事故の問題もあったけれども、それも隠されていたということもありました。いろんなことがずっとあって、そういう体質ということが言われていた。
しかも、そもそもこのやっぱり福島の事故を起こした当事者なんですね、東京電力は。そういう東京電力がまた新潟で原発を動かそうということに対して、新潟の皆さんが本当に強い怒りを持っているということだというふうに思うんです。
そもそも再稼働に対する住民合意はありませんので、再稼働は非現実的だというふうに思うんです。新潟県がやっております三つの検証、これどういうものか御紹介いただけますか。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
新潟県が行っておられる三つの検証につきましては、三つのテーマがございます。第一に、福島第一原発事故の原因を検証する技術委員会における検証。二つに、健康と生活への影響を検証する健康・生活委員会における検証。三つに、安全な避難方法を検証するための避難委員会における検証。この三つの検証を行って、総括するということで取り組まれていると承知してございます。
○武田良介君 福島第一原発事故の原因の総括ということが目的にちゃんと含まれているということを私、強調しておきたいと思うんですが、この三つの検証が必要だということは一貫した世論になっていますけど、世耕大臣、それはなぜだとお考えですか。
○国務大臣(世耕弘成君) やはり福島第一原発事故の原因、そして原発事故による健康と生活への影響、そして安全な避難方法、この三つの検証をしっかり総括をして、県の原子力行政に資するために設置をされて、そのために行われている検証だというふうに理解をしております。
○武田良介君 お認めいただいたと思うんですが、福島のその原発事故の原因究明が必要だということをやっぱり福島の皆さん思っておられるということだと思うんですね。あっ、失礼しました、新潟の皆さんが思っておられるということだと思うんですね。
その上で、もう一つ、その規制基準だとか原子力規制委員会そのものに対しての信頼もされていないんじゃないかというふうに思うんですが、最後に、更田委員長、設置変更許可が申請されて不合格になったものってありますか。
○政府特別補佐人(更田豊志君) お答えいたします。
原子力発電所本体に係るいわゆる新規制基準に対する適合性審査において不許可となったものは、これまでのところございません。
○武田良介君 そういう状況があるからこそ、本当に国に対しても、本当に原発動かして安全だなんて誰も言えないというふうに多くの国民の皆さんが考えている。だからこそ原発の再稼働は許されないということを考えているということだというふうに思うんです。
原発ゼロの政治決断こそ必要だというふうに思いますし、野党が提案した原発ゼロ法案、審議いただくことを強く求めて、質問を終わりたいと思います。
関連資料
しんぶん赤旗記事「再稼働こそ非現実的/武田氏 政治決断を促す」