武田議員は、米国が今年2月に行った未臨界核実験について「日本は唯一の被爆国なのだから、毅然と抗議すべき」と迫りました。
議事録
○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
安倍総理は、前提条件なしで、条件を付けずに日朝首脳会談を行う旨を表明されております。その際、日朝平壌宣言、先ほどもありましたように、核、ミサイル、拉致問題、そして過去の清算、こういう諸懸案を包括的に解決して国交正常化に向かっていくと、こういう精神に立って積極的な対応を取っていくということが必要であるということを強調したいと思います。
今日は時間に限りがありますので、以下ちょっと絞って質問させていただきたいというふうに思っております。
北朝鮮は、五月の九日にミサイルを発射をいたしました。私は安保理決議に反する軍事的挑発は厳に慎むべきだというふうに考えますけれども、政府の認識をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) この五月の北朝鮮のミサイルは、明確な安保理決議違反でございます。そのために、我が国といたしましては、アメリカを始め国際社会と連携をして、これまで累次の安保理決議の完全な履行並びに瀬取りを始めとする安保理決議の抜け穴をしっかり塞ぐべく、国際的なオペレーションをやってまいりたいと思います。
○武田良介君 国連安保理決議、これが本当に大事だというふうに思っております。
国連安保理決議二三九七は、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も実施しないように求めております。さらに、事態の平和的、外交的かつ政治的解決の約束を表明し、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を容易にするための理事国及びその他の国による努力を歓迎するとともに、朝鮮半島内外の緊張を緩和するための取組の重要性を強調すると、こういうふうにしております。
やはり、この安保理決議の立場で国際社会が一致をして取り組むことが本当に大事だというふうに思いますけれども、大臣の認識、改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野太郎君) おっしゃるとおり、この安保理決議が非常に大事でございまして、国際社会がこの安保理決議をしっかりと履行をする、そして、瀬取りですとか、あるいは北朝鮮の労働者、あるいはサイバーでの仮想通貨の奪取といった抜け穴をしっかりと塞ぐべく、国際社会で連携をしてまいりたいというふうに思っております。
○武田良介君 こういう安保理決議の立場が非常に大事だと思うんですが、昨年六月のシンガポールでの共同声明、ここで一致をした朝鮮半島の非核化、それから平和体制の構築、これが具体化をされました。これを履行するための真剣な協議を続けていくということが本当に大事だと思いますので、そのことを求めたいと思いますし、今の米朝のこの膠着状態をいかに打開をしていくのか、そのためには、この朝鮮半島の非核化や平和体制の構築という、そのことを目指した包括的な合意を交わして段階的に履行していくことが最も現実的な道だということをこれは強調しておきたいというふうに思います。
次に移らせていただきたいというふうに思いますが、トランプ政権が今年二月に未臨界核実験を行ったことが明らかになりました。同政権では二回目の未臨界核実験ということになりますけれども、これ以上の核実験はもうこれ断じて許されないというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) アメリカが未臨界実験を行ったという公表をいたしました。こうした未臨界の実験を行ったものを公表してきているのはアメリカだけでございまして、それ以外の国が実験をやっても公表をしていないというのが現実でございます。
我が国といたしましては、CTBTの発効に向けた取組の重要性を一貫して訴えてきているところでございまして、国連総会に提出する核兵器廃絶決議においてもそうした趣旨を盛り込んできているところでございます。日本としては、引き続きCTBTの発効促進に向け努力を積み重ねてまいりたいと思っております。
その上で、この未臨界実験など核爆発を伴わない核実験の扱いにつきましては、最終的に核兵器のない世界を目指すとの立場から、核軍縮に取り組んでいく中でしっかり検討すべき課題であるというふうに認識をしているところでございます。
○武田良介君 私は、日本は唯一の戦争被爆国なわけですから、こういう未臨界核実験が行われたということに対してやはり抗議をしていくことが本当に必要になってくるというふうに思っているんですが、河野大臣、今公表しているのはアメリカだけというお話もありましたけれども、今回の未臨界核実験についてアメリカからはどのような説明がされているんでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 今、日本は、この我が国を取り巻く厳しい安全保障環境の中で、米国の核兵器を含む抑止力に依存をしている部分があるわけでございまして、日米間では日頃から軍備管理・軍縮、安全保障について様々やり取りをしてきているところでございます。
その詳細につきましては公表は差し控えたいというふうに思っておりますが、日米でこうした問題について様々やり取りをやってきているところでございます。
○武田良介君 NPTの第六条ですけれども、これは核軍備の縮小を約束するということで、核軍備、その縮小の義務を明記しているものだというふうに思います。
一方で、トランプ政権は新たな核態勢の見直し、これに沿って核兵器の近代化、強化のために未臨界核実験を行っているんではないか。そうなると、これはまさにNPTの第六条に反することになるんではないかと。政府としては、アメリカに対して、NPTのこの第六条の核軍縮の義務、これを果たすように迫るというのが、これは私、当然だというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 今回のアメリカの未臨界実験につきましては、オバマ前政権時代に米国エネルギー国家核安全保障管理局、NNSAにより立ち上げられた核備蓄の安全性と有効性の確認のための未臨界実験計画に基づいて実施されたものであると承知をしております。
委員御指摘のNPT第六条につきましては、各締約国が誠実に核軍縮交渉を行う義務を規定しており、我が国が昨年国連総会に提出した核兵器廃絶決議においても、NPT第六条に言及しながら核兵器の全面的廃絶に向けNPTを完全に実施することが重要である旨を強調しているところでございます。
核兵器のない世界を目指すとの立場から核軍縮に取り組んでいく中で、この未臨界実験についてもしっかりと検討すべき課題であると認識しております。
○武田良介君 今回の未臨界核実験に対しまして、例えば広島県の湯崎知事も抗議文を送っておられます。若干紹介したいと思いますけれども、核兵器廃絶を願う広島県民の願いを踏みにじるもので、誠に遺憾であると。その上で、核兵器による徹底した破壊の現実を深く理解していただくため、広島を訪問していただくことを強く求めます。核兵器の使用がもたらすのは悲惨な現実であり、被爆者の苦労は今なお続いていることを理解していただけるはずですというふうに述べておられます。
長崎県の中村知事も抗議文を出しておられますけれども、これまでも核実験を行わないように求めてきたが、繰り返されたことは極めて遺憾であるというふうにいたしまして、長崎県民は一日も早い核兵器廃絶を願っているということを述べておられます。
広島、長崎の両知事がこういう抗議文を送り、立場を明確にしている下で、今、日本政府がその立場を鋭く問われることになっているんだろうというふうに思います。
北朝鮮に対しては、アメリカはですね、北朝鮮に対しては核開発、その放棄ということを求めながら、一方で、アメリカ自身は核兵器の近代化、強化、これを公然と進めることは、朝鮮半島の非核化を目指す今後の交渉に悪影響を与えることになってしまうのではないだろうかと。
日本政府として、唯一の戦争被爆国の政府として、これは、未臨界核実験を行ったことに対して抗議すべきではないかと改めて求めたいと思いますけれども、菅官房長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 我が国といたしましては、引き続き、国際的な安全保障環境の改善や国家間の信頼関係の強化を図りつつ、核兵器国と非核兵器国の双方の協力を得て、核兵器のない世界に向けて一歩ずつ着実に進んでまいりたいと思います。そのために粘り強く努力をしてまいりたいと考えております。
○武田良介君 終わります。