国会質問

質問日:2020年 3月 18日  第201通常国会  国土交通委員会

新型コロナの観光業、宿泊業への影響について質問

新型コロナの観光業、とりわけ宿泊業への影響について、阿智村昼神温泉での声を紹介して質疑に立ちました! 参院国土交通委員会で。

先日の政府第2弾対策では、雇用調整助成金やセーフティネット保証の他は、インバウンド対策のバリアフリー化、キャッシュレス化、多言語表示などの施設整備に補助金を出すもの。
終息するまでを「助走期間」と表現し、これらをいまのうちにせよ、という国交省に対して、「助走期間に立ち行かなくなる」との声をぶつける。ただちに、経営を助けられる直接支援をもとめました。

驚きは、雇用調整助成金。宿泊事業者の方の実際の声だと、宿泊業は従業員の休日を決めにくく、休業計画を立てにくいため申請が難しく、雇用調整助成金をもらえないとのこと。ハローワーク管内で「少なくとも宿泊業で雇用調整助成金をもらった例は1つもない」とのこと。

国は「新型コロナの特例で休業計画を事後提出でもよいことにした」というが、そもそも休業計画をたてられない、社会保険労務士の方も作り方がわからない、という実態もあるとか。

制度はあれど使えない…。具体的な課題を明確にして、一つひとつ乗り越える必要があります

 

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新型コロナ対策 宿泊業財政支援、国も 2020.3.18

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 新型コロナウイルスの観光業への影響、とりわけ宿泊業を念頭に質問させていただきたいというふうに思います。
 質問飛ばしましたり、通告と順番変わりますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まず、観光庁にお伺いをしますけれども、先日発表された第二弾の対策の中では観光業に対してどんな支援策を盛り込んでいるのか、簡潔にポイントを御説明ください。

○政府参考人(田端浩君) お答えいたします。
 観光業に関する支援策としましては、まず、大変厳しい状況に置かれています観光関係事業者が事業を継続できるように、雇用調整助成金の特例措置の拡大や、セーフティーネット保証とは更に別枠で全国、全業種を対象としました保証制度の創設、特別貸付制度の創設などの措置を講じております。
 また、新型コロナウイルスに対する日本の取組や国内観光施設の開業状況などを海外に正確に発信をすべく、これはJNTOのホームページやSNSなどによる情報発信を行うこととしています。
 さらに、感染防止に取り組む期間を積極的な助走期間として位置付けまして、将来の反転攻勢のための基盤の整備、このために、地域ごとの観光資源を生かした魅力的な旅行コンテンツの造成、また、多言語表示あるいはバリアフリー化といった外国人のための受入れ環境整備などを推進するための支援策を盛り込んでおります。

○武田良介君 前段の雇調金だとかセーフティーネット保証の話はありましたけれども、とりわけ後段のところになりますと、やはりこれはそのインバウンド対策としてのキャッシュレス化だとか施設のバリアフリー化といった設備投資になっております。比較的資力のある事業者はこれを使うこともできるかもしれないというふうに思いますけれども、使えない事業者もたくさんいらっしゃるということであります。この第二弾が現場の声に応えるものになっているのかどうかということが最大の問題だと思います。
 私、長野県の阿智村にあります昼神温泉というところに行ってまいりました。是非、大臣にも私が聞いてきた実態、声、聞いていただきたいと思うんですけれども。
 小規模な事業者は予約がキャンセルになることで設備投資どころか目の前の一週間をどう乗り切ろうかという思いなんだと、宿泊がなければ手元に現金がなくなってしまう、しかし従業員の雇用を守らなければならないと、非常に切迫した訴えでありました。
 観光庁に二つ確認したいと思います。
 まず、その小規模事業者が全国にどれだけあるだろうかということを考えるわけですが、宿泊旅行統計調査では全国の宿泊業者の数、小規模事業者の数、どうなっているでしょうか。

○政府参考人(田端浩君) 観光庁では、宿泊事業者の事業者数の規模ごとに宿泊旅行の実態を把握するということを目的としまして、今御指摘ございました宿泊旅行統計調査をこれ毎月実施をしております。
 この施設数でございますけど、平成三十年十二月現在で五万四千三百四施設であります。そのうち、委員御質問ありました従業員数三十人未満の施設ということでいたしますと、十人未満の施設がまず四万一千五百九十七人、十人以上三十人未満、ここが七千四百十六施設となっております。

○武田良介君 今御答弁いただいたものを資料にして付けております。
 全体の規模感として見ますと、七六%が従業員ゼロから九、三十人未満を含めれば九割にもなっているということでありました。
 観光庁にもう一つお伺いをしておきます。宿泊予約のキャンセル状況について、御報告いただけますでしょうか。

○政府参考人(田端浩君) キャンセルの状況でございます。
 今宿泊業は大変影響を受けておりまして、日本旅館協会の二月末時点での調査結果によりますと、三月から五月までの予約数、これが、宿泊キャンセル又は旅行控えをしておりますので、前年同期と比べて約四割減少ということでございます。また、先般、この水際対策、抜本的強化をするということでございますから、更に状況は厳しくなっていると認識をしています。

○武田良介君 大変減っているということでありました。
 私も、ほかにもないのかなということで調べてみまして、資料の二に付けておりますけれども、三月五日の未来投資会議の資料というのでこういうのも出ておりました。これ見ますと、とりわけ日本人の国内旅行のところが大きく減っている、減少が、キャンセルが出ているという状況を見れるかなというふうに思います。
 長野県の阿智村、先ほどの阿智村ですが、村として次のような支援策を三月六日の日にプレスリリースをしております。
 一つ、村内事業者の経営支援として利子補給を拡充する。二つ、相談窓口の設置。三つ、昼神温泉の宿泊事業者に対し、温泉使用料六か月分の納付を免除。四つ、特別誘客対策として、新型コロナウイルス感染拡大の終息局面を見極めながら誘客キャンペーンを行うということで、宿泊助成は割引クーポン五千円を二千人分と。五つ目にして、商工業、農業も含めて支援を今後検討していくというものでありました。村の財政支出があるものは、利子補給、それから温泉使用料の免除、宿泊助成ということで、関連費用は合計で三千九百万円ということでありました。
 そこで、大臣にお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、既に市町村がこうやって始めている支援策に対して、国としても、例えば財政面、こういった面も含めて支援をしていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 何度か御答弁をさせていただいておりますが、観光産業というのは、旅行業、宿泊業のみならず、関連の貸切りバスですとかハイヤー、タクシー、また地元での飲食業、物品業と、大変裾野が広くて、恐らく地域によっては、その観光地が潰れるということはイコール地方の経済そのものが駄目になると。
 今お示しいただきましたところの話もそうですし、私が知る限りでは、山梨県の笛吹市だったと思いますが、石和温泉のあるところなんかも同様なところで、それはやっぱり地域を守るということで、地方自治体がやっていただくというのは大変評価すべきものだと思いますし、そのことについての、これちょっと所掌が多分総務大臣になるかと思いますが、そうしたことも国として、これから第三弾、第四弾の、定かでありませんけど、次なる支援策についてはそうしたことも視野に入れながら、しっかりと支えていかなければいけないのではないかと。
 ただ、私、所管ではありませんので、そうしたことは政府の中で、私からの観光業を守るという観点から意見を申し上げていきたいと思っております。

○武田良介君 自治体の取組を評価するという話、また、第三弾、第四弾、まあ定かではないけれども、次なる手という話もありました。
 なぜ阿智村が特別対策を打ち出したかということなんですけれども、助走期間、そのうちに経営が立ち行かなくなってしまうという、そういう声があるから村は手を打っているということでありました。
 その温泉使用料の免除というのは感染拡大というふうにはなりません。もちろんですけれども、なりません。
 それから、特別誘客対策というのも、確かに村の課長さんも悩んだと言っておりました。行政全体としては自粛と言いながら喚起するわけですから、矛盾しないだろうか、あるいはもちろん感染拡大しないだろうか。しかし一方で、やはり地方の小規模な旅館ほど、イベント自粛だとか、小中学校など一斉休業ということで、一気に窮地に立たされている。今、手元に資金がなければ潰れてしまうという、今まで味わったことのない危機感とおっしゃっておりましたけれども、すぐにお客さんが来てくれる対策を検討した、それが特別誘客対策だということでありました。
 これも何の配慮もなくやっているわけではもちろんありませんで、対象は村民だとか村内に事業所を持っている村内企業の従業員ですとか、そういったところに限っておりますし、もちろん各旅館に感染対策を徹底して、安心で、楽しんでいただける昼神温泉というのを大いにアピールしていこうということもおっしゃっておりました。
 そこで、重ねて大臣に見解を問いたいと思いますけれども、阿智村で始めているような、インバウンドだけではなくて、国内の需要、まあ村内といいますか、これを喚起する対策が必要ではないかというふうに思うんです。先ほど、第三弾、四弾ということもありましたが、その助走期間が終わって間髪入れずにということではなくて、もう今直ちに事業者を直接支援するような、そういう必要があるんじゃないだろうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) 私も地元が有馬温泉のあるところでございますし、城崎温泉も知り合いもたくさんいるので聞いておりまして、ちょっと違うんですけど、キャンセルというのは多分二月ぐらいで収まって、三月以降は予約が入らない、予約がゼロだということで、ですから、キャンセルに対する対価ということよりも違う補償が必要だとか、私が聞いた話では、これちょっと、市に対する、国税じゃないのでなかなかこれも言いにくいんですけど、入湯税ですとか固定資産税、事業所税みたいなものを何とかならないかというようなお話があったり、あとは、小規模、中小規模のところはもちろん体力がないので厳しいという御指摘もそうなんですが、中堅どころ、団体客を専用にしているようなところというのも結構大変で、その部分がキャンセル、なくなっているということと、まあすごく卑近な話なんですけど、部屋数が多いところですと、例えばテレビは全部入れているのでNHKの受信料は全部払わなきゃいけないとか、こうしたことというのは何とかならないかみたいな話は様々伺っております。
 ですから、これ、なかなか、国で何が効果があるのかということを、何というか、適切に、効率的に打っていかなければいけないと思いますが、今言われていることは、環境が収まってから考えるというのではなくて、今からもうずっと全国の運輸局に特別相談窓口を設置しながら、いわゆるプッシュ型でヒアリングもしておりますので、それぞれの地域特性に合った一番効果的な支援策というのを講じながら、今からもう仕込みをしていくとの指示をしておりますので、そうした対策は万全の対策を取っていきたいと思っております。

○武田良介君 迅速な対応を重ねて求めたいというふうに思います。
 厚生労働省に雇用調整助成金について伺いたいというふうに思います。
 宿泊業を始めとした第三次産業では、この雇用調整助成金、使いにくいという声が私の事務所にも届いておりますけれども、そういった実態、どのように把握されているでしょうか。

○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
 雇用調整助成金につきましては、事業主の皆様の負担を軽減する観点から、通常であれば休業を実施する前に添付書類を添えて計画届を出していただくという仕組みでございますが、五月三十一日までの間は休業等計画届の事後提出を認めるですとか、それから添付書類につきましても、今回必要最小限のものに絞り込むといった簡素化に努めているところでございます。
 宿泊業、サービス業を始め様々な業界の方に使っていただけるよう、今後とも丁寧な説明と更なる簡素化にも努めてまいりたいと考えております。

○武田良介君 特例使うことで雇用調整助成金活用できるならばそれでいいんだと思うんですが、私、聞いている現場の声はもう少しリアルでありまして、先ほどの昼神温泉の旅館から寄せられた相談であります。
 そのまま紹介しますが、昨日、これは三月十六日の月曜日になります、この助成金を受けるためにハローワークの担当者を訪ねました。そこで聞いた話はちょっと驚きの内容でした。この助成金の申請は、第三次産業、特にサービス業などの皆さんには大変ハードルが高く、今まで域内で利用されたことはないと。理由として、雇用保険に加入していない非正規のバイトなどは対象にならないこと、事前に従業員と休業協定、休業計画などを立てて提出しなければならないが、一般の企業と違い休日が決まっていないため計画が立てにくい、従業員の出勤形態も接客業のため時間や休日がふぞろいで、助成金の対象として許可するには難しいと。今答弁にも計画届の事後提出を認めるという話があったんですが、それはもちろん徹底していただきたいと思いますけれども、そもそもその計画立てにくいという話なんです。
 今日は政務官にも来ていただいております。雇用調整助成金の支援の枠にはまらない、はじき出されてしまっている方たちもいらっしゃると思います。緊急事態宣言を発出している北海道以外だと、雇用保険の対象にならず働いている方に対しての補償はないと、受けられないということになるわけですけれども、この雇調金の中でも非正規の方も対象にしていくべきではないだろうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○大臣政務官(自見はなこ君) お答えをいたします。
 北海道においては新型コロナウイルス感染症患者が他の地域に比べて多数かつ集中的に発生をしておりまして、感染拡大防止のために知事自ら住民、企業の活動自粛を求める旨の宣言が出されていることは皆様御承知のとおりであります。
 こうした知事による宣言を受けて他の地域にも増して事業活動が抑制されることが見込まれるため、雇用調整助成金の更なる特例として、その地域においては雇用保険被保険者とならない週二十時間未満の非正規雇用労働者に係る休業についても助成対象としたことでございます。今後、北海道と同じような地域が現れた場合には同様の取扱いを実施していくことと考えております。
 なお、小学校等の休業等に伴い職場を休まざるを得なくなった全国の方々に対しては、雇用保険被保険者とならない労働者を含め、休暇中に支払った賃金相当額の全額を支給する新たな助成金を創設したところであり、本日より申請を開始したところでございます。

○武田良介君 時間なので終わりにしたいと思いますけれども、午前中の質疑の中でも、赤羽大臣の方からも、簡易化、迅速化ということのお話の流れの中で、北海道縛りについても大変大きな、たくさんの声を聞いていると、政府部内でもという御答弁もありました。是非、この点では、国交省もよく宿泊業者、それ以外のバス、タクシーも含めて、そのほかの産業も含めてですけれども、しっかり声を聞いていただいて、迅速な対応を取っていただけますように心からお願いを申し上げます。
 質問を終わります。

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関連資料

赤旗記事「宿泊業財政支援、国も/武田氏、小規模旅館の声紹介」

参考資料

国土交通委員会資料20200318コロナ観光