国会質問

質問日:2020年 4月 2日  第201通常国会  国土交通委員会

新型コロナの離島航路への影響、佐渡汽船のジェットフォイルの更新について

新型コロナウイルス感染拡大の影響で利用者が減り、経営が逼迫(ひっぱく)している離島航路の旅客船事業者に、財政面を含めた支援を求めました。

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利用者が減り 離島航路経営が逼迫  2020.4.2

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 新型コロナと離島航路の問題についてお伺いをしたいというふうに思っております。
 まず、国交省に確認をしたいと思いますけれども、全国に離島航路というのは幾つあるのか、またその旅客船事業者、全国にどれだけあるのか、伺いたいと思います。

○政府参考人(大坪新一郎君) 全国の離島航路の数は、平成三十一年四月時点で二百九十六航路となっております。また、海上運送法の許可を受け海上運送事業を営む旅客船事業者の数は、平成三十一年四月時点で九百七十二事業者となっております。

○武田良介君 大変多くの航路があり、そして事業者の方がおられるわけでありますが、この離島航路は当然、その島で暮らしておられる島民の方も利用されますし、観光客の方も利用される、当然ビジネスの方もいらっしゃるわけであります。こういう方たちがその船で新型コロナウイルスに感染しない、その感染拡大の防止というのはやっぱり何より大事だというふうに思いますけれども、これには国交省はどのように取り組んでおられるのか、御説明お願いします。

○政府参考人(大坪新一郎君) 旅客船に対する対応といたしましては、まず乗務員のマスクや手袋の着用、手洗い、船内の消毒液の設置など感染を予防する行動の徹底、それから船が出る前に体温を測定したりすることによって乗務員の健康状態を確実に把握すること、また、乗客向けに、乗船時や船内アナウンス等によって、手洗いやアルコール消毒を含むせきエチケットの呼びかけ等の実施を旅客船事業者に対して我々から要請してきたところです。また、主要な事業者に対しては、これらの要請が実際に徹底しているか、個別に聞き取りを行ってまいりました。また、マスクの優先的な確保については、経済産業省と調整を進めまして、旅客船事業者に対して順次発送されているところであります。
 引き続き、関係省庁と連携しながら感染拡大防止に努めてまいります。

○武田良介君 今御答弁ありましたように、各事業者の取組もされておられます。
 私も新潟県の佐渡汽船、こちらのホームページ見ましたら、対策取られているということでアップされておりました。例えば、三月十一日から乗船前にサーモグラフィーによる検温チェック、健康チェックをしているということだとか、あるいは空調の管理、船内やターミナルの消毒、スタッフのマスクの着用、感染症予防アナウンス、アルコール消毒液の設置、今答弁されたようなことを取り組んでおりますということも書かれておりました。
 事業者の皆さんがこうした感染拡大の防止に取り組んでいただいているということに敬意を表したいというふうに思いますし、同時に、今答弁もありましたけれども、必要な物資など支援を強めていただきたいと要望させていただきたいというふうに思います。
 今回のこの新型コロナの影響を受けて、利用者の方も減っておられます。この経営に対しても非常に大きな影響出ているわけですけれども、国交省はどのように実態を把握されているでしょうか。

○政府参考人(大坪新一郎君) 旅客船事業者の影響につきましては、地方運輸局等に新たに設置した相談窓口に寄せられる相談、また問合せ、それから地方運輸局が自ら調査を実施して実態把握を行っているところです。
 現時点で把握しているものとしては、マスクや消毒液等の不足、また旅客運輸収入の減少が拡大していること、このために資金繰りや雇用維持のための支援、公租公課の減免等への期待が寄せられています。また、事態が終息した後の需要喚起策への期待が寄せられているところであります。

○武田良介君 旅客収入が減っているということがありまして、先ほど少し言いました佐渡汽船ですけれども、お話を伺いましたら、新型コロナの影響を受けて、これでちょうど三月終わったわけですけれども、三月単月で見て前年比四二%から四三%減ということでお話がありました。一月から三月の累計で見ても二〇%減というお話でありました。
 観光客はもうほぼゼロだと。島民の方もふだんであれば、有人国境離島の島民向けの割引なんかもありますから、ふだんであれば週末に島民の方も乗られるけれども、その方たちも今減っている。当然ビジネスの方も減っていて、フェリーなんかも減っているという話でありました。やっぱり、一斉休業が呼びかけられたところから、がくっと落ち込んでいるということでありました。
 じゃ、対策はどうしていくのかということでお伺いしたいと思うんですけれども、新型コロナの感染拡大で苦境に立たされている旅客船の事業者に対して、国交省はどういう支援を行っているのか、伺いたいと思います。

○政府参考人(大坪新一郎君) まず、旅客船事業者が経済的な影響を受けているということを踏まえまして、セーフティーネット貸付制度や雇用調整助成金等の必要な支援策が隅々まで各事業者まで行き届くように、地方運輸局の相談窓口を活用し、制度の周知徹底を図るとともに、公租公課の減免について政府部内で働きかけを行っているところです。さらに、事態終息後の観光分野における反転攻勢に向けて、旅客船事業がその重要な一翼を担えるように受入れ環境の整備を進めております。
 上記の取組を通じまして、旅客船事業への影響を最小限にした上で、事態終息後の速やかな回復を図ってまいります。

○武田良介君 セーフティーネットだとか雇調金だとか制度を紹介しているという話と、また反転攻勢に今後転じるときにという話でありましたけれども、もうそれ自身、制度を徹底していくことは非常に大事なことだと思います。進めていただきたいと思いますけれども、国交省としての支援策というのはなかなか見えてこない、ここでもっと国交省が前面に出て支援をしていただけないだろうかということを思っているわけです。
 ちょっとそのことを考える上で、この旅客船の事業者の皆さんは新型コロナがなくても常日頃から経営は大変なわけですよね。これまでも国交省は支援をされてきていると思いますけれども、どんな支援をされてきているでしょうか。

○政府参考人(大坪新一郎君) 離島航路は、離島の住民にとって生活や産業などを支える交通手段でありまして、航路の維持確保は極めて重要であると認識しています。
 このため、国土交通省では、離島航路の確保維持を図るということから、地域公共交通確保維持改善事業によって唯一かつ赤字の離島航路に対して運営費補助を行うとともに、運賃割引、それから船舶建造への補助などを実施しているところです。

○武田良介君 答弁今いただきました地域公共交通の維持確保改善事業、これが幾つかメニューがあって、そのうち一つ、離島航路運営費等補助というのでこの赤字の補填をしているということですよね。答弁にありましたように、唯一かつ赤字の航路が対象になっていると。
 この事業を見ていきますと、その欠損見込額全体に対する補助充足率が二分の一というふうになっております。事前算定方式による内定制度で、補助対象経費の算出は効率的な運営を行った際の標準収支見込みにより求める標準化方式を採用していると。だから、経営を効率的にやって、全国標準化して、どのぐらい補填をするのか額を計算しているということだと思いますけれども、これをやっているということなんですね。
 今回の新型コロナで乗客は減少もしております。赤字も大きくなっていくということも予想される。一定期間に及んでいく、その影響がですね、及んでいくことも考えられるということですので、この補助充足率を二分の一からもっと引き上げていくとか、こういう措置も重要になっていくんじゃないだろうかと。今の新型コロナのこういう状況ですから、こういったことも是非検討いただけないかというふうに思いますけれども、大臣、この点いかがでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) まず申し上げたいのは、離島航路につきましては、離島の住民の皆さんの生活の足である唯一の交通手段であるということで、その維持確保については万全を期さなければいけないというのが大前提でございます。
 今回の新型コロナウイルスの影響、また現場のニーズを注視するということは大事で、多分、生活路線については、今は外出を手控えていますからこの期間は利用客は減っていると思いますが、こうした状況が戻れば生活の足という部分では回復はするんではないかと。ただ、観光のことについてはもう少し根が深いと。
 そうしたもの、様々なこと、状況を把握しながら、これは地元自治体も絡んできますから、この地元自治体とも緊密に連携しながら、今後のこの離島航路の補助も適切に運用しつつ、しっかり対応していきたいと、こう考えております。

○武田良介君 私、先日、佐渡汽船で懇談させていただく機会がありまして、そのお話を伺ったんです。お話聞いていましたら、やっぱりその離島航路の運営費補助、今のお話の二分の一の話ですけれども、この算出というのは標準化方式で、実際に補助されている割合はその佐渡汽船では十数%ぐらいだというんですね。どういう計算からその佐渡汽船では補助率が上がらないのか、何をどう改善したら補助率が上がるのかということも考えたんです。私もお聞きしたんですけれども、佐渡汽船の方でもそこのところはよく分からぬということでありました。
 この点では、やっぱりその標準化方式による算定というのは実際どうなっているんだろうかと、これ是非精査いただけないかなというふうに思いますし、今回、この新型コロナの影響が甚大になっているときですから、事業者の負担を減らせるように必要な検討を進めていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、一言いかがでしょうか。

○政府参考人(大坪新一郎君) 委員御説明のとおり、標準化方式というものが採用されておりまして、それは、各事業者の単価そのまま採用するわけではなくて、全国を見たときに、それぞれの事業者が努力をすればこれぐらいのコストに圧縮できるのではないかというところを算定しまして、それを当てはめていると。したがって、各事業者において、実際の赤字とは、その計算された赤字とは異なっていて、補填される額がそれぞれ違うということは起こり得ます。
 仮に赤字が拡大するようなことがあった場合には、ここでは地元自治体とそれから事業者と協議会をつくっていただいておりまして、それぞれの協議会において、例えばコストの削減のためにどうすればいいのか、サービス水準、例えば運航便数を変えられないのか、保守整備費を削減できないのか、需要喚起のために自治体がやれることはないのか、こういったことをいろいろ議論をしまして、それで何とか航路の収益改善を図っていただいて、それでもなおかつ赤字が出るという場合に対して補填をすると、そういうようなスキームを取っているところであります。

○武田良介君 そのスキームは承知しておりますし、各関係自治体なんかも加わった協議会で議論されているというのも私も聞いております。取り組んでおられることももちろん承知しております。
 その上で、やはりその離島航路をどう守らなきゃいけないのか。その佐渡汽船はこれまで三航路あったけれども、一つ今なくなってしまっておりまして、どうしなければいけないのかということはこれ大きな課題になっておりますから、是非精査、検討いただきたいというふうに思っております。
 もう一つなんですけれども、佐渡汽船に懇談で伺った際に、佐渡汽船ではジェットフォイルの更新を行うということを言っておられました。このジェットフォイルというのは、私も技術的には詳しいこと分かっていないんですけど、水中翼に働く翼揚力を利用して船体を完全に持ち上げて海面を高速で走るという、こういう船だというふうに聞いておりますけれども、これの更新が必要で、これ、やるんだというふうに言っておりました。
 令和二年度の船舶共有建造制度、これを活用するということを聞いておりますけれども、これ、どういうものなのか、御説明いただけますでしょうか。

○政府参考人(大坪新一郎君) 鉄道・運輸機構の船舶共有建造制度というのは、国内の旅客船又は貨物船の建造について、鉄道・運輸機構と海運事業者が費用の分担をして船舶を共有して建造することによって、中小事業者が多数を占める内航海運事業者の技術力、それから担保力の不足を補って製作意義の高い船舶の建造を支援する制度であります。
 ちなみに、このジェットフォイルについては、先ほど説明がありましたように、非常に高速で特殊な船、利便性が高く優れた船なんですが、船が価格が高額であるということもありまして、この代替建造を支援するために特別な特例措置を講じております。これ、平成二十七年度には返済期限を九年から十五年に延長するという特例措置を設けておりますし、令和二年からは、自治体の負担軽減を図るということで、自治体の負担比率を四五%以上から二〇%へ下げまして、共有比率を逆に四五から七〇に上げると、そういう措置が認められたところであります。

○武田良介君 事業者負担は、現行でも今回改めても実際に一〇%まだ残っているということ、それから、共有期間が、造られた後、ありまして、九年から十五年に延ばされ、その期間は、使用料収益、これ機構に払っていくという格好になるわけですよね。
 この点はちょっと確認しておきたいと思うんですが、佐渡汽船に伺いましたら、ジェットフォイル、具体的に三十四億円掛かるんだというお話をされておりまして、これ、一〇%としても三・四億円であります。この負担軽減を図っていく必要があるんじゃないだろうかというふうに思いますけれども、これが一点。
 それから、今後十五年間使用料を払っていくわけですけれども、これから、先ほども大臣が観光のところはもう少し深いかもしれないというお話でしたが、観光も伸びないということになっていきますと、これ、行く行く運賃を値上げしなければならないだとか、そういったことにもなりかねないんじゃないだろうかということを危惧しておりまして、これから回復していく、反転攻勢していくときにも懸念になっていくんじゃないだろうかと。
 ジェットフォイルの更新にしても、安心して事業が継続できるような支援をこの際検討いただきたいと思いますけれども、大臣、最後、いかがでしょうか。

○国務大臣(赤羽一嘉君) ジェットフォイル、大変高額でありますが、そこの支援につきましては、先ほど局長から御答弁をさせていただいたところでございます。
 やっぱりこれ、佐渡汽船って、県からもお金は入っていると思いますけど、やっぱり民間企業である以上はそれなりの経営のインセンティブということも考えなければいけませんし、観光に対しての応援は大型の需要喚起策ということでしっかりサポートしていきたいと、こう考えております。

○武田良介君 是非検討いただきたいと思います。
 終わります。

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関連資料

しんぶん赤旗記事「離島航路 経営が逼迫 武田氏「日頃から低い補助」」