国会質問

質問日:2020年 4月 7日  第201通常国会  国土交通委員会

住まいの保障が大切 マンション関連法で質問

マンション管理適正化法とマンション建て替え円滑化法の改正案質疑で、「誰もが安心して住み続けられる住まいが保障されることが何より大切だ」と強調しました。

質問の映像へのリンク

住まいの保障が大切 マンション法賛成 2020.4.7

議事録

○武田良介君 日本共産党の武田良介です。
 マンションの管理適正化、それから建替えの円滑化の法案について質問をさせていただきたいというふうに思います。若干通告の順番変えますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、日本の住宅をめぐる実態について述べさせていただきたいというふうに思います。
 日本社会全体の中で、貧困格差が広がっていく中、安全で安心して住み続けられる、そういう住まいを失う方たちが後を絶ちません。重い家賃の負担があって生活苦に陥る低年金の高齢者の方、こういう方もいらっしゃるわけであります。老齢基礎年金は年額で月約六万五千円というふうになります。年金暮らしの単身高齢者の方で、仮に家賃三万円ということになれば、残る生活費は月三万五千円ということになるわけであります。
 一方で、この分譲のマンションですけれども、国民の約一割の方、一千四百万人の方々が暮らす場でもありまして、都市において新しいコミュニティーにもなっている、そういう場だというふうに思います。こういうマンションの維持管理に対する公的な支援を充実していくこと、安全、快適に長もちするマンションを目指す取組を支援していくこと、それは日本共産党もこの間求めてきたところであります。
 一方で、大都市では超高層マンションが林立するということが今も起こっているわけであります。しかし、空き家も増加をしている、そして今回問題になっているような老朽化したマンションなどがあるということであります。私たちも懸念をしてまいりましたけれども、野方図なマンション建設だとか、こういうことから生じる課題が顕在化をして、そのことに手を着けざるを得なくなったということからの今回の法改正の必要があるんだろうというふうに思います。高齢者の方も増えてまいりますので、そういった方も安心して住み続けられる住まいが必要なんだということをまず強調させていただきたいというふうに思います。
 そのことを踏まえて、今回のマンションの管理適正化法案ですけれども、このマンションの管理適正化の法案の方では、これまで行政が関わらなかったマンションの管理に行政が関わるということであります。その背景と必要性について御説明をお願いいたします。

○政府参考人(眞鍋純君) マンションの管理は、本来各区分所有者から成る管理組合が自ら適正に行うべきものではございますけれども、多数の区分所有者間の同意が必要であること、また法律、技術上の専門的知識が必要となることから、こうした知識、ノウハウを十分に有しない区分所有者のみでは適切に対応していくことは困難な場合もあると考えるところでございます。
 このため、行政や専門家による管理組合の支援体制を整備するため、マンション管理適正化法に基づく管理士制度あるいは管理業の登録制度というものについて制度を創設して普及に努めてきたところでございますが、一方で、マンションが多く存在する地方公共団体を中心に管理の実態調査、あるいは管理組合向けのセミナーや相談会の開催、専門家の派遣などにより、よりマンションの管理を適正化する動きが最近顕著になってきたところでございます。
 今後、建設後相当の期間が経過したマンションが急増する、あるいは管理組合の担い手の高齢化などが見込まれる中、老朽化の抑制、あるいは周辺への危害などを防止するためには、法的な根拠を持って地方公共団体が能動的に取り組む必要があるという認識に至ったものでございます。
 そのため、今般の改正法案におきまして、マンションの管理適正化のための計画策定、あるいは管理者に対する指導、助言、勧告などの制度を創設し、その公共団体の役割を強化したところでございます。

○武田良介君 維持管理あるいはその修繕だとか改修をまず大事にして長寿命化をしていくと、やはりそのこと必要だというふうに思います。
 その上で、建て替えや敷地売却を進めざるを得ないマンションも現実にあるわけでありますが、その際に、建て替えを希望しない方の意見をどう受け止めて反映をしていくのか、そしてその安心して住み続けられる住まいがどう全ての方に保障されるのか、そこが最大の課題だろうというふうに思っております。
 そこで、今回の法案で、この百二条、マンションの除却の必要性に係る認定について確認をしておきたいというふうに思うんですけれども、これ見ますと、特定行政庁は今回の法案で拡充している五つの項目に該当するときにはその旨を認定するんだというふうにしております。
 これ、法案を読めば特定要除却認定マンションというのも出てきますし、容積率の緩和の特例ということもありますので、その辺りを含めて御説明いただきたいと思います。

○政府参考人(眞鍋純君) 今般の改正法案の第百二条についてのお尋ねでございまして、ちょっとややこしいところがございますので御解説申し上げたいと思います。
 除却の必要性のある旨の認定、要除却認定といっておりますが、その対象となるマンションとして、従来、耐震性が不足するマンション、これを位置付けてございましたけれども、今回、この従来ありました耐震性不足のマンションに加えまして四つの類型を追加しております。外壁の剥離及び落下により被害の生じるおそれのあるマンション、火災時に大きな被害が生じるおそれのあるマンション、排水などの配管設備の劣化により著しく衛生上有害となるおそれのあるマンション、高齢者などの移動上又は施設の利用上の安全性の向上を図る必要があるマンション、以上四つでございます。
 合わせまして五つの類型が誕生したわけでございますが、この五つの類型のいずれで要除却認定を受けたといたしましても、本法に基づく容積率緩和特例の対象にすることが可能でございます。
 また、この五つの類型のうち、耐震性不足、外壁等の剥離、落下、さらに火災等の危険性が高いマンション、この三つにつきましては特別の位置付けといたしまして、著しく危険の状態にある、必要性、緊急性がより高いと考えられることから、マンションの敷地売却事業及び今回創設する敷地分割事業の対象にすること、そのように位置付けてございます。

○武田良介君 今御説明いただきました内容を資料に、一枚紙ですけれども、付けさせていただきました。
 五つの項目になり、敷地売却の対象は一から三ということですので、これ、敷地売却に進む場合と進まない場合があるということであります。
 今回、特定要除却認定マンションという規定を設けて、この認定を受けたマンションの敷地は敷地売却に進むわけですけれども、この場合、買い受けようとする者が、現行でも第百九条によって買受け計画を作成するということになっております。この計画に記載しなければならない事項として代替建築物の提供等に関する計画というものがありますけれども、これはどういうものなのか。この事項によって、敷地売却決議が上がったマンションにお住まいの反対意見を持っていた方あるいはその資力が十分にない方、こういう方も代替の住まいがきちんと保障されるんでしょうか。

○政府参考人(眞鍋純君) 敷地売却事業、これを進める上でまず最初に決議が必要でございますけれども、この敷地売却決議に反対していても、決議後に事業に同意、参加することになった区分所有者に対しましては、買受人、つまりディベロッパーでございますが、買受人が区分所有者などの要請に応じた代替建築物の提供、あっせんを行うことを義務付けております。また、その実施状況を地方公共団体において監督するということにしております。例えば、高齢者などの区分所有者が住宅の取得を行う場合には、住宅金融支援機構によりリバースモーゲージ型の融資などの活用も考えられますので、そうしたこともお勧めしてございます。
 ただし、敷地売却事業の最初にこの決議に反対されていた方ということになり、最終的にその同意を得られなかった方に対しては、このあっせんは行わないということになります。ただし、敷地売却に参加しない区分所有者に対しましても、敷地売却組合が時価による売渡し請求を行って相応の手当てを行うことにしておりますので、経済的に大きな損失はないものと考えております。

○武田良介君 行わない場合という話もありました。非常にそこの点が重要でありまして、懸念せざるを得ません。
 そして、この敷地売却は、現行法でも耐震不足と判断された場合に可能だったわけですけれども、先ほども少しありましたが、実績は大変少なかったわけであります。今回の改正によって実績が増えた場合に、住まいが次々失われていくということがあってはならないということを厳しく指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、敷地売却に至らない場合ですけれども、この場合、要除却認定マンションですから、除却され、建て替えていくということが想定されるわけですけれども、これによって住まいを失うことはないのかということなんです。事前に国交省からの説明受けましたら、先ほども少し答弁の中にありましたけれども、建て替え決議を五分の四以上でまず上げるわけですよね、五分の四以上の多数で決議されていることが前提だというお話。それから、その後、マンションの建て替え組合の設立、同時に、建て替えの事業計画の内容についても行政の認可が必要なんだと。こういうことで保障されていくという趣旨の御説明をいただいたわけですが、やっぱり様々想定しなければならないだろうというふうに私も思っております。
 初めのその建て替えの決議にはこれ賛成したんだけれども、例えば、その後病気をしただとか生活条件が大きく変更してしまったという方がいらした場合に、事情がこれ変わったとして建て替え組合の設立には賛成されないということも想定されるんじゃないだろうか。反対の区分所有者の方から、組合が時価で買い取って建て替えたマンションに入ろうということを思うということがあるかもしれない。その土地で最後まで住み続けたいと考えていたということを考えていたかもしれないけれども、生活条件が変わったために当初の願いかなわず、これまでのマンションより条件不利地に住むことしかできないとかということもあるんじゃなかろうかということを心配するわけであります。
 この建て替えの決議に賛成しても、その後の組合の設立あるいは事業計画に反対される方、また、さらにはその十分な資力がない方ですね、住まいは保障されるのかどうか、いかがでしょうか。

○政府参考人(眞鍋純君) マンションの建て替え事業においても、建て替えに参加しない区分所有者に対しては、マンション建て替え組合が時価による売渡し請求を行って相応の手当てを行うこととしております。
 また、マンションの建て替え決議に反対していても、決議後に事業に同意、参加することとなった区分所有者の方には、従前の権利に応じた建て替え後のマンションの床を取得することも当然可能でございます。
 このときに必要となる経費についてどうするのかということだと思いますけれども、高齢者などの区分所有者が住宅の取得を行う場合に、先ほど申し上げましたような住宅金融支援機構によるリバースモーゲージ型の融資の活用というのが可能かなと考えてございます。これは、生存時は毎月利息だけを支払い、元金は死亡時に一括償還する特例的な返済制度でございまして、資力のない方による資金調達を支援する上でも有効であると考えてございます。
 しかしながら、こういった建て替えや売却を進める上で何よりも重要なのは、事業内容について十分な説明を行い、できる限り多くの権利者の理解を得ながら事業を進めるということだというふうに考えられますので、国としてしっかりとしたガイドラインを示して、できるだけ納得いただき事業に御参加をいただけるように、丁寧な運用をすることが重要だというふうに考えてございます。

○武田良介君 大きな懸念をちょっと示さざるを得ないかなというふうに思っておりますけれども。
 最後に、今回の法案全体について、マンションの管理組合からの申請がないと、高経年のマンション、建て替えなどの必要があるマンション、どれだけあるのかということが把握できないのではないだろうかというふうに思うんですね。
 個別のマンションを見れば、管理組合がないというところも当然あるわけですし、そこには今回の法改正をもってしても行政は関与することができないわけでありますけれども、マンションの高経年の実態把握、そういうマンションがどれだけあるかの実態把握、これが結局自治体任せになってしまうんではないだろうかということを思うわけですが、その点いかがでしょうか。

○政府参考人(眞鍋純君) 御指摘をいただきましたように、要除却認定はあくまでもマンションの管理者などからの申請に基づいて特定行政庁で基準への適合性を判断して行うものでございます。
 一方で、公共団体がマンションの管理の状況を把握して、その状況に応じた必要な対策を取るということは大変重要というふうに考えてございます。
 今回の改正法案では、地方公共団体が作成するマンション管理適正化推進計画において、その区域内におけるマンションの管理の状況を把握するために地方公共団体が講ずる措置に関する事項を定めることとしております。具体的にその管理の状況を把握するということになりますと、例えば通報や相談による把握ですとかアンケート調査による把握などということが想定されるわけでございますけれども、そうした方法について、私どもの方ではガイドラインで示しておきたいというふうに考えますし、また、公共団体さんが先導的にそうした取組をするという場合に、令和二年度に措置してございます予算措置なども設けまして、その支援をしていきたいというふうに考えてございます。
 いずれにせよ、公共団体さんが実態の状況をきちんと把握して対策を打つことが非常に重要だと考えてございますので、ノウハウや財政的な支援をしてまいりたいと考えてございます。

○委員長(田名部匡代君) 申合せの時間ですので、おまとめください。

○武田良介君 はい。
 住宅困窮の実態把握、やっぱりこれ急いで行う必要があるというふうに思いますし、その実態に合わせたふさわしい仕組みづくりが必要だということを強調いたしまして、質問を終わります。

すべて表示

関連資料

赤旗記事「住まいの保障が大切/武田氏、マンション法賛成」

参考資料

20200407国土交通委員会資料